空路終末旅行   作:月島 星

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注意:今回は飛びません(空路とは)


給油

「重い…」

「レーション一つ多く食った罰だ。でもやっぱり重いな…」

 

 

 二人は上空から探し出した一つの給油施設から燃料をソードフィッシュまで運んでいた。燃料が満タンのジェリカンをユーリが一つ多く持って並んで歩く。

 

 

「なんでこの給油所にはリヤカーとかホースとか無いんだ…」

「ドラム缶とジェリカンならあったんだけどね~」

 

 

 愛機のもとに着き、給油を始める。ジェリカンなのでポンプを使わずに漏斗を使い、給油口へ直接注ぐ。作業をしながらユーリが話す。

 

 

「ちーちゃん、やっぱこれ給油所まで動かせないのー?」

「広い道ならまだしも道狭かったでしょ?」

「翼たたんで引っ張れば…」

「いや、いくら合成樹脂製で軽いとはいえさすがに二人じゃきついだろ。給油したらさらに重くなるし。」

「ちーちゃんのけち。」

「あ゛?」

 

 

 やっと持ってきたすべてのジェリカンから燃料を移し切り、また給油施設へ戻る。また二人はグダグダ言いながら移動していたが、ふと、ユーリの目がドラム缶へとまる。

 

 

「そーだチーちゃん!すごいこと思いついたかも!」

「なんか嫌な予感するけど… 一応聞いていい?」

「ふっふーん」

 

 

 鼻息を鳴らしながら、近くに転がっていたドラム缶を転がし始める。狭い道だが平坦な道のおかげで抵抗なくドラム缶は転がる。

 

 

「これに燃料入れては転がせばいいんだよ!」

「ユーにしては頭いいな、危なくないか?」

「ヘーキヘーキ!やってみよー!」

「楽したいだけだろ。」

 

 

 半信半疑のチトとノリノリのユーリがドラム缶へ燃料を入れ、蓋をしっかりと閉め、転がす。さすがに縦の状態から横にするのは難しいと考え、横のまま燃料を入れたため半分強しか入らなかったが、ジェリカンの数倍多く、楽に運べた。そのおかげで数回の往復で機体と増槽を満タンにすることができた。

 

 

「案外うまくいったな。」

「やっぱ私って天才?」

「それはないな。」

「そんなー… ってあれ?」

 

 

 先ほどまで近くにあたあったドラム缶がない。二人が驚いて周りを見渡す。少し先にゆっくりと坂を転がっているドラム缶。しかし着実に加速していた。

 

 

「しまった!ここ少し坂だったのか…まあ別にもう使わないしいいか ってユー!?」

「こらまてー!」

 

 

 しかしユーリがドラム缶に追いつくことなく、坂の下にあったがれきの山にドラム缶が当たり、轟音とともに山が崩落していく。それをボーと見るユーリにチトがやっと追いつく。しかしユーリは何か見つけたみたいに何か見つめている。

 

 

「大丈夫かユー!? 残った燃料に引火したら危ないだろ… ってこれ」

「リアカー? じゃないよね」

「本で見たことある気がする。たしか… そうだ『自転車』ってやつだ。」

 

 

 二人が見つめる先にあったもの。それは割ときれいな赤い自転車だった。二人はがれきの山から落ちてきたそれを愛機の元まで持ってくる。

 

 

「自転車?」

「昔の人はこれで移動していたらしい。」

「バイクみたいにエンジンとかないよ?」

「足でこの板みたいなのを回して乗る…だっけ?」

「わからないならやってみよー!」

 

 

 おもむろに自転車にまたがるユーリ。悩みながらサドルに座り、ペダルに足をかける。ぎこちない体制のまま、着いた足を離しペダルを回す

 

 

「むっむずい。 おっ、こ… こんな感じかな?」

「おー」

 

 

 適応力だけは高いユーリが初めてにしては様になった姿勢で自転車をはしらせる。慣れてきたようで右に曲がったり左に曲がったりしながらスピードを上げたりブレーキを掛けたりする。

 

 

「私、なんか乗ったことがある気がする?!」

「気のせいじゃない?」

「ちーちゃんもやってよ!」

「えー、私はいいよ。」

「いやできるって!」

 

 

 強引にユーリに自転車に乗せられる。が、結果はひどいもので、バランスをとれずにすぐに倒れるばかりで何回やっても乗りこなすことはできなかった。

 

 

「ちーちゃんへたー」

「難しすぎる…昔の人はほんとにこんなのに乗ってたのか?信じられない…」

「お悩みのところ悪いけど。これって今後の役に立ちそうじゃない?」

「うーんどうだろう。荷物は乗りそうだけど一人しか乗れないし、第一、飛行機に乗らないだろ。」

「あ、そっかあ でも2人乗りはできそうだよ。」

「なんでわかる。」

「何となく。やってみる?」

 

 

 しばらく考えるチト。

 

 

「やっぱ危ないしやめよう。」

「えー!なんで?」

「ユーの運転は信用できない。」

「ひどい!ていうか乗れなかったちーちゃんに言われたくないしー!」

 

 

 しばらく二人で口喧嘩をした後、今日はもう暗いので近くの建物の陰で夜を過ごすことにした。ランタンの明かりの元、レーションを食べる。

 

 

「なんか、いつもよりおいしい気がする。」

「今日は動いたからな。」

「むしろ足りない。やっぱもう一本。」

「次食べたら、お前だけ自転車な。」

「えー、 いや案外行ける…?」

「無理だろ。」

 

 

 布団代わりの布をかぶり丸くなる二人。ユーリはつかれたのかすぐに寝てしまった。

 

 

(自転車が二つあったら、それで旅できたかもなー それ以前に乗れなかったけど。)

(あとなんかもっと自分に合った乗り物がある気がする…バイク?じゃなくてこう… なんだ?)

 

 

 そんなことを考えながら、チトも眠りについた。その夜、二人はチトが乗る自転車にとユーリが二人乗りする夢も見た。チトの方は結構重かったのかうなされていた。

 

 

続く

 




 作者です。自転車の二人乗りは危ないのでやめましょう。

 ソードフィッシュの機体は物語で出てきたように、布張りよりも軽く柔軟性も高い合成樹脂でできており、航続距離もかなり伸びている。エンジンも基本的にペガサスエンジンと同じだが、チトが修理できるぐらい整備性が上がっている。燃費も上がっている反面、出力は変わらない。(むしろ荷物のせいで遅い)その他増槽など追加装備の解説はまた今度。

 あとやっぱ二人乗りって絵になるよね。(青春って感じ)でも危ないからやめてね。
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