田舎に帰るとやけに自分に懐いた褐色ポニテショタがいる   作:SHV(元MHV)

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遅ればせながら更新でございます。



その⑦

 

“ぐでーん”とした雰囲気があるとすれば、それは正しくこういったものだろう。

 

全員が思い思いの格好で座り、さきほどまでやっていた格闘ゲームを今は大輝が一人でやっている。

 

圭も大輝も、どちらも眠たそうな表情ではあるものの、大輝は遊び足りないのか今は一人で格闘ゲームをやっている。圭は俺の膝に自分の肘を乗せ、俺と大輝に散々勝ち越した為かすでにゲームは飽きたと言いたげに画面を淡々と見つめている。

 

──俺と圭と大輝の三人は、あれから散々に川遊びを堪能した。鍛えていなければ正直明日の筋肉痛が怖いくらいには、はしゃぎまわる二人に付き合わされた。

 

おかげで川から帰る途中も田舎の子供特有の大冒険を堪能させてもらった。

 

今こうして落ち着いてゲームに興じているのが嘘のようだ。

 

「はは……(川から帰った後もたくさんはしゃいでたからなー。道草食ったり虫捕ったり突然ダッシュしたり……)」

 

それらに付き合わされるのは覚悟の上だったので、疲れはしたが後悔はない。ある一点を除けばだが。

 

(俺の服に蝉を入れた罪は重いぞ……)

 

苦笑を浮かべながら俺はぼけーっと画面を見つめる二人の後ろ姿を見守る。

 

そんな中不意に俺は、いつの間にか視線が奪われていた圭のうなじの辺りを見つめてその髪型が変化していることを思い出す。

 

(ん? そういえば、朝あんな顔してたし……)

 

朝の圭の表情を思いだし、俺は何故だか無償にこいつの頭を撫でてやりたい気持ちでいっぱいになった。

 

「圭」

 

なので俺は声に出して圭を呼ぶと、その頭を背後から、ぽん、と軽い調子で撫でてやる。

 

「疲れちゃったか?」

 

いつ眠ってもおかしくない。そんな様子だった圭へと声をかけるつもりで、撫でやすい髪型になった圭の頭を優しく(さす)る。

 

(この頭なら撫でやすそうだしな)

 

「!」

 

そう思い静かに圭の頭を撫でてやっていると、圭は何かに気づいたのか一瞬びくりと体を震わせる。大輝は今もゲームに夢中だ。ぼろ負けした圭に勝つためか、今は高難易度をクリアしようと躍起になっている。

 

「!!!」

 

すると圭はそのままちらっと大輝の方を向いたかと思うと、音を立てないようにゆっくりとその軽くて柔らかい頭を俺の膝の上へと乗せた。

 

(!?)

 

ぽふ、という軽い音が心の中に響いてきた。

 

どこか恥ずかしげに、どこか焦るように、圭はその褐色の肌を横たえ重力に従ってめくれた長髪から覗くうなじを見せつけながら俺の行動を待っている。

 

だが正直俺の内心は大パニック&大興奮である。

 

(えっ……な……っ、一度大輝の方を確認してからこっそり俺の膝に……!? 圭お前……ッ、いつこんな技を……!?)

 

心の躍動が収まるのを待たず、俺はさきほどまで頭を撫でていた腕を固まらせて思考の迷路に迷い混む。

 

だがその迷路は決して脱出することが目的ではない。むしろ今膝に乗る圭の温もりとおねだりに血迷う自身を脱出させない為の思考の迷路だ。

 

(友達に見られるというリスクを冒しながらも、()()()()()()ということなのか……?)

 

横になった圭の背中はどこかそわそわと落ち着きがないように見えて、俺は知らず頬に熱を覚えてしまう。

 

(超なでる)

 

──そ……──

 

もはや心の迷宮など関係なかった。俺は先程以上に優しく圭の頭に掌を乗せると、膝に顔を擦り付ける圭自身を堪能しつつ、そっと撫で続ける。

 

──俺はただ頭を撫でているだけだ。だというのに、なぜだろう。まるで大輝に隠れて圭にキスをしているような気になってしまうのは。

 

──止めなければと。そう思う俺自身とは裏腹に、(てのひら)は優しく圭の頭を、髪を撫で続ける。膝に顔を擦り付ける圭の(ほほ)を、睫毛(まつげ)を感じつつ、俺は下腹に込み上げてくる熱を自覚してそれを抑えねばならなかった。

 

「っしゃー! クリアした!」

 

不意に大輝が叫んで立ち上がった。俺と圭はどこか気まずそうに急いで姿勢を整え、俺は振り向く大輝に手を振るような姿勢で固まる。圭にいたってはなぜか正座していた。

 

どこか蠱惑的な天真爛漫さがある圭と違い、似て非なる勝手気ままさを持つ大輝の目的はすでに当初と変わっていたのだろう。圭に勝つこと以上に夢中になって格闘ゲームをクリアしてみせたその姿には、清々しささえ感じられた。

 

「あ、もう暗くなるし俺帰るな!」

 

「う、うん!」

 

「お、おー、そうだな! そこまで見送るわ」

 

振り向く大輝にドギマギした空気を醸し出しながら、俺は内心の焦りをそのまま表情に浮かべつつ彼を見送る為に立とうとする。

 

(あっぶねー)

 

一体なにが危なかったというのか。大輝が振り向いたことか、それとも振り向かなかった場合のことか。

 

答えを出してはいけない問いを考えてしまった気がして、俺は未だ高鳴る胸の鼓動を落ち着けようと思考を切り替えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 




はー、尊い。これさ、次回添い寝とかだったらにーちゃんの理性がすごいことになると思うんだ。
とりあえずおじさんからのアドバイスは、おせっせを我慢するためにち○こ殴るとしばらく本気で悶絶するぞってことだな!

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