BanG Dream!~1人ぼっちな2人~完結   作:レイハントン

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こんにちは~

さて今回は紗夜さんと主人公のお話。主人公が紗夜さんのことをどう思っているのか注目です!




2話 嘘

「起きろ有咲ー」

 

「うるせぇ」

 

 そんな大きい声で起こしたわけじゃないのにううるさいとは失敬な。

起きないことをわかっていても起こしてるんだぞ?

毎日起こしてもらえること事態感謝してほしいものだ。

 

「昨日行かなかったんだから今日くらい行けよな」

 

「えー…じゃあ代わりに兄貴が行けよ」

 

「いやいや。まず学年違うし。男だし」

 

「使えねぇー」

 

 使えねぇとはどういうことだコラ。

頼んでおいて使えないでひと斬りかお前は。ずいぶん冷たい妹さんだこと。

誰に似たんだか。

 

「行かないと言うならば、この動画を1年生に広めてやろうか?」

 

 スマホをポチポチいじって、布団を被っている有咲に向けて大音量で流した。

 

『ほ~ら利根川~お水だよ~♪』

 

『ま、マジか………』

 

 俺の声が入っているが対した問題にはならない。

 

「ば、バカ! つうかなんで撮ってるんだよ!!」

 

 なかなか動かない妹が素早く布団から起き上がってきた。

動画1つでこうなるか。どこまで動くか試してみたくなるじゃないかー。

 

「広めてほしくなければ大人しく学校へ行くんだ有咲」

 

「………はぁー。マジで有り得ねー」

 

 脅すに近い…脅してるけどこれだけで学校に行ってくれるのなら良い方だ。

悪いことしてるけどな。

 

「こんなやり方してる立場で言えないけどさ。有咲は頭良いし、やれば出来るんだからやらなきゃ損だろ?」

 

「………まぁ確かに。兄貴よりは」

 

 おっと………。

 

「学校に行くってのは出来て当たり前なことなんだ。当たり前なことが出来い程、お前はアホじゃないんだからさ」

 

 それだけ言い残して俺は有咲の部屋をあとにした。

 

 さっきの言葉が有咲にどう響くかはわからないけど、いざって時は頑張るのを俺は知ってる。

小さい頃はよくピアノ頑張ってたし。

中学受験で辞めたみたいだけど。いつか有咲のピアノ、聴いてみたいな。

 

 身支度は有咲の部屋に行く前に全て済ませてた俺はすぐに家を出た。

今日もギリギリに着きそうだよ………。

 

 

 

 

 

 

「なっ………」

 

 俺は少し驚いている。

こんなことが今までにあったのは数回程度。

その数回が今日訪れてしまったのか。はたまたやむ得ない事情があるのか。

それを知るのは本人のみ。

 

 ってな訳で俺は今現在氷川が待ち合わせ場所に来るのを待っている状況だ。

 

「事故にでもあったか? いやいやさすがに考え過ぎだよな………」

 

 そこまで心配する必要があるのかと言われると、そうだなと言ってしまうところだろう。

稀に見ることだから正直心配だ。

 

 連絡してみようとスマホを出すと視界の端に水色の長い髪が入った。

 

「すいません。遅れました」

 

 肩を上下させながら謝ってくる氷川。

よっぽど急いでたんだろう。

 

「お、おう。俺も来たのギリギリだから大丈夫だ」

 

「そうですか」

 

 ホッとしたのか安堵の息を漏らした。

額から流れる汗がなんだかい色っぽい。じっと見つめていると

バレるので、すぐに視線を逸らした。

 

 逸らす瞬間氷川の制服の袖にある物が付いてることに気付いた。

 

 犬…? 猫…? の毛?

ん? なぜ?

 

「氷川。袖に毛付いてるぞ?」

 

「あっ本当………」

 

「犬か猫でも触ったのか?」

 

「来る途中に近所の犬を撫でて来たので」

 

 へぇーそうなのか。近所で犬をね………。

氷川は犬が好きなことを家族には隠してるって言ってた。

まぁ…バレてるとは思うけど。俺も隠してること有咲にバレてるし。

それを踏まえても家の近くで犬を触るなんてリスクを負うような事をするか?

そこまで氷川はアホじゃない。

 

「なるほど。遅刻したのはそれが理由か?」

 

「………ええ。ごめんなさい」

 

「良いって良いって。俺も来るのギリギリだったし」

 

 それで俺が納得すると思ってるなら甘いぞ氷川。なんか裏がありそうだな………。

少し観察しますかね。

 

 

 

 

 1時間目。歴史。

 

 ん~いつもと氷川の様子が違うな。

なんかこう…そわそわしてる? 落ち着きがない? って感じだ。

一体どうしたんだか。らしくもない。

 

「じゃあこの問題を・・・市ヶ谷くん。わかる?」

 

「・・・・わかりませーん」

 

「ちゃんと考えました?」

 

「もちろんです」

 

 今はそれどころじゃないんですよ先生。

絶対に授業の方が大事だと思うけど、氷川になにかあってからでは遅い。

 

 この後も授業に身が入ることはほとんどなかったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 休み時間。

次の授業の準備を済ませ、教室の天井を見上げて考えていた。

 

 ん~………考え過ぎなのかなー。

結局あの後は真面目にノートに書き写してたし。

まぁ人間誰しも楽しみがある。それで早く帰りたいとかか?

なんにしてもヤバそうな問題ではなさそうだしここら辺で引いときますかね。

 

「あの…市ヶ谷君」

 

 後ろから聞き慣れたか細い声が聞こえてきた。

振り返ると去年仲良くなった白金燐子がスマホを両手に立っていた。

 

「ん? 俺に用か?」

 

「うん…これなんだけど」

 

 スマホを俺に差し出してきたのを受け取り画面を見た。

どうやらネットゲームの攻略サイトらしい。

これは俺もハマってずっとやっているネトゲだ。やりたいがために高1の時にバイトしまくった経験がある。

ちなみにこの話を氷川にしたら呆れられた。

 

「昨日新しく出た敵なんだけど…もう倒した?」

 

「あーまー…一応」

 

「本当?! 倒したって言ってる人そんなに居なかったのに」

 

 新しく出た敵の情報はそんな早く出ないからな。

情報集めるために何度も戦って弱点とかを探す人も居るみたいだけど、俺は自分で見つけるのが好きだから攻略サイトはあんまり見ない。

それに昨日の奴は弱点さえわかれば案外あっさり倒せたりする。

 

「体力が残り半分以下になると、回避不可能の状態逆転フィールドみたいなのを張ってくる。だから半分切る前に相手の防御力と攻撃力を上げて、逆に自分達にはデバフをかければ倒せる」

 

「そうなんだ。よく見つけたね」

 

「たまたまだって。試しに1回やったらわかっただけだし」

 

 実際そうだからそれ以外の説明が出来ない。

これじゃあうざい奴みたいで嫌だな。

 

「ありがとう。今日試してみるね」

 

「おう」

 

 用事が済んだのか白金は自分の席に戻っていった。

 

 教室ではほとんど話さない白金だけど、趣味がネトゲとかみんな思わないだろうな~。

俺も知った時は驚いたよ。

不思議なのは、教室で女子と話さない白金が男の俺と仲良くしてるって点だ。

ネトゲ繋がりはわかるけど、わざわざ正体明かしてきたりするもんかな?

まぁこの話は暇な時にでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼休み。屋上

 

 俺は今なかなかのピンチだ。

まさに嵐が俺の頭上を通過するどころか停滞してる。

心の準備は全くしてなかった俺は雨風に晒されている状況だ。

 

 目の前には憎たらしい我が妹──有咲。

なぜかジト目で俺を見てくる。

要件は正直わかっている。今朝の件だろう。

 

 だがしかし。俺はすっかり忘れていた。それを激怒プンプン丸な妹に言ったって意味がない。

氷川は見てみぬ振りなのかずっと小説読んでる。助けてはくれないのな………。

 

「なんでしょうか」

 

「なんでしょうかじゃねぇ! 朝の動画は消したの?!」

 

「あー消した消したー」

 

 すっかり忘れてたなんて言えない。

とりあえず今は誤魔化すのが先決か。はたまた今消して事を収めるのが大事か。

 

「じゃあ見せろ」

 

「…仕方ねぇな」

 

 スマホを出して急いで動画を削除。画面を有咲に見せると、俺からスマホを取り上げ確認を始めた。

疑い深いんだから………。

 

「ふーん」

 

「な? 消してあるだろ?」 

 

「今消したとかじゃねぇよな?」

 

「もちろん」

 

 スマホを乱暴に返してきたのを受け取ると、有咲は屋上を出ていった。

 

 嵐が通り過ぎたか。

 

「妹さん。大変そうですね」

 

「まぁな~。でも最近はマシな方だよ」

 

「そうですか」

 

 この際だからと言って氷川には妹のことを聞けない。

言ってなかったけど、氷川は双子の妹─氷川日菜が居る。会ったのは数回だけど氷川とは対照的で活発な子だ。

会って数回で俺のことを彰兎と呼び捨てで呼んでくるし、勉強びっくりするほどすぐに出来るようになる。

いわゆる天才ってやつだ。

 

 妹との差。俺と氷川が抱えてる大きな問題。

 

 お互い妹に負けたくないって一心で動くこともしばしばある。

そこに共感したからこそ俺は氷川に声をかけたんだ。

あの時はホントなんとなくだけどな。

 

「お互い頑張らないと」

 

「ですね」

 

 

 

 

 

 

 時は過ぎて放課後。

珍しく帰りの用意が早く終わった俺は鞄を持って氷川の席まで行った。

 

「氷川ー帰ろうぜー」

 

「あっ…今日は用事があるので先に帰っても大丈夫ですか?」

 

「ん? 大丈夫だけど」

 

「ありがとう」

 

 鞄を持つと急いで教室を出ていった。

気にならないと言えば嘘になる。かと言って尾行するのもあれだ。でも気になる………。

 

 さて…どうするか。

 

「市ヶ谷君…帰らないの?」

 

「白金か。・・・白金から見て今日の氷川どんな感じだった?」

 

「氷川さん? ………なんとなく落ち着きがなかったような」

 

「だよなー」

 

 俺だけじゃなくて白金も同じことを思ってる。

様子を見に行って損はないか。

 

「ありがとな白金。それと新しいボス倒せる良いな」

 

「うん…ありがとう」

 

「もしダメだったら連絡してくれー。いつでも助けるから」

 

「頼りにしてるね」

 

 教室ではあまり見れない白金の笑顔。

俺だけに見せてくれるって言い方だと語弊があるから、ネトゲの話だと見せてくれる白金の笑顔は最高だ。

 

 鞄を持って氷川の後を追うために教室を後にした。

余計なお節介かもしれないけど心配して損はない。

 

 

 

 

 

 とは言ったものの。待ち合わせ場所に来たは良いけど、どこから探すか………。

そもそも氷川がどこに居るのかもわからない。

 

「ん~風の赴くままに」

 

 ちょうど風が氷川の家の方角に吹いた。

 

 ここはとりあえず氷川の家の方面に行きますかね。

 

 いつも氷川が来る方向へと足を進めた。

こっちの道に来たのは数回程度だから詳しくはないけど、まぁなんとなく歩いてれば見つかるだろ。

 

 

 

 

 見知らぬ道を右へ左へ。さまようこと10分。

氷川はいったいどこに居るんだ?

そして俺はどこに居る?

迷った…訳ではない。はずだ。

 

「氷川~どこだ~」

 

 呼んで出てくるなら探す意味ないか。つうか見つかっちゃいけないし。

 

 曲がり角を曲がろうと一歩踏み出すと、一瞬視界に映る水色の髪。

すぐに来た道を戻り、様子をうかがう。

 

 まさかここで見つかるとは。

右手に持ってる袋は……なんだ? 真っ白で中身が見えないな。

 

 見つからないように氷川の後を追いかけた。

 

 どこに向かってるかはわからないけど、家には向かってなさそうだな。

・・・・ま、まさか!

 

 ふと俺の頭によぎったのは俺以外の男の存在。

 

 氷川に彼氏の1人、2人居ても…2人じゃ浮気か。と、とりあえず氷川に彼氏が居てもおかしくないってことだ。

じゃああれは食材で手料理を作るためとか?!

 

 ん? 待てよ・・・今朝遅れて来た理由は犬を触ってたからじゃなくて…彼氏に弁当を届けてたからっ!

それなら合点がいく。

 

 なんだこの複雑な感情は………嬉しいような、嬉しくないような。

 

 まぁ別に氷川に彼氏が出来ようが出来まいが俺には対した問題じゃないけど。

 

 なんだろう……この胸がチクリと針で刺されたような感じは。

 

「・・・神社?」

 

 こんな所に神社が………なんで神社?

 

 氷川の後を付けてたどり着いた場所はここら辺でも有名な神社。初詣に何回か来たことがあるくらいだが。

 

 階段を上がっていくと、謎が全て一瞬で解けた───

 

「なるほどな。氷川らしいじゃねぇか」

 

 袖に付いていた毛。今日1日そわそわしてた理由。白い袋。

全ては拾てられてしまった犬の為だったってことか。

彼氏とか言ってたの恥ずかしいんだけど………。聞かれてないからセーフか。

 

 それでも解せないのはそれを俺に相談してくれなかった事。

朝遅れて来たことを誤魔化された事。

そんなに信用無いってか?

もしそうなら相当ショックなんだけど………。

 

「さて…理由を聞きますかね」

 

 隠れる必要はない。

 

 氷川の元に向かった。

 




市ヶ谷彰兎 17歳
 有咲の兄。有咲とは対照的で意外と努力家。やけにいろんな知識を持っていて記憶力がいい。普段は有咲をおちょくっているが実はコンプレックスがある。
趣味はネトゲ
好きな食べ物はばあちゃんの作った玉子焼

 紗夜とは仲が良いが未だに名字で呼び合う関係で進展してるかは謎。

それではまた次回。
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