CiRCLEのアルバイト生活 〜失いながら手にしたモノ〜 作:わらびもち二世
パスパレ ができる前の話です。ゆっくりしていってください。
俺はなぜか今隣町に来ていた。
今朝急に電話がかかって来て、昼に待ち合わせの用事ができたからだ
ちなみに普通にハンバーガーショップにご飯を食べに来ただけだが、そんなこんなで待ち人が遠くから手を振ってやって来た。
「竜二く〜ん!ごめん。少し仕事で遅くなっちゃって」
俺に申し訳なさそうに謝るピンクな髪のツインテの女の子は丸山彩と言う。
アイドルバンドPastel*Palettesのボーカルで高校二年生の女の子だ。
「お、来たか、別にそんなに待ってないから大丈夫だぞ。仕事おつかれ。それよりこんな場所で良かったのか?」
「ありがと!ここは竜二くんと初めて会った場所だし、私にとっては特別な場所だよ?」
そうは言うが単なるハンバーガーショップなんだけどな。
「彩がいいならいいけどよ、とりあえず座ろうぜ」
「うん!えへへ、竜二くんと久しぶりに会えて嬉しいな〜!』
「この前ライブしにCiRCLE来てたじゃねーか」
「そ、そうだけど〜!でもそうじゃなくて…」
「でも2人だけで過ごすのは久々だよな、そういう点では俺も嬉しいかもな」
ん?なんかおかしなこと言ったか?彩が固まってるが。
「ん?どした彩?」
「う、ううん!なんでもない!なんでもないよ!」
やけに顔が赤いのは気のせいだろうか。
にしても懐かしいなぁ、ここは確かに色々な思い出が詰まってる場所だよな。
俺がまだここで働いていたあの頃とかな…
彩とはここでアルバイトしている時に知り合ったんだよな。
あれは知り合って1カ月くらいの頃だっけか。
少し前に遡る…
「ありがとうございました〜」
2人してお辞儀をする。今ので最後のお客さんだ。
「にしても丸山もだいぶ慣れて来たよな」
「いえいえ!これも朝倉さんの教え方が上手だからですよ!」
俺はあんまり相手の事情には踏み込まないタイプだけど、今日は珍しくプライベートの話になった。
「朝倉さんってバイト以外は普段はなにをして過ごしてるんですか?」
「急だな。そうだなー、バイトしてない時か、特になんもしてない気がするなー」
「なるほど、意外ですね。なんか朝倉さんはとても忙しそうなイメージがあったので」
「まぁそれは間違ってないかもな、仕事ばかりしてるって感じだな。そういう丸山は普段なにしてるんだ?」
「わ、私ですか?」
「そうそう、バイト一生懸命やる理由でもあるなかと思ってな」
「…ドル目指してるんです」
「ん?なんだって?ごめん聞こえなかった」
「その、アイドル目指してて養成所のお金とかを稼いでるんです。」
少しうつむきながら続けて答えた
「やっぱり変ですよね、私なんかがアイドルなんて、その、笑っても全然大丈夫ですよ!」
「なんで笑うんだ?」
丸山が戸惑った声を出す。
「え?でも!アイドルですよ!?普通なら笑われてもおかしくないですから…」
「アイドルの事はよくわからんが、本気でやってるんなら笑う要素ないだろ。それに丸山は真剣に頑張ってるんだろ?だったらそんな俯くなよ、もっと自信持てって」
丸山は少し涙ぐんだ
「あ、朝倉さん…!ありがとうございます!私、そんな風に言ってもらった事なくて、こんな私でもアイドルになれるでしょうか…⁈」
おいおい、まさか泣くとは予想外だぞ!
「ったく泣くなよ?俺は丸山ならアイドルなれると思うぞ。それに俺に手伝えることがあったらなんでも手伝うぜ」
そうやって丸山の頭に手を置いた。
「あ、朝倉さん…!あ、ありがとうございます…」
少し顔が紅くみえたのは気のせいか。
「竜二でいいし、敬語使わなくていいぞ。あんまりさん付けされるのもむず痒いんだよな」
「ありがとう!」
「じゃあり、竜二くんって呼ぶね…!私のことは彩って呼んで竜二くん!」
「おう、彩な!アイドル頑張れよ!じゃあそろそろ閉めて帰るか!」
「うん!」
回想終了
そういえばこんな事もあったよなー
今思えばこの時はまだパスパレは結成してなかったんだよなぁ。
この店のお陰で花音とも知り合ったんだっけか…
「竜二くん!聞いてる?竜二くん!」
「あーわりぃ、ちょっと考え事してて聞いてなかった」
「もう!頼むの決まったなら呼んじゃうけどどうする?」
「オッケー、とりあえず呼んだら決めるよ」
あの頃に比べてめっちゃ話すようになったよな彩も。
今日はまだまだ彩に付き合わされそうだな。
後編に続きます。