宿毛泊地提督の航海日誌 -memories alive- 作:謎のks
届かない思い
それらは全て、人の業が生み出したモノ。
叶わずとも、果たせなくとも…それでも、一筋の奇跡を信じ
──もう一度、あの日の約束を。
太平洋の中心で提督たちの必死の行動の中、そこより遠くで離島棲姫率いる深海の姫群と対峙する徳田とくうさん。
離島の深海艦載機から繰り出される爆撃の雨、重巡や駆逐棲姫たちは、自慢の深海艤装から強力な砲撃を放つ。
負けじとくうさんも艦載機を、そして救援に駆けつけた艦娘たち…戦艦水上部隊は、爆砲の連撃を繰り出す。
『…グッ!』
『ガラ空キヨ…!』
「っ! 危ない、くうさん!」
傷の癒えないくうさん。時折苦しそうに表情を歪めては艦載機の操作に精細を欠いていた。
隙を逃さない離島の容赦ない追撃、すかさず徳田がフォローに入る。
「疑似深海障壁、起動!」
徳田とくうさんの周りに展開される、人造の光の壁。
離島の爆撃は容易く阻まれる…しかし「当たれば不味い」状況は変わらない、一瞬のミスも許されない。
「大事ないですか、くうさん?」
『す、すまねえっす』
徳田はくうさんを心配しながら辺りを見回す。
随伴艦…特に駆逐艦クラスは湧いて出てくるように現れては姫たちの駒となり壁となり、非常に厄介だった。
パワーではこちらは圧倒しているが、制空権は向こうには離島や、港湾棲姫や北方棲姫の姿も確認されている、加えてこちらの制空担当は瀕死状態、即ち「拮抗または劣勢」という具合か?
(このままだと不味い、か…?)
頭の中で情報を整理する徳田。…ふと、彼は脱力したように肩をすかし皮肉笑いを浮かべる。
「いやはや、やはり歳ですねえ?」
泥にまみれ、疲弊し、観察眼が鍛えられた自分。
世の現実を思い知らしめられた故の思考だが、それでも敵わないのは。
「あの子たちはがむしゃらに頑張っているというのに…私は考えを誤らない為に、いつも及び腰になる」
彼らに負けず、自分も勢いを持って状況を打破しなければ…そう思う矢先、離島から殺意の込められた視線が
『…ドウシテ』
「…?」
『ドウシテ止メルノ? …ドウシテ彼ヲ間違イダト断定スルノ!?』
絶叫、怒りと憎しみ、悲愛の込もる嬌声は、疾く空間に木霊した。
「何を…?」
『貴方タチハ何モ思ワナイノ!? 世ノ中ハ…コノ発展シタ世界ハ腐リキッテシマッタ! 過去ノニンゲンタチガ紡イデキタ歴史ヤ文明ハ踏ミ躙ラレテシマッタ! …他デモナイ、未来ニ生キルオ前タチガ! 未来ヲ守ル為ニ戦ッタ! 守リ人タチノ思イヲ裏切ッタノダ!!』
「………」
『総督ハソンナ世界ヲ変エヨウトシタダケ! タダソレダケダッタ…ナノニ…ッ!』
「…そうですね? 貴女の仰る通りです。離島棲姫」
徳田は静かに、彼女の狂おしい愛を認める。
「やり方は間違っていました。ですが…そうでもしない限り、国は…いや「人」は変わらないでしょう。自分の弱さを認めず、世界に自分は在るのだと叫び続ける…それが争いの種火になると知らずに」
『ソレダケ認知出来テイルノナラ、何故止メルノ!? …私ハ、私タチハッ! 平和ノタメニ戦イ続ケテルノニ!! ドウシテ…ドウシテ認メヨウトシナイノヨォーーーッ!!!』
『うっせえんだよ!! この厨二病ヤロー!!!』
「!?」
徳田は背後に控えるくうさんに呆気に取られる…彼女は彼女のまま、離島を説き伏せようとしていた。
『さっきから聞いてりゃあ好き勝手に言ってるっすねえ!? この勘違いヤロー! ふざけんな! ウチらがそんな「大義名分」の為に戦ってるって思ってんすか!?』
『ッ!? 何ヲ言ッテルノ…? 貴女ハ忘レテシマッタノ!? 戦訓ヲ意ニモ介サズニ争イ続ケル! ソンナ愚カナ奴ラニ「過去」ヲ知ラシメサセル為ニ、私タチハ戦ッテ来タンジャナイノ!!?』
『今更、そんな「能書き」必要ねーって言ってるんすよ! ウチは!!』
『!?』
『ウチらは…そうしないと「生きられない」から、戦い続けるんすよ! 人間にもそういう奴らもいるんすよ! けどな! 仕方ねーなんてウチは言わねー言わせねー! そんなモンは「殴って殴って殴りまくって」仲直りで良いんすよ! 滅ぼすとか、思い知らせるとか、そんなモンはもう必要ねーんすよ!!』
戦いの先に在る「未来」…最初は認められないのやも知れないが、それでも…人は「手を取り合って生きていける」。
くうさんは、自身の言葉でそれを表現する。
離島はそれでも、貌に愛憎を湛えて「憎しみ節」を呟き続ける。
『…ナラ、貴女ハ何故総督ヲ「殺シタ」ノ?』
『っ! アンタ、ウチが何したか知って…?』
『知ラナイハズナイ。デモ…総督ハソレデモ貴女ヲ受ケ入レタ! ナノニ貴女ハ…ニンゲンノ味方ニナッテ、総督ヲ殺シタッ!!』
『…ッ!』
『何ガ「大義名分」ヨ…私ハアノ人ノ願イヲ叶エタカッタダケ! ソレヲ揃ッテ糾弾シタノハ、貴女タチジャナイッ!』
『それは…ッ!』
憎しみの鎖は、既に深く食い込み雁字搦めとなり、最早解く事は出来ない。
離島は深海艦載機を発艦させると、憎き裏切りモノに向けて断罪の一撃を飛ばす。
『モウ何モ聞キタクナイ! 私ハ総督ノ意思ヲ継グ! 邪魔ヲスルナラ…貴女ヲッ!!』
『!?』
──くうさん!
自身を弾き飛ばす衝撃。それは…生身の人間が不倒の怪物を「庇った」…ということ。
『…!? 徳田っ!』
瞬時に鳴り響く轟音、衝撃の光景。
無慈悲に纏う爆炎は、非力な人間にとって「死」を意味する…しかし
「……っく!」
彼は一命を取り留めた。いや…白衣の下、背中から「防弾ジョッキ」らしきものが見えた。
「…っふふ、特製の防弾ジョッキは、機能したようですね?」
『…っ! あ、アンタ…何が「耐久1の駆逐艦」だコラぁーーーッ!』
「私の言ったことは基本信じないように…それから、それでも痛いものは痛いのですよ?」
痛みに耐えながら、顔を歪ませ涼やかに青年は笑う。
『知るかぁーッ!? そのままくたばれやボケー!!』
目に涙を浮かべながら罵倒を投げつけるくうさん。
「…やれや、れ…口が悪いですねぇ?」
体勢が崩れそうになるが、それでも持ち堪える。
徳田の有様に驚いたのは、くうさんだけではなかった。
『…ドウシテ、逃ゲナカッタノ?』
離島は驚きを隠せない様子で、震えた声で徳田に問いかけた。
『貴方ハ…死ヌノガ怖クナイノ!? ドウシテ…』
「…えぇ、怖いですよ…? 人間ですからね?」
『ダッタラ!』
「それでも…貴女にその思いを抱かせたのは、私だから」
『…ッ!?』
徳田はいつもの皮肉笑いを浮かべながら、積み重なった思いを打ち明ける。
「それにしても…ここまで貴女がたに心が宿るとは、最初は思いもしなかった…」
『…何ヲ、言ッテルノ?』
「何度やっても、心が植え付けられなかった…だから、私は貴女たちには、心は無いのではないかと思っていた…」
だが、と徳田は痛みに耐えながら、それでも笑うと
「各地の鎮守府、泊地…私はそこで様々な深海棲艦に出会った。一時的に通ったり、匿ったりと様々でしたが…そこにいるくうさんのように、皆一様に「アク」の抜けた顔をしていた…私としては、嬉しい限りではありましたが、簡単にそれを認める訳にはいかなかった」
『徳田…アンタ』
「でも、それは「建前」なのです。かつての私は、自分の心を無視し続けて来た…その為に、取り返しのつかない事態が起こってしまった…だから、今度こそ。今度こそ自分に向き合うと決めたのです」
『………』
「それは、都合の良いことなのでしょう…それでも、貴女たちに…深海に居ながらもあの「輝き」が照らすというのなら…私は、貴女たちの憎しみを、少しでも取り除きたいと…そう考えるようになっていったのです…」
『…馬鹿ヨ…、無理ヨ…ッ、ソンナコト』
「っはは、そうでしょう、ねぇ? …それでも、それでもやりたいと思うのもまた「人間」なのですよ?」
徳田の言葉に、膝から泣き崩れる離島。
『ウ……ウゥ…ッ! ウウゥ〜〜〜〜〜〜!!!!!』
戦闘放棄…こうして人と深海群の戦いは「一時的に」幕を下ろした。
「…っふう…」
徳田は緊張を解き胸を撫で下ろすと、向こう側から武蔵たちが駆け寄る。
「大事無いか? 徳田よ?」
「ええ、お気遣いありがとうございます…しかし、貴女たちは、こんな衝撃を毎日のように受けているのですか…?」
「…っふ、当たり前だ。私は「まだ」偉そうなことは言えんが、それが艦娘なのだろう?」
「やれやれ…ご苦労様です…ね?」
緊張を解き過ぎたか、力無く崩れ落ちる徳田。
「おっと」
それを受け止める武蔵…所謂「お姫さま抱っこ」の形だが、男としては格好悪かった。
「すいません…はは、情けないですねぇ?」
「いいや…お前は良くやったよ? 誰が何を言おうとな?」
武蔵は微笑みながら、彼の健闘を称えた。
『…大丈夫っすか?』
くうさんが徳田を心配して近づいて来るが、どこか腰が引けていた。
「…くうさん、彼女は…武蔵さんは噛みつきませんよ?」
『ちょ!? 人をガキみたいに言うなし! ………』
それでも引き気味に様子を見るくうさん。武蔵は…。
「…っふ、おいで? 遊んで欲しいのかい?」
まるで茶化すようにくうさんに呼びかけた。
『…ウチ、コイツ気に食わねー』
「っふ、ははは!」
和やかに会話していると、向こうからやって来る人影の集団。
「……ぉおーい! くうさぁーん!」
『…ん? てるっち?』
「吹雪さん…?」
先行していた吹雪たちが戻って来ていた…いるはずの影が見当たらないまま。
「…?」
『吹雪、戻ったんすか?』
「は、はい何とか…ってあれ? 武蔵さん?」
「おう、本日づけで宿毛泊地に着任した。よろしくな?」
「は、はい…え? このタイミングでですか?」
「まあそういうな? …次の作戦は「私の出番」…ということさ?」
「あぁ…そうですね」
「…それより吹雪さん、提督はどちらにいますか?」
徳田は訝しげに吹雪に尋ねる。
吹雪以下駆逐艦娘3人と、明石が操縦する「とさすくも丸」が見えるが…肝心の提督は甲板に姿は見えなかった。
「…それは………」
「何かあったのですね?」
「…残った」
俯きながら、磯風は呟く。
「司令は…我々を救う為、爆発を止めるため…残った」
…その言葉を聞いて、徳田は?
「…っふぅ」
ため息を一つ、そして怒りを通り越した呆れた表情。
あぁ、やっぱりか。そんな考えの顔だ。
「そうでしょう…ねぇ…今の彼は…」
「…やっぱり先生もそう思う?」
「ええ、照月さん…しかし、彼の雰囲気の変わりようは、どういった意味があるのでしょうか?」
「我々にも計り知れん…だが、今の司令は正に「神懸かっている」、あれなら或いは…」
「そうですか…それでも早急に救援を要請しなければ、でなければ彼は」
「…大丈夫です」
吹雪は、決意の固さを物語る顔で、凛として言葉を紡ぐ。
「司令官は私たちが、必ず「助けます」。そう約束しました…必ずと」
「…そうでしたね? すみません、配慮が足りなかったようです」
「いいえ…徳田先生の言うとおり、直ぐに救援を……ッ!?」
…突如、空間が揺れたような気がした。
それは、吹雪たちがやって来た方角…震源地はおそらく。
「司令官…!」
吹雪は敬愛する上官の無事を、唯々祈るのだった。
・・・・・
『……ッグ!? バカナ……コンナコト…ガッ!!?』
怪物の身体から、大量の黒い靄が霧散していく…自爆の為か大気が震えるが、一向に爆発しなかった。
『イカリガ…ナゲキガ……ニクシミガ……ッ、キエテイク…コ、コンナ……!』
それを可能としているのは、美海の「歌声」にある。
『鎮マレ……荒…ブル…命…ハ………ウ…ミ…ニ…還ルガ…サダメ……』
小さく、たどたどしく、それでも美しい歌声を口ずさむ。
静寂な空間に響き渡る声は、荒御魂を鎮める力が込められていた…。
「………」
海面に浮かびながら、提督は隣の彼女の澄んだ声に、静かに耳を傾けていた…その手に白き姫を抱きながら。
「…懐かしいなぁ?」
不意に、思い出に浸るように感慨深い声をかける提督。美海は歌を止め、不思議そうに見つめる。
「ガキの頃に聞いた、オマエの歌そのまんまや…オマエの歌を聴くのが、あの時のオレの楽しみやった」
『…大ゲサダヨ、オ兄チャン?』
「いいや、あの頃はホンマに楽しかった。オマエが…オマエと一緒にいることが、何よりの幸せやった」
二人、思い出話に花を咲かせる…。
『ッフフ、私モ…イツモオ兄チャンガ遊ビニ来テクレタカラ、寂シクナカッタ』
「美海…」
『イツモ一人デ…私ヲ愛シテクレル人ハイナインダッテ思ッテタ…デモ、貴方ガ…オ兄チャンガ、私ノ寂シサヲ埋メテクレタ…アリガトウ』
「…ううん、オレの方こそありがとう! 美海といたから…毎日が楽しかった!」
昔に想いを馳せ、笑い合う二人。
…その上で嘲笑う、悪意あるモノ。
『…ッフ、フハハハハ! バカモノドモガァ! ワレニ「憎悪」ヲキュウシュウスルスキヲアタエルトハァ!』
「…ん?」
『キサマラハモウオワリダァ! グハハハハッ! コノママバクエンニノミコンデクレルワアァ!!!』
苦し紛れにそのまま空間を震わせる怪物。自爆はもう免れないだろう。
「…えいよ」
『!? ン"ナア"アァニィ!!?』
『…オ兄チャン?』
だが提督は静かに笑うと、決意を語る。
「…オレが頑張ろうとすれば、誰かが必ず「不幸」になる…ううん、死ぬかもしれない。だから…オレは「頑張らない」…オレの力は美海に預ける」
自身の代わりに、美海に危険を回避する「力」を譲渡すれば、必ず生き残れる…内なる空間で聞いた「他人の危機を自分の危機に置き換えることができる」という言葉から来る考え。
『!』
『グハハハ! ナンダソレハ? オノレヲギセイニスルツモリカ?! ナニヲスルカシラナイガ、ムダナアガキヨ!!』
「そうだな…自分でもこれで合ってるか怪しいし、やっぱどうなるかも分からないし、仮に上手くいっても時雨に何て言われるかなぁ? はは…」
『オ兄チャン…』
美海は心配そうに自身の兄貴分を見つめる。
「ごめん美海…でもオレにはこんなことでしか、オマエの人生台無しにした「ツケ払い」は出来ないって…こんなことしか、思いつかないんだ」
『………』
「オレが生きれば、その分誰かが不幸になるっていうのなら…せめてオレは、オマエにずっと笑顔でいてほしいんだ。だから…オレの分も生きてくれ、美海」
『ネェ、オ兄チャン』
提督の言葉を遮り、美海はあるお願いをする。
『…ソノ娘…ハッチャンダッケ? 私ニモ抱カセテクレナイ?』
視線を提督が抱くはっちゃんに落とす美海、提督は訳が分からず思わず渡してしまう。
…美海ははっちゃんを抱えると、そのまま抱き締める。
『ソウ…貴女ガ…貴女タチガ、私ノ代ワリニオ兄チャンノ側ニイテクレタンダ』
「………」
『アリガトウ…本当ニ、アリガトウ…!』
涙を堪えながら、美海は感謝の言葉を口にする。
「美海…?」
『アノネ、オ兄チャン。オ兄チャンガ私ヲ守リタイッテ思ウヨウニ、私モ…貴方ヲ「守リタイ」ッテ思ウンダ…』
「何を…!」
提督は気づいた…。
自身の周りを、透明な「障壁」が囲んでいることを…。
「これは…!? 美海!」
時すでに遅し…運命の歯車は、重く軋む音を立てながら回り始めていた。
『深海ノ障壁…私ニモ使エルミタイ。フフッ…良カッタ』
「何で…」
『ゴメンネ…? デモ、私ハモウ「イナイ」カラ、ココニイチャイケナイカラ、モウ…帰ラナイト』
「そんな…!」
『オ兄チャン、アリガトウ…私ヲ迎エニ来テクレテ。私…スッゴク嬉シカッタ』
美海はその顔に満面の笑みを浮かべ、喜びを最大限に表現した。
『デモネ? 生キルコトト死ヌコトハ一緒ニハナレナイヨ。コノ奇跡モイツカハ終ワル…私タチハ、唯早ク帰ルダケ、タダソレダケナンダヨ…?』
「……!」
『ダカラ、ソンナ悲シイ顔シナイデ? 貴方ニ迷惑ハ掛ケタクナイ…私モ、貴方ノ笑顔ヲ見タイカラ』
「……ッ、分かった…っくっそぉ、オレ…兄貴らしいこと、何にも、してやれな、かったなあぁ…」
涙目になりながらも、彼は己の力不足を嘆いた。だが…それでも彼女は笑う。
『ウウン、貴方ハスゴイヨ。私ノ為ニココマデ頑張ッテクレタンダカラ』
「美海…」
『…アーァ、私モマタ、貴方ト遊ビタカッタノニ…約束…守レナイヤ』
「…そっか、なら…またいつか「遊ぼう」…今度こそ、忘れない」
『…ウン、今度コソ、約束…ダヨ!』
二人は、固く契りを交わす…今度こそと。
『グrrrrrrrrrガァアアアアアアアア!?!!! サイゴマデアガキオルカァ、コノチッポケナニンゲンドモガァァァァァァアアアア!!!』
怪物の恨み節が聞こえる。理性が飛ぶ瞬間の叫び、もう「間もなく」だろう。
『…違ウヨ、人間ハチッポケジャナイ。タダ…目ノ前ヲ「大キク見過ギタ」ダケナンダヨ……』
『GGGGGGGGGGGIIIIIIIIGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUGGGGGGGGGGGGGGGGGGGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!』
白き姫を抱く深海の姫は、怪物の断末魔を聞きながら、その身を海に還そうとしていた。
『………』
──…ありがとう…お兄ちゃん!
・・・・・
・・・
・・
──そう、それが貴女が出した答え。
それが貴方たちが夢見た未来。
私たちは…そんな貴方たちを守るために、いつも戦って来た…。
…ありがとう、なんて言われる資格は、ないですけどね…?
…そう、ならしょうがないか。
もしかすれば、また「浮上」出来るって期待しちゃったけど…今あの人に必要なのは私じゃなくて、貴女…だから。
──私の身体…「貸してあげる」。
貴方たちには、暗い未来なんて似合わないし…ね?