転生者達は決闘者   作:巫女好きの満月

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魔術師VSドラゴン

「学校?」

 

 桜が舞い散る四月。

 ユーリはルカとの会話で気になった場所をルカに聞き返していた。

 

「うん、明日から学校があるからユーリは家で大人しくしててね」

「…………」

「ユーリ?」

 

 何も反応しないユーリに違和感を覚えたルカはユーリの名前を言う。すると、ユーリはルカに一つの質問をした。

 

「学校って何するところなんだ?」

 

 そのユーリの言葉にルカは「そう言えば記憶喪失だった」と小声で言うとユーリに学校について教えていく。

 それを全て聞いて何となく理解したユーリは「行ってみたいな」と言うが戸籍などがないユーリが行けるわけがないとルカは思い、それを何とかオブラートに包んで話そうとするがその前に「まっ、良いや」とユーリが何でもないかのように言う。

 それに一瞬だけポカンとしたルカはすぐに気を取り直して「本当に?」と聞くとユーリは「さっきの話にあった行事とかだったら自由に行けるんだろ?なら良いや」と言った。

 それに、ルカはすぐにユーリが学校に通いたいのではなくただ学校の中に入りたいだけなのだと理解した。この何処かズレた思考を理解したルカはため息を吐いて明日のために準備を始める。

 その様子を横目で見ながらユーリは自身の右腕にある痣をしばらくじっと見る。偶に、何かを知らせるように鈍く光る謎の痣をユーリは興味深そうに眺めた後ルカの準備を手伝うために動こうとしてーーーー鈍い痛みが右腕を襲った。

 それに堪らずユーリは右腕を押さえつけるように左手を添える。すると、赤く光りながら薄っすらと痣が浮かび上がる。だが、すぐにその輝きは消え、光っていた痣から光は失われていった。

 

「……今のは?」

 

 これまでに、感じたことのない何かを感じたユーリは明日ここら一帯を散策しようと思いながらルカのもとへと移動した。

 その様子を精霊の少女が見ていることには最後まで気付かず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、ユーリはルカと共に家を出た。

 最初は「一人で外出なんて大丈夫?」や、「やっぱり私も学校を休んでついて行く」なんて言っていたルカだったがユーリや精霊の少女の「過保護」と言う言葉に折れた。

 

「あっ、私こっち行くけどユーリは?」

「町を歩きたいから学校の前までついて行く」

「そっ、そっか」

 

 ユーリの言葉に何処か嫌な予感がしたルカだったが、ここで断ってもどうせ近くを通ろうとするだろうし、放課後にばったり会って友達にしつこく帰り道で聞かされるよりはマシかと思い直す。

 

「そう言えばどうして急に町を歩きたいって言ったの?」

「ルカだろ?記憶を取り戻すために町を歩いたりしたら?と言ったのは」

 

 ユーリの言葉にルカはそう言えばそうだったと思い出し、まあ良いかと思いなおしながらユーリと何気ない話を続けていく。

 しばらく歩いて行くとルカと同じランドセルを背負っている人達がチラホラと見え始めた。

 その中にはおそらくルカと同じ学年の子もいたのかルカを見て次にユーリを見て何やらコソコソと話し始めた。

 その様子を見たルカは少しだけ恥ずかしく思い、ユーリは初めて見た学校に「大きいな」と小さく呟くとルカに一言、「じゃあ、また」と言うとルカから離れて商店街の方へと歩いて行った。

 

「選択……間違えた」

『ルカは偶に凄い天然を発揮しますね』

 

 ルカが小声でつぶやき、それに精霊の少女が苦笑いしながら返す。そして、ルカは嫌な予感を感じながらも教室に向かって足を進めた。

 余談だが、その様子を見た精霊の少女は後日「この時のルカは少しだけいつもより楽しそうでしたよ?」とルカ本人に言い、無理矢理実体化させられ頭を叩かれたそうだ。

 

 

 

 教室に着いたルカはユーリと一緒にいたことをクラスメイトの女子からたくさん質問されたが、チャイムのおかげで何とかかわすことができたルカは「疲れたー」と言いながら机に顔をつける。

 それと同時に「席につけ〜」と言いながら教室の中に先生が入ってきた。

 また、つまらない一週間が始まるなぁ〜と思いながらルカは姿勢を正して先生の方を見る。

 先生はルカたちをぐるっと見渡すと「欠席はいないな〜」と気怠そうに言うと、次に「今日は転校生が来るって言ってあったっけ?」とどうでも良さそうに一番前の席の子に聞いた。

 その子は「聞いてませんよ?」と言うと先生は黒板の一番上にデカデカと『転校生やってきます』と書くと扉の方へと声をかけた。

 

「転校生〜、入ってきて良いぞー」

「失礼しまーす」

「失礼します!」

 

 入ってきたのは青色の髪の女の子と黒髪の男の子。どちらも美少年、美少女と言える顔立ちをしている。

 ルカのクラスメイトはそれにテンションが上がり、叫び声を出す。そんな中で、ルカは何となくだがあの二人と関わりたくないと思ってしまった。

 性格も良さそうな二人だが、ルカは何となくこの二人に関わると巻き込まれそうだと思ってしまったのだ。

 

「……あの二人の近くにいるの……精霊?なら転生者ってことになるよね?」

『どうでしょう?でも、ルカと同じような感じがしますから転生者であることに変わりはないと思いますよ?」

 

 ルカはその言葉を聞いて絶対に関わらないようにしようと心に決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕方、町を見渡せる場所があると町の人に聞いたユーリは近くの山を登ってその場所に行き、景色を楽しんでいた。

 

「綺麗だな」

 

 夕日の影響もあるのだろう、朝や昼に通った道であるはずなのに上から見ただけで景色がまるっきり変わって見えた。

 その景色を何時までも観続けていたかったユーリだが、()()()()()()()()()()()()()視線を向けると一言言った。

 

「数時間も隠れてて疲れないのか?」

 

 ユーリの言葉に誰も答えない。それを見たユーリは左腕にデュエルディスクを出した。すると、ユーリが見ていた先、木の枝から降りてきた金髪の少年が鋭い目つきでユーリを見ながら降りてきた。

 

「お前、誰だ?」

「雑魚に教える名などない」

 

 そういうと少年もデュエルディスクを出しそこからカードを5枚引いた。それを見たユーリも少年から少しだけ距離を取ると同じようにカードを5枚引く。

 

「貴様、転生者か」

「えっ?そうなのか?」

「惚けなくて良い、そのデュエルディスクがあるということは転生者であるという決定的な証拠。故に、我が貴様を斃す!」

「へぇ?」

 

 斃すという言葉にユーリの目つきが鋭くなる。記憶がないとは言えユーリは『決闘者(デュエリスト)』一度受けたデュエルには全力で挑む。

 

「「デュエル!」」

 

 ユーリ LP 8000

 少年 LP 8000

 

「先行はオレだ、ドロー!オレはモンスターをセット、カードを二枚伏せターンエンドだ」

 

 表側表示が何も無いフィールドに少年は「強いカードが来なかったか」とユーリに言う。ユーリはそれに何も答えずジッと少年を見る。

 

「我のターンドロー!我は永続魔法、《未来融合−フューチャー・フュージョン》を発動!EXデッキの《 F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》を見せて、デッキから融合素材ドラゴン族モンスター5体を墓地に送り、発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に融合召喚扱いで特殊召喚する!」

 

 五体のドラゴンが一瞬だけ現れるがすぐに光の粒子となり消えて行く。ユーリは一気に5枚のカードを墓地に送った事に警戒をする。

 《 F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》というモンスターが何かユーリにはどういうモンスターか分からないが、まだ召喚されるのに時間があるのであれば、対処は可能だと考える。

 だが、少年はそんなユーリの考えが理解できているのか、口元を歪めながら一枚のカードを発動した。

 

「お前に見せてやるよ、最強のドラゴンを!マジックカード《龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)》を発動!墓地の融合素材をゲームから除外して、融合召喚を行う!現れろ、最強のドラゴン!《 F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》!」

 

 《 F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)

 ☆12

 ATK/5000

 DEF/5000

 

 現れたのは五つの首を持つ巨大なドラゴン、その大きさと攻撃力にユーリは僅かに目を見開いた。

 そして、手札のカードをと場を見てまだ大丈夫そうだなと思いながら少年を観察し続ける。

 

「バトルだ!我は《 F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》で伏せモンスターを攻撃!」

 

 五つの頭から放たれた炎が伏せモンスターが破壊される。

 だが、それはユーリの想定内だった。

 

「オレのセットモンスターは《黒き森のウィッチ》、守備力1500以下のモンスター《クリボーン》を手札に加える」

「ちっ、メインフェイズ2に移ーーーー」

「その前に手札の《クリボーン》の効果発動!このカードを墓地に送り戦闘破壊されたモンスターを特殊召喚する。オレは《黒き森のウィッチ》を守備表示で特殊召喚する!」

 

 《黒き森のウィッチ》

 ☆4

 ATK/1100

 DEF/1200

 

 再び現れるのは漆黒の外装を纏う紫色の髪の女性が現れる。

 倒してすぐに復活した《黒き森のウィッチ》を少年は忌々しく見る。そんな少年を見て、ユーリは少しだけ息を吐く。

 

「メインフェイズ2、カードを一枚伏せターンエンドだ」

「オレのターン、ドロー!モンスターをセットしてターンエンドだ」

「ふん!守勢に回るしか無いか……雑魚に相応しい戦術だな。

 我のターンドロー!

 《F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》で伏せモンスターを攻撃!消え去るが良い!」

「伏せモンスターは《翻弄するエルフの剣士》、このカードは攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない!」

 

 《翻弄するエルフの剣士》

 ☆4

 ATK/1400

 DEF/1200

 

 現れたのは鎧をつけたエルフ。そのエルフは攻撃に辛そうにするが、破壊されることはなかった。

 

「ちっ、ターンエンドだ。だが、次のオレのターンで《 F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》が召喚される。それに、そのモンスターが倒されないのは攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されないだけで他の手段なら破壊できる。さぁ、カードを引け」

 

 少年の少しだけ長い台詞に欠伸をしながら待っていたユーリは勢いよくカードを引く。そして、少しだけ考えた後そのカードをセットした。

 

「ターンエンドだ」

「ふん、何も出来ぬか、ならば我のターン!そして、このスタンバイフェイズ時に二体目の《 F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》が現れる!」

 

 二体目の《 F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》。それを見たユーリは小さく溜息を吐いた。

 それに気づかない少年はそのまま二体のドラゴンに攻撃命令を出した。

 

「行け、《F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》!《黒き森のウィッチ》を攻撃だぁ!」

 

 五つの頭から放たれた炎が《黒き森のウィッチ》を襲う直前、ユーリが動いた。

 

「はぁ、リバースカードオープン。《聖なるバリア −ミラーフォース》!お前の攻撃表示モンスターを全て破壊する」

「馬鹿め、カウンタートラップ《魔宮の賄賂》、ミラフォを無効化し破壊する。だが、相手はカードを一枚ドローする」

 

 途中まで現れていた透明な光が《F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》を襲う前にその光は消え、炎はそのまま《黒き森のウィッチ》を襲い破壊した。

 

「《黒き森のウィッチ》の効果、デッキから守備力1500以下のモンスター、《クリボー》を手札に加える」

「我はこれでターンエンドだ」

「オレのターン、ドロー」

 

 最初の時よりも覇気の無い声でユーリはカードをドローする。

 

「オレは魔法カード《黒魔術のヴェール》を発動。オレのライフを糧にして現れろ、《ブラック・マジシャン・ガール》!」

 

 《ブラック・マジシャン・ガール》

 ☆6

 ATK/2000

 DEF/1700

 

 現れたのは光り輝く金色の髪の少女。ライトブルーとピンク色など鮮やかな配色の衣装。手に持った杖をクルクルと回しながら現れた可憐な魔法使い族のモンスター。

 そのモンスターは現れた時にユーリに向かってウインクをするが、ユーリは《ブラック・マジシャン・ガール》をチラッと見るだけで何も反応はしなかった。それに、《ブラック・マジシャン・ガール》は落ち込んだような顔をするがすぐに気を取り直して目の前の二体の大型融合モンスターに向かい合った。

 

「さらにオレは魔法カード《賢者の宝石》発動!オレの場に《ブラック・マジシャン・ガール》がいるとき、《ブラック・マジシャン》を特殊召喚する!」

 

 《ブラック・マジシャン》

 ☆7

 ATK/2500

 DEF/2100

 

 現れたのは黒衣を纏った魔術師。

 そして、この二体が場に出た時、ユーリの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「リバースカードオープン、《黒・爆・裂・破・魔・導(ブラック・バーニング・マジック)!相手フィールドのカードを全て破壊する!」

「何だと!?」

「攻撃力が高いモンスターだとしても()()()()()()()()()()()()()

「くそっ」

 

 二人の魔術師が放った攻撃が、少年のフィールドのカード全てを破壊する。それに少年が悔しそうに唇を噛むが、すぐにユーリのフィールドを見てハッと鼻で笑う。

 

「その二体の攻撃力の合計は4500、もう一体のモンスターを合わせても我のライフを削りきるのはほぼ不可能!そして、オレはまだ切り札がある!さぁ、はやく攻撃をしてターンエンド宣言をしろよぉ!」

「焦るな、まだオレは通常召喚を残している」

「……へっ?」

「オレはまだ二体の魔術師を()()()()しただけだ。まだオレには……召喚権が残っている」

 

 ユーリの言葉に何も言えなくなる少年。そんな少年を無視してユーリは自分の手を緩めずに少年を追い詰める。

 

「オレは墓地の《クリボーン》と《黒き森のウィッチ》をゲームから除外してこのモンスターを特殊召喚する!来い、《カオスソルジャー −開闢の使者−》!さらに、《翻弄するエルフの剣士》を攻撃表示に変更!」

 

 《カオスソルジャー −開闢の使者−》

 ☆8

 ATK/3000

 DEF/2500

 

 蒼と金の鎧を纏う屈強な戦士が姿を現した。

 その攻撃力を見た瞬間、少年は一歩後ろへ後退していた。

 

「バトル!《ブラック・マジシャン》、《ブラック・マジシャン・ガール》、《翻弄するエルフの剣士》、《カオスソルジャー −開闢の使者−》、4体のモンスター達でダイレクトアターーーー」

 

『相手が降参(サレンダー)しました』

「はっ?」

 

 電子音が聞こえたと同時にユーリの視界が白色に染まる。

 ユーリは咄嗟に目を瞑り、直感に任せてその場から転がるようにして離脱する。

 

「……逃げたのか?」

 

 ユーリはそうポツリと呟いた。そして、先程まで自分がいた場所を見ると、地面が割れていた。

 

「さっきのアレと言い、あいつは集団で行動しているのか?」

『う〜ん、そうみたいだねー』

「だとすると、また来そうだな」

『そうだね』

 

 ユーリはしばらく地面を見た後、ルカの家に帰ろうと歩き出そうとして、固まった。

 

『あれ?帰らないの?』

「……なるほど、カードの精霊か」

『あっ、もしかしてさっきまで私のことを気にしてなかったんだね』

「ああ」

『そういうところ、()()()()()()()()()ユーリ』

 

 カードの精霊の言葉の一部、そこを聞いた瞬間その精霊に詰め寄った。

 

「待て、オレのことを知っているのか!」

『知っているけど……って近いよユーリ』

「教えてくれ!オレが誰なのか!」

『…………』

「頼む、教えてくれ」

 

 ユーリが必死に、縋るように精霊に言う。だが、精霊の少女は無言で首を横に振って『私からは教えられない』と言った。

 その言葉にユーリは残念そうな顔をするがすぐに顔を戻して、少女の名前を言って前に歩き出した。

 

「帰ろうか、《ブラック・マジシャン・ガール》」

『うん』

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