仮面ライダートラベラーズ 切り札とメダルと放浪者   作:フラスコブレイド

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こんにちは
フラスコブレイドと申します。
大好きな作品の大好きなキャラを旅先で会わせました。
楽しんでいただければ幸いです。


第1話 バイクとパンツと森の中

これは俺の永遠の旅路の途中の話。

 

 

「俺は運命と戦う。そして勝ってみせる」

そう言って俺は20年以上暮らした国を離れた。

 

あれから何年経ったかな。

1人でいるから時間の感覚とかどんどんズレていくんだよな。

太陽は変わらず俺の頭の上を走るのに。

 

俺はとある国の森の中をガス欠したバイクとさまよっていた。

元々宛があるような旅じゃないし、さまようことは俺の中の日常になっていた。

「はぁ…」

なんとなく疲れてきた。

それでもまだ歩けるなんて思ってしまうのは、きっと俺がもう人間じゃなくなったからだ。

けど疲れは溜まる。

だんだんと足取りが覚束無くなる。

ヤバいな……。そろそろどこかで休憩しよう。

野宿なんてほぼ毎日だ。どこかに泊まることがあまり無い。

だんだん日が落ちてきてきて風が冷たくなってくる。

森の中とはいえ風は通り抜ける。

「寒っ」

思わず声に出してしまう。寒いと言ったところで寒くなくなるわけでもないのに。

 

「あれ、日本の方?」

唐突に後ろから声がした。

久しぶりに日本語を聞いた気がする。

「すごい!まさかこんなところで日本の方に会えるなんて!」

どこかの国の民族衣装のような服を着た日本人の男だった。

手には棒を持っていて……暗くなってきてよく分からないが先端から何か派手な柄の布のようなものがぶら下がっている。

「えっ?えーと……俺は……」

突然話しかけられてしまって答えに迷う。

しかも森の中で。

「あ、すいません。俺は火野映司といいます」

「ああ、俺は剣崎、剣崎一真だ」

「剣崎さん、よろしくお願いします!」

「てか……こんなところで会うってなんか変な感じっていうか……」

「町中なら雰囲気とかあるんでしょうね。あ、でもこの森結構広いみたいなんでそう簡単に抜けられないですよ」

「そうなんだ……やっぱり野宿かなぁ……」

「良かったら俺もそろそろ寝ようかなって思ってたのでいいですか?」

「ああ。もちろん」

「ありがとうございます」

俺と映司はそこら辺の木の大きな根に座る。

 

映司が起こしてくれた火を囲む。

彼はどこからか食料を出してくれた。

「バイクで旅をされてるんですか?」

傍らに置いたバイクを見ながら映司が質問してきた。

「そんなとこかな。まあ大体は歩いてるんだけど」

「そうなんですか。俺も基本自分の足で旅をしてるんです」

「へぇ〜。旅に出て長いのか?」

「そうですね……7年…くらいですね」

「俺も結構長いかな……あれ、何年くらいだっけ……確か俺が22の時だから……」

「剣崎さんってお若いですよね。俺より少し下に見えますけど雰囲気がそう感じさせないっていうか」

「…よく言われるんだよな……30は過ぎたな」

「えぇっ!?俺より年上だったんですか!?俺ももう28で年相応の見た目になってきましたけど……」

「そうか?映司も20代半ばかと思ってたけど……まあ…人それぞれだしな」

「そうですね……」

ここで1度会話が止まる。

映司が持ち歩いていた布のようなものは火の光に照らされそれが男物のパンツと分かった。

「なあ映司、あれって……パンツ……だよな?」

「ああはい。よく祖父が言ってたんです。『男はいつ死ぬか分からない。だからパンツだけは常に一張羅を履いておけ』って」

「そうなんだ。『いつ死ぬか分からない』……か」

「はい。これは明日を生きるためのパンツなんです」

俺には無縁だな、そう感じた。

「明日……か……」

「剣崎さん?」

「ん?ああごめん。そういう生き方もあるんだなぁ」

「剣崎さんにはそういうのは無いんですか?」

「俺は……無いなぁ……何もしなくても明日は来るから……」

「……剣崎さんって何だか不思議ですね」

「えっ?」

「色んなものから解き放たれてるというか……」

「ははっ……そうかもしれないな………そろそろ寝た方がいいぞ。俺のことは気にしないで」

「そうですか?ではお言葉に甘えます」

映司は寝支度するとそのまま寝てしまった。

しばらく火を眺めて、消した。

「俺も……寝とくか……」

 

翌朝、気持ちのいい涼しい風が頬を撫でる。

目を覚ますと映司はもう食事を始めていた。

「あ、剣崎さんおはようございます」

「ふわぁ〜…おはよう」

「朝ごはん用意してますよ」

「ありがとう映司」

映司が用意してくれた朝食を食べる。

「剣崎さんはこれからどうするんですか?」

「んー……特にこれといった予定が無いからなぁ……本当に宛もなくフラフラしてる感じかな。と言ってもこの森を抜けてバイクにガソリン入れなきゃいけないんだけど」

「そうなんですか。それじゃあしばらく一緒に行きませんか?」

「え?」

「せっかくこんな場所で会えた縁です。『旅は道連れ世は情け』ですよ」

「それもそうだな」

「決まりですね」

俺たちは森の中を出発した。




森の中で出会った2人の旅人はとある街で奇妙な噂を耳にする。
銀色のメダルと包帯の怪人。心当たりのある映司は調べると言った。
これも人助けだ、と剣崎も手伝いを申し出る。
そんな2人の前に現れたのは……。
次回、第2話「不穏な街と都市伝説と屑ヤミー」

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