天竜人は地に落ちた。まがねちゃんはそう嘯く 作:kurutoSP
まがねちゃんは待ちに待った風を感じていた。
「ミス・オールサンデー。ミスター・ファイブとそのパートナーにミス・ウエンズデーことアラバスタ王女ネフェルタリ・ビビの抹殺命令を出せ」
「よろしいので?」
ニコ・ロビンは命令された内容を反芻しながら、王女の利用価値についてクロコダイルに問いかけた。
「ああ。反乱軍はコーザがまとめてくれた。それにミスター・2が居れば作戦はどうとでもなる。既に王女には計画のスペアとしての役割もねえ。最後に付け加えるなら、コーザとビビが幼馴染である為、二人が会うと厄介だという負の価値しかないんだよ」
「了解しましたボス」
ニコ・ロビンは命令を伝えに出て行った。
その場に残るのはロビンについてきたまがねとクロコダイルのみになった。
クロコダイルは未だに彼女との距離を測れずにいた。彼女は此方が命令せずとも(命令をどうすればいいのか分からずそもそも命令自体が無いのだが)海軍の情報など役に立つ情報をもたらしてくれ、優秀な仲間なのだが、今まで一人で生きてきたため、どうするのがいいのか分からず、どうすべきか悩んでいたが。
そんな彼女から提案があった。
「私もついて行っていいかな?」
「あ?まあ、お前がする仕事など無いから別にいいが。余計なことをするなよ」
「まがねちゃんを信用してって」
彼女はウインクをクロコダイルに向けてすると、上機嫌で部屋から出て行った。
「短い期間だけど、クロコダイルの信頼を勝ち得たし、彼の性格も把握できた」
彼女は少しだけ集中する動作をすると、ニコ・ロビンの動作の声または意思とでもいうべきものを感じ取り、その方向に向かう。
「あとは彼のレールを少しずつずらしていき、最後には崖から突き落とせれば完璧だよね」
彼女は近い未来の出来事を想像して楽しそうに笑うが少し疲れているのかいつもよりその笑いに元気がない。
「うーん。やっぱこの世界の人間じゃないからかな?覇気少し使うだけで疲れちゃうな―。誰か使える人から奪った方がいいねこれは」
彼女はクロコダイルから覇気の存在を教えてもらったのだが、信じることが大切などどいう彼女と対極にあるモノはなかなかうまく使えず、覇王色の覇気以外は使えるが、使用しても体が少し頑丈に、ちょっと攻撃力が上がり、何となくだが人が判別できる程度であり、使う割りに合わないほど疲労を感じてしまうのだ。
彼女は便利な力を知りつつも未だに自分が扱えないことに歯噛みしているのだが、普通は使えないし、少し使えるようになるのにもかなり時間がかかることから彼女は圧倒的に天才と言えるのだが、突っ込む人間は誰もいない。
まがねは興奮していた。
王女抹殺のためにきた島で、そのクロコダイルの中では成功する筈の計画が簡単に失敗に終わったため、まがねはそのイレギュラーに酷く興味を抱く。
まがねに興味を抱かれた不幸な存在は、緑頭の剣士と麦わら帽子の男で、彼らはバロックワークスの誇るフロンティアエージェントの二人を瞬殺して、その強さを以て彼女の興味を引いてしまったのだ。
彼らが瞬殺したミスター・5もその相方もまがねから見たら攻撃の隙は大きく、悪魔の実の能力頼みの雑魚なのだが、それでも普通の海賊には十分脅威になりえる二人だっただけにそれをこともなげにやっつけ、あまつさえ仲間同士で喧嘩しあう姿は正しくイレギュラーそのもの、彼女は麦藁の男の行動理由が全く分からず見ているだけで楽しかった。
なので彼等を飽きることなく観察している彼女にニコ・ロビンは仕事を優先するため先に行っていることを告げこの場を去る。
「ああいう人を殺す時が一番いい反応をするんだよねー。まあ、それと同時に何かを起こすのもああいう人種だってまがねちゃん理解しているのだ。まがねちゃんかっしこーい。ああ、まだ殺すには惜しい。まだまだ。だから美味しくいただくことにしよ!」
まがねは彼等の漫才と海賊のくせに無駄に優しい所とビビの仲間になったのをずっと見て、彼等を計画に利用することにした。
「彼等の行動は読むことなど出来ない。だから、私にとって最高の結果が出るかは分からない。でも面白くなるだろうなー」
彼女は彼等がニコ・ロビンの取引を無視してリトルガーデンへ向かう姿を見てそう実感する。
「料理は過程も楽しめるまがねちゃんなのだ。後はニコ・ロビンをどうやって手に入れるかだね。前菜も大切だけどメインデッシュはちゃんと用意しないといけないねー」
彼女は先にニコ・ロビンが去った方向に向かって歩きつつ、頭の中でクロコダイルの計画と自分の立てた計画をすり合わせ準備をしていく。
「やっぱ計画の最後はクロコダイルの全てを奪ってしまうことだよね」
彼女はニコ・ロビンがクロコダイルに連絡を入れている姿を見てクロコダイルの力を思い浮かべ。
「ロギア系の悪魔の実。やっぱあった方が便利だしねー。後はどうもらうかだね。まがねちゃんは女の子なんだからデザートにはこだわらないとね!」
彼女は楽しそうに未来図を描いていく。
そんな彼女の元には虚ろの目をしたバロックワークスの社員たちがずらりと跪いている。
「舞台に必要な役者も台本も客もそろった。始めよう!」
彼女は社員たちに何かの命令を細かく出していく。その際クロコダイルの社長印とでもいうべきものを勝手に使った指令書を付け加える。
「まずは社員同士の混乱を。クロコダイルに気づかれない程度の混乱と情報網の穴をつくるかな」
彼女は楽しそうに嘘を吐き始め、彼女の嘘物語を開幕させる。