BanG Dream!~1人ぼっちな2人~完結   作:レイハントン

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こんにちは。

前回は誠に申し訳ありませんでした。今回はちゃんと繋がっています。



11話 気持ち

 放課後。

 

 特にやることはない。

 

 湊に氷川のことを頼んでから約2週間。

 

 ここ最近、氷川はバンド練習のために早く帰っていく。

あこもドラムの技術と湊の幼なじみの今井さんの口利きで無事にバンドに入れたみたいだ。

そこら辺は驚いてないけど、まさか白金までバンドのメンバーに加わるとは。

昔からピアノを弾いてた甲斐があったって、本人も喜んでた。

 

 ボーカルは湊、ギターは氷川、キーボードは白金、ドラムはあこ、そしてベースは今井さんがやるらしいから、これでバンドの完成ってわけだ。

俺が口出ししたのはあこにだけだから対してなにもしてやれなかった。

むしろ俺の出番なんてない方がいい。

 

 ただ1つ面倒なのはネトゲ。

夜にギルド対抗戦あるんだけど、俺1人じゃ大変大変……ってなわけで、暇は確定しているわけだ。

 

 ぼーっと外を眺めていると机の上に置いてあるスマホが震えた。メッセージの送り主は丸山。

 

『これからバンドの練習だからまたあとでね』

 

『はいはい』

 

 ・・・・・あれ?

 

「俺の周りみんなバンド始めすぎじゃね?」

 

 気が付いたらみんなやってんじゃん。

氷川、白金は同じバンド。

丸山、白鷺もアイドルバンド。

 

 松原は最近、花学の異空間と異名を持つ弦巻こころとバンドをやらされているらしい。本人は嫌みたいだけど。

 

 有咲も戸山さん、牛込さんとバンドやるみたいだし。本人否定してるけど、有咲の考えはだいたい裏返しだからバンドをやるんだろう。

 

 それにしても俺の周りはバンドだらけだな。

これはあれか? 俺もこの気に乗じて始めろってことか?

 

「………無理だな」

 

 誰も居ない教室で俺の小さい声だけが響く。

今流行ってるのはガールズバンドだから無理。

 

 話を戻そう。ここ最近で周りの環境はかなり変わった。

特に有咲の交友関係とサボり具合。戸山さん、牛込さんの2人がよく家に練習しに来るようになって休む機会は減った。

ちなみに牛込さんは戸山さんと同じクラスの女の子。黒いショートカットで大人しい子だ。

 

 俺はサボり具合の方が驚いた。

戸山さんと出会ってから休む回数はかなり減ったからばあちゃんも喜んでる。

 

「あ……そう言えばライブがどうとかって言ってたような」

 

 教室の時計を眺めていると、ふと思い出した。

なーんか朝も蔵でライブがどうとか、花園さんがどうとか言ってたな。

ん…ちゃんと花園さんには頭を下げて謝ったよ。

 

「ん?」

 

 背中に視線を感じ後ろに振り向く。後ろのドアの方に花学の生徒が立っていた。

机が邪魔でシューズの色がわからない。

藤紫色の長い髪。マスクをしていて顔がよくわからない。

 

 

 

「あなたが……市ヶ谷彰兎?」

 

 

 

 感情のこもってない声で俺に語りかけてくる女の子。

急に背筋が凍るような感覚に襲われた。額から冷や汗が流れてくる。

金縛りにあったかのように体が動がない。すーっと体が冷えていくのを感じる。

 

 いったいなんなんだ……? あの子は……。

 

「ふふっ……。良いわね…今の居場所」

 

 それだけ言うと女の子は教室を去っていった。去ってからもヒヤッとする感覚は消えない。

 

 それよりも言葉の意味がわからない。

今の居場所? 自分が座っている場所の話しでもなさそうだ。

じゃあいったい………。

 

「今の……居場所?」

 

 俺はしばらくその場で考えこんだ。

 

 

 

 

 

 しばらくして机の上に置きっぱなしだったスマホが震えた。

真っ黒の画面に表示されたのはメッセージ。送り主は意外にも有咲だった。

 

『夜ごはんの食材足りないから買ってきてってばあちゃんが』

 

 そのメッセージの後に買ってきて欲しい物のリストが送られてくる。

リストからして今日の夜ご飯はカレーかシチューみたいだ。

シチューがいいな……。

 

 スマホを手に取り画面のロックを解除した。

正直文字を打つのがめんどくさい。ここは電話でいいや。

 

 某緑色のメッセージアプリで電話をかけると、数秒もしないうちに繋がった。

 

「もしもし?」

 

『なんで電話かけてくんだよ。リスト送ったじゃん』

 

「いやなー。理由聞くのめんどくさくてさー。なんで足りないんだ?」

 

『香澄とりみとおたえの分』

 

 ん? んんん?

なぜに戸山さん、牛込さん、花園さんの分? ・・・・家でご飯食べて帰るのか。納得納得。

 

「なるほどなるほど」

 

『有咲! 彰兎先輩と電話してるの?』

 

『なっ! 近いっつうの!!』

 

『あっくん先輩だー。元気ですか?』

 

『お、おたえまで!』

 

 なんかカオスなことになってるなー。電話の向こう側でいったいどうなってるんだか。

つうか元気ですか? ってなんだよ花園さん……。昨日の夜も会ったじゃん。

 

 電話の向こう側から聞こえてくる楽しそうな会話に、思わず口元が綻ぶ。

あんな楽しそうな有咲はあまり見たことがない。本人は毎日疲れるって言ってるけど、表情は笑ってること自覚ないのか?

 

『あっくん先輩! こだわりのハンバーグ食べたいです』

 

『私も!』

 

『あー! 鬱陶しい!!』

 

 有咲の大きな声が電話から聞こえた最後の声だった。

 

「・・・あっ……切れた。こだわりのハンバーグ?」

 

 なんだ……? こだわりのハンバーグって。わけわからん。

有咲も大変そうだなー。

 

 なんて考えながら買い出しのために教室の戸締まりを確認、鍵を職員室に返して学校を出た。

 

 

 

 

 校門まで歩くとアイツが現れた。正直会いたくない奴だ。

 

「いよっ! アキト、元気にしてたか?!」

 

「うるせぇ。帰れ。鬱陶しい」

 

 羽沢修平。

俺の事件の犯人の手がかり? みたいなことを言いに来たついでにゲームのフレンド交換をしていくというわけわからない奴。

 

「でさー、この間のイベントなんだけどよー」

 

「人の話を聞け。俺はさっきなんて言った?」

 

「人の話を聞け」

 

 キョトンとした表情で言ってくる羽沢にイラつきが増していく。

マジで殴っていいよね?

 

「そこの前だよ」

 

「まーまー。たまには一緒に帰ろうぜー」

 

 うぜぇ………。人の話を聞かない所が一番うぜぇ。

 

 ため息を吐き、1人でスーパーに向かって歩き出す。

ここでも羽沢の鬱陶しさは発揮される。

 

「そう言えばさー。今日のネオファン、ギルド対抗戦だよな?」

 

 ネオファンとはNeo Fantasy Onlineのこと。一部の人はNFOと、どこかのアニメの略称をもろパクりの呼び方する人も居る。

俺はネオファン派。

 

「ギルド対抗戦がどうかしたか?」

 

「いやな~。オレのギルド弱くてさ~」

 

 自分をお前のギルドに入れてくれよみたいな瞳でこっちを見るな。

第一、うちのギルドの参加資格はレベル50以上だ。羽沢がそこまでレベルが高いとは思えない。

 

「お前、レベルいくつだ?」

 

「30」

 

「論外」

 

「なにが?」

 

 45くらいだったらレベル上げ手伝っても良いかなって思うけど、30じゃな………。もう少し自分で頑張ってくださいとしか言えませんな。

残念だけど。

 

「ちぇー。……そう言えばさ、うちのリーダーが言ってたんだけどな。rabbitに会ったらしいぞ」

 

「へー。だから?」

 

「だからってお前な。あの赤い閃光の異名持つrabbitだぞ?! 回避と素早さに全振りしてるようなステータスの持ち主かもしれないんだぞ?!」

 

 あまりの声の大きさに左耳を片手で塞いだ。

 

 あーうるさいうるさい。それに長い上に声が出けぇんだよ。

横に並んで歩いてるのに大声で話かけるか? 普通の人ならしないだろう。普通の人なら。

 

「アキトは会ったことあるのか?」

 

「ない」

 

「出来れば会いたくないよな~」

 

「はいはい、そうですねー」

 

 話を聞き流すように適当に返事を返す。

 

 すると何かを思い出したように大きい声を上げる羽沢。俺は少し距離を取るように1歩右に移動した。

 

「ネオファンのアキトの名前ってなんだ?!」

 

「なんだよ急に……」

 

「いやなー。今度一緒にやろうと思ってさ」

 

「ぐっ……」

 

 それはマズい。非常に非常にマズいぞ。

あれだけ大口叩いてたのに、レベル低いとか洒落にならねぇ………。

ここはメインアカでやるか?

 

 このままだとさらにめんどくさいことになるのは明白。なんとか打開策を考える。

 

「なんかヤベェことでもあるのか?」

 

「いや……別に」

 

「だったら良いだろ?! なっ! なっ!」

 

 どっ、どうする………。

 

「わかったわかった。今日は忙しいからまた今度な」

 

「よっしゃ! 約束だからな!」

 

「はいはい」

 

 仕方ないか………。羽沢に下に見られるよりは遥かにマシだよな~。

 

 若干気分が下がったまま羽沢と買い物のに行く羽目になった。

今度相手するから帰って欲しかったのはここだけの話。

 

 

 

 

 

 

「た…ただいまー」

 

 重たい袋を2つ持ったまま玄関のドアを開けて中に入る。

すると出迎えにばあちゃんではなく、なぜか戸山さんと花園さんが出て来た。

 

「本当に帰って来た……」

 

「有咲のおばあちゃんすごい!!」

 

 ん? いったいなんのことだ?

 

 頭に疑問符を浮かべていると、そそくさと有咲が玄関まで来て買い物の袋を持っていった。

 

「おいおい。重いに荷物持って帰ってきたのに労いの言葉もなしか」

 

「お疲れ様でしたー」

 

「お前な……」

 

 明らかに棒読みだ。ったく可愛げのない妹。

 

「あっくん先輩。お疲れ様です」

 

「彰兎先輩のおかげで、カレーが食べれます!」

 

 戸山さん……花園さん……。なんて良い子なんだ。うちの有咲とは大違い──

 

「で、良いんだっけ?」

 

「ん~。聞いてくるねっ!」

 

 なぜか戸山さんに確認を取る花園さん。聞かれた戸山さんは、一旦リビングに戻っていく。

なにがなんだかわからない俺はただ待つことしか出来なかった。

 

「有咲ー! 彰兎先輩、労ったよ!」

 

「ば、バカ!! それ言うなって!」

 

 は? 久々にあったまきたー。

 

 靴を脱いで家に上がり、リビングに入る。

キッチンで買ったものを袋から取り出している有咲に声を上げた。

 

「有咲ー!!」

 

「うるせぇ!!」

 

「労っておけば問題ないとか言っただろお前!」

 

「なっ……。別にそんなこと言ってねぇ!」

 

「嘘つけ!」

 

「嘘じゃねぇって!」

 

 キッチンを挟んでいがみ合う中、戸山さん達の視線に気付いた俺はふと我に返る。

 

「……ごめん」

 

 無言がこの場を支配する。

 

「これが兄妹喧嘩。初めて見た」

 

 花園さんの一言でこの場の空気が一変した。

 

「喧嘩つうか、言い合いというか………」

 

「いつものやつだよ。いつもの」

 

 後頭部を掻き、俺は1人リビングをあとにした。

 

 悪いことしちまったな。

 

 

 

 

 

 自分の部屋に戻った俺はブレザーをハンガーにかけて、そのままベッドに仰向けに寝ころんだ。

 

 あーマジでやらかした。戸山さん達が居たのに、ついいつものノリで有咲と言い合いに………。

戸山さんと花園さんはともかく牛込さんは怖がってたよな。

 

 つうか有咲だって、わざわざ労いの言葉を戸山さん達に伝えさせる必要なんてなかっただろ。

なんか変な挑発だな。本当に挑発が目的だったのか?

 

「友達急に増えて混乱してんのかな」

 

 それは本人に聞いてみないとわからない。

 

 それと1つ。別に俺も本当に頭にきて言ったわけじゃない。

いっつもバカみたいに口喧嘩してたからその癖でな。

自重しないと…………。

 

 わかってはいるけど、いざ言 われるとやっぱり止められない。

 

「ん……?」

 

 ポケットに入てあるスマホが震え始めた。取り出してみると、画面には氷川紗夜と表示されている。

 

 向こうから電話なんて珍しいな。いつも文字の会話で終わりなのに。

 

 通話ボタンを押して電話に出ると、聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「もしもし。なんか用か?」

 

『ええ。………明日の夕方用事ありますか?』

 

「用事? ん~・・・特にはないけど」

 

『……そう。明日の夕方にライブがあるのだけれど、来ませんか?』

 

 ライブか。・・・・ライブ?

この間白金が加わったばかりなのにもうライブなんだな。

少し飛ばしすぎじゃないか?

 

「ライブには行けるけど、ずいぶん急だな」

 

『ごめんなさい。前から決まって居たのだけれど、話すタイミング逃してしまって』

 

「忙しいのはわかってるよ。……明日の夕方だな?」

 

『ええ。じゃあ……待ってるわね』

 

 電話が切れる。そう思った刹那──

 

「氷川!」

 

 なぜか氷川を呼び止めていた。

 

『なんですか?』

 

「あっ…いや。・・・・練習、頑張れよ」

 

『ええ。ありがとう』

 

 その言葉の直後、電話は切れた。

なんで氷川を呼び止めたのだろう。自分でもわからない。

電話が切れ、トーク画面が映る。

最後にトークしたのは3日前。

 

 この日の放課後先生に呼び出された時。バンドの練習があった氷川は律儀にメッセージを俺に送ってから練習に向かったようだ。

 

『練習に行くので先に帰ります』

 

 メッセージに俺は『わかった』とだけ返して終わっている。

 

「……どうしたんだろ……俺」

 

 今の俺に理由がわかるはずもなかった。

 

 

 

 

 

 ライブ当日。

 

 約束通り、俺は氷川達がライブをするライブハウスへとやってきた。

ライブ当日とだけあって、外にはお客さんが結構居る。数人で来ていたり、1人で来ていたりとグループはバラバラだ。

お客さんが沢山居る中、一目であこと白金とわかる人物。一緒に居るのは見かけたことがない人。

 

 もしかしてあの人が………。

 

 2人の元に向かうと、こっちに気付いたのかこっちに手を振ってくるあこ。

 

「お兄ちゃん! 来てくれたの?!」

 

「もちろん。元気そう……ではないか」

 

 白金に視線を向けるといつもと顔色が違うことに気付いた。

ライブには沢山の人が来る。人ごみが苦手の白金にとっては拷問みたいだな。

 

「君が市ヶ谷君? で良いんだよね?」

 

「あなたが今井さんですか。話は氷川とあこから聞いてます」

 

「堅いな~。同い年なんだしタメでいいよ♪」

 

「んじゃあそうさせてもらうよ」

 

 すごいフレンドリーな人だな。

アイツを思い出すわ………。

 

 ふと頭に浮かんできたのは馴れ馴れしいバカ。いつどこから現れるか謎な神出鬼没な奴だ。

 

「それより! ほらりんりん、このボード見て元気出して! あこ達のバンド名だよっ!」

 

「Roselia……そっか。友希那、色々考えてたけどこれにしたんだ~」

 

 ボードを見ると確かにRoseliaと書かれている。

 

 名前の意味はわからないけど薔薇みたいな名前だな。確か薔薇は英語でrose。じゃあliaは?

 

「よーしっ! Roselia初ライブ!! 行くぞー! おーーっ!」

 

 1人盛り上がるあこ。白金は当然だとしても、意外にそのノリについていけない今井さん。

もしかしてあこみたいなノリは苦手なタイプ?

 

「……って、えっ? りんりんだけじゃなくて、リサ姉も緊張……」

 

「し……っ! してない、してないよ~。ダンスの大会でも、一緒にステージ出てるじゃん? あははは………」

 

 いやいや。緊張してるじゃん。

むしろこういう時って一番年下が緊張するものじゃないのか? あこには関係ないか………。

その緊張しない能力を他の人にわけてあげろよ。

 

 スマホで時間を確認すると、ライブが始まる15分くらい前だった。

 

「そろそろ行った方が良いんじゃね? 遅れると氷川が面倒だぞ」

 

「本当だー。ほらほら行くよー!」

 

「じゃあ行ってくるねお兄ちゃん!」

 

「頑張れよー。白金もあんまり思いつめるなよ?」

 

「………うん。ありがとう………」

 

 3人の背中を見送り、ふと3人のことが心配になった。

 

 時間ぎりぎりって大丈夫か? 氷川のことだし、1分20秒遅刻とか言ってそう。

ちなみに俺は30秒の遅刻で怒られました。

 

 とりあえずライブハウスの中に入るために扉をくぐる。

受付でチケットを買ってライブ会場へと向かった。

 

 氷川達の出番は結構あとだ。他のバンドはどんな感じなのかな。

 

 

 

 

 

 

 ライブが始まって約20分程度。

予想以上にライブは盛り上がっている。特にRoseliaが出てきた時は耳がどうにかなるんじゃないかと思う程。

 

「ラスト、聴いてください。『BLACK SHOUT』」

 

 特に湊の人気がすごい。曲名言っただけだぞ?

 

「友希那ーー!!」

 

 言い方とかは嫌いだけど、湊の人気は正直すごいと思う。

改めて 湊友希那という人間が注目されているのかわかった。

 

 BLACK SHOUT……思った感じと違う。全部湊1人で歌うのかと思っていたら、意外にも他のメンバーの声も聞こえてくる。

 

 叶えたい夢。勝ち取れ今すぐに……このままバンドが有名になってコンテストで上位3位以内に入れば、氷川の……夢が───。

 

「また……会ったね」

 

 耳元で囁くように聞こえた声。その瞬間──あの時と同じ背筋が凍るような感覚に襲われた。

振り返ろうと首を動かすが、背中に何かを突きつけられ一旦動きを止める。

 

「こっち見ちゃダメ……あなたの大切な人でも見ていて」

 

「大切な…人? 氷川のことか……?」

 

「あら……わかってるのね。面白くない人」

 

 突きつけられている物が俺の背中に強く押し付けられる。

これだけ力が加わっているのに刺さらないということは、少なくともナイフのような鋭利な刃物ではない。

鋭利な刃物以外にも危険な物は沢山ある。警戒はしないと。

 

「ねぇ……好きなの?」

 

「なにをだ?」

 

「決まってるじゃない・・・氷川紗夜様のことよ。とぼけるとビリビリさせちゃうから」

 

 ビリビリ? ………コイツが背中に当ててるのはスタンガンか?

そんな物で痺れさせたって、この人数だ。誰か1人くらい見てるはず。

現行犯で逮捕だ。

 

「みーんな紗夜様が居るバンドに夢中……。見てる人なんて皆無よ」

 

「………っ?!」

 

 俺の心を……読んだ?

 

「答えて。紗夜様のことをどう思ってるか」

 

 どう思ってるか……? そんなもん決まって──

 

 あれ? 俺は氷川のことを……どう思ってるんだ?

 

 

 

 前ならすぐに友達と言えたのに……今はそう思えない。

 

 

 

 自分の気持ちがよくわからなかった。

 

 




羽沢修平 17歳 

一人称はオレ。羽沢つぐみの兄で友希那とリサの幼なじみでもある。活発で元気なバカ。声が大きくいつも注意される(本人は直す気はない)。ゲーム好きだが、なぜかあことは気が合わない。そのためあう度に喧嘩をしている。あこの話相手が彰兎とは気付いていない。

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