CiRCLEのアルバイト生活 〜失いながら手にしたモノ〜 作:わらびもち二世
いつも見てくれる方ありがとうございます。いつのまにかお気に入りも増えてきてとても嬉しいです。
夕方頃CiRCLEの手伝いを切り上げた俺はこころの家に来ていた。
「竜二!来たのねっいらっしゃい!」
「おや?竜二じゃないか。今日も私達の活動の手助けをしに来てくれたのかい?」
「わーい!りゅーくんだ!みーくんから今日来るって聞いてたよ!」
こころと薫とはぐみ、言わずと知れた3バカが俺に話しかけて来た。
相変わらずこいつらはテンションが高いな。
「ま、そゆことだ。美咲、花音手伝いに来てやったぞ〜」
「竜二さん・・・。来てくれたんですね!はぁ・・・本当に助かります」
「ふぇぇ、美咲ちゃん凄く疲れてる。大丈夫かな?・・・竜二くんもいらっしゃい。手伝ってくれていつもありがとう」
「気にすんな。とりあえずさっそく今出来てる段階の曲を聴かせてくれないか?」
「はい!一応メロディと伴奏は打ち込んで見たんですけど、問題は歌詞ですよね・・・」
♪〜♪〜♪
とりあえずひと通り聴かせてもらったわけだが、俺は驚いた。
「まじかよ・・・美咲、お前もうここまでこのソフトの使い方覚えたのか?この前少し教えたばっかなのに」
「あの後、色々ネットで調べて打ち込みの仕方とか調べたんですよ。・・・ほんともう、かなり大変でした」
美咲はもしかしたらかなりの才能を持ってるかもしれんな。
「いつも任せっきりにさせちゃってごめんね。美咲ちゃん。」
「あー、花音さんはいいんですよ。いつも意見してくれたりしてるんで、かなり助かってます。問題はあの3バカですね。」
「ははは・・・よし、美咲がここまでやってくれたんなら、あとは俺の方で細かい打ち込み作業はやっておくよ。」
俺は乾いた笑いを浮かべた後、美咲に言った。
「すみません。ほんと助かります」
「美咲は良く頑張ったよ。おつかれさん。今日は問題の歌詞の方に専念しようぜ」
「花音。歌詞はどのへんまで出来てるんだ?」
「それがまだ全然で。こころちゃんがこの曲にどんなイメージを持ってるかわからなくて。」
「そっか。こればっかりは3人の合わせ技だな。なんとか今からやり切るぞ」
ひとまずこころになんとかしてこの曲のイメージを教えてもらうしかなさそうだ。
「えー!りゅーくん今来たばっかりなのに。もっとはぐみたちと話そうよ!」
「はぐみもこう言ってるんだ。竜二も少し肩の力を抜いて私達と紅茶でもどうだい?」
はぐみと薫が話しかけてきた。
「そうしたいのは山々なんだが、作曲しなきゃだろ?・・・ったく、お前ら俺が来たからって安心しすぎだって・・・」
するとこころが
「だっていつも竜二がなんとかしてくれるじゃない!だから何も心配いらないわ」
まったく、信頼されてるのは別にいいんだけど、もうちょい危機感持ちなさい。
いやでも待てよ・・・?
「もしかして俺は甘やかし過ぎてるのか!!そうなのか花音!美咲⁈」
「ええと、私が言えたことじゃないんですが、竜二さんもかなり甘々だと思います」
美咲が苦笑いを浮かべながら俺に答えた。
「竜二くん・・・今頃気づいたんだね・・・でもこころちゃんに限った話じゃなくて私たちも、いつも甘えさせてもらってるけど」
花音は今更気づいたの?と言わんばかりにこたえた。
「マジかよ・・・俺はめっちゃ厳しくしてたはずなのに!」
「あははは・・・は」
2人の乾いた笑い声が響いた。
ともかく、曲を作らねーと。
「とまぁ、そういう訳だからはぐみと薫とも、もう少しゆっくり話でもしてやりたいんだが、今日は作曲優先だ。しばらくこころを借りるな」
「大丈夫だよ!はぐみ達も中々みーくんたちを手助けできてないから・・・ごめんねかのちゃん先輩。みーくん」
はぐみが少し不安そうに尋ねるが、
「ううん・・・はぐみちゃんもいつも曲作りで色々手伝ってくれてるから大丈夫だよ?」
「そうそう。はぐみと薫も前半は伴奏作るのに手伝ってくれてるんだろ。そんなに気にすることはない」
実際、はぐみと薫はまだ歌のメロディしかない状態の曲にコードを付けてくれたりしている。
「竜二。ありがとう。今日の君はいつにも増して素敵に見えるよ。・・・ああ、儚い・・・」
「と言うわけでそっちはお茶でも飲んで待っててくれ。こころはこっちに来なさい。」
ひとまず歌詞はこころに話を聞かないと始まらないからな。
「わかったわ。それで?私はなにをすればいいのかしら」
「ひとまずこの鼻歌を歌った時の話を聞かせてもらおうか。花音!今から聞く事をメモってくれ」
「うん!」
花音がメモを用意するのを確認してから、俺はこころに質問した。
「まずはこの鼻歌を口ずさんでだ時は。どんな事を思ってたんだお前は?」
「うーん。あまり覚えてないわね。でもそうね。学校の帰り道だったのを覚えているわ。」
「それだけじゃ全然わからん!もっと詳しく!」
「そんな事言われても困るわ。でもそうね、少し美咲のことをクラスメイトに聞かれたのよ」
こころにクラスメイトが話しかけるのは珍しい事じゃないが、美咲の事を聞かれるのは意外だな。
「私のこと?こころの友達が?」
美咲が驚いたように答えた。
「ええ。私と美咲が最近良く一緒にいるじゃない?名前も忘れちゃったけどその人、美咲と私が仲良いのが意外だったって言うのよ?」
美咲とこころはハロハピができるまでは話もろくにしなかったくらいだからな。
「あはは・・・は」
そんな話を聞いて美咲は苦笑いしていた。
「ほほう。なるほど、それがどう曲に繋がるんだ?」
「その日の帰り道は何故かこの辺がもやっとしたのよ。なんでかしら?」
こころが自分の左胸あたりを抑えていた。
「俺に聞かれてもわかんねーよ。なんでもやっとしたんだ。その子に怒ってたのか?」
「そうじゃないのよ。そうね・・・きっとその人の考え方が寂しかったからね。だって、美咲がどんな人かもわかっていないのに。
どうして美咲の事を決めつけてしまうのかしら?ハロハピの美咲はこんなに素敵なのに、それってなんだか寂しいわよね?」
たしかに、こころの言うことも一理あるな。
「なるほど、なんとなくこころが感じてることがわかってきたぞ」
「ほんと?!竜二くん」
「こころ・・・」
喜ぶ花音に対して美咲は内心は嬉しいだろうが、複雑な心境のようだ。
「花音、メモ取ってくれてありがとう。一回見せてくれないか?一回話を組み立ててみる」
「うん。参考になればいいんだけど・・・大丈夫かな」
「お!すげー書けてる!これならなんとかなりそうだ」
安心したのか、花音はそっと胸を撫で下ろしていた。
「なるほど。つまりこころは、中身を知ればもっと楽しいことがたくさんあるのにもかかわらず、知りもしないのに、その人やその物事を決めつけてしまうことが勿体ないと思ったんじゃないか?違うかこころ?」
するとこころは真っ直ぐにこっちを見て答えた。
「それよ!あの時はまさにそんな感じだったわね。その後になんだか無性に歌いたくなったのよ」
「ほほう・・・つまり、そんな人たちにも物事の中身を知ればもっと楽しくなるぞ!ってことを歌にしたいんだな?」
きっとこころなら前向きに物事を捉えるから、これで多分合っているだろう。
「そうね!私が今一番歌いたいのはまさにそんな曲よ」
考えが当たってたみたいで良かった。
「どうだ美咲、なんかこの曲のテーマが見えて来たんじゃないか?」
「はい。今の話を聞いてだいぶ曲のイメージが掴めて来ました。ありがとうございます。」
どうやら安心してくれたみたいだ。
「よし、なら歌詞はそっちでなんとかなりそうだな、あとは美咲が途中までやってたミッシェルがDJで流す打ち込みの続きを俺が終わらせておくよ」
「ありがとうございます・・・!」
「いいって、お前高校生なのにここまで打ち込み短期間で覚えるなんて普通にすげーぞ」
「いや、竜二さんも年齢的には高3ですよね?」
あぶねー!ボロが出るとこだった。
「あ!いや高1なのにってことだよ!・・・ともかくしばらくパソコンで作業してるけど、静かに出来る人のみ俺に話に来ることを許可する。」
そしてしばらくハロハピのメンバーと離れて机でパソコンに張り付いてたところに花音が恐る恐るやってきた。
「竜二くん・・・その、大丈夫?」
花音がそっと隣に座って話しかけて来た。
「おー、花音か。大丈夫だぞ、後はほとんど考えずに打ち込んでくだけだからな」
「いつもありがとね」
花音は少し嬉しそうにしていた。
「今後もCiRCLEに貢献してもらうためのサービスみたいなもんだ」
「それだとなんだか釣り合いがとれてないような気が」
花音が困り顔で俺に答えた。
「そっかー、じゃあ花音と1日外泊券!みたいな報酬を頂かないと釣り合いが取れないな。」
「そ、そんなの言ってくれればいつでも」
「まぁ冗談だけどな。」
「冗談・・・なんだ」
花音は何故だか残念そうにしていた。
「あれ?そういえば美咲はどこいった?」
「あ、美咲ちゃんなら隣の部屋で仮眠してるよ。だいぶ疲れてたみたいだったから」
「そうか・・・だいぶ働いてたからな。休ませてやらないとな」
「私も、もっと手伝えることがあればいいんだけど・・・」
「花音はいつも美咲を助けてくれてるだろ?あいつも花音にはすごく感謝してたぞ」
俺は美咲からいつも聞く花音の事を思い出していた。
「美咲ちゃんが・・・?でも私そんなに大したことはしてないのに」
「ならそう見えるのは自分だけってことだ。自分の知らないうちに誰かを助けてることもあるらしいからな」
「そ、そうかな?なんか実感ないな・・・」
俺も美咲や千聖が花音に特に信頼を寄せてる気持ちは理解できる。
「俺は美咲が花音を頼る理由はわかるぜ?だって花音ってオロオロしてる割にいざって時は誰よりも熱いやつだし」
「ふぇぇ、全然わからないよ?そんなこと初めて言われた」
どうやら、本人はまったく自覚がないようだ。
「花音ってさ、自分のことで怒ったりとかしないだろ?けど、大事な友達の事とかだと怒れるし、どんな事でも真剣で必死になったり出来るじゃん。かっけーと思ってな」
昔、俺のために知らない相手に怒ってくれたこともあった。あの時は誰よりも俺が驚いたが。
「そ、そんな事ないよ。でもありがとう。初めて言われたからびっくりしたけど嬉しいな・・・でも、それを言うなら竜二くんなんてもっと格好いいと思う」
花音は少し下を向いて顔を赤くしながら答えた。
「まぁ世界中探してもなかなか見つからないほどのイケメンなのは認めるが」
「その・・・顔とかじゃないんだけどね?」
俺は傷ついたぞ花音!!
「お前は千聖のようなことを言いやがって。」
「千聖ちゃん?あ、そういえばこの前LANEで竜二くんに帰り送ってもらったって言ってたよ」
「そうそう、そん時にな?・・・よし完成!!!これでスタジオと来週のライブも大丈夫だな」
話しているうちに打ち込みの方が完成した。
もうそろそろ帰らないとだな。
「竜二くん、本当にお疲れさま。」
「サンキュ花音。お前らー、作業終わったぞ。夜も遅いし俺は帰るけどお前らも遅くならないうちに帰れよ」
「りゅーくんお疲れさま!いつもありがとう」
「いつもすまないな竜二。今度是非お礼をさせておくれよ」
「竜二!無事終わったのね。本当ならもっと話したいけれど、今日はもう遅いものね。また今度にするわ!」
それぞれと話したい気持ちもあるが、家に帰ってやる事もあるからな。
「薫は気持ちだけ受け取っとく。それとはぐみサンキュー、こころもあんまり無茶はするなよ」
「ええ。もちろんよ!またうちにいらっしゃい?今度はもっと楽しい1日にするわ」
こころが笑顔で俺を見送りに来てくれた。
「美咲にお前はよくやったぞ。って言っといてくれよな!そんじゃなー。」
そして俺はこころの家の黒服の人に案内されながらこころの家を後にした。
ハロハピ回も無事終えて、次は少し遡った話の短編を挟んだのちにまた日常に戻りたいと思います!
誤字があったら訂正するのでご容赦ください!