色ボケのガッシュ   作:ぜがるん

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 ラストです。


3

  

 

 

 

 

 「ぬぅ…」

 

 

 目を開けると、懐かしい天井が広がっていた。

 ‎「んぅ」と声がしたので横を向く。そこには、安心した表情で寝息をたてる、コルルの寝顔があった。

 ‎思えば、気が動転している中でコルルの魔力を感知し、誘拐同然のように連れてきてしまった。身体が勝手に動いていたのだ。仕方ない。

 ‎しかし、この様子を見るに、きっと清麿が話してくれたのだろう。

 ‎‎「ぬ」

 つい頬をついてしまっていた。ぷにっとした感触が心地好い。反応はない。熟睡しているようだ。

 ‎

 ‎カリカリとした音が耳に届く。頭を上げると、机に向かい何やら書き物をしている清麿の背中があった。

 

 「きよまろ」

 

 あれ、自分の声はこんなに高かっただろうか。というか、何だか喋りにくい。

 ‎あ、身体が元の大きさに戻ったからか…?

 いや、しかし、それでも違和感が…

 ‎疑問に思っていると、ふと視線を感じた。 清麿が此方を見ていた。難しい顔をしている。

 

 「ガッシュ」

 ‎「きよまろ…おぬしやはり、あのきよまろなのだな!げすーー」

 「いや、待て。それはもういい。それよりもガッシュ。…単刀直入に言う。たぶん俺は、お前の考えている俺じゃない」

 ‎「?」

 

 どういうことだと、ガッシュは目で訴える。

 ‎清麿は居心地悪そうに目を反らした。

 

 「いや…その……あ、あとな。お前、小さくなってるぞ。ここに来たときは幼稚園児くらいか?でも今は二、三歳くらいだ。ほら、鏡」

 

 ガッシュは目の前に掲げられた鏡を見た。

 ‎確かに、小さくなっている。喋りにくいと思ったのはこのせいだったのか。

 ‎考えられる原因としては、シンの呪文だろうか。

 

 「…お前何で気を失ったのか覚えてるか?」

 ‎「…ああ、おぼえておる。…すまなかった」

 「…その様子じゃ大丈夫そうだな。で、さっき大きくなってからどこに行っていたんだ?」

 

 さっき。そう、目的があったのだ。

 ‎自分の力が足りないばかりに、今は無理だと、断腸の思いでイギリスを発った。日本に着いたら、すぐに清麿に協力してもらおうと考えていた。

 

 「…あにうえ…あにうえに、あうまえに、いぎりすのこじょうにいって、ばるとろをたおしてきた。ほら、おぼえておるか。せっころにもあったぞ」

 

 そこで、間が生じた。

 ‎ガッシュが期待した返事は返ってこなかった。

 

 「…いや、俺はそんなことは知らない。……でも、ああ、やっぱりかぁ」

 ‎「え…」

 ‎「…ガッシュ、お前には未来の記憶があるんだよな?」

 ‎「…そうだ。きよまろは、ちがうのか…?」

 ‎「ああ、お前とは違う」

 

 違った。

 ‎その事実にガッシュは思いの外ダメージを受けた。

 

 「…では、なぜ」

 「いや…変な記憶はあるんだ。違和感しかないが、記憶と言っていいのかもわからんが…限定的なもののみだが…ある」

 ‎「…それは、何のだ?」

 ‎

 清麿は顔を真っ赤にして、だらだらと汗を流し始めた。

 ‎時間にして一分ほどか。モゴモゴとしていた口をようやく開いた。

 

 「未来で……せ…関係を持った女性との記憶だ。正確に言えば…関係を持った女性と一緒にいると認識していた時の記憶がある」

 ‎「…では、よのことは…?」

 ‎「…それは……最初は、今日か?学校で昼休みに水野に呼び止められた時に、お前もいた。最後は、恵……さんと一緒に、お前とティオからの手紙を読んだ時のものだ。その時に見た写真とさっきのお前の姿は同じだったな」

 「…そうか」

 ‎「おう……」

 ‎「……」「……」

 

 沈黙が続く。コルルの寝息だけが、部屋の中に存在していた。

 

 ‎「はぁ…ったく、急に大人になったような、妙な気分だよ。勘弁してくれ……」

 ‎「…うぬ、しかしきよまろが、うけいれてくれてよかったのだ」

 

 清麿の精神年齢は、前のこの時期よりも高くなっているようだ。それに、何やら面倒なーーいや、複雑な状態になっているようだが、ガッシュは少しほっとした。

 ‎無論、寂しい気持ちもあるが。

 

 「でも、お前と俺との差は何だ…?」

 ‎「ああ、それならーー」

 

 ガッシュには心当たりがあった。

 ‎最初に目を覚ましたのは、イギリスのあの森の中だ。

 ‎つまり、兄上から魔界での記憶を奪われた後だ。理由があるならばその辺りだろう。

 ガッシュは清麿に自分の考察を話した。

 

 「ああ、そうだったな。記憶を失っている、か…そんなこと言ってたなお前」

 ‎「うぬ」

 ‎「あとな、アンサー・トーカーが使えた。連発は無理だが。お前が寝ているときに検証済みだ」

 ‎「ぬ?」

 ‎「もうこの際だから言っておく。…言っておくが、これは未来の俺が原因であって、今の俺には一切関係ない。いいな」

 ‎「うぬ」

 ‎「アンサー・トーカーで解るのは、未来の俺が、関係を持った女性達にだけだ。限定的だが、大体解る」

 ‎「……」

 ‎「いいな。俺には何も関係ない。…だがな、ほっとくことはできん…特に、ココはな。未来では、大切な仕事仲間だったんだ……ゾフィスの野郎は赦さん。カンフーでぶん殴ってやる……!!」

 ‎「お、おう」

 ‎「だから、早い内に元に戻れよ。その身体的なデメリットは一時的なものだと思う」

 

 

 ガッシュはふと思い出した。

 ‎たしか、シェリーが社長でココが副社長、清麿が顧問というのをやっていたな、と。

 

 「とりあえずは、水野だ。今日の放課後、金山にカツアゲされるからなあいつ」

 ‎「…では、がっこうにいくのだな!」

 ‎「放課後にな」

 ‎「…」

 ‎「…明日からはちゃんと行くよ。…ほら、もう時間的に昼休みだし途中から行くのは…な?……今日は、中田先生とも話してくる」

 ‎「そうか…!」

 ‎

 

 問題は山積みだ。

 ‎致命的なのは、この時期の出来事の日程を覚えていないことだ。

 ‎何が起こるかは覚えているが、それがいつなのか詳しいことがわからない。

 ‎アホの清麿の能力も、当てにはできないのだ。

 ‎

 ‎しかし、ガッシュはどんな困難にも立ち向かえる自信があった。……兄上のこと以外は。

 ‎そして、成し遂げたいこともあった。

 ‎未来の三人の妻達の件である。

 ‎今のうちに、彼女らが純粋なうちに対処をすれば、きっとあんな未来は訪れない。

 余は、みんなで仲良く笑顔で過ごせる未来を目指すのだ!

 ‎

 

 かくして、ガッシュの、いやガッシュと清麿の闘いは始まった!!

 

 

 

 

 ‎

 ‎




現状、ガッシュから清麿への信頼度100に対し、その逆は半分くらいでした。

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