太陽のような彼   作:霧島1129

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フォスフォフィライト

「サフィ、聞いてくれる!?」

 

「どうした、フォス。先生に呼ばれてたんじゃないか?」

 

話を聞けば、南に予兆の黒点が現れたけど小さいからと

モルガとゴーシェだけで月人を倒しに行ったと。

 

「何だって!?俺も行ってくる!」

 

「行ってらっしゃーい…」

 

南に向かって全速力で走った。

着いたときには、二人はかなり割られていた。

 

─────────

 

「大丈夫か!?モルガ、ゴーシェ!」

 

「サフィ、あの月人の中にヘリオドールの欠片が!」

 

「っ!?」

 

霧散せずに残った月人の中に

鏃に使われたヘリオドールの欠片が見えた。

 

「あんなことに使われているのか…ッ!!」

 

射たれた矢を弾き返す。

学校の方から鐘の音が聞こえた。

 

「おらっ!!」

 

隙をついて少しずつモルガ達を回収しようとする。

そんな月人達が一瞬の間に霧散した。

 

「あ…金剛先生」

 

「無事か、オレンジサファイア」

 

 

先生と皆を見て安心して力を抜いた。

モルガとゴーシェも頭を動かして皆を見た。

 

「「先生」」

 

「助かりました。……先生?」

 

フォスと喋っていた先生が

静かに怒っているような気配がした。

 

「敬老の精神…か?」

 

「来る!!下がれぇぇ!!」

 

先生から離れないと皆、砕けてしまう。

俺は少し逃げ遅れてしまった。

 

「まだ早い!!馬鹿者!!」

 

「っ!」

 

怒鳴った勢いで凄い風が吹く。

 

金剛先生の後ろにいたフォスは砕け散り

逃げ遅れた俺は少し欠けた。

 

「しまった…」

 

そう呟いた金剛先生は

フォスの欠片を一つずつ集めていく。

 

「お前は一際脆くその上、硬度は三半」

「誰と擦れても壊れ、さらに月人好みの薄荷色」

 

「その三重苦を推して戦うなら」

「大軍だろうと一撃必殺。私より強くならねばな」

 

「ムーリでーす」

 

「そこで、お前には博物誌を編んでもらう」

 

「えー…地味そう!」

 

フォスに博物誌を編む仕事が与えられた。

現在を保存して未来の不意に備える重要な仕事だ。

 

────────

 

「ねぇ、ルチル。ヘリオ、こんなになっちゃったけど」

「全部集めれば元に戻るよね?」

 

「えぇ、もちろんです」

 

俺達は砕け散っても、ある程度集まれば元に戻る。

砕けた欠片は仮死のような状態だ。

 

「よし、持ち場に戻るか」

 

「俺は一旦、部屋へ戻ろうかな」

 

歩き出したモルガとゴーシェをフォスは掴んだ。

見てる間に三人は言い争いを始めた。

 

「僕と変わる?」

 

「ひ、ひとのものをとるほど軟弱じゃない…とでも」

「言うと思ったか!甘いわね!」

 

「あ…重いよ!」

 

「フォス、危ない…!」

 

紙に刺さったおかげでフォスは割れなかった。

流石に驚いた…。

 

「仕方ないなぁ…僕の味方はおまえだけだよ」

 

「フォス…」

 

なんだか声をかけにくくて、そのまま部屋へ戻った。

 

────────

 

部屋へ戻った俺は机の上に紙を広げた。

俺達は欠片を失うとその量と同じ分だけ記憶を無くす。

 

だから、大事な出来事や皆の名前など

忘れてしまった時に思い出せるように書き記しておく。

 

「ヘリオドールの事と…」

「フォスが博物誌編纂係になったことも書かないと」

 

月人の絵を描いていく。

よし。今日の記録は、これくらいでいいだろう。

 

「サフィ…ちょっといいかなー」

 

「フォス、どうかしたのか?」

 

博物史を編むことになったフォスは

皆から新しいものは無いかと聞いているらしい。

 

「うーん、新しいものねぇ…」

「夜に出歩くこともあるけど道中、暗いから…」

 

「そっか…」

 

シンシャに会いに夜、出歩くこともある。

でも、新しいものなんて気にしたこと無かったなぁ…。

 

「シンシャなら何か知ってるかもな」

 

「やっぱり?」

 

「ああ、"やっぱり"ってことは皆も言ってた?」

 

「うん」

 

次はルチルに聞きに行くと言って

フォスは走っていった。




その日の誰彼時。虚の岬に予兆の黒点が出た。
もしかしたらフォスを狙ってきたのかもしれない。

虚の岬に着いた瞬間、目に飛び込んできたのは
夥しい量の毒液と割れたシンシャとフォスだった。

「シンシャ、フォス!大丈夫か!?」

「フォス!?」

「お前、何やったんだよ……」

毒液に触れないようにフォスと欠けた部分を回収する。
後でルチルがシンシャを直しに来るみたいだ。
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