ソードアート・オンライン≪Sword Magical Girl≫   作:二橋 巴

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ココからちょっとづつオリジナル展開にしていきたいなーと思ってます!



07

2023年 5月5日

 

 

 ゲーム開始から半年が経とうとしています。この半年でこの世界にはすっかり慣れてしまった。あの衝撃的なチュートリアルから最初の一ヶ月はこの始まりの町は地獄と化していました。皆、自身に降りかかった自体を認める事が出来ず、苛立ち、貶し合い、怒声や悲鳴・すすり泣く声が聞こえない日は無いくらい陰鬱とした雰囲気が町全体を覆っていました。

 この一ヶ月で2000人の人が亡くなったらしい。最初にログインした時に目の前にあった神殿……『黒鉄宮』というらしいが、本来、ゲームの最中に倒れたプレイヤーは神殿内部で復活する場所らしいのだが、デスゲームと化した今はその蘇生する場所に巨大な金属碑が設置されていて其処にはログインしたプレイヤー1万人全ての名前が記されている。

 そして趣味の悪い事にゲーム内で死亡したプレイヤーの名前は二重線で消され時間と死亡原因まで記されるのだ。この碑に最初の二重線が引かれたのはあのチュートリアルから僅か3時間後の事だった。死因は『高所落下』……自殺だったらしい。

 日毎に増えていく二重線は冒険の途中で倒れてしまった人もいればこの環境に耐えられず自らの手で二重線を書き加えてしまった人も多いと聞きます。

 

 私自身、クラインさんがいなければその一人になっていたかもしれない。

 

 もう、ずいぶん前に仲間と共にこの町から出て行ってしまったのだが、ここにいた時は勿論、町から出た後も何かとメッセージ等を送ってくれたりと気に掛けてくれている。

 始まりの町から出て行く際にも「やっぱり、一緒に来ないか?」と、言われたのだが断ってしまった。

 戦闘はいやだし、この町周辺で採取してお金になる薬草等の場所を幾つも見つける事が出来た。其処に行くまでの敵は何とか逃げ切っているのだが……。

 それでも、この町にいる限り必要なコルは稼げているので、「足手まといになりたくない」と言って彼らを送り出した。

 思えば彼らのお節介焼きな人たちが多かったせいか私のコミュニケーション力もだいぶマシになったと思う。顔見知りになればお話出来る様になったのだ! 頑張った! 私! である。その顔見知りになるまでにかなり時間が必要なのは御愛嬌という事で勘弁してもらいたい。

 最初の一ヶ月が過ぎようとした頃に第1層のボスが攻略されたらしく町も安定してきた。ボスが攻略された事により「クリアは不可能ではない」という僅かながらの希望が見出せたからだろう。自殺者の極端に減り、この世界に折り合いを付けて日々を過ごす事が出来るようになったようだ。……尤も、それに釣られてかコルを使い果たした者等による軽犯罪などが増えてきたのもこの頃だ。

 

 そんな頃、なんだかんだと私を気にかけてくれた「風林火山」のメンバーも他の階層に移る事になった。

 彼らの目標は最前線の攻略組に加わりこのゲームを終わらせる事。いつまでも始まりの町に留まっている訳にはいかない。町も最初の頃ほど殺伐とした雰囲気では無くなったし心配はあるが自治組織のような物も出来てきたしそう酷い事にはならないだろうという結論になった。

 寂しさはあったが彼らの目指すものは私には重すぎるモノだ。彼らの帰りを唯じっと待つようなお荷物状態にしかなりえない。故に、私は彼らを送り出した。

 

 彼らが居なくなり私に目に見えた『庇護者』が居なくなった事で様々な人に声をかけられる様になった。

 私が圧倒的に少ない女性プレイヤーだからなのか「パーティに入れ」や「ギルドで保護してやる」などだ。

 

 そんな声をかけてくる人たちは大体同じような嫌な目をしている。事前にクラインさんが予想した通りの事なので街中での対処の仕方やフィールドでの逃げ道の確保などで振り切ることが出来た。クライン様々である。もっとも、クラインさんも最初に分かれたお友達……キリト?さんに相談しながら対策を考えてくれたらしい。二人を筆頭にギルド「風林火山」のメンバーにはお世話になりっぱなしである。時折、黒鉄宮にある金属碑で彼らの名前を確認して無事なのをを確認し、現実世界では信心など持ち合わせていなかったがその場で彼らの無事を祈っていた。

 

 お世話になったといえば装備やスキルの相談も乗ってもらった。

 

 得にスキルは最悪、何らかの攻撃スキルがないといけないので短剣スキルと敵の位置が把握できる索敵スキルの二つを薦められた。

 短剣スキルなのは武器など扱った事が無い私に、いきなり片手剣や槍などを持たせても体格の関係上満足に扱えないだろうという事を考慮しての結果で、索敵スキルは隠遁スキルとどちらにしようか迷ったらしいのだが、敵の位置を正確に把握できたほうが戦闘にならないのではないか? と言う意見と、あるかどうか分からないが将来的にこの始まりの町から出た時に視覚に頼らないタイプのモンスターには隠遁スキルは効果が薄いらしい、との事で初期のスキルスロットの二つはとりあえず短剣と索敵で埋まる事となった。状況によっては入れ替えていけば良いだろうしね。

 

 

 

 そんなこんなで、半年、まだ半年なのか、もう半年なのか、どちらなのかは分からないが何とか生き延びる事ができた。

 

 

 始まりの町での私の一日は早い。夜が明けてきた頃にベットから起き出す。何故かというとこの時間帯が一番、町に人通りが少なくせいぜい深夜まで狩りをしていたプレイヤーが町に帰ってきたのを稀に見る程度だ。トラブルを避けるために朝早くから行動を始める。

 私が逗留しているこの安宿に半年も住み着いていれば当然、宿屋の女将さんとも顔なじみになり有難い事に随分と親切にして貰っている。

こんな時間に行動しだす私に嫌な顔一つせず朝食代わりのパンとお茶をお弁当として用意してくれる。着替えを済ませ、女将さんに朝の挨拶とお弁当を受け取って何時ものフード付きのマントを被り宿から出かける。

 辺りはようやく明るくなってきて階層の間から覗く太陽光が町をゆっくりと照らしていく。そんな中、足早に大通り抜けて町の外に出る。私の主な収入源は町の外で採取できる薬草や木の実だ。それらを採ってきて店などに売る事で日々の生活費を稼いでいる。

 正直、町からは出たくは無いのだが日々の生活にはお金がかかるのだ。まさか12歳にして世間の世知辛い悩みに直面する事になるとは思っても見なかった。

 幸い、幾つかの採取ポイントを抑えていたので其処まで金欠になる事はないが採取がうまくいかなかった時の為にある程度は貯蓄している。……たまに『自分へのご褒美』と称して甘味を買い求めるのは御愛嬌だ。

 町を抜け出し、モンスターを警戒しながら採取ポイントに到着しココで朝ご飯となる。本当は食べてから出掛けたいのだが、そうすると町を出るのが遅くなってしまう。以前、それで出くわしたパーティーに強引な勧誘と言う名の付き纏いを受けた事があり(この時は通りすがりの女の人が助けてくれた。)それ以降、人目につかない時間に町を出る事にしている。

 

 思い出したらヘコんできた……。何故、私のようなチビ助を呼び込むのだろう……。もっと強そうな人を捜してよ! と言ってやりたい!

 

 ……まぁ、そんな度胸は無いのだが。

 

 閑話休題、朝食を終え、薬草探しに移る。タイミングがよければ密集している所に当たり一箇所で必要な稼ぎを採取できて帰ったり、余裕があれば他のポイントを廻ったりできるのだが運が悪いと何箇所も廻らなくてはならなくなる。何箇所も廻るという事はそれだけモンスターと遭遇する確率が増えていくと言う事だ。

 

 それは極力避けたい。

 

 今日は一箇所目で5束分採取できた。まずまずの滑り出しだ。

 

 採取していく途中、木の実などを見つけては拾ってお昼ご飯にする為にアイテムストレージに保管していく。余ったら店に売ったり女将さんにお土産にしたりできるから拾いすぎて困る事は無い。

 

 と、その時、すぐ近くで青白い光と共にモンスターが沸く! 何度体験してもコレは心臓に悪い。索敵スキルは取っていても横沸きや採取途中で気が付かないで近づかれたりとエンカウントはそこそこ多い。まぁ……、基本的に逃げるのだが。

 刺激しないようにじっくりと距離を離していき、ある程度離れたら索敵スキルで気を配りながら脱兎のごとく逃げ出す。

 失敗すれば当然、追っかけられる。この辺りのイノシシ程度ならば何とか振り切れる。時たま近くで狩りをしているパーティが助けてくれるが、私に標準装備されてるシステム外スキル『人見知り(パッシブ)』が発動してあぅあぅしているうちに向こうが「気をつけてなー」と、去ってしまう。パーティにその場で誘われる事もあるが、これも逃げ出している。

 

 クラインさんからも「あまり知らない人について行っちゃいけません!」と、まるで母のように言われている。私の場合、知り合いにと言える人物が極端に少ないのでなかなかこの条件に当てはまる人物が居ないのだが……。

 クラインさんも別にパーティを組むなとは言っていない。むしろ、可能なら信用できる人間を増やせ、そしてパーティを組んでレベルを上げておいたほうがいいと忠告してくれた。だが、現状ではその忠告は叶えられてはいない。

 私のレベルはクラインさん達に引き摺られるようにつれて来られた狩りで上がった時のLV3のままだ。

 おそらく、もう上がる事は無いだろう。

 

 そこそこの数の薬草や木の実を採取しイノシシを避けながらお昼前後で町の戻る。このぐらいの時間が一番町に人がいるのでフードさえ被ってしまえば其処まで目立たずに街中を歩ける。馴染みの道具屋で薬草を売り払い、市場を覗いたりしながら過ごす。たまに黒鉄宮に金属碑を見に行ったり甘味を求めて寄り道しながら宿に帰る。

 宿に戻ったら女将さんの話し相手になったり、昼寝したりと過ごし、日が沈んでくる頃、夕食を頂いて部屋に戻る。本当はお風呂に入りたいのだが宿には無い。そもそも、この体は新陳代謝や排泄とは無縁なので汗を掻いたりは無いのだがそこは日本人(半分だけだが)湯船に浸かったりしたいものだ。妥協案としてお湯を貰って来て体を拭く事にしている。正直、やらないよりは気分的にマシていなのだが仕方が無い。これからの季節、川でもあれば水浴びも良いかも知れない。

 

 後は、得にやることが無いので早々ベット潜り込む。朝も早いし娯楽が圧倒的に少ないので寝てしまうに限る。

 

 最初の頃は現状への不安から眠る事がなかなか出来ず、寝不足になったりしたものだが、半年もこの生活が続けばいい加減慣れた。

 

そう、()()は慣れる事ができた。しかし、モンスターとの戦闘は未だに慣れない。まず、近寄るのが怖い。そして自分の手で攻撃するのが怖い。自分でも臆病だと思うがコレばかりは勘弁してもらいたい。

 そもそも、この世界には擬似的だがに日の光の下で過ごす事や人見知りの解消が目的のつもりで来たのであって、モンスターの戦うとかは二の次なのだ。志も低いから何時まで経っても逃げ回っているしかないのだ。

 

 

 

 

 

 「せめて、魔法があればな……」

 

 

 

 

 そんな独り言がつい口からこぼれる。

 

 遠距離攻撃というものはこの世界には存在しない。一部のモンスターがブレスや弓矢などの攻撃をしてくるくらいでプレイヤー側で存在するのは投擲スキルぐらいである。投擲スキルにしても牽制等が主な使い方のようでコレだけで敵と戦うというのは少々無理があると思う。

 ……もしかしたらそれが可能なくらい鍛えた人も出てくるだろうが未だそんな話は聞いたことが無い。

 そんな夢みたいなスキル構成やありえないシステムに期待するより、地道且つ確実なスキルでいつか誰かがこの城を攻略してくれる事を祈りながら日々を過ごして開放される日を待つ。

 そんな日々を過ごしていた。

 

 

 

 

 

 そう、()()、過去形になってしまった。

 

 

 

 

 

 私の日常の崩壊は翌日の5月6日の朝、目を覚まし一通のメールと一緒に送られてきたメッセージ録音クリスタルを確認した所から始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 差出人の名前は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 茅場晶彦だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 なかなか更新できず申し訳ないです。

 気が付いたら9/22の0時ごろでUAが5000を越して、しかも、135人の方にお気に入り登録していただいてうれしい限りです。この場をお借りしてお礼申し上げます。
 そしていよいよ、次回がこのお話の根幹となるスキルの説明になると思います。この設定で大丈夫か? 読んで頂いてる方に否定されるんじゃないかと今から心臓バクバク物です。
 作者の蚤の心臓を労わって頂けると助かります。
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