宿毛泊地提督の航海日誌 -memories alive- 作:謎のks
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──宿毛泊地、提督執務室
「…っふ~う、これで終わった…かや?」
提督は机に広げられた資料に一通り目を通し、一息つこうとしていた。
あと一週間もすれば「超大規模作戦」、その第二段階が本格始動する。
深海群も「元に」戻り、戦いは再開される…その先にある結末を、まだ誰も知らない。
「…ん?」
不意に、自身の膝に座っていた「可愛らしい手」が、落ちていたであろう見落とした資料を上にあげていた。
「おお! ありがとう…ん、栗田はe2からか、早いなぁ」
手に取った資料の内容に驚きつつも、提督は資料を整理し、情報をまとめながら待ち人の報告を待っていた。
「…遅いなぁ、もう出発やったと思いよったけんど…?」
彼の膝に座るモノも、下から覗き込むように資料を見ていた…少し見づらいかな? と思い提督が彼女の目線まで資料を見せる。
「…♪」
上を見上げ笑顔を一つ。まるで「ありがとう」と言っているようだ。
提督は微笑み返し「どういたしまして」と心の中で呟いた。
淡いプラチナブロンドの髪は、あのはっちゃんの髪色を少し白くした位か? それでも…端正な顔に似合う、儚くも美しい色合いだった。
白いワンピースに身を包み、白のベレー帽を被る…彼女は──
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ききき! そこのオマエ、不思議に思ってんだろう?
アイツの力は、生き延びる又は勝利する、はたまた幸せを掴めば、一存在が必ず「死ぬ」…そう言ったはずだとな?
──”何であの娘は無事だったか”…そういうこったろ?
ききき、なぁに矛盾なんざありゃしねぇよ? あの場にいたのは…魂を持っていやがったのは奴らだけじゃねぇ…。
…そう「怪物」。あのデカブツが娘の身代わりになったっつうわけよ? 皮肉だねぇ~ニンゲンを裁くとか豪語しながら自分が裁かれてやんの、かませだな! ケーッケッケッケッケwwwww
…あ、だとしても無理やりすぎる? いーんだよぉこのぐらいがそれっぽいだろ? ……い、いやオレは何もしてねぇぞ?! アイツらがこのままじゃかわいそだよなぁ~とか! 思ってねぇし!!?
っけ、もういいだろ? これでめでたしめでたしっつうことでよ! …あ? 結局オレは何モンだって?
…ま、そのうちな? ケーーッケッケッケ! ………──
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「司令官!」
吹雪が執務室の扉を開けて一声。
二人は吹雪を見やると「そろそろか?」といった顔になる。
「徳田先生の準備が整いました! 間もなく出発するようです!」
「おお! そりゃあイカンわ、見送りに行かないと!」
「…(こくこく)」
「はい、司令官がよろしければ、いつでも大丈夫ですが、どうですか?」
「う〜ん? …何か用事ある?」
「…(ふるふる)」
二人はこの日の為に準備は万端であった。いつでも行ける…それを確認すると、吹雪は提督の手を取る。
「では、さっそく行きましょう! はい、いっそぎまっしょう♪」
「わ、わーったから引っ張りなや?! …「ミウ」、行けるか?」
「…! (グッ)」
やる気に満ち溢れたどや顔でサムズアップ。
…先程から彼女「ミウ」の声が出ていないのは気のせいではない。
あの戦いでの彼女の決死の行動により、世界は破滅には至らず「少し海の水かさが減った気がする」程度に落ち着いた。
そして…奇跡は重なり、消滅するはずだった彼女は生き返っていた…「はっちゃんによく似た身体」になって…。
誰もがはっちゃんと見紛うが、提督は彼女を「ミウ」と見破り、彼女も肯定した為、全員驚いていた…特に徳田は「稀にも見ない有り得ない現象」だと驚天動地の表情であった。
だが…何事も代償は付きもの。
彼女は転生で新たな「生」を受けた代わりに「声」を失った。
もう彼女の歌声は聞けないのか。と提督は言うがその顔には憂いの表情は一切無かった。
ようやく何の壁もなく、同じ道を歩める…それだけで二人は満足だった。
「はっちゃんには、何から何まで世話になりっぱなしやったなぁ…」
提督は、薄っすらと目に涙を浮かべながらそう言葉を口にした。
…さて、提督たちは言われるまま外に出てそのまま玄関へ。そこには荷物をまとめて見送りの艦娘たちに囲まれる徳太の姿が。
「おーい、先生!」
提督が声を掛けると、彼も振り返り笑顔で手を振る。
「皆さん、わざわざありがとうございます」
「えいわえ! 先生がおらんなるなんて、寂しくなるわぁ」
「ははは! 私が居ないからって、彼女たちにセクハラはいけませんよ?」
「えぇ〜そんなぁ…ふへへ」
「……(ぎゅっ!)」
「いっ!? 痛ったあぁー!!?」
隣にいたミウが、提督の太ももを抓る。
「ひ、ひどい…ミウ何するがよ」
「……(プイッ)」
「ミウさんがいるから、一安心ですねぇ?」
「ふふっ! 司令官をよろしくねっ、ミウちゃん?」
「…! (ぶいっ!)」
吹雪に対しVサインで了承を表すミウ。
「それにしても…急に呼び出しがかかるなんて?」
吹雪は徳田がここを去るキッカケになった「運営鎮守府からの呼び出し」に少々頭を傾けていた。
「まあ…私としてはおかしくはありませんが? もう一週間もすれば作戦の第二段階が始まります。それに対してもう一度見直しておきたいのでしょう…それに、そろそろ「お別れ」の時期でしたし、良いタイミングだったのでしょう」
徳田は「定期従軍医」。艦娘たちのバイタルチェックや生活環境を調べる為に、一時的に滞在しているだけであった。
時期(三ヶ月から半年程)が過ぎれば次の泊地、鎮守府へと移動しなければならない。
「また、遊びに来てな? 先生」
「えぇ、貴方たちの顔をもう一度見させていただきますよ?」
「本当にありがとうございます、先生…何から何まで」
「吹雪さん? それはこちらの言葉です。私は…自分で言うのも恥ずかしくあるのですが「意地張り」であると考えています」
「せやな」
その場にいる誰もが頷いた…徳田は少し拍子の抜けた顔になった。
「…; ごほん! それでも…自分のやるべきことは見据えているつもりでした…今回の件で、それを改めて認識しました」
「先生…」
徳田は不意にしゃがみ込み、提督の隣の小さな令嬢を見る。
「…?」
「貴女は幾重もの奇跡を体験した、数少ない例でしょう…しかしそれは、貴女を思ってくれる何人ものヒトの思いの賜物であることを、忘れてはいけません」
「…!」
真剣な眼差しで敬礼。ミウも言われずともそれは分かっていた。
「…良い子ですね?」
ミウの頭を撫でてやる徳田。…そして思いを馳せる。
(この二人は…唯約束を交わし、唯それが叶わなかっただけだった…それは誰にでもあることだろう。それでも…我々が仕出かしたこと、戦争というものは、こんな青少年たちの人生までも捻じ曲げてしまうのか…)
かつての戦い、そして七十年前の戦いも、こんな悲惨な結末が横行していたのか。
…それを思うほど胸が締め付けられる、いや、運命が定まったものであるなら、これもまた決まっていたことなのだろうか…?
「…ふっ、やれやれ。言っても詮無いことですか?」
「???」
「あぁ、こちらの話です」
「にしても…先生の上司と、ミウの親父が同一人物やったなんてなぁ?」
「…えぇ、まさかここが繋がるとは思いませんでした…貴方たちといると、嫌でも運命というものを考えさせられますよ?」
「運命…かぁ」
提督は空を見上げ、何かを思案しながら呟いた。
「なぁ先生…運命って変わるがやろか?」
「どうでしょうねぇ? …何ですか、貴方らしくない。貴方は迷わずにそのまま突き進むだけだと思いましたが?」
「おいおい、オレはイノシシやないぞ…;」
「ははは! …ですが、これだけは言っておきます」
徳田は提督たちを静かに見つめる。確信のある物言いをする引き締まった顔で。
「例えこの戦いが終わろうとも、戦争は終わらないでしょう。しかし…それを認識し、そして先人たちの思いを紡ぎ伝えるのは、貴方たちの仕事です。それが…「運命に抗う」ということなのでしょう」
「…ああ、分かった」
「次の作戦も、頑張りましょう司令官!」
「…! (ふんす!)」
吹雪とミウのやる気に押され、提督も気合いを入れる。
「おお! 頑張ろうなぁ! …最後まで、な?」
「はい!」
彼らの放つ強い光、それを垣間見た徳田は静かに笑うのであった。
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果てしない航路の果て、伸ばし手に入れた「小さな宝物」。
それは…この世のどんな財よりも価値のあるものだろう…そう。
これは…一人の青年の「
そして…貴方の「
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…さて、徳田先生は運営鎮守府へと戻り、宿毛泊地にも新たな可愛らしい仲間が増えました。そして戦いは、いよいよ最終決戦へと向かっていきます。
…へ? 私? ナレーターですが? …えっ、忘れてた!? えぇ…もうお払い箱じゃないですか? 私…いらないコ扱いですかそうですか。
えぇ〜気を取り直して…ここまで見てくださった方々、ありがとうございます。作者に代わりお礼申し上げます。
色々やらかした感はありますが…それでも、彼らの戦いはもう少し続きます。最後までお付き合い頂ければ幸いです。…って言うか、もう始まってますがね? 作戦。
作者もチョロチョロと進めていっていますので、もうしばらくお待ち下さい。
それでは、今回はこの辺で。
最後に、今まで閲覧して下さった皆さんに、作者の言葉を送りたいと思います。
「こんな分かりづらい話で、すみません。それでも…このお話を最後まで見てくれて、ありがとうございました!」
…ではまたらいしゅー!
全員「バイバーーーイ!!」
2018年冬イベ編へ続く(もうちょっとだけ続くんじゃ)