BanG Dream!~1人ぼっちな2人~完結   作:レイハントン

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バンドリ1周年おめでとう!


BanG Dream! ガールズバンドパーティー 1周年記念回

 夜。

 

 みんなはいきなり豪華客船に乗せられて目の前に変な格好をした怪盗と名乗る人が2人現れたらどうする?

俺はどうしようもないから、回れ右して帰りたい。

 

「私の名は……怪盗ハロハッピー!」

 

「オレの名は、怪盗ハロハッピー3世!」

 

 1つ上の階から名乗る2人。

それを見る俺達、総勢25人。

 

 名前ダサいとか思っちゃた人は俺と一緒だな。

 

 片方は金色の豪華な装飾が施された黒いスーツのような服に紫色の長い髪がハットから見えている。

 

 もう片方は金色の豪華な装飾が施された白いスーツのような服に茶色の短髪にハット。

どっからどう見てもアイツだ。

 

「なにしてんだよ修平ー」

 

「修平? 誰のことだね」

 

「お前だよお前。揃って変な格好して恥ずかしくないのか?」

 

「変?! 貴様! その言葉後悔させてやるからなっ!」

 

 なんだアイツ。演技下手くそかよ。すぐに自分出してんじゃん。

隣の人を見てみろー。スルーして格好つけてるぞ。

なかなかな強者だな。

 

「まぁ落ち着きたまえハロハッピー3世。早く終わらせよう」

 

 ん? よく見たら足震えてるような………。

 

「薫は高い所苦手なのよ」

 

 ちょうど右隣に居た白鷺が俺の疑問に答えてくれた。

口に出して言ってはないんだけどな。

 

「マジでかー。なんであれ引き受けたんだ?」

 

「さぁー」

 

 なぜこうなったのかは時間を遡る必要がある。

豪華客船に乗る1日前。

 

 

 

 

 

 

 

「やっと学校終わった~」

 

 帰りのホームルームが終わり帰る人も居れば、部活に行く人も居る中、机にうなだれる俺。

今日はいつも以上に頑張ったから疲れが……な?

 

 早く帰ってネトゲでもやるか。

今日から新イベント始まるし、ちょうどいいや。

 

「よし。帰……れないじゃん」

 

 鞄を持って立ち上がると、目の前に腕を組んで立っている氷川。

そう言えば今日は放課後氷川と出かける約束してたな。

あははは………忘れてたわけじゃないんやで?

 

「わ、忘れてないからな?」

 

「まだ何も言ってないです」

 

「そ、そうだよな~。早とちりしちまったよ~」

 

 すると氷川はニコッと笑顔を見せると、急に声のトーンを変えて話始めた。

 

「謝罪は?」

 

「わ、悪い……。次は忘れないようにするよ」

 

「そう。なら、早く行きましょう」

 

「はいよ~」

 

 氷川の尻に敷かれてるような気がするのは気のせいだろうか。

いいや……これ以上はやめておこう。

 

 鞄を持った氷川と一緒に教室を出ると、俺達の前を横切る黄色い髪の女の子。

反対側のドア付近まで行くと急停止して、振り返る。

 

「やっと見つけたわ! 探したんだから!」

 

「ど、どうした弦巻……」

 

 花学の異空間の異名を持つ女の子、弦巻こころ。ガールズバンドハローハッピー、ワールド!のボーカル。

パフォーマンスには毎回驚かされる。だってバック転したりするんだぞ? 驚かない方がおかしいだろ。

 

「彰兎と紗夜にも……これ、渡しておくわね♪」

 

 そう言って俺と氷川に渡してきたのは白い便箋。表面には招待券とデカデカと書かれている。

 

「なんの招待──」

 

「じゃあ他に回る所があるから行くわね!」

 

「っておいおい! ……行っちゃったよ……」

 

 いつも急に現れて、すーぐどっか行っちゃうんだよなー。楽しいこと探しっていうのをやってるみたいだけど、いったいなんなのかはさっぱりわからん。

 

「相変わらず騒がしい人ね」

 

「だな。ハロパピのメンバーを尊敬しちゃうよ全く」

 

 そう言いながら便箋を開けて中身を取り出す。中に入っていたのは1枚の紙。

 

「えっと……あなた達を豪華客船に招待・・・しか書いてない」

 

「豪華客船?」

 

「あのデカい船のことだよな。まぁ弦巻家にあっても不思議じゃねぇな」

 

「相当お金持ちらしいわね」

 

「みたいだな」

 

 弦巻家は日本の経済の半分は締めてるんじゃないかってくらい金持ちだ。

友達の誕生日に敷地内にソフトボール用のバッティングセンターなんて建てるか? 普通。

それに寒いからって温泉まで作ったらしいぞ。

 

「あ! 市ヶ谷君と氷川さんもそれ貰ったんだ」

 

 ちょうど現れたのは同じ便箋を持った丸山、白鷺、松原。

どうやら俺達だけじゃないらしい。

どういうメンバー抜粋なのかは謎だが。

花学の2年生だけを誘ってるだけじゃないよな?

 

「これ、いったいなんなのかしらね」

 

「豪華客船ってことは、スッゴく大きいのかな?」

 

「私、一度乗ったことあるよ」

 

「マジか松原」

 

 同じバンドのメンバーだし乗ったことがあっても不思議じゃないか。むしろどういう経緯で乗ったのかは知りたいところだけど、今はこっちの方が先決だ。

 

「あれ……? みんなも……それ、貰ったの?」

 

 後ろから声が聞こえ振り返ると、白金が俺達と同じ便箋を持っていた。

白金まで誘われてるってことは、もしかして花学全員とかじゃないよな? いくらなんでも規模がデカすぎる。

 

「本人に聞きたいところだけど、この学校に居ると思うか?」

 

「居ないと思います」

 

「こころちゃん、好奇心旺盛だから居ないと思うよ?」

 

「彩ちゃんの言うとおりね」

 

 こりゃあ明日になってみないとわからんぞ。

本人に聞けないって、普通こんなことないと思うけど。弦巻の場合はこれが基本だから、あまり気にしない。

 

「せっかくだし、みんなでどっか行くか?」

 

「そうですね。私も皆さんとは一度話してみたいと思っていたので」

 

 氷川は俺と話す時以外は基本敬語で話す。最近聞かないから忘れてた。

 

「それ良いね♪」

 

「ここは市ヶ谷君が全額負担ってことで」

 

「ポテトで大丈夫よ」

 

「はぁ?! お前達は鬼か?!」

 

 自分含めて6人って………俺の財布空っぽになるぞ?

今月何にも出来なくなるだろ。それだけは避けたい。

 

「千聖ちゃん…さすがにそれは悪いよ」

 

「わたしも……それはちょっと……」

 

 優しいのは松原と白金だけか。

氷川なんてさりげにポテト要求してるからな? ホント、姉妹揃ってジャンクフード好きだよな~。

それは置いといて………。

 

「しゃあない。ファミレスの安いやつで我慢しろよ?」

 

「では、早速行きましょう」

 

 おいおい……。目が輝いてんぞ氷川。

 

 好きな物には人間逆らえないんだな~ってことを改めて認識した。

 

 

 

 

 って言うのが招待状を貰った経緯。その後は、みんな弦巻家に一旦集まって豪華客船が停泊している港に移動した。

まさか5バンド全員に声かけてるとは………27人って多いな。男2人しか居ないから肩身が狭いよ全く。

 

 豪華客船に乗って少し各々看板を散策してたら怪盗ハロハッピーなる怪しい奴が現れたってことだ。

 

 さぁ、話を続けようか。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、今から始まるルールを説明しようか」

 

「ルールは簡単! 考えて答えるだけの2つ!」

 

「先生ー全く意味がわかりませーん」

 

「こら! ダメだぞ~市ヶ谷君。先生の話はちゃんと聞かないとー。って、おい!」

 

 おいって、お前が勝手に乗って来たんだろ………。

アイツたまに人のせいにするよな。

今の俺のどこに悪い要素があるんだよ。皆無だろ?

 

「今から私達はこの豪華客船の中を逃げ回る。捕まえた人には豪華景品を送ろう」

 

「毛ガニ1年分だ!」

 

 修……ハロハッピー3世は指を1つ立てて言う。

つうか毛ガニ1年分って……食い飽きるから要らんわ。

カニって言うのはたまに食べるから美味しいんだよ。毎日食ってみろ、カニなんてもう要らないって思えるから。

 

「カニよりお肉の方がいい」

 

「おたえ……そういう問題じゃないと思う」

 

 花園さんの言葉に思わず山吹さんがツッコむ。確かにお肉とか言う問題じゃないんだよ。

 

「じゃあ毛ガニ貰って、街のみんなに配るのはどうかな?!」

 

「はぐみ! それだわ!」

 

「いやちょっと……。いきなり毛ガニ貰っても困るだけだからやめておこう」

 

 弦巻と北沢さんの会話に思わず奥沢さんもツッコんでしまう。ここは漫才大会か何かか?

 

「じゃああたしは~さーやの家のパン1年分がいいな~」

 

「モカ。それ以上は話が進まないからやめよう」

 

 ナイスだ美竹さん。このままだとホントに話が進まない。

 

 ようやくボケ祭りが終わった。結局なにが景品なのかはよくわからん。

 

「じゃあ……初めようか」

 

 そう言うと辺りが一瞬で暗くなった。

 

「なに?!」

 

「急に暗くなったけど!!」

 

「きゃっ?!」

 

「市ヶ谷君、どこ触ってるの?」

 

「なっ?! 白鷺、お前?!」

 

 夜の暗さと明かりのない暗さにパニックになるみんな。中でも白鷺は余裕があるのか、ありもしないことを言ってきた。

この状況でも楽しんでるな~白鷺。

マジで迷惑だけど。

 

 少しすると辺りが明るくなった。

 

「なんだ今のは………」

 

「市ヶ谷くん? 白鷺さんに何をしたの?」

 

「何もしてねぇよ」

 

「最低ね。いっそのこと地獄に落ちた方がいいわね」

 

「あー? 地獄に落ちるのはそっちだろ?」

 

 こういう時に突っかかってくるのはやはりコイツ、湊友希那だ。

みんな平常運転だなおい。

 

 俺の隣でキョロキョロと周りを見る白鷺。

 

「花音は?」

 

「え? 松原居ないのか?」

 

「さっきまで隣に居たわ」

 

 今度は戸山さんが辺りをキョロキョロ見始めた。

 

「あれ? さーやは?」

 

「なに?! 山吹さんも居ないのか?」

 

 

「なかなかの手際わね」

 

「いやいや、関心してる場合じゃないだろ氷川」

 

 あの数数分でよく誘拐出来たな。

さて、ここからどうするか………。真面目にツッコんでも始まらないし、ここは今の状況を楽しみますか。

 

「じゃあとりあえず探すか。何かいい考えある人ー」

 

「纏まって探しても意味はないと思います。なので別れて探すのはどうでしょう」

 

「そうね。氷川さんの意見に賛成よ」

 

「そうだね♪ 別れた方が早いよね」

 

 他のみんなは何にも言わないみたいだ。探す方法はこれで決まりかな。

次はチーム分けしないとか。ここは簡単に分ける方法は……。

 

「そんじゃ、学校で別れて、さらに学年ごとで別れよう。そうすれば4チーム作れるだろ?」

 

「あなたにしてはいい考えね」

 

「お前バカにしてるだろそれ」

 

 

 

 

 

 

 チームは花学1年生チームの山吹さんを除いたポピパのメンバーと弦巻、奥沢さん、北沢さん、若宮さん。

 

 羽学1年生チームのアフグロとあこ。もはやアフグロである。

 

 羽学2年生チームの湊、今井、氷川日菜、大和さん。

 

 花学の2年生チームの氷川、白鷺、丸山、白金、俺。

 

 さて…どんな事が起こるのやら。

 

 

 

 

 

 俺達は船内に入って散策を始めた。

普通の豪華客船なのにやってることは普通じゃないな。

 

「チームに分けたはいいけど、あてはあるの?」

 

「さぁな。そのうち見つかるんじゃね?」

 

「そんな適当で……大丈夫なの……? 松原さんと山吹さん……捕まっちゃったのに……」

 

「焦っても仕方ないし、どうせどっかの部屋でくつろいでるだろ」

 

 これは弦巻が用意したサプライズかと思ったこど、本人普通に楽しんじゃってるからその線はないかも。

怪盗ハロハッピーの2人が用意したものでもなさそうだ。この規模で2人はさすがにないと思う。

となると、弦巻家が用意したのか?

 

 ちょうど曲がり角を曲がると、数メートル先にハロハッピー3世が立っていた。

 

「待ちくたびれたぞ諸君!」

 

「なんだ大人しく捕まりに来たのか?」

 

「そんな訳あるか! お前達にはこの問題を解いてもらう!!」

 

 すると、上からボードが降りてきた。そこには文字と月が湖に沈むような絵が書かれていた。 

 

 いったいどっから降りてきたというツッコミを入れたいのを我慢して、ボードに書かれている文字を読む。

 

 つきはつきでも終わらないつきは?

 

「・・・・問題っていうかなぞなぞじゃねぇか!」

 

「なぞなぞ? 君は何を言ってるのかね?」

 

 コイツ………。

 

「さて、ここでルール説明だ! 至ってシンプル! 答えられるのは3回。みんなよく考えるように!」

 

 ホントにシンプルだな。

………えーと。終わりのない月かー。終わりのない月……終わりのない月。

 

「あっ、市ヶ谷彰兎! 君は知識豊富だから答えられるのは、全部で3回だ! 回答権の1回に数えられるからな!」

 

「全部で3回? どういう意味だそれ」

 

「あと2回は現れるってことだ」

 

 なるほどなるほど。逆に3回しか来ないのかよ。

 

 ということは各問題で俺が答えられる回数は1回。それに氷川達が持つ回答権に数えられる。配分的には俺が1回。氷川達が2回ってところか。

 

「終わりのない月ですか………」

 

「月ってことは満月とかのことじゃない?」

 

「どうしからね。つきっていろんな言葉があると思うの」

 

「夜に見える…月とか……1月とかの月……とか」

 

 どっちの月に関しては終わりがあるな。

でも、夜に出てくる月は終わりが……ない。でも、そんな単純な答えか? 仮にもなぞなぞだぞ?

 

「市ヶ谷くん。何か思い浮かびましたか?」

 

「ん~夜に出てくる月はない──」

 

「月!」

 

「ブー! はいざんねーん!」

 

「おいおい……今、夜の月はないって言っただろ丸山」

 

 全く………。さて、ここからどうするか。

 

「ヒントとか……ないんでしょうか………?」

 

「ヒント? 仕方ないなー。ここは可愛い燐子ちゃんに免じてヒントだ! 本とアニメ」

 

 可愛いってお前な………。余計なことではないけど、そんなこと言ったら白金が………。

 

「え……? そ、そんなこと……」

 

 顔を真っ赤にしてうろたえる白金。これで1人は脱落したようなものか。

全く……余計なことをしてくれるじゃねぇか。

………ヒントは本とアニメ。本とアニメ………。

 

 ・・・・・あ。思い出した。

 

「氷川……小学生の頃に俺が見せたなぞなぞの本覚えてるか?」

 

「なぞなぞの本? ………もしかして」

 

 顎に手を当てて考える氷川。

少しすると口を開いた。

 

「つづき」

 

「なんと! 正解だ!」

 

「やったー♪」

 

「これで前に進めるわね」

 

 正解出せたのは良いけど、この問題かなり捻らないと答え出てこないんじゃねぇか?

なんとなーく覚えてたのが幸いだったな。

氷川が覚えてたのは意外だけど。

 

 正解について話す氷川、丸山、白鷺。それを眺めるように立っていると、いつの間にかハロハッピー3世の姿はなかった。というか忘れてた。

 

「次も……なぞなぞかな……?」

 

「さぁな。進んでみないとなんとも言えないけど、次も簡単だといいな」

 

「………うん。そう……だね」

 

「2人共。早く先に進みましょう」

 

 氷川に声をかけられ先に進もうと歩き始めたが、俺はふと後ろに振り返る。

すると、さっき曲がった角に黒い服が一瞬見えた。

 

 誰かが見ていた。でも誰だ?

 

「市ヶ谷くん?」

 

「悪い。先に行っててくれ」

 

「え? どこに行くの?!」

 

 俺は1人、一瞬見えた黒い服の人を追うために氷川達とは反対方向へと走った。

 

 角を曲がると、俺を待ち構えていたかのようにハロハッピーが不適な笑顔を浮かべて立っている。

姿を確認出来たからか、背を向けて再び走りだす!

 

「待て! って待つわけないか」

 

 文句を言いつつ追いかける。曲がり角を右へ左へ曲がって行くのを見失わないように必死に食らいつく。

もう自分でもどこにいるのかはわからない。しばらく追いかけると、大きな扉の中へと入る。

 

「はぁ…はぁ…。なんだここ」

 

 息を切らしながら扉を開けて中に入る。目の前には大きなホール。真ん中の奥にあるステージを囲うように大量の椅子が並んでいる。

そのステージの真ん中にはハロハッピーが堂々と立っていた。

 

「君とは……前から少し話したかったんだ」 

 

「話? どうして俺と」

 

「千聖から君の話を聞く度に興味が湧いてね。……質問だ。氷川紗夜と君の妹。どっちかしか助からない時、君は……どうする?」

 

「どっちかしか……?」

 

 なんだその質問。………そんなこと決まってるだろ。

 

「どっちも助ける」

 

 俺にこれ意外の選択肢はない。

 

「……人の話を聞いていたかい?」

 

「ああ。家族と友達を天秤になんてかけられない。どんなことをしてでも助ける。傲慢とか偽善だと言われても。それが俺の答えだ」

 

「ふふっ。そうかい。面白いね……君は」

 

 するとホールの扉が開き、顔を出したのは氷川だった。

 

「……なんで来た?」

 

「あなたが血相変えて出て行くからよ」

 

「役者は揃った………」

 

 ハロハッピーは指をパチンと鳴らす。ステージ上の床が開き下からボードが現れた。

 

 1=2  7=3

 2=5  8=7

 3=5  9=6

 4=4  

 5=5  

 

 今の場所じゃ正確に見えない。

近くまで歩き、よくボードを見ると紙にただ数字が並べられているだけ。パッと見て法則性が見つからない。

 

 な、なんじゃこりゃ……。これが問題?

 

「どんな法則性があるか……考えてみたまえ」

 

「制限時間はあるんですか?」

 

「15分だ。それ以上は待てない」

 

「わかった」

 

 こりゃあ全神経集中しないとキツいな。………俺は頭良い方じゃないから厳しい。

15分で正解出来るか………。

 

 かけ算でもない……倍数でもない。公倍数? いや違うか。

 

「市ヶ谷君……」

 

「大丈夫。必ず答えを見つける」

 

「ええ。あなたならきっと」

 

 

 

 

 

 

「さぁ……残り時間も少ないぞ」

 

「残り……5分です」

 

「わかってる……わかってるけど」

 

 考えれば考える程答えが見えてこない。他に考えてない可能性は……。

これだけ考えても出てこないってことは、俺じゃ無理か?

でも、アイツに負けたと思うとなんか悔しいな………。

 

 頭をポリポリかきながら、何かないかと考える。

ここでパッと閃めけるなら俺もまだまだ捨てたもんじゃないって思えるけど、現実はそうとは限らない。

こうして10分間何も思いつかないわけだし。

 

「1度ボードに書いてみるわ」

 

「書いてどうするんだ? そんなんで解けたら苦労しないって」

 

「やれることは全部やった方がいいでしょう?」

 

「まぁ……な」

 

 いつも常備している黒い色のボールペンを氷川に渡した。

受け取るとボードに貼り付けられた紙に、数字の1から書き始める。

 

 1……2……3……4……5……ん? ん?

 

 9まで書くと一旦書くのを止めて後ろに下がる。

 

「どうですか?」

 

「………待てよ。・・・・っ!」

 

「市ヶ──」

 

 とっさに俺は氷川の両腕を掴んで自分側に引き寄せ、顔をジッと見つめ始めた。

 

「え?! い、市ヶ谷くん?!」

 

「ほぉー。なかなか大胆だね」

 

「氷川! もう1回数字書いてくれ!」

 

「え、ええ……」

 

 手を放し、顔を赤くしながら氷川は数字を1から書き始める。

1……2……3……4。ここだ。

氷川の獲得4は上の方の間が空いている。デジタル表示の4のように。

 

 そうだ……デジタル表示!

 

 俺は氷川からペンを奪いとって髪にデジタル表示のように数字を書いていく。

 

「1……2……3……4……5……」

 

「市ヶ谷くん? どうして棒で並べたように数字を書いているの?」

 

「これが答えだからだ。1はデジタル表示で2……2は5。3も5……繋がった!!」

 

 9まで書き終え、ボードをハロハッピーの方へと向けた。

 

「右は普通の数字。左の数字はデジタル表示した時の画数。これなら納得がいく!」

 

「…………正解だ。おめでとう」

 

 パチパチと小さい拍手がホール内に鳴り響く。

 

「終わった……」

 

 大きくため息を吐いて肩を軽く回す。

答えがわかれば、もっとよく考えれば良かったと後悔が残る。

正直氷川が居なかったらわからなかった。

借りが出来たか。

 

「ちょうど他の所も終わったみたいだ。これから食事会場でパーティーだが、君はどうする?」

 

「頭使い過ぎたからここで休憩する」

 

「そうか。なら、30分くらいしたら呼びに来よう」

 

「助かるよ」

 

 そう言ってステージの淵に座ると、足音が遠ざかってゆく。扉から去ったのを足音で判別して、両手を広げてステージの上に寝転がった。

 

 疲れた………。

 

「お疲れ様」

 

「うわっ……?! って残ったのか」

 

「ダメかしら?」

 

「別に。………さっきは助かった。ありがとな」

 

 手を伸ばした所で届くはずもない天井を見上げながらさっきのお礼を氷川に伝えた。

すると、クスッと笑い声が聞こえてくる。そこまでおかしなことは言ってないと思うんだけどな。

それでも氷川にとっては面白かったんだろう。

 

「あんな考えてる市ヶ谷くんは初めて見るわ」

 

「そうか? 割と考えてるぞ?」

 

「本当? そうは見えないけど」

 

 信用ねぇのな~俺。

普段から真面目に生きてるつもりなんだけど。どうやらそれは周りには伝わっていないみたいだ。

………いや。少なくても氷川には…伝わってるはずだ。そう信じたい。

 

 自分達でも気付かないうちにお互いの手を握って、呼びに来る間ぼーっと過ごした。

 

 

 俺にはこのくらいがちょうどいい──。

 





 BanG Dream! ガールズバンドパーティー!

 一周年おめでとうございます!
ガチャ当たらないけど、ほどほどに頑張っていきます!
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