太陽のような彼   作:霧島1129

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──これは、相棒を失った日のこと。


永久の別れ

 

「……後輩が欲しい」

 

壁に凭れて呟く菫色の宝石。

彼の名はアイオライト、硬度は七。

 

「俺達の後輩なら沢山いるじゃないか」

 

「そうじゃなくて!!もっと可愛い後輩が欲しいのさ!」

 

「最近は新しい子、生まれてないからねぇ」

 

その横でのんびりとした口調で話す橙色の宝石。

彼の名はオレンジサファイア、硬度は九。

 

「じゃあ、緒の浜にでも見に行くか?ライト」

 

「うん。今日こそ新しい後輩が生まれるかも!」

 

どんな宝石が生まれても良いようにと布を持っていく。

うっかり触れて割ってしまったら一大事だ。

 

「さあ、可愛い後輩を探しに行こう!!」

 

「張り切ってるねぇ」

 

───────────

 

「あー…ダメかぁ」

 

「大丈夫かと思ったけど……動かなくなったな」

 

緒の浜についた時、宝石が落ちるのを見た。

慌てて駆け寄ったがその子が動くことはなかった。

 

「これは…サファイア?」

 

「ルチルのとこへ持っていこう」

「同属だから兄さんが起きるかも知れない」

 

持ってきた布に宝石をそっと乗せていく。

全て回収して立ち上がった。

 

「これで全部だね」

 

「それじゃあ帰ろうか、ライト」

 

そう言った俺達の目の前に予兆の黒点が現れた。

 

「月人…!?」

 

「報告に行くより倒した方が早いかな」

 

一旦、布を置いて刀を構える。

現れた月人はいつもと違う武器を持っていた。

 

「何だろう、あの球体の武器……」

 

「宝石(なかま)だよな…?あんな風に使うのか、月人は」

 

先端につけられた球体は仲間の一部だった。

取り返そうと月人に斬りかかる。

 

「なっ!?」

 

ドンッと音をたてその球体は爆発した。

凄まじい衝撃に体が砕け、あちこちにヒビが入った。

 

「サフィ!!」

 

「ライト、学校まで走って先生を呼んできてくれ!」

 

「でも…!」

 

「俺のことはいいから早く!!」

 

さっきの爆発を目の前で受けたせいだろう。

こんな風に砕かれたことは今まで一度もなかった。

 

「ライト、後ろだ!!」

 

「……ッ!?」

 

月人が放った矢がライトを砕いた。

バランスを失った体は、そのまま地面に崩れ落ちた。

 

「サフィ……ごめん。後は頼んだよ」

 

「ライトッ!?」

「待てよ、お前等……ライトを離せ!!」

 

砕けたライトを月人は器に入れていく。

ライトを取り戻すために俺は武器を振るった。

 

ヒュンッ!!

 

月人の矢が当たる。

パキンッと音をたてて俺の腕が地面に落ちた。

 

「待て!!──待ってくれ、頼む…なぁ……」

 

落ちた腕も月人に回収された。

足にはヒビが入って立てなくなっていた。

 

月人が笑いながら迫ってくる。

このまま……俺も月へ連れていかれるんだろう。

 

意識を失う前に俺が最後に見たのは

相棒が月人に連れ去られていく姿だった。




「……ッ」

「サフィ!よかった、目が覚めましたか?」

「ル…チル?」

「気分はどうですか?」

「……」

「ああ、失った両腕の代わりに」
「貴方が持っていたサファイアを接合させてもらいましたよ」

そう言われて自分の腕を見る。
青いサファイアがそこに付けられていた。

「なあ、ルチル。──ライトは?」

「ライトは……彼は月へ連れていかれました」

やっぱり、アイツ月へ連れていかれたのか…。
何処か自分の体に穴が開いたような不思議な感覚だ。

「──部屋へ戻っても、大丈夫かな」

「ええ、でも陽の光はしっかり当てるんですよ」

接合したばかりの腕を馴染ませなければいけない。
それは分かっている。

……けれど、今は一人になりたい気分だった。

───────

「一人部屋になっちゃったな……」

俺とライトは十歳しか違わない。
昔からずっと一緒にいた相棒で兄弟のようなものだ。

「守れなくてごめん」

──月までこの声は届かないだろうけど。

「あの時、最初から先生を呼びに行けばよかった」
「それなのに俺は……」

考えれば考えるほど自分が嫌になっていく。
気付いたら体にヒビが入っていた。

「ああ…欠けてるとこもある。怒られるなぁ」

起きたらルチルに直してもらおう。
今は、このまま眠ってしまいたいから…。
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