宿毛泊地提督の航海日誌 -memories alive-   作:謎のks

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 運命は回り始める…

 営みのように

 さんさんと照りつく太陽のように…

 碁石を置き、進めよう

 面を被って、いざ進もう

 なぜなら…

 賽はもう、投げられてしまったのだから……


05.誤ち

 …私たちは、世の中では当たり前の「生と死」の概念を理解()()()()()…。

 生命は限りあるからこそ輝き、死は一瞬だからこそ尊い…だがそれは「建前」。

 永遠の命、不死は心の奥底で誰もが望むこと。それは一重に、我々の「弱さ」故に願うのでしょう。

 

「おお…動いたぞ!」

 

 感嘆と共に、主任は成功を喜ぶ。

 人が一から造り上げた人体…それに精神を流し込む、というまるで黒魔術のような所業…神を冒涜する行為を我々は繰り返していた。

 その精神は、かつての海を渡り、国の覇権を掛けた大戦…当時の軍艦たちの魂であった。

 

 …皮肉なものだ。戦争を止めるために戦った英霊たちの魂が、別の形だとしても、又も戦に駆り出されるとは。

 

 まぁ、そんな愚行を無理矢理させようとしている者の台詞ではないか? …だが、例え地獄に落ちようと、我々には為すべき使命がある。

 数多の犠牲の上にある平和を享受するこそ、その命を確かなものにする…私がどうなろうとも、それで人類に大いなるものが残せるのなら、本望だ。

 

 

 

 

 

 …当時の私は、本気で思っていた。

 

 そこに隠した本心には、見向きもせずに…。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 その場だけの結果を言えば、実験は成功しました。

 

 ですが、最初からあまり「それ」とは言い難かった。国が望むのは「男の肉体」、その方が都合が良いとか? だが我々は「女性の身体」で実験を行っていた。

 と言うのは、肉体と精神の融和(シンクロ)率が高いのは、どれも女性の肉体だった。

 まぁあまり驚きもしないが。女性は昔から精神的な強さ(脆さとも言うが)を持っているし、何より「船は女」と言われ続いているから、それらが影響を与えている…かも知れない。

 ともあれ、あちらの都合もあるが、先ずは実験を繰り返しそれらも含め解明していけば良い。

 

 

 

 …だが、やはりそう上手くはいかない。

 

 

 

 一週間が経ち、培養液で保管していた筈の彼女たちが「溶け始めた」…肌は青白く染まり、皮がぐじゅぐじゅに沸き立ち、まるで被爆者の傷跡の様相であった。

 

「…っくそ!」

 

 資料を広げた机に拳で怒りをぶつける主任。

 

 当たり前だ。ここまで嘘のように実験が成功し続けてきたのだから…。

 

「…どうしますか、主任?」

「どうもこうもない! …もうあれは「死体」だ。どうすることも出来ん、"捨てるしかない"」

「っ!? 主任、それは」

「何だ? 今更怖気付いたか、徳田ぁ!」

 

 その貌に狂気を湛え、怒りを露わにする主任は既に「人ではなくなっていた」。

 

「もう後戻りは出来ない…これはただ捨てるのも、ましてや焼くのは不味い。証拠が残りでもしたら事だからな」

「…もう海に捨てるしか、ない」

 

 我々は失敗と断定した実験体を次々と海に投げ捨てていった…これでは「殺人犯」だな、と嗤っている自分がいたが無視をした。

 

 

 

 

 

 生み出しては殺し

 

 産み出してはコロシ

 

 

──私は、その鎌を振るい続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 どれくらいの月日が流れていっただろう…。

 

 有に千は越える実験(人殺し)を繰り返し、何とか形になり始めていた。

 私と、私の隣にいたチームメンバーももはや「亡者」のそれと化していた…だが、成果はあった。

 やっと…やっと。我々の悲願が達成出来る…! そう思っていたのだ

 

 

 …だが。

 

 

「一体どういうことですか!?」

 

 机を叩く私が睨みつけるのは、政府の使いを名乗る男。

 

「どうもありません。そちらで行われている「こと」を、即刻中断して頂きたい」

 

 …男が言うには、他国が我々の実験に「感づき始めた」のだそう。今すぐ実験を取りやめ、身の潔白を取り繕いたいと言っている。

 

「何を馬鹿な!! 我々は貴方たちの命令で動いている! 莫大な費用も、そこに犠牲になったモノも! 貴方がたは捨て行くと言うのか!? 何と身勝手な!!」

「勘違いしないで貰いたい。…我々とて犠牲は苦しいものだ、だが…昨今の民衆の情報収集能力も侮れんし、これを出汁に奴等に揚げ足を取られてはそれこそ身勝手なのだ」

「それは貴方がたの言い分でしょう!? 私たちは…!」

「究極の医療」

「…っ!?」

「フン、確かに双方の利害は一致していたのでしょう。だが我々は国の為になる「駒」を欲している。国に利があるなら許容しましょう、それ以外は切り捨てさせて貰いますが?」

 

 男は冷徹に、非情な言葉を言い放った。

 

「安心しなさい? 貴方がたの行った研究は決して無駄ではない。その成果は国の重要な「参考文書」として残されるでしょう…次の「研究」に役立つようにね? ふふ、ふふふふ…」

 

 …国に逆らえば、我々もただでは済まない。

 

 私は嫌でも、その言葉を飲み込むしかなかった…!

 

 

 

 

・・・・・

 

 途方もなく機関の設備を歩いている……私には「虚無」…心に開いた穴しか残されていなかった。

 

「主任には何と言えば……?」

 

 主任…そういえば最近見ていない。

 

 何かあるのだろうか? そういえば最近ずっと使用中の部屋が…。

 

 「きゃあああああ!?」

 「…っ!?」

 

 私は悲鳴の上がる方へ走る…嫌な予感がする、冷や汗が止まらない…!

 

「…ッ、どうしました!?」

「と、徳田さん……あれ…っ!」

 

 私と同じ研究員が指差す先には、扉の開いた「暗がりの部屋」。

 

 …そこにいたのは、後ろ姿でも分かるほどの痩せ細った男と、培養液に浸かった「少女」。

 

「…っ! 主任!?」

 

 彼の名を叫ぶと、ゆっくりとこちらに振り向く…生気を失った目でギョロと目を剥きながら。

 

「………あぁ、徳田くん」

 

 枯れ果てた声で私の名を呼ぶ彼には、もう悍ましさしか感じない。

 

「主任! 先程政府からお達しがありました! 我々の実験を直ぐに取りやめろと!!」

 

 …もう遅いのかもしれない、それは気づいていたのかもしれない…だが、共に過ごした仲間である彼だけは、何とかしたかった…!

 

「主任…もう私たちは」

「んふ……、んふ、んふふふふ」

 

 不気味に嗤い、本能的で恐怖を感じさせる「歯茎まで見せた笑い」を顔に作る。

 

「徳田くぅん…実験は成功したんだぁ……」

「主任……」

「私はね? 世の中は腐りきっていると思うんだ……例え大義名分があるとはいえ、やはり他者を蔑ろにしてでも争うのは間違っている…だから、この研究で生死の概念が覆れば、争いは無くなり、私は報われる…そう信じていたんだぁ」

 

 ケタケタ嗤いながら、次の言葉で彼は自分の意思を否定した。

 

「ヒッ、ヒヒヒッ! だがどうだ。私は報われず、世界も救われなかったぁ……愚かな考えが無くならない限り、人は争い続ける…それに気づかなかった私が愚かだった」

「主任……!」

 

 私は主任の後ろにいる、培養液に浸かり眠る少女に目を写した。

 

「あぁこの娘かい? …彼女は私の「娘」さ?」

「っ! 貴方……自分の娘をッ!?」

 

 

 

 違うッ!!!

 

 

 

「!?」

「違う…違う違う違う違う違う! 私は彼女だけでも救おうと思っているだけだっ! 奴等じゃない、ヤツラの為じゃないッ!!!」

 

 狂うように声を荒げる目の前の男には、私が感じた聡明さは微塵も残らず掻き消えていた。

 

「どういう意味ですか?」

 

 私が問うても返事はない、ただボソボソと何かを呟く

 

「…待っていただけだ……彼女は待っていただけなんだ。海で、浜辺で、友達を待っていただけなんだ……! だから、道路で……車に轢かれるなんて、あ……ありえな、い…んだ」

 

 …どうやらご息女は、不慮の事故に見舞われたようだ。

 

「だから、私は……彼女に戻ってきてほしいから、どんなことになろうと、如何な犠牲を払おうとも! 私は彼女を救うんだ……データもある、依り代もある! 彼女だけでもッ!! すくっっっってみせる"ゔ!!!」

 

 ……もう、何も言えなかった。

 

 あの主任の変わり果てた姿を見ていると、自分の力の無さを実感し…同時に、自分がして来た行為が「人を助ける」の意味とは真逆の事であると確信してしまった…

 

「…主任」

 

 

 

 

 

──助けられなくて、すみません……ッ!

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「それが、私が彼を見た最後の時でした…」

 

 長い昔話を語り終えると、彼は「ふぅ…」と溜め息をついた。

 

「………」

 

 艦娘たちは何も言えず、しばらく無言の状態が続いた。

 

 …程なく口を開く

 

「…これが、人間の正体さ」

 

 椅子に腰掛けて足を組み、それを踵から机に置く。腕を組んで帽子は深々と被る。

 

「ガングートさん…」

「コイツらは、自らの利益の為になら如何なる犠牲も厭わない。正義を嘯き、他者を利用し、挙げ句己の破滅を招くのだ…まぁそういったヤツはまた他者を盾に逃げようとするが、そんな輩は長生きしない」

 

 そうだろ? と皮肉を込めてガングートは彼を睨みつける。

 

「…否定はしませんよ?」

 

 徳田は爽やかにその事実を受け入れた。肩の荷が下りたのかその顔はにこやかに笑っていた。

 

「私は罪を犯しました、人間の範疇を超えた罪を…だからこそ、私はここにいる」

「先生……すみません、お辛かったですか?」

「大事ありませんよ? むしろスッキリしています」

 

 涼月の言葉に、憑き物が取れた声で感謝を示す。

 

「…つまり、彼女はその時に?」

 

 話が脱線しかけたので、神通がルートを戻す。

 

「ええ、確かに彼女でした。何故深海側にいるかは謎ですがね?」

「うーん、そのお父さんが深海群になったとか?」

「ないない」

 

 蒼龍の予測にヴェルはすかさず突っ込んだ。

 

「…ひどくない?」

「まぁ可能性としては……? イヨさん、何か?」

 

 徳田を見つめるイヨ。彼女は気まずそうに。

 

「あぁ、うん…艦娘はどうして生まれたのかなー……って?」

 

 イヨの言葉に一瞬固まる一同。

 

「イヨちゃん……空気」

「わ、分かってるけどさぁ? ここまで聞いたら、聞きたくない?」

 

 イヨの意見に、徳田は思案顔で。

 

「…ふむ、話としては終わりですが、確かに中途半端ですね? …ここの話は、あまり口外しないように」

「分かった!」

「先生、ご無理なさらず」

「いいえ、貴女たちには知る権利がある」

 

 そういう徳田は簡潔に、そこからの事柄を話し始めた。

 

「私が機関を離れて一年。と、風の噂ですが機関は完全に解体されたようです、とにかく、各国の領海に異変が表れ始めます…海よりの侵略者、身勝手な人間に天誅を下すモノたち、それが「深海棲艦」。各国の警備網を物ともせずその猛威を奮う彼女たちに、人類は次第に追い込まれていきます…尤も、この国はその限りではありませんでしたが?」

「どして?」

「彼女たちの侵攻が、この日本国のみ遅れていた…いや、まるで日本を中心に包囲網を構築していたような気がします。まあその為か日本には深海群の存在が知れ渡っていませんでしたが」

「…それこそ、戦時中に戦果をひた隠した昔のこの国みたいに?」

「ははあ、言いますね満潮さん? …そう、細かいことは省きますが、結論を言うと私は彼女たちには見覚えがありました…それは」

「彼女たちは、君たちが造りだした実験体…かな?」

「うぇ? それって海に投げ捨てたってヤツ? どうして…」

 

 ヴェルの確信ある回答に驚く蒼龍。徳田はそれを是として補足する。

 

「理由は分かりませんが、彼女たちの様相を見るに「足りないもの」を埋めることが出来た。この場合は、彼女たちは死んでいたのでなく「機能停止」していただけ。それらの精神が海に漂う恨みつらみに感化され、完全なものになった、ですか? あぁこれは飽くまで予想ですが」

「…そんな適当でいいの?」

「み、みっちーさん…」

「はは、そうですね? …結局人類に心を理解することなど不可能。自分の心さえ分からないのだから…」

「先生…」

「だが、それで済ませる訳にはいかなかった。私は元機関のメンバーを集め深海群を徹底的に調べた…彼女たちの行動範囲、戦闘能力の規模、そして何より彼女たちをそれ足らしめるのは何なのか」

「…では、結果は?」

 

 神通の言葉に、徳田は眼鏡をくいと上げる。

 

「私たちはある法則に辿り着いた…彼女たちは剥き出しの感情そのもの。怒りであれ憎しみであれ、それが治まれば元に戻る…人間と同じです。彼女たちにとっての激情を払った姿、それが「貴女たち」だったのです」

「こ、ここで私たちに繋がっちゃうの!?」

「イヨちゃん、ちゃんと聞いてね…?」

「ふふ…私たちは次々と彼女たちの法則を暴いていった。現代兵器では太刀打ち出来ない彼女たちに大戦当時の武装で打倒できることも、それらを倒せば艦娘になることも、そして彼女たちが、大戦当時の戦いを繰り返そうとしていたことも」

「…成る程」

 

 神通が頷くと、全員首を傾けて肯定する。

 

「何故深海群が艦娘になるのか、それは分かりません。未だに深海群については解明出来ていないことが多いのです…それでも、関係の無い国やその地に住む人々が襲われるのを、我々は黙っていられなかった」

「…あ! も、もしかして?」

 

 イヨの予感は的中していた。

 

「そうです、元機関のメンバーで構成された"対深海群対策本部"、それが今の「運営鎮守府」です。我々は国と連携して、深海群打倒の為様々な技術提供や、彼女たちの情報を共有して来ました」

「…徳田さん、それって」

「ヒトミさん、お気持ちは嬉しいですが背に腹には変えられません。向こうも正体不明の撃破不可能の怪物を何とかしたいのか、喜んで協力してくれましたよ?」

「…強いですね? 貴方たちは」

「いえ? 人間一人の力なんて知れたもの。我々では艦娘たちの心を形作ることは出来なかった…だから借りることにしたのです」

「それって…!」

 

 蒼龍の言葉に頷く徳田。

 

「はい、各地の鎮守府や泊地などの拠点に、素人とも言える素質ある若者を提督として迎えました…最初は無茶だと各方面からナジられましたが、効果は絶大でした。憎しみに変わる心の形を貴女たちは形成出来たのです」

 

 徳田の言葉に満潮が反応した。

 

「…ほんっと、背に腹とか言ってるけど、なりふり無いわね?」

「ええ、何せ人類の命運が掛かっていますからね? それから体制を整えた我々は、深海群を駆逐しながら彼女たちの研究を続けて、今に至る。ということです」

 

 …こうして、自身のルーツを知った艦娘たちは、各々の反応を示した。

 

「そっか…はぁ〜すっごいねぇ!」

「イヨちゃん…そんな感じでいいの?」

「まあ、私たちがこうしてあるのは貴方たちのおかげ、ってことでしょ? なら私はそれで良いよ」

「蒼龍さん、ありがとうございます。そう言われることは無いと思っていたので」

「ふふっ、良いんだよ! ねっ、アーちゃん! ………? アーちゃん?」

 

 アークは終始厳しい表情を見せていた。そして…言われて口を開く。

 

「…Tokuta? 私たちを追及しなくていいのか? 我々は深海の……」

「そうですね? 貴女たちは特別な存在。普通なら深海群の頃の記憶は、艦娘になってからは持ち合わせない。貴女とガングートさんは、言わば貴重なサンプルだ」

「!?」

 

 徳田の言葉に、和やかになりつつあったその場の雰囲気は一瞬固まる。

 

「ちょ、ちょっと待って!? じゃあ、イヨたちと涼月がここに居るのって…?」

「ええ、反応を見るためです。向こうの軍勢に貴女たちの「前身」がいるようでしたので、どうかと思い…しかしやはり知らないようで、こちらとしては一安心です♪」

「ええぇ…;」

「…そこまで知っているなら、私も覚悟は出来ている。知っている事なら全て話すつもりだ」

「いいえ? ガングートさんから聞きませんでしたか? 私はもうそういう事には興味は無い、とね?」

「…ふっ、そういえばそうだったな?」

 

 ガングートがニヤリと笑う。

 

「今だから白状するが、私もお前たちの噂は耳にしていた。艦娘が戦う原因を作った張本人たちだとな? だが…その言葉に偽りはないようだ、信用しよう」

「いやいや、事実ですから、警戒は怠らぬよう? 背後から貴女の心を奪ってしまいますので」

「はは! 全く口の減らない男だ!」

「…Thank you. 私も肩の荷が下りた」

「アークさん、貴女は少々考えが過ぎることがある、気を付けなさい?」

「l see」

「…うん、徳田先生って黙ってた方がカッコいいよね?」

「んなっ!?」

「こういう場合は「余計なこと言わなければ」ですよ? 蒼龍さん?」

 

 蒼龍と満潮が徳田を茶化し合い、笑い声が…その場に温かな雰囲気が戻した。

 

「全く、貴女たちは…」

「しかし…」

 

 しかし直ぐに「勝って兜の緒を締めよ」と言わんばかりの厳しい声色が響く。

 

「結局、彼女が何であるか。というのは分からず仕舞いですね?」

 

 神通の言葉に、鎮痛な面持ちになる一同。

 

「私が知っているのは、彼女が主任が造りだしたモノ、という事。可能性としては主任が残した彼女が今になって起動した、という事ですね?」

「…成る程、艦娘の基礎を築いた人物が新たに造りだしたモノ。なら我々…いえ、深海の姫と同等の力を持っていてもおかしくありません」

「いえ神通さん。同等、とは少し違うように感じます」

 

 神通の推理に待ったを掛けるのは「涼月」。

 

「彼女は深海群を束ねていた、それに限らず「歌」によって様々な現象を引き起こしていました…最初は姫の「蘇生」、そして私たちの心に干渉する程の力を持っている」

 

 涼月の冷静な分析に、それ故の事態の難解を感じ取る一同。

 

「あの歌は厄介だよね…」

「ダー。アレは何とかしなければならない」

「そうですね? …しかし、一番分からないのは」

「司令官…アイツがあの姫を知っているみたいだって事」

 

 蒼龍、ヴェル、神通、満潮の綴る言葉が現状の全てを表していた。

 

「結局は振り出しか」

「Hmm…この場合は、admilralに聞けばいいのか?」

「いえ、空母棲姫。彼女の回復を待つのが一番でしょう」

「あっ! 姉貴、くうさんの見舞いしてたじゃん!?」

「え、えぇ!? い、イヨちゃんが良いって言うから…」

 

 ヒトミの言葉に、一同はジトとイヨを見つめた。

 

「は、はははぁ……ゴメンなさい」

「やれやれ、では私が診察がてら様子を」

 

 

『その必要はねーっすよ?』

 

 

「っ!? え?!!」

「くうさん!」

 

 入り口の扉から、凭れ掛かりながらその姿を見せるくうさん。

 

『…はぁ、はぁ……』

「くうさん…」

「まだ傷は治っていません! 患者はベッドで横になっていなさい!」

『うっせー。ウチもなんかしたいんすよ、文句あっか』

 

 徳田の忠告を無視し、くうさんは伝えるべき事を伝えるべく現れる。

 

『ウチの知ってることで良いんなら、喜んで教えるっす』

「空母棲姫さん、ご無理なさらず」

『今そんな場合じゃねーって…はぁ、とにかく「アイツ」が何なのか、っつーことでいいんすね?』

「…ええ、お願いします。それから…ありがとう、くうさん」

 

 神通の言葉に、ニヤリと不敵な笑いで返すくうさん。

 

 こうして、くうさんを加えた会議が再開する…そこで何が語られるのか。

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