空路終末旅行   作:月島 星

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注意:今回は若干、前・後編っぽくなっています。(前編)


飛行

 二人は上空から食べ物や、使えそうなものがありそうな場所を探していた。しかし、あらかた探し終えた場所以外はかなり荒廃した廃墟しかなかった。あきらめたチトがバンクさせていた機体を水平に戻し、ユーリはスコープを下ろす。

 

 

「とりあえず来た方の反対側に行こう。」

「そもそも私たちはどこに向かってるんだろう。」

『サイジョーソー』

「あそっか最上層か… え…?」

 

 

 首から下げたラジオから音がする。チトでもユーリでもない声がする。ヌコだ。

 

 

「…なんでお前がいるの?てかラジオ…」

「いや元からいただろ。」

『モトカライタダロ』

「いや自転車の時とか…」

「一緒に頭に乗ってたぞ…?」

『タノシカッタ』

 

 

 そう言われるとそういう気がしてきたユーリは話を戻した。前にもこんなことがあったせいか、前からいたかような気がしてきた。それに先ほど疑問を抱いたのはヌコのことだけではなかった。

 

 

「てかさー、最上層まで飛行機で行けばよくね?」

「え。」

 

 

 機内が静かになる。

 

 

(あれ、なんかまずいこと言ったっけ?)

 

 

「そういえば、考えたことなかったな。」

 

 

「えっ、じゃあもしかして私天才?」

「それはない。」

「なんでー!」

 

 

 先ほどから黙っていたヌコは、ユーリの膝の上で寝てしまった。最近は弾、特に『20』が見つからず、おなかがすいているのかもしれない。考え込んでいたチトが話し出す。

 

 

「いや。よく考えたら無理な気がしてきた。」

「いや、階層から出てそのまま上がっていけばいいじゃん。」

「いったい上まで何層ある思ってんだ。一層ですら飛行機が飛べるほどでかいのに…あと、上昇は燃料使うし。第一こいつ全然上らないんだよ。ま、その分整備しやすいけど。」

 

 

彼女たちが乗ってるソードフィッシュは確かに、終末戦争後に作られた新しいものである。素材は古代の人々の残した高レべルなものである反面、設計はかなり古い。そのうえ速度や上昇の性能も低く、落第点ともいえる。しかしこの機体は整備性や操作性にかなり優れていたためか、戦争後もかなりの間作られたのであった。

 たとえ上昇性能がもう少し高くても燃料や水、荷物を積んでいるためかなりきついだろうが…。

 

 

「ちぇ」

「だからこうして1層ずつ上ってるだろ。給油所を探しながら、」

「まあ、最上層に食べ物があるとも限らないからね~」

「ユーは食べ物に関してはまともな事言うな…」

 

 

 二人とも話をやめ、機体が風切り音に包まれる。チトはまた考え出した。今まで思いつかなかったが、最上層まで一発で行く方法がないかどうかを。

 

 

「そうだ、階層の端の方に燃料を集めてそこで満タンに補給したら上まで行けるかな…?」

「燃料集めている間に食べ物がなくなりそうだね。」

「うぅ…確かに。」

 

 

 2回もチトに勝った(?)のでユーリは上機嫌になった。前作った歌を鼻歌で歌いだす。

 

 

「屈辱だ…」

「ふっふーん。」

「にしても、やっぱり最上層まで行くのは無理そうだな。よく考えたら階層の端の方って、ほとんど壊れてるか建物があるし。一層ずつ上がった方が一番いい。」

「いままで最上層に行く方法を思いつかったちーちゃんに言われたくない。」

「あ゛?なんか言ったか?」

「なにもー」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 そんなことを言い合っているうち、いつの間にか二人は上に階層のない開放部へ出ていた。日は大分傾いてきたようで、雲った合間から日が差し込む。

 

 

「大分冷えてきたな。」

「ちーちゃん下見て!雪だよ!」

「考え事してて気づかなかった…なんか眠くなってきたし早く降りる場所を探そう。」

「上に行く?給油所探す?」

「うーん燃料はさっき補給したからいいや。上にはいきたいけど、それより食べ物のほうがヤバいな…」

 

 

 しかし、食べ物がある場所は探すのは苦労する。ましてやここは雪原。いくら日が当たる場所とはいえ、さすがに建物も少ない。

 

 

「なさそうだな…」

『スーパー』

「すぱ?」

 

 

 急に話し始めたヌコに驚き、ユーリが聞き返す。

 

 

「すぱって何?食べ物?」

『タベモノモアルカモ?』

「どこにあるの?!」

『シター』

「下?」

 

 

 下には四角い雪の盛り上がりがあった。表面は平たんであり高さは人の背丈の倍ほどしかないが、縦と横は飛行機が着陸するのに十分なスペースがあるほど、巨大な建造物があることがあることが分かった。

 

 

「あれって建物だったのか…雪に埋もれて気付かなかった。」

「今日のちーちゃんは全然気づかないね。」

「お前も気づいてなかっただろ。」

 

 

 伝声管でしかツッコめないのを悔やみながら、建物上に着陸を試みるチト。めったにない建物上への着陸であったが雪がかなり積もっているようで、雪原と同じ感覚で着陸ができたようだ。

 

 

「不整地用のそり、付けててよかったな…」

「でも、こんな雪じゃあ下の建物に入れないね。」

『ハイレル』

「マジか!どこから。」

『アッチ』

 

 

 ヌコが指さした先には、サイコロ状の形をした建物があった。そう遠くない場所にあったので、すぐにそこにはついた。近づいてみると結構大きく、飛行機が中に入りそうなほどであった。

 

 

「扉はあるけど鍵がかかってるな。」

「壊す?」

『コワソー』

 

 

 ユーリの教育のせいか、ヌコの言動が荒っぽくなってきたことに呆れつつも、ここは壊すしかなさそうなので壊すことにした。ついていた鍵は簡単な南京錠であり、ユーリの銃で簡単に壊すことができた。この建物自体は古代のものであるが、最近まで使われていたようでその頃付けられたものだろう。食べ物を求めてユーリが先に入る。遅れてチトも入った。

 

 

「なんかあるか、ゆー?」

「下へ続く階段があったけど、かなり暗いね。」

「うーん、今日はここで寝て明日下に降りるか。夜も更けてきたことだし。」

「食べ物がー」

「ゆーは食べ物になると頑固だな…」

 

 

 チトは行きたがるユーリの口にレーションをぶち込みとりあえず満足させ、今日はこの建物で寝ることにした。

 

 

続く




 作者です。劇中のすぱ、もといスーパーマーケットのモデルは未来版のイオ〇です。(どうでもいい)


 書き忘れていた機体の装備について。ソードフィッシュmk1から若干の改造がある。まず、機首のビッカース7.7mm機銃は外されており、プロペラとの同調装置もなく整備性が上がっている。銃手席の機銃はついたままであるが、ユーリの持つ小銃と同じ銃弾が使える96式軽機関銃に交換されている。 …が使われずに機体の格納用の凹みへ格納され、弾倉も外されたままである。(そのため弾倉も2つしかない)
 

 96式軽機関銃はかっこいい。かっこいいは正義。(航空機関銃でないこれをどうやって付けたとか、ビッカース用の凹みに入るのかとか、聞いちゃいけない) 

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