BanG Dream!~1人ぼっちな2人~完結 作:レイハントン
時間があったので頑張ってみました!
Roselia結成編と動き出す物語………
ライブハウスのステージ上で歌う女の人に目が釘付けだった。
今まで聞いたことがない歌声。その声はここに居る全ての人を魅了していると思う。
なんとか視線を前に向けると、ボーカルに求める理想が高いあの氷川でさえもステージから目が離せないでいた。
いったいあの人はなんなんだ?
上手く言葉に表せない。プロにも引けを取らない歌声にしばらく聞きいっていた。
「本物……だわ……。やっと……見つけた」
その言葉が俺に聞こえることはなかった。
その人の出番が終わり、みんなスタジオをぞろぞろと出て行く。
あこと白金には先に行ってもらった。。
スタジオから人が居なくなり俺はここで氷川と2人で話し始めた。
「どうして市ヶ谷くんがここに?」
「あこ……ツインテールの子に誘われたからだよ。氷川こそなんでここに居るんだ?」
「私はその…あの人の歌を聞きにきただけよ」
「珍しいな」
今日の予定ってこのことだったのか。納得納得。
1人納得していると、スタジオにさっきステージで歌っていた人が入ってきた。
「その人は?」
「友達です。話は終わったので」
ん? ん? どういうこと?
勝手に話が進んでいく中取り残された俺。そしてなぜか2人で俺のことをじーっと見つめてくる。
これはあれですか? 邪魔だから早く出ていけということですか?
「これはどういう……」
「私は紗夜と話があるの。早く出てってちょうだい」
「なっ…! もっと他に言い方があるだろ?! 出て行ってくれませんか? とか、席を外してくれますか? とか!」
「伝わったのだから問題ないでしょう?」
「問題大有りだ!!」
なんなんだコイツ。歌声とは裏腹に性格どぎついじゃねえか。
なーにが出てってちょうだいだよ。そんなのこっちからお願いしてやるっての!
初対面の人にそんなことが言えるわけもなく俺は無言でその場を立ち去った。
あの言い方誰かに似てるような………いいや、そんなことよりだ。
人間は見た目では決めつけてはいけない。そう思い知った瞬間。
もう少し普通の人かと思ってた俺がバカだったよ。
あんな理想が高そうな性格してたらろくにバンドすら組めないよな! …………ん? 待てよ。
理想が高い?
1人入り口の前で立ち止まる。
理想が高いのは、確か氷川も一緒だ。そのせいでいくつもバンドを抜けてきたし。
そんな2人なら気があう………ってことは、あの2人もしかして!
「邪魔」
「あっ…すいまー・・・・せんでしたね」
後ろから声をかけてきたのは、さっきと同じ人。
ほらまた。邪魔ってなに? 初対面の人にそういう言い方するか普通。
コイツならするな。
「あのな。なんで初対面の人にそういう風に言えるだよ」
「あなただって同じ様なものじゃない」
「先に言ったのはそっちだろ?」
まさに一色即発の状況。
俺と友希那? 名前はあこから聞いただけだから知らんけども。
それよりもなんなんだろうな。この妙に鼻につく感じは。
「(なんなの? この鼻につく感じは)」
「2人共…喧嘩するのは構いませんけど、お店に迷惑です」
「そうだな。ここだとあれだな」
「そうね。あなたとは話し合う必要があるわ」
おうおう強気だこと。普段から有咲と口喧嘩してる実力見せてやる!
外に出て、いざ話し合おうと振り返る。しかしそいつは俺はそっちのけで氷川と話始めた。
とうとうスルーという選択肢を選んだか。
・・・・あ?
「……あなたと組めることになってよかったわ。もうスタジオの予約、入れていい?」
「おいー! 人の話聞けや!」
「私、時間を無駄にしたくないの」
その言葉は氷川に言っているのか、はたまた俺に言ったのか………うん俺だな。
・・・・はい?
「時間の無駄ってどういうことだよ」
「そういうことよ。わかったなら黙っててもらえる?」
「話がしたいので席を外してくれると助かるわ」
「ちっ……。仕方ねぇな」
氷川に言われてもイラつかない。だけど、アイツに言われるとイラつく。
この差はなんだ? 言い方か?
「他に決まってるメンバーは?」
「いいえ。まだ誰も」
へ? 決まってねぇの? そんなんでバンド組めるのか?
「ベースとドラムのリズム隊、それにこのジャンルにおいて重要なキーボードも」
本当に重要な所欠けてんな。バンドにおいてリズムは重要……ってネットに書いてあったな。
確かあこがドラムやってたはず。
・・・・つうかあの2人どこ行った?
「あと3人……。急ぎましょう。実力と向上心のあるメンバーを見つけ、少しでも練習時間を確保し」
「最高の曲を作り、最高のコンディションで、コンテストに挑む」
「本当にあなたとなら、いい音楽が作れそう」
あ…氷川が笑ってる。
本当に見つけたんだな。バンドでの自分の居場所。
いつも物足りなそうな顔して俺に愚痴を言ってた頃が懐かしいよ。
そこなら超えられそうか? 妹って言うデカい壁と、自分の高い目標を。
「そうね。メロディはさっき聴いてもらったものを、私の方で詰めてみるわ」
「では、私はその後のパートのベースを……」
氷川が何かに気付いたようだ。視線を追うように後ろに振り返ると、あわあわしてるあこと白金が居た。
なぜあこはあんなに慌ててるんだ? つうか白金の顔色が悪いぞ。
早く家に返してやれよ………。
「お、お兄ちゃん友希那……さんと知り合いなの?」
「全然。今さっき口喧嘩しただけだ」
「こんな人と知り合い扱いしないでくれる?」
こうしてラウンド3が始まった。
俺は11ラウンドくらいやる覚悟だかんな?
「はぁ? こっちから願い下げだっつーの!」
「そう。なら早く帰ってくれない? 邪魔なのよ」
「あー? 邪魔ってどういう意味だ? 俺がいつ邪魔をした?」
「今まさに邪魔してるじゃない」
先に仕掛けてきたのはそっちだろ! なんで全部俺が悪いみたいになってんの?! 腹立つんだけど!
言いたいことがどんどん溢れてくる中、氷川はそっぽを向いてる。
なぜ止めに入らないのか不思議だ。いつもなら止めるのに。
「氷川…?」
「あとで話があるのだけれど。大丈夫?」
「ああ…。帰りにでも聞くよ」
なんだろう………氷川の目はどこかいつもと違う。
なにかを決意したような雰囲気は感じ取れる。それと同時にもう一つなにかあるような気がしてならない。
さっきまで苛立っていた俺の心を落ち着かせるのには十分過ぎた。むしろ疑問が心を支配している。
俺はあの目を知っている………。
「あのっ。あの、さっきの話って…本当ですかっ? 友希那……さん。バンド組むんですか?」
「そうね。その予定よ」
「バンド……! あ、あこっ、ずっと友希那さんのファンでした! だ、だからお願いっ、あこも入れてっ!」
・・・・はい? あこがコイツのバンドに?
だ、大丈夫なのかそれ………。お兄ちゃん心配だぞ。
「あこ、世界で2番目に上手いドラマーですっ! 1番はおねーちゃんなんですけど! だからもし、もし……一緒に組めたら!」
おいおい。ここで1番をおねーちゃんなんですけど、なんて言ったら………。
「ちょっとあなた。私達は本気でバンドを……」
「遊びはよそでやって。私は2番であることを自慢するような人間とは組まない」
だよなー。でも………。
「確かにアンタの言うことも正しい………アンタの中では、な」
「アンタじゃないわ。湊友希那っていう名前があるの」
「やっと自己紹介か。じゃあ湊さんよ。遊びはよそでやってなんて言うけど、遊びじゃないことくらい百も承知だ」
「わかっているのなら、なおさらよ」
「あこは話を全部聞いてた。それに雰囲気を見ればわかる。そこまであこはアホじゃない。それでも遊びと否定するのか?」
「私達は頂点を目指してるの。2番じゃダメなのよ。行くわよ、紗夜」
「ええ………」
結局こうなってしまった。
俺の横を無表情で通り過ぎる湊友希那。その後ろに着いて行くように氷川も通り過ぎてゆく。
「ごめんなさい……」
去り際になぜか謝られた。お前は何にも悪くないのに。
バツの悪そうな表情を浮かべて通り過ぎる氷川。
振り返らず。なおかつ小声で言った。
「なんで謝んだよ………」
その言葉が氷川に届くことはなかった。
帰り道。あこ達と帰ると、いつも話が絶えることがなかった。
さっきのことが大きい。あのいつも元気なあこがシュンとしてるなんてな。
あんな言い方しなくてもいいのに。
「あこ…ごめんな?」
「ううん。お兄ちゃんは何にも悪くないよ。悪いのは……」
さらに落ち込んでしまうあこ。
そっと手をあこの頭の上に置いた。
「見返してやればいい。あこにはその力があるんだから。何度断られようとアタックあるのみだ」
「お兄ちゃん……! あこ、頑張ってみるねっ!」
「おうよ!」
手をあこの頭からどけて答える。
見返してやればいいとは言ったものの。アイツは下手くそな奴とは組まないって言ってたな。
そう言えるだけの実力は正直ある。いったいどれだけ歌ったらああなるんだか………。
俺もネトゲに関しては人のこと言えないけど。
「市ヶ谷君……その…よかったの? 氷川さん……と帰らなくて」
「あー、いいっていいって。話す機会は他にもあるから。それよりも白金は大丈夫なのか?」
「………うん。…大丈夫だよ……」
言葉は詰まってるものの、表情は笑顔だから問題はなさそうだ。
白金にはだいぶ無理をさせてしまった。人がたくさん居る場所だと、あそこまで顔色悪くなるとは………。
今まで見た中でも1、2位を争うかもな。
「そういえばー、お兄ちゃんって紗夜……さん? と友達だったんだね」
「まぁな。それがどうした?」
「紗夜さんって普段もあんな感じなの?」
「ん~普段はもうちょっと優しいような………」
「そうなんだ~。てっきり普段から人に冷たい態度とってるんだと思ってたっ!」
ん? 普段から冷たい態度?
「あこ、どういう意味だそれ」
「え? 今日もライブ終わったら元…? バンドの人と喧嘩してたのかな? お店から出てきた人達が文句言ってたし」
「今日か………」
だから最近放課後すぐに帰ったのか。バンドの練習があったから。
でも、他の人と馬が合わなくて解散。または氷川だけ抜けた。
そうすると今日の用事も合点がいく。
そこで運良く湊友希那と出会った。
「お兄ちゃん?」
「市ヶ谷君……?」
………俺も見つけたよ。自分のやるべきこと。
湊友希那と喧嘩してる場合じゃない。氷川の居場所を守る為にもアイツの考えを理解しないと。
言い方腹立つけど………。
「お兄ちゃん!」
「んあ? 呼んだか?」
「あこ達と同じ方向来たら遠回りで帰ることになっちゃうよ?」
「・・・・いっけね! じゃあ2人共頑張れよー!」
やること見つけたならすぐ行動だ!
俺は2人の別れの挨拶も聞かずに走って帰った。
湊友希那、アンタなら氷川を連れて行ってやれるよな? FUTURE WARLD FES.に!
「あれ? 彰兎?」
「ん? ………お、お前は?!」
走って帰る途中、俺を呼び捨てで呼ぶ、水色の髪の女の子に思わず足を止めた。
「奇遇だね~♪」
俺の目の前には、氷川紗夜の双子の妹──氷川日菜が面白い物を見つけたような表情で立っていた。その目はキラキラと輝いて見える。
「な、なんでお前がここに?」
「バンドの練習で帰り遅くなっちゃって」
「バンド?」
「うん。それよりも、お姉ちゃんとは一緒じゃないの?」
いやいや。俺はバンドの方が気になるんだけど。
つうか俺に会うといつも氷川…の話しかしないのはなぜ?
「一緒じゃない。氷川なら先に帰ったぞ」
「そうなの? って彰兎はお姉ちゃんと出掛けてたんじゃないの?」
「違う違う。………つうか彰兎呼びやめてくんね? そんな仲良くないだろ」
「じゃああっくん!」
コイツ人の話聞いてた? 全然聞いてないよね?
人の話は聞こうねって教わらなかった?
コイツと居ると自分のペースが乱される。なんとかならんものかね。
再び歩き出すと、当たり前のように俺の隣を歩き始める氷川の妹。
「ねえねえ。あっくんの家って、わんこ飼ってるんでしょ?」
「そうだけど……。それがどうした?」
「わんこと遊んでる時のお姉ちゃんってどんな感じ?」
「どんな感じって………普通だよ普通。楽しそうにしてるよ」
「そうなんだ~。良かった♪」
どうしてここまで氷川の話を聞きたがるんだろう。
家で聞けばいいのに。俺が氷川について話すのはどうかと思うし。
結局氷川家に着くまで話が絶えることはなかった。
ある意味助かったのはここだけの話だ。
学校の日。いつもと同じように過ごそうと思っていたのに、なぜか俺はひそひそと話をされていた。
教室に入って、先に来ていた氷川に挨拶してもいつもの挨拶は帰ってこない。
「市ヶ谷君! 市ヶ谷君!」
「な、なんだよ。いきなり」
席に座るなり、クラスメイトの女の子が俺にスマホの画面を見せてきた。
そこには───
「・・・・ん? はぁー?!」
市ヶ谷彰兎、同学年の女の子と後輩と二股か?!
という見に覚えがないポスターの写真が映っていた。
え? 俺終わったんじゃね?
果たして彰兎はどうなってしまうのか………そして犯人とはいったい。
日菜初登場。安定のお姉ちゃんの話。Roseliaのストーリーを読みましたけど、お姉ちゃんの事ばかり聞くのも仕方ないかと。
次回も頑張ります!