無剣の守護戦姫   作:未蕾

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零章 始動、無剣の戦乙女
EP.0 邂逅


「ここは・・・どこ?」

 

 

 

 

 

私はただ1人、何も無い真っ白な空間に佇んでいた

 

 

 

 

 

何故こうなったのかを説明するには今から遡ることほんの小1時間程前、自分の部屋から始まる

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

「それじゃあ、行ってくるよ。」

 

 

 

 

 

自分の部屋に存在する簡易的な仏壇に手を合わせ、添えられてある1人の少女の写真に挨拶をして私は立ち上がった

 

 

 

 

 

「ソードアート・オンラインか・・・・」

 

 

 

 

 

 

そう呟きながらナーブギアを手にとる

 

 

 

 

 

 

「約束、守れなかったよ・・・お姉ちゃん。」

 

 

 

 

 

 

堪えきれずに目尻に涙が溜まり始める

 

 

 

 

 

これから自分がやろうとしているのは

《ソードアート・オンライン》。1人の男の手によって作り出された産物

 

 

 

 

 

 

世界初のフルダイブ型MMORPGということもあり、前表場も好調。連日ニュースで取り上げられるまでの社会現象を引き起こした

 

 

 

 

 

βテストの販売が予告された時、私達3人はβは無理だとしても全員で正規版をプレイしようと誓った

 

 

 

 

誓い合ったのは私と姉とあと1人、学校も異なる上、面識もないために顔は分からないが、お姉ちゃんのかけがえのない人

 

 

 

 

 

彼が正規版を手にしたか否かは不明だけど、一生逢うことは無いだろうし、機会が有ったとしても御免被りたい

 

 

 

 

 

彼の詳しい事は追々話すとして、時刻は12時5分前、サービス開始は12時から、少し早い気もするけど遅れるよりマシか

 

 

 

 

 

「彼も来るのかな、《ソードアート・オンライン》。」

 

 

 

 

 

お姉ちゃんが言うには根っからのゲーマーらしいから、もしかしたらもしかするかな、逢いたくないけど

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで部屋のデジタル時計は時を告げる

 

 

 

 

 

 

「リンク・スタート!」

 

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

そんなわけで初期設定を終わらせた私を出迎えたのはこの真っ白な空間だった

 

 

 

 

 

「誰かいませんか!」

 

 

 

 

「呼んだかね?」

 

 

 

 

「うわぁぁ!?」

 

 

 

 

突然背中から声を掛けられ、たじろぎながらもなんとか声の主を見留める

 

 

 

 

 

 

「貴方は誰ですか?」

 

 

 

 

 

「私か・・・・そうだな、茅場と言えば分かるだろ。」

 

 

 

 

 

彼の言葉が真実というならば彼はこの世界の(ゲームマスター)的存在となる

 

 

 

 

 

「それで、その製作者が私に何のご用で?」

 

 

 

 

 

「私は君に謝らなければならない事が1つある。とりあえず右手をスライドさせてウィンドを開いて欲しい。」

 

 

 

 

 

 

指示通りに指を動かすと目の前に1つの画面が現れる

 

 

 

 

 

インベントリや装備画面、ステータスなど割りと在り来たりな表示が立ち並んでいる

 

 

 

 

 

ただこの画面には1つだけ違和感を感じる部分が有った

 

 

 

 

 

「・・・・スキルスロット?」

 

 

 

 

 

 

画面左端上部、《skill slot》と表示されている部分に何故か《Error》の文字が表示されていた

 

 

 

 

 

 

「そう、この世界で強くなるための要素の1つがスキルであり、物によってはボス単独撃破も容易にするほどのスキルも存在するのだが・・・」

 

 

 

 

 

 

「が?」

 

 

 

 

 

 

 

「何の手違いかは分からないが、君だけ戦闘系スキルの取得が不可能な設定となってしまっていたのだ。」

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

余りにも突拍子の無い話に頭の整理が追い付かない

 

 

 

 

 

 

「武器は使えるんでしょ?┃補強《スキル》が無くても武器が使えるなら未だ・・・」

 

 

 

 

 

「残念だが、武器に関しても装備及び持つ行為すらも禁止されてしまった。」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

最大の爆弾投下に私の脳は考えることを放棄してしまい、言葉を失ってしまった

 

 

 

 

 

「我々も早急に対応しようとはしたのだが、もはや手遅れの状態で直すことは不可能だった。」

 

 

 

 

 

 

RPGは読んで字のごとく、多種多様なジョブが存在し、多くの視点からの攻略を楽しめるのがミソの1つだが、プレーヤーが端からそのジョブというわけではない

 

 

 

 

 

種類によって初期設定で決まるゲームも有るが、大抵最初は皆勇者から始めるのが定番である

 

 

 

 

 

武器はそんなRPGの醍醐味の1つであり、ジョブの基礎を固めるための資金や素材、道具を調達する手段でもある

 

 

 

 

 

 

平たく言ってしまえば武器無くしてRPGは始まらない

 

 

 

 

 

「む、無理ゲーにもほどがあるでしょ・・」

 

 

 

 

 

 

「せめてものお詫びとして君に1つプレゼントを贈ろう、条件付きで直ぐには使えないが、君の物にすれば必ずや絶対的な力となるだろう。」

 

 

 

 

 

「条件?」

 

 

 

 

 

 

「それを言ってしまったら面白味も何もあるまい。なあに、やろうと思えば誰にでも出きる簡単な条件さ。」

 

 

 

 

 

 

 

「面白いじゃん!他人と同じスタートラインなんて飽きるだけ、スキル無し(イレギュラー)が有るからこそ楽しめるってものよ!」

 

 

 

 

 

 

お姉ちゃん達のゲーマー気質が遂に私にも移ってしまったらしい

 

 

 

 

 

 

「そう言って貰えるとこちらとしても有り難い。最後に君のスキルについて教えたいと思う。もう一度ウィンドを開いてくれるか?」

 

 

 

 

 

と言われ、もう一度右手を動かしてウィンドを開くと、先程まで《Error》が表示されていたスロット部分に幾つかの枠が追加されていた、更にそれらの中の1番上のスロットに一際異彩を放っている箇所が存在している

 

 

 

 

 

 

「そのスキルが我々からのプレゼントだ。今はスキル名は表記されてないが、君の物になったとき、きちんと表記されるから安心してくれたまえ。なあに、そのスキルが他人に渡ることは無い。」

 

 

 

 

 

「それで、お金とかはどうやって稼げば?」

 

 

 

 

 

 

一番の問題はこれだ、いかに自分が絶対的な力を持っていようが、問題は手に入れるまでの過程に存在する。せっかく使えるようになっても使いこなせるだけの力を持たない限りは宝の持ち腐れである

 

 

 

 

 

「君がこれからモンスターと戦う道を選ぶのであれば、誰かとコンビを組むことを勧める。コンビであれば経験値は倒さなくても自動で振り分けられ、コルも稼げる。本来ならばダメージ数によって割合は変動するが、そのスキルによってソロで倒した時に得られる数値の倍を両方に分け与える仕様となっている。」

 

 

 

 

 

 

つまり、コンビの相手は戦えないお荷物が着いてくるが、効率は圧倒的に上がる。

互いにメリットが存在するということ

 

 

 

 

 

「く、組んでくれる人、いるかな・・・」

 

 

 

 

 

距離制限まで存在するとなるともはやたたの重荷以外の何物でもなくなってくる

 

 

 

 

 

「相手にも特別なスキルを用意してあると伝えれば恐らく一人くらいは見つかると思う。」

 

 

 

 

 

 

だ、大丈夫なのだろうか

 

 

 

 

 

「とはいえ、私達にできることはこれまで、これからの君の健闘を祈るとしよう。」

 

 

 

 

 

と彼は言い残して、目の前から消えてしまった

 

 

 

 

 

白い空間は徐々に消えていき、代わりに大きな広場が姿を現した

 

 

 

 

 

 

周りを見渡せば同じような装備を身に付けているプレーヤーが数十人程

 

 

 

 

 

見た限り組んでくれそうなプレーヤーはいなそうで、仕方なく広場から出ることにした

 

 

 

 

 

 

「なにやってるんダ?おネーさん。」

 

 

 

 

 

 

 

キョロキョロとプレーヤーを見ながら歩いていると後ろから声を掛けられる

 

 

 

 

 

 

「おネーさん、ニュービーだロ?困ってるなラ教えてやるヨ、今なら出血大サービス!どんな情報でモタダだヨ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

声の方に振り向けば、独特なしゃべり方をするフードを被っプレーヤーが立っていた

 

 

 

 

 

「えっと・・・・貴方は?というかどうして私がニュービーで困っていると?」

 

 

 

 

 

 

「ニャハハハ!テスターなら皆とっくに武器持ってモンスター狩ってるヨ。あア、名前ね、おネーさんハアルゴだヨ、βテストで情報屋をやってたんダ。」

 

 

 

 

 

 

「もしかしてアル姐?」

 

 

 

 

 

βテスターでもあったお姉ちゃんから聞いたことがある、性格は少しあれだけど速度と正確性、情報量どれを取っても情報屋随一の女性プレーヤーがいるって

 

 

 

 

 

「もしかしてユーちゃんカ?」

 

 

 

 

 

 

「ユーちゃん?」

 

 

 

 

 

 

「あレ?人違いカ。ところで名前はなんだイ?」

 

 

 

 

 

 

「私はミィナ、貴方の事はお姉ちゃんからよく聞かされてます、相当な腕利きの情報屋らしいですね。」

 

 

 

 

 

 

「そっカそっカ、成る程あのユーちゃんに妹カ・・・」

 

 

 

 

 

 

「あのー、先程から仰られてるユーちゃんとはどなたのですか?」

 

 

 

 

 

 

「あア、βテストの時に知り合った女性プレーヤーだヨ、フルネームはユイナ。」

 

 

 

 

 

 

「彼女は、私のお姉ちゃんです・・・」

 

 

 

 

 

 

「なら話ガ早い、彼女が何処にいるか分かるカ?久々彼女に会ってみたくてサ。」

 

 

 

 

 

「ユイナは・・・・半年前に交通事故で・・・」

 

 

 

 

 

 

「すまないナ、嫌なこと言わせてしまっテ。そうか・・・ユーちゃんが・・・」

 

 

 

 

 

 

「そうだ!私コンビを組みたいと考えてるのですが、誰か気前の良いソロプレーヤーいませんかね?」

 

 

 

 

 

 

図々しい気はする、けどこのチャンスを逃さない手は無い、テストからの情報屋となれぱ顔は広いはず

 

 

 

 

 

 

「うーン、いない事は無いんだけどネ・・」

 

 

 

 

 

「紹介して貰っていいですか?」

 

 

 

 

 

 

「するのは構わないサ、けどキー坊は極度な人見知りというカコミュ障というカ。」

 

 

 

 

「組んでくれるのなら何だっていいわ。」

 

 

 

 

「フィールドにいるとは思うケド。」

 

 

 

 

 

と言いつつ彼女の足はフィールドとは違う方向に向かおうとしている

 

 

 

 

「あれ?フィールドってあっちじゃないの?」

 

 

 

 

「何いってんダ?手ぶらでモンスターと闘うつもりカ?」

 

 

 

 

自分が武器を装備できないことを今さらながらに思い出す

 

 

 

 

「実は私・・・」

 

 

 

 

 

アルゴに一時間ほど前に茅場から言われたことを説明する

 

 

 

 

 

「ニャハハハ!それは災難だったナ!

よシ!ここはおネーさんも一肌脱いじゃうヨ!キー坊には何がなんでも組んでもらないとナ!」

 

 

 

 

「キー坊さんはどんな人なのですか?」

 

 

 

 

 

 

「まアまア、互いに敬語は無しにしようじゃないカ。キー坊もタメで構わないサ、そういうの結構気にする人だからサ。」

 

 

 

 

 

「分かった。」

 

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「わぁー、綺麗ー!」

 

 

 

 

 

あの後アルゴに連れていかれ、フィールドに出た、先までいた広場と異なり、見渡す限りの大草原であり、今まで見たことがない位の絶景がそこには広がっていた

 

 

 

 

 

 

「ニャハハハ、この景色を目の当たりにしたテスターも皆口を揃えて同じこと言ってたナ。」

 

 

 

 

 

 

「それで?そのキー坊って人の見た目ってどんな感じ?」

 

 

 

 

 

 

 

「うーン、そうだナ・・・どのゲームにも出てきそうな人物としカなんとモ。」

 

 

 

 

 

アルゴは右手をこめかみに当てて深く考える

 

 

 

 

 

「あ、そうダ。丁度あんナ感じの顔ノ・・」

 

 

 

 

 

彼女は後方2時の方向を向いている、私もつられて目線を移すとそこに何故か項垂れてる男性プレーヤーとその近くに立つプレーヤーが1人

 

 

 

 

 

「そうダ!あれダ!おーイ!キー坊!」

 

 

 

 

 

大声で彼らを呼び、彼らに近づこうとしたその時、私達を突然光が包んだ

 

 

 

 

 

「きゃあっ!何これ!」

 

 

 

 

 

「落ち着ケ!ただの強制転移ダ!」

 

 

 

 

 

深呼吸をしながらふと彼らを見ると同じ現象が起こっているようだ

 

 

 

 

 

リーンゴーン、リーンゴーンリーンゴーン

 

 

 

 

 

 

 

静寂に包まれた空間の中で、ただただ鐘の音だけが虚しく響き渡る中、私達4人は光の中に包み込まれていった

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