間が空いてすいませんでした。色々忙しくて…
次はもう少し早めに投稿したいです。
決勝の日の朝、家を出たオレは何気なく空を見てみた。
野球日和というものがあるとすれば、今日のような天気のことをいうのだろう。空は青く、雲一つない快晴。1回戦の時の曇天とは思う比べ物にならないくらいのいい天気だ。
気温も暑すぎず、心地よい風が吹いている。その風もプレーに大きな影響を与えるほどではない良い風だ。
なるほど、この天気はまるでオレ達の勝利の前祝いのようなものだな。こんな最高な環境で野球ができるなんて、1人の野球人としてこれほど嬉しいことはない。まぁ欲を言えば『横浜スタジアム』で試合をしたかったけど、予選の決勝なんかで使えるわけもないか。
オレはそんなことを考えた後、自転車で球場へ向かった。
──────────────
「おいどういう事だッ!!!」
「そ、そんな事僕達に訊かれても…」
また後輩達がオレの声に怯みきっている。いや、そんな事は今どうでもいい。本当に大事なのは試合に勝つ事だ。
それなのに……
「なんで
そう、我らがエースの『池田宗吾』の姿が見当たらないのだ。もう試合開始まで時間はない。宗吾が居なければ『
オレは携帯を右手で持ち、宗吾の番号にかけながら球場を走り回った。もしかしたら腹でも壊してトイレに篭っているかもしれない。いやそれ以前に球場にも来れない状態になっている可能性もある。考えたくはないが、来る途中になんらかの事故に巻き込まれたなどだ。
「くそ…出ねえ!なにやってんだ宗吾ォ!」
何度かけても宗吾は電話に出ない。
『藤城中』側のトイレを探したが、やはり居ない。寝坊?いや宗吾に限ってそれは無い。あいつは時間には厳しい奴だ。
念のために『海堂附属』側のトイレを探そうと走って向かった。試合前からこんなに疲れてて大丈夫なのか…?いやどっちにしろあいつが居なければ勝てる訳ないからそんな事は今考えなくてもいい。
無我夢中で走っていると、やっと『海堂附属』側のトイレに辿り着いた。そして中へ入ろうとすると。
ピロロロロ。
と機械音が鳴り響く。オレの携帯の着信音だ。かけてきた相手は…
「宗吾ッ!!!」
オレはすぐさま応答のボタンを押して、携帯を右耳に当てた。
「おい宗吾ッ!お前大丈夫なのか?今どこに居る!?」
「ああ、別になんともないよ」
良かった…別に何かあった訳ではないようだ。
「なら良かった。じゃあ早く来い!もう試合開始まで10分も──」
「球也、話がある」
オレの声を遮り、いつになく力強い声で宗吾はそう言った。
なんだこんな時に。オレはお前とペチャクチャと雑談してる暇はねえぞ。
「今日の試合は絶対に勝てない。今の俺たちじゃ、心技体すべて『海堂附属』の足元にも及ばない」
「……」
「だから…お前に訊いておきたい。この試合を棄てられるか?」
「……」
「駄目なんだよ。今はまだ、オレ達は彼らと戦うに値しない。今、俺たち『藤城中』がお前の〝ワンマンチーム〟として戦っても何も得られるものはない。
でも…この大事な一戦。お前にとってこの試合がどれだけ大事なのかは俺も理解できる。 しかしその中で球也、お前が前の試合までと変わり、チームプレイに徹することができたら…負けても次に繋がるんじゃないか?」
「……何が言いたい?」
「最後のお願いだ。勝ち負けを関係なしにして、〝本物のチームプレイ〟をしよう。今の俺たちじゃどうひっくり返っても『海堂附属』には勝てない。だから…これを一つの大きな経験にし、3年になる来年への送りバントにしたいんだッ!
今年の悔しさがあれば、来年こそきっと────」
「失せろ」
「……球」
オレは電話を切った。
どうやら…あいつはオレが思ってた通りの男じゃなかったらしい。
本物のチームプレイ?笑わせる。あいつはただ『海堂附属』にビビって、勝つことを諦めただけだ。
オレは…
決めた。あんな奴の力なんて必要ない。
オレ一人の力で『海堂附属』に勝ってやる。
そう決意した瞬間、オレは利き手で壁を殴った。余りにも情けなかった。そう、あんな奴を信じていたオレにだ。
ドゴォッッ!っと大きな音が響いたが、周りには誰も居ないから関係ない。
と、思っていたがそれは違った。
「八つ当たりか?情けない」
「…ああ?」
トイレの個室の1番奥のドアが開いたと思ったら、1人の選手が出てきた。『海堂附属』の選手だ。こんな時間までアップもせずに何をやってるんだこいつは。まぁオレも似たようなものだが。
「秋浦球也…だな。お前の事は監督から訊いている。そう、今日の試合で注意すべきスラッガーだとな」
こいつ…よく見たら相手の先発投手じゃないか。名前は確か…『
「…だが、俺は監督にこう言い返した。『こんな奴、大した事ありませんよ』とな」
「おいてめえ、何が言いたいんだ?」
「別に何も。ただ今までの予選を撮ったビデオで見たお前は、俺にとってなにも感じない凡選手だったというだけだ。
キャプテンとしての立ち振る舞いはもちろん、技術もな」
ここまで目の前で侮辱されたのは初めてだ。『海堂附属』のエースだろうが何だろうがこのオレを前に調子に乗りやがって…不愉快極まりない。
「上等だよ…ここでお前らと当たってよかったぜ。3年のお前と2年のオレが戦うにはこの大会が最後だからな。
オレはお前を打って県大会に行く。そして全国にもな」
「……」
そう宣言したオレをまるで相手にしないように、眉村はグラウンドへ向かった。
その際、最後に眉村が何か小声で言っていたが、オレはそれに耳を傾けず、自分達のベンチに向かった。
はい、第6球でした。
本来なら予選に眉村は出ないはずなんですが、まぁ二次創作という事で登場させました。
ではお疲れ様でした。