CiRCLEのアルバイト生活 〜失いながら手にしたモノ〜 作:わらびもち二世
後半少しシリアス。
今日は巴から連絡が来て宇田川家でカレーを食わせてくれるらしい。
食いもんに釣られちまったぜ。
ピンポーン♪
ガチャ
「よ!巴来たぞ」
「おお。竜二来たか。上がってってくれ」
「竜二さんいらっしゃいっ」
巴とあこが玄関先まで来てくれた。
「あこも出迎えご苦労!」
俺の言葉に巴が呆れていた。
「なんでそんなに偉そうなんだ・・・」
「もしかして少し早く来すぎたか?」
まだ夕方5時頃だった。
夕食には少し早い時間だったかもしれない。
「いいっていいって。ゆっくりしてってくれよ。たまにはのんびり話そうぜ」
「そうか。じゃあ座らせてもらうぜ」
巴がそう言うならまあいいか。
俺はさっそくリビングにあるソファーに腰掛けた。
「竜二さんっ。ギター弾きますか!?」
あこがギターを持ってきて弾いて欲しそうにしていた。
ってかなんでこの家にギターあるんだ?
誰も弾かねーだろ。
「あー、今日はゆっくり話でもしたいからまた今度な」
「む〜。そうですか〜。ならあこ達と話しましょうっ」
そんな残念そうな顔をするな。何故か無性に罪悪感が!
「すまんな・・・それよりRoseliaの活動は順調か?」
「お・・・それはアタシも気になるな。」
どうやら巴も気になるみたいだ。
「もちろん順調ですよ!それに最近は友希那さんと紗夜さんも少し優しくなった気がします」
「へえ。湊さんが・・・あんまり想像出来ないけど」
確かに巴から見た友希那と紗夜は少し厳しめに見えるかもしれないな。
「ま、巴たちはあんまりRoseliaのメンバーと関わることないもんな」
「あこから話はよく聞くんだけど、竜二から見てRoseliaのみんなってどんな人達なんだ?」
「俺から見て、かぁ」
あんまり赤裸々に話すとバレた時怖いからな。
どこまで話せばいいもんか・・・
「あこも気になります!」
「ここではあまり言いたくないんだけどなー。あこ絶対後でアイツらに言うだろ!」
「そ、そんなことないですよ〜!」
ほんとか!?ほんとだな!?その言葉信じるからな!?
「まあいいだろう。そうだな。何から話そうか・・・」
「アタシは湊さんと紗夜さんが特に気になるな。蘭も湊さんにはすごい対抗心燃やしてるし」
蘭は何故か友希那にはものすごいライバル意識あるもんな。
「ははは・・・!確かにな!・・・・・・友希那か・・・。友希那は2人が思ってるよりはかなり素直でたまに冗談を言ってきたりもするぞ」
「へえ!湊さんが冗談とか言うなんて全然イメージ出来ないな」
「どんな冗談言ったりするんですかっ?」
2人は俺の言葉に興味津々だった。
「この前な、俺が無知なのをいいことにな・・・
あれは昼頃に珍しく友希那が1人でCiRCLEに来てる時だった。
『竜二?知ってる?紗夜は毎日ギターを抱いてないと寝られないらしいわよ』
『まじかよ!!』
『マジよ。だから紗夜はギターのメンテをよくしているでしょう?普通ならあそこまでこまめにメンテはしないわ』
『確かに!!ギターが壊れないか心配だもんな!寝れなくなっちまうし!』
『ふふっ・・・!』
『何笑ってんだよ!最悪ギターが壊れたら俺のを貸してやるしかないな!』
『ま・・・嘘なんだけど?』
『嘘かい!!』
・・・てな事があったんだ。危うく紗夜に尋ねるとこだったわ!」
「ははは・・・!」
どうやら2人にはかなりウケたみたいだ。
「湊さんでもそんな冗談言うんだなっ。なんか少しイメージ変わったよ」
「友希那さんリサ姉にもそんな冗談言わないのに!」
リサにそんな冗談言ってたらめっちゃ面白そうだけど。
「なんか知らんが友希那は俺をからかうのが好きっぽい」
「まあそれだけ仲が良いって事じゃないか?」
巴が答えた。
「そういうもんなのかね。まあでも、少し蘭と似てる所あるよな」
「確かに。アタシも少しそう思ってたんだよな〜」
巴も良く俺にそう言ってたもんな。
「蘭も俺をたまにからかってくるだろ?その感じと近い」
「2人とも竜二さんの事が大好きなんですよっ」
あこは嬉しそう俺にそう言った。
「それは嬉しいがアイツらの冗談はわかりにくいんだよ!」
「じゃあ紗夜さんはどうなんだ?紗夜さんってめっちゃ真面目なイメージあるんだけど、竜二から見たらどんな感じなんだ?」
どうやら巴は紗夜の事も聞きたいらしい。
「紗夜か・・・俺も最初はそう思ってたけど実は割と抜けてるところがあるんだよ。こんな事があったんだ・・・
あれは昼頃、CiRCLEで紗夜が1人でスタジオに練習をしに来た時の話だ。
『竜二くんのギターの真髄を教えてもらってもいいですか?』
『俺のか?そんなもんないけどなぁ』
『そう言わずに、何かありませんか?』
『うーん。強いて言うならギターと常に一緒にいることだな。1.2時間集中して練習するよりもいつも手元に置いておくのを俺は1番大事にしてるかもしれない』
『なるほど・・・!それは確かに理に適ってるかもしれませんね。私も今日からさっそく実践してみます』
そしてその日の夜・・・
prrrr
ん?日菜から電話だな。
『竜二くん!たすけてっ!お姉ちゃんがおかしくなっちゃった!』
『なんだよ?そんなに慌てて』
『ギターをお風呂場に持って行こうとしてるんだけど!竜二くんなにか知ってる!?』
『はああああああ!?』
後日・・・
『紗夜悪い!俺の伝え方が悪かったよな』
『いえ!私が少し捉え方を勘違いしてしまったみたいで!』
と言うことがあったんだよな・・・」
俺の言葉にあこが、
「・・・まさか紗夜さんがそこまで天然だったなんて」
「アタシ完全に紗夜さんのイメージ変わったぞ!」
巴もかなり驚いていた。
「俺が言った事を絶対言うなよ・・・あこ?」
特に紗夜の事はバレたらくっそ怒られるからな!
「も、もちろんですよ!さすがに言ったらあこも紗夜さんに怒られちゃいますよっ」
確かにこの事は誰も触れない方がいいだろうな。
・・・そしてしばらく他愛のない会話を2人としていた。
すると巴が立ち上がって、
「それじゃ、アタシはそろそろご飯の支度するな」
「俺も手伝うよ」
「いいって!今日はお客さんなんだからゆっくり休んでてくれ。あこは話し相手になってやってくれ」
「はーいっ」
「巴がそう言うならいいんだけとな」
仕方ない。手伝おうとしたけど断られちまったし、あこと話すとしよう。
「あこはAfterglowのみんながどんな風に活動してるのか気になりますっ」
「巴から聞かないのか?」
巴からよく聞いてそうなのにな。
「うーん。お姉ちゃんも話してくれるけど、竜二さんから見てどうなのかなーって」
多分二つのバンドをよく知ってる俺だから、色々聞いてみたいんだろう。
「なんだよーあこ?もしかして対抗心でも燃やしてるのか?」
俺は少し冗談っぽく言った。
「もちろんですっ。Roseliaも超超超カッコイイバントてすからっ」
これは相当対抗心燃やしてるな。
「ほほう。まあいいだろう。つっても、普通だぞ?蘭が曲の大元を作って、後はみんなでアレンジする」
みんなで考えて一から作るときもあるけど、大半は蘭が作ることが多い。
「たしかにそれだけ聞くとRoseliaとあんまり変わんないですね」
「んー。違うところか・・・。Roseliaと違う所と言えば、割とみんなでアレンジを言い合いながら考えてるかもな。Roseliaはだいたい個人練習が多いだろ?」
Roseliaはアレンジを家で考えたりしたやつをスタジオで披露するような感じだもんな。
もちろんその後に少しずつ完成するまでに変わるわけだが。
「たしかにそうかも・・・?竜二さんはAfterglowで何か手伝ってるんですかっ?」
「俺か?うーん。まあ少しだけ、その辺はRoseliaと一緒であくまでも少し意見を言う程度だけどな」
「竜二さんは他のバンドも手伝ってるし。本当に多忙ですね・・・」
あこが苦笑いしながら答えた。
「はは・・・は・・・。ま、まあ結論から言えば、ジャンルが違うからな。RoseliaとAfterglowじゃあさ。だから曲の作りかたも違うのかもな」
「うむむ。勉強になります」
こんな話でも為になるならよかったよかった。
「ま、ここまで両極端なバンドだと見る人によって評価が分かれるかもな」
「じゃあ結論はどっちも超超超カッコイイバンドって事ですねっ!」
俺はあこのこう言う純粋なところが好きだ。
別にロリコンってわけじゃないが!!!
「ああ。そうだな。あこ」
軽く頭に手を置いてやった。
別にロリコンってわけじゃないが!!!
すると巴が台所から料理を持って来てくれた。
「お待たせー!なんの話をしてたんだ」
「あこがAfterglowの活動風景が知りたいって言うからな。色々教えていたとこだ」
「へえ。面白そうだな。アタシも混ぜてくれよ」
巴も俺たちの話に興味を示していた。
「カレー♪カレー♪」
あこはカレーが来てテンション上がってるようだ。
「美味そうだな。さすが巴。さすが!実は女子力高い」
「あこの自慢のお姉ちゃんだもん!」
「やめろって。なんか照れるだろ?それより早く食べようぜ」
巴が照れていたから、これ以上茶化すのはやめておいてやるか。
「ああ。そうだな」
・・・・・・・・・
「いただきます!」
俺たちはみんなで手を合わせてから食べ始めた。
「それで、Afterglowの話だったよな。って言っても巴と改まって話すこととかないよな」
「確かに・・・あ、そういえば中学の頃の話とかはあんまりあこに話したことなかったよな」
巴が何かを思い出したかのように答えた。
「確かにあんまり聞いたことないかも!」
意外だな。あこになら中学の頃の話をしてるもんだと思ってた。
「あの時は中学の中でも特に蘭と竜二が目立ってたよなー」
「やめて恥ずかしい!」
俺の過去を掘り下げないで!!
「いいだろ別に?・・・それでな?蘭だけ別のクラスだったんだけど、蘭と竜二が仲良くなってからは1年のクラスによく蘭を呼びに来てただろ?そりゃもう噂が凄かったんだよ」
「ええ!そうなんですか?竜二さんっ?」
今思えば2年も下のやつのクラスに入り浸るって俺やばすぎだろ!
世間知らず過ぎたな。あの頃は
「確かに蘭と仲良くなってしばらくしてからは良く蘭のクラスに呼びに行ってたな」
「竜二は上級生だったしやっぱ、1年の教室に来ると目立つんだよな」
それで俺は少し不良だと思われてたのかもしれん。
「今思うと、俺って中学の時お前ら以外まともに話す人いなかったような・・・?」
「あは・・・は・・・」
2人してその乾いた笑みはやめて!なんか言ってくれ!!
「そういえば竜二さんって中学で転入してくる前はどこに住んでたんですかっ?」
「・・・・・・ここの街へ来る前か」
すると巴が少し難しい顔をして。
「あー、もしかして話しづらい事だったか・・・?」
「・・・いや、まあいいか。実はこの街来る前は海外に住んでたんだ・・・」
正確には海外を転々としていたんだけど。
「海外!?初めて聞いたな」
巴は相当驚いていた。
「そりゃお前、今まで話した事なかったからな・・・別に俺も聞かれればある程度は答えるさ」
「海外!なんかカッコいい!」
あこは何故だかテンション上がっていた。
「ま、英語はそんな達者じゃないけど」
「って事は竜二はハーフなのか?」
ああそうか。確かに普通はそう考えるよな。
「いや、れっきとした日本人だぞ。小さい頃に海外に引っ越したんだ」
「じゃあじゃあ!どうして日本に帰って来ることになったんですかっ?」
・・・理由か
「・・・・・・ルミ、あ、いや!まぁ家族の意向だよ!俺を日本の学校に通わせたいとかなんとか言われてな」
「・・・・・・・・・」
流石に今のはまずかったか・・・
「そうだったんだ!ならあこ達は竜二さんの家族に感謝しないとですねっ」
「・・・そうだな。俺も感謝してる」
こうして話もひと段落ついたとこで、丁度みんなご飯を食べ終えた。
「ごちそうさま〜!」
「俺もごちそうさま。巴サンキュー!めっちゃ上手かった。食器洗うの手伝うよ」
あこに続いて俺も手を合わせてから巴に言った。
「そうか・・・?なら手伝ってもらおうかな」
俺の真意を読み取ってくれたのか、巴は断らなかった。
「じゃああこは待機してますっ」
・・・・・・・・・
俺は巴と台所に来て食器を洗っていた。
「巴・・・さっきの話・・・気づいてたろ?」
「・・・まあな。あこの手前、あんまり追求はしない方がいいだろうと思ってさ」
やっぱりな。あんな誤魔化し方したら流石に気付くよな。
「俺もせっかくの楽しい空気を悪くするのは嫌だったからさ」
「でも話しにくい事なんだろ?無理に話さなくてもいいって」
「いや、巴なら別に構わない。一人一人に言うのも大変だから、折を見て蘭たちにも伝えといてくれると助かる」
あんまり何回も話したい話じゃないしな。
「・・・わかった」
巴は納得してくれた。
「・・・実は俺さ・・・・海外では学校に通ってなかったんだ」
「え・・・そうなのか?・・・でもどうしてなんだ・・・?」
「・・・俺は孤児でな。小さい頃に孤児院から引き取られて、海外で仕事の手伝いをしてたんだ。そして、・・・しばらくしてから今度はたまたま海外に来てた朝倉家の人に引き取られた」
「・・・ちょっと待ってくれ・・・色々衝撃的すぎて・・・頭がついていかない」
どうやら巴は相当ショックだったのか。
頭を抱えていた。
「だろうな・・・まあでも、結論から言うと俺を引き取った朝倉家の人が俺をきちんと日本の学校に通わせてやりたかったってことだよ」
「・・・・・・」
俺の軽口とは裏腹に巴は複雑な表情をしていた。
「巴・・・衝撃的なのはわかるが、あんまり気にすんなよ・・・?」
「馬鹿っ。そんなの気にするだろっ・・・竜二がそんな大変な生活送ってたなんて・・・」
「・・・巴?確かに俺は普通とは言えない生活をしてた。けど、それなりには楽しく生きてこれたつもりだ」
これは嘘じゃない。普通の学生生活とやらはよくわからんが、俺は俺で楽しく生きてこれた。
「っ!・・・でも!」
「いいんだ。こんな世間知らずの俺に普通に接してくれるお前らにはいつも助けられてた」
「・・・竜二・・・・・・」
巴は悲しそうな顔をしていたが、少しは安心してくれたみたいだ。
「・・・そろそろ話してもいい頃だと思ったんだ。巴ならAfterglowの中でも一番こう言う話はしやすいからな」
俺のそんな言葉に巴は少し苦笑いしていた。
「それはそれで複雑なんだけどな・・・でも、一番最初に話してくれてありがとな?」
「何言ってんだ。礼を言うなら俺の方だ」
「はあ、でも・・・こんな話蘭たちにどうやって話せばいいんだか・・・」
「・・・巴すまんな。面倒ごとを押し付けちまって」
「・・・いや、竜二が頼み事なんて滅多にない事だし、なんとかアタシから話しておくから安心してくれ」
巴は俺にそう言った。
「・・・巴・・・ありがとう」
「・・・いいって。困った時はお互いさまだろ・・・?アタシ達だって竜二にはいつも助けられてるしさ」
「巴は本当いい奴だな」
「ははは・・・!竜二がそれを言うか〜!?」
「なんだよ?なんか変なこと言ったか?」
「・・・なんでもないよ」
しばらく沈黙があった。
・・・・・・
「でも、アタシ達がこうしてみんなで居られるのも朝倉家の人たちのお陰なんだな・・・」
「・・・そうだな」
「・・・竜二?あの日あの時に転校して来てくれてほんとにありがとな」
「・・・やめろって、なんか今更蒸し返されると恥ずかしい・・・」
改まって言われるとなんか気恥ずかしい。
「ったく。こっちが素直に感謝してるのにさ」
「・・・そう言うのはいいさ。いつも通りで頼むよ」
「いつも通り、か・・・わかったよ」
・・・・・・・・・
「さてと、洗い物も終わったしあこのとこにでも行ってやろうぜ」
「ああ。そうだなっ」
俺たちはあこのいるリビングに戻る事にした。
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