空路終末旅行   作:月島 星

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前半終了です。全編12話にします。(今決めた)



音頭

『・・・---・・・』

「ヌコ?なんか言った?」

『ヌイ?』

 

 

 ラジオがから音がした、ヌコに聞いてみるがどうやら違うようだ。

 

 

「ゆー、ヌコがどうしかたー?」

「いやなんか音が…」

『・・・---・・・』

 

 

 音は周期的に、同じリズムを繰り返していた。

 

 

「これも、ヌコのでかいのが話してるのか?」

『チガウ』

「じゃあ、どっから聞こえてるか分かる?」

『ワカル』

「どっち?」

『アッチー』

 

 

 ヌコの足が左翼の方を指さす。今の進行方向からすると寄り道になってしまう。

 

 

「どうする?行く?」

「まあ、もともと行先なんてないし行こうか。」

「珍しいね、ちーちゃん。」

「幸い、燃料も食べ物も補給したばかりだしな。」

 

 

 ソードフィッシュはヌコの指さした方を目指し飛ぶ。ほどなくして巨大な鉄塔が現れた。

 

 

『・・・---・・・』

 

 

 近づくほどに音が大きくなる。

 

 

「あれから聞こえてるのかな。」

『ヌイ。』

「そうらしいねー」

 

 

 塔の下の方には、同じ大きさの塔が何本も倒れていた。その周りには建物と滑走路のようなものもある。周囲は瓦礫で覆われていた。滑走路は長く、何本もあった。一番近くの長い滑走路を、ユーリが指さす。

 

 

「この真下にあるやつに降りようよ!」

「よく見ろゆー、穴だらけだぞ。」

 

 

 一番近くの滑走路を、ユーリが指さす。滑走路は爆撃を受けたのか、はたまた砲撃を受けたのかクレーターのような大穴が無数に空いていた。大きい穴には水が溜まっている。仕方なくほかの滑走路を探す。

 

 

「あ、あれは行けるんじゃない?」

「あー…、いけるかな?」

 

 

 滑走路の中で、唯一穴を瓦礫で埋めてある滑走路があった。とても平坦ではないが、この複葉機ならいけるかもしれない。チトが機体の高度を落とし、滑走路に近づく。まもなくタイヤが接地しそうだ。

 

 

「ゆー、つかまれよ。」

「うおおおおお。」

『ヌヌヌヌヌ』

 

 

 穴を埋めた瓦礫を通るたび、機体が揺れる。しばらくして機体は無事止まった。降りた二人は付近の建物を調査することにした。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「まだ通信してるってことは人がいるのかな?」

「…さあ、でも銃は構えてろよ。」

『ヌイ?』

 

 

 射撃の邪魔になりそうなので、チトがヌコを首に巻く。建物は2階建てで、石のような材質でできていた。屋根からは塔へケーブルがつながっている。最近まで使っていた施設なのか、窓もドアもまだある。とは言っても、チトたちが生まれる前だろうが。

 

 

「おじゃましまーす。」

「誰かいますかー。」

 

 

 ドアをひとつずつ開けて確認するが、やはり誰もいない。あるのはほとんど空の棚や机ばかりだ。

 

 

「ちーちゃんこのドア見て。」

「なんか厚いな。」

『ホーソーシツ。』

「放送…?じゃあここからあの電波が出てるのか。」

 

 

 厚い防音ドアを前に、人がいるのかもしれないと息をのむチト。

 

 

「じゃ、開けるね。」

「ちょっ、待てゆー!敵がいたr…」

「ゴメンもう開けた。」

 

 

 チトの制止もむなしくドアが開く。部屋の中の様子が見えた。

 

 

「やっぱ誰もいないね。」

「そうだな。」

「機械があるよちーちゃん。」

「これが電波を発信してた機械か。」

 

 

 本棚くらいの機械が壁に並ぶ。ほとんどは止まっているが、まだ動いてる機械からは小さな作動音と、点滅するランプが見える。ユーリがボタンを押していると、機械から小さな箱が出てきた。

 

 

「何だこれ。」

「そこの棚にたくさんおいてあるな。多分それぞれから特定のリズムが出るんだろう。」

「他のも入れてみよう。」

 

 

 片っ端からユーリが入れていく。だが、ラジオから聞こえてくるのはどれも同じようなリズムの繰り返しばかりだ。

 

 

「これなんだろ?音楽?」

「多分これは暗号かな、音の長さが文字になってるんだよ。」

「でも私たちにはわかんないね。」

 

 

 ユーは別の棚を探し出す。倒れた棚から何か見つけた様だ。

 

 

「これって本じゃない?文字が書いてある。」

「いや、これは本じゃじゃないな薄いし。袋になってるのか?」

 

 

 チトが紙の袋のようなものから黒い円盤を出す。

 

 

「なにこれ。」

「これはレコードってやつじゃないか。これに音楽が入ってる。前、本で見た。」 

「音楽かー、でもこの穴には入んないよ。」

「んー、でもこれがあるって事はどうにかして聞いてたはずだ。どこかにこれを回す機械があるはず。」

「これじゃない?回らないけど。」

 

 

 別の機械にちょうどレコードが入りそうな隙間がある。ユーリはそこを指さしていた。

 

 

「本で見たのと違うけど、入れてみるか。」

 

 

 少し入れると、レコードが吸い込まれて行く。しばらく作動音がしたのち、ラジオから音楽が聞こえる。明るい音楽だ。しばらくして人の声も流れ出す。

 

 

『 Do you remember the~♪ 21st night of September?~♪ 』

 

 

「やっぱ、なんて言ってるか分かんないね、ちーちゃん。」

「でも、」

「でも?」

「これはなんかこう…楽しくなる音楽だな。」

 

 

 チトの表情が緩む。それを見たユーリが立ち上がり、チトの手を取る。

 

 

「じゃあ踊ろう!」

「っておい、ゆー?!」

 

 

 ユーリが手をつなぎ踊りだすので、チトも続いてぎこちなく動く。しばらくしてリズムを覚えたユーリが歌いだす。

 

 

「らーららー。らららら。らーらー。」

「お、おお。」

 

 

 踊りについていくのが必至なチトをしり目に、ユーリは歌いながらノリノリで踊っている。でもチトも表情は楽しげだった。びうも派手な照明もないが、二人だけのディスコは夜遅くまで続いた。

 

 

続く

 

 

 




引用:「SEPTEMBER」 作詞・作曲Earth,Wind&Fire


 作者です。アースウインドアンドファイアの曲っていいよね。

〇チト・ユーリが乗る機体の没案
・DH.82 タイガー・モス
・Fi 156 シュトルヒ
・SB2U ヴィンディケイター
・フェアリー ファイアフライ
・An-2
・九三式中間練習機
etc

 気が向いたら機体解説回とか書くかも。茶番になるけど。

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