「ここも家ばっかだね。」
「うん。」
「前もこんなとこ来たよね。」
「うん。」
二人は家が建ち並ぶ区画を歩いていた。路地は狭く、飛行機は遠くの広い路地に止めてきた。小さい路地には家が立ち並んでいるものの、家のほとんどは建築途中のものであった。
「もう疲れたし帰ろうよ。」
「まだ全然歩いてないぞ。」
「うー。」
「こっちの路地は何があるのかな?」
家と家の間の路地を抜ける二人。そこのは他とは違う家があった。
「この家は完成してるのか?」
「屋根もあるよね。」
「入ってみるか。」
その家は他の建造途中の家とは違い、窓や屋根がしっかりと立て付けられていた。二人は家に入ることにした。念のためユーリは銃を手に持つ。チトがドアを開けた。
「やっぱ何もないな。」
「そうだよね。」
やはりこの家は無人であった。二人は家の中を調べ始める。どうやら昔は住んでいたらしいが、家財道具などはほとんど残っていなかった。
「この家ってさ、まえ見たのとは違うよね。」
「前のは壁がつながってたよね。」
この一帯の家は隣の部屋と壁がつながっていない家。つまり一戸建ての家ばかり建っている。二人は二階へ上がった。
「上もほとんど物がないね。」
「やっぱりかー。」
飽きたユーリは窓から外を眺める。外には同じような四角い家が遠くまで並んでいた。
「そういえば、ヌコはどこに行ったんだろう。」
「あいつ、よくいなくなるからな。」
「ところで、この辺の家ってさ、皆おんなじ形だね。」
「どこだってそんなもんだろ…って何だ、これ。」
チトは戸棚から何か見つける。箱には大きく『300』と書いてあるとともに、何か絵が描いてある。中は何か入っているようだが、随分軽い。
「なんの絵だろ?」
「これは…山だな。」
箱を開けると、紙の破片のようなものがたくさん入っていた。
「なにこれ?ゴミ?」
「いやこれはパズルじゃないかな?」
「パズル?」
「この破片をそろえると絵が完成するらしい。」
「ふーん。」
食べ物以外興味ないユーリ。何もないと察すると早速帰ろうとする。
「ちーちゃん帰ろ…って何やってるのさ?」
「パズルを並べてる。」
「いや見たらわかるんだけどさ。」
「ちょっと待ってよゆー。」
チトはこういうことになると、てこでも動かないことを思い出したユーリ。あきらめて机に寝そべる。チトは外枠からパズルを攻めている。ユーリはそれを眺めていた。
「全然楽しくなーい。」
「面白いぞ?」
「箱かして?」
「いいけど、すぐに返せよ。これ無いとわからないから。」
手に取ってよく見る。箱には、いくらかの文字とともに青い山並みが描かれていた。
「さっき言ってたけど山って何?瓦礫でできたあれとは違うよね。」
窓から見える、建てかけの家の隣にあった瓦礫の山を指さすユーリ。この辺りには謎の石像とともに、多くのこういう山があった。
「この絵の山っていうのは、まだこういう都市がなかった頃の、土でできた地面の盛り上がりじゃないかな?」
「地面って青いの?」
「いやこれは山に木が生えてるんだろう。」
「森ってことか。」
「よく覚えてたな。そろそろ箱返して。」
箱をチトに返すユーリ。パズルはそろそろ外枠が埋まろうとしていた。
*
「うーん。あれいつのまにか寝ちゃった…」
ユーリがお腹を空かして目を覚ます。外はすでに真っ暗だったが、室内の電気は生きているらしく、灯りが眩しい。
「ちーちゃんごはんにしよ…って寝てる。」
パズルを続けてやって疲れているのか、ぐっすりと寝ていた。
「おーい!ちーちゃん!…こりゃ起きないな。」
仕方なく、傍の机に寝かせた。床にあったパズルはほとんど完成しかけていた。ユーリは一人でレーションを頬張りつつ眺めている。
「おお、すごい。もう出来そうじゃん。」
すぐにレーションを食べ終えたユーリは、チトの分も食べようとする。しかし後々怖いのでそれはやめておくことにした。部屋は明るいものの、することがないユーリがパズルへ近づいた。
*
「はっ?!わたしいつのまにか寝ちゃってたのか。」
外はすでに明るくなっていた。パズルの傍にユーリが寝ていた。
「まさかあいつ壊してないよな…?いや、最悪燃やして…」
そういいながらのぞき込むと、完成したパズルが見えた。
「あいつ…つまらないとか言ってたくせに。」
『ヌイ?』
肩から掛けていたラジオから音がした。ヌコは窓枠にいた。
「お前どこ行ってたんだよ?」
『タベモノヲサガシニイッタ』
「なんかあったか?」
『デンチガアッタ。』
「相変わらず色々食べれていいな。」
*
昨日から何も食べていなかったので、チトはレーションを食べる。食べ物のにおいにつられてユーリが起きた。
「お、起きた。」
「おはよーちーちゃん…」
『オハヨー』
その後、朝食が終わってから飛行機へ帰る準備を始める。
「これもっていけないかな。」
「うーん。おいていくしかないかな、もったいないけど。カメラがあったらなあ。」
「そうだ!」
ユーリが何か持ってきた。
「昨日暇だったから部屋をあさっていたらこれが出てきました。」
「これは額縁か。」
「入りそうじゃない?」
「でかしたゆー。でも、」
「でも?」
「どうやって移すんだ?」
「あ。」
パズルは床に置いたままでこれを額縁に移すのは不可能だった。
「だったらこれで。」
ユーリは額縁の裏を外して上に乗せた。一応それらしくは見える。
「まあ、いいか。」
「じゃあね。」
二人は家を出て飛行機へ帰る。
「よくお前に完成できたな。」
「何その言い方。」
「楽しかった?」
「うーん。」
少し考えてユーリは答える。
「少しだけね。」
それを聞いたチトは微笑む。
続く。
作者です。若干、腱鞘炎気味です。
〇機体に関して書くことがない
原因:ネタ切れ
ちなみにジグソーパズルは作中に出てきた通り、300ピースぐらいの奴を想定してます。割と簡単で安いからおすすめ。