~AM 10:00 街~
行き交う人並みの中にどう見ても不自然な行動をとる男が一人。首から下げたカメラを覗き込みながら頻りにシャッターを切っている。タイプが古いものだからなのか、取っては首をかしげを繰り返した挙句、
「・・・・この世界も、俺を拒絶するか」
みたいな厨二全開なセリフを口走っている。はっきり言ってかなり怪しい。こういう時、どういう対処が的確かは教師として日が浅い星空みゆきでもわかる。そう、無視だ。こういう時は関わらない方が身のためである。
そうと決めれば実行に移すのみ。待ち合わせ場所から動くことができない為この場にいるしかないが視線さえ合わせなければ大丈夫だろう。そうだ、携帯を弄ればいい。そうすれば視界にすら入らない。中々の名案を出した自分に心の中で拍手しながら携帯をバッグから取り出そうとするが――――
「あれ…?あれ、あれ!?」
ない・・・・・ないないないない!?ひっくり返しても、どんなに漁っても出てこない。いったいどういうことか。中学生以来ドジは卒業できたと思ったのにこの様、こんなところを学生時代の友達に見られたら「みゆきは変わってへんな~」なんて言われるに違いない。母のような素敵な女性になると決めたあの時から今までちゃんとやってきたのにこれだ。
「おい」
そして最悪の展開に。あの男がこっちに話しかけてきた。恐る恐る振り返ると、そこにはストラップ5つのストラップのついたピンク色の携帯が。
「あんたがバックをひっくり返した時に出てきた。ほれ」
「あ、ありがとうございます・・・・・」
意外と普通に話しかけられたことにビックリしていると、遠くから声がしてそちらに振り返る。
「雄樹君!」
「ごめんなさい先生。呼び出しておいて遅れちゃって・・・・」
「・・・・ほう、お前がそうか」
みゆきの向こう側に誰かいるのを感じてそちらを覗く。自分と同じか、年上のカメラを首から下げた男。
「あ、どうも。先生とはお知り合いの方ですか?」
「いや、携帯を拾っただけの通りすがりだ。覚えておけ」
リアクションに困ったのでとりあえず「はい」とだけ言っておく。すると男はなんの言葉を発することなく通り過ぎる――――ように見えたが、すれ違いざまに自分にだけ聞こえるような声のボリュームで話しかけてきた。
「グギグギ言う奴に気を着けな・・・・」
それだけ言って立ち去っていく。すれ違う形で一緒に来たクリスが息を切らしながらこっちに来たので手を振ると「恥ずかしいからやめろ!」と怒られた。
「あ、その子がクリスちゃん?」
「うん。俺の新しい友達」
「まだなった覚えはねーけどな」
微笑ましいと笑うみゆきにこいつも同類かと頭を抱えるクリス。なるほど、この教師にこの生徒アリ、と言うわけか。朝食食べた後にいきなり会わせたい人がいると言われて若干の警戒をしていたクリスだったがこれは取り越し苦労だったなと安堵のため息をつく。
「初めまして、クリスちゃん。私は星空みゆき。雄樹君が中学生だった頃の担任の先生なんだ」
「よ、よろしく・・・・」
差し出された手を握り返す。こんなことを平気でしてしまうあたり雰囲気にのまれている自分がいることに今度は呆れのため息。
ま、ギスギスしてるよりはマシ、か・・・・・。そう割り切って三人でショッピングモールを廻ることに。
「先生、久しぶりにアレ、やります?」
「アレ、ね・・・・やっちゃおっか!」
なんだか楽しそうな二人を後ろから見るクリス。なににも巻き込まないでくれよと念のために呟いておくが案の定目を輝かせた二人に連行されてはいったのはモール内でも一番大きなゲームセンター。さまざまな種類が豊富に取り揃えてあり、若い世代の人にはうってつけの遊び場となっている。
そこで、一際目をひく機械がある。数年前流行したというダンスゲームだ。これはプレイヤーの動きが画面の中にいるキャラクターと連動し、画面に表示されるアイコンを身体を使ってタッチしていくと言うゲームで、最近新しいバージョンができたと話題のものだ。このゲームのプレイ歴があり、ファンでもあるみゆきと雄樹からしてみればかなり盛り上がるものの一つなんだろう。
クリスもこういう雰囲気は嫌いじゃないので二人が遊ぶさまを後ろにあるベンチから眺める。
しかし――――
「う・・・・うめェ・・・・!?」
あのボケた会話する此奴らのいったいどこにそんな高度な技術が!?と疑いたくなるような動きでスコアを稼いでいく二人。曲調は割とゆっくり目であるが、高速のものよりもこういう類のゲームはこういうゆっくりとしたものが難しかったりするのでこれはかあなり上手いほうの部類に入るだろう。
・・・・なぜか曲が子供向け番組なのを除けばかなり上手い。あっという間に踊り終えた二人のスコアは当然と言うべきか、パーフェクトを叩きだしている。満足げに二人して笑顔でサムズアップを決めるあたりさぞ楽しいのだろう。
ちょっとか身体が疼く。やってみたいと思う衝動を抑えるが、それを見抜かれた雄樹によってコントローラーの上にあげられてしまう。なすすべもなくやられてしまったことに混乱するクリスだがみゆきが彼女の手を握ったことでそれも止まる。「せっかくなんだから一緒に楽しもう」というみゆきに困惑するも、元々やりたかったというのもあり笑顔に赤面しながらも頷く。
みゆきが曲を選び、スタートする。聞こえてくる音楽に自然と身体が動く辺り、自分もシンフォギア奏者なんだなと思う。普段歌いながら戦うというのもあり音感には自信があるし、両親も音楽家だったクリスは抜群のセンスを持っていた。二人ともかなり上手い。そして、美人。当然、その様子を見たギャラリーがわんさかと押し寄せる。その中で、ステージの上で一際輝く二人の楽しそうな笑顔はなによりも素敵に見えていた。
てなわけで特別編。あの人がログインしたようです。感想でやってほしいとあったのでぶっこみました。
申し訳ありません、このような特別篇で^U^