アニの使命と運命   作:イグアナの眼

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第2話_異なる運命のはじまり

「アニ・・・」

はっきりと私の呼ぶ声が聞こえる・・・。

 

「・・・アニ、起きなさい!!」

今度は身体を揺らしながら、その”聞き覚え”がある懐かしい声が再び聞こえる。

 

 

「えっ」

私は飛び起きた。

 

「もう、本当にアニは朝が苦手だな。早く起きなさい」

 

目の前にいたのは・・・

「・・・お父さんっ」

会いたかった、”父さん”だった。

 

訳がわからずしばし呆然とする。

 

「お父さんっ・・・、会いたかった・・・」

私の瞳から自然に涙が溢れ出す。

 

「アニっ、どうしたんだい?」

父さんは驚きながらも、優しく私の頭をなでてくれる。

 

「・・・。お父さん、お父さん・・・」

何が起こったのか、これは”夢”なのか、”死後の世界”なのか・・・。

私の頭は全く動いてくれないけど、とにかく目の前に父さんがいる・・・。

そのことがただただ嬉しくて涙を流し続ける。

 

「本当に今日はどうしたんだい、アニ・・・」

 

「・・・、お父さんっ・・・」

 

「怖い夢でも見たのか?でも大丈夫だよ、父さんがいる・・・」

そう言って、また私の頭を撫でてくれる・・・。

 

これは本当に”幻”ではないのか、私は”死んだ”はずなのに・・・。

私は自分の身体を触ってみる。

確かにここに存在している、少なくても感触がある。

 

私は”生きている”のか?ここは?

どういこうことなんだろう・・・。

 

・・・そのいえば”あの時”なにか声のようなものが聞こえた気がする。

 

私は父さんの温もりを感じながら、ひたすら考えていると、

 

「落ち着いたか?」

父さんが優しく声をかけてくれる。

私はなんとか涙を止まったのを感じて、その言葉に頷く。

 

「よかった・・・。そしたら起きて朝ごはんを食べよう。もうできているよ。」

 

とにかく起きよう、それから色々考えよう、今は”幻”でも父さんがいることを喜ぼう、と思って寝ていたベッドから立ち上がろうとした時、

 

「早くしないと”アルミン君”たちが迎えにくるぞ。」

 

父さんの口から信じられない言葉が私に掛けられた。

 

「お父さんっ!、今なんて・・・!」

私は思わず声を荒げて父さんに聞き返す。

 

「うん?、今日は”アルミン君”たちと出かけるって言っていたじゃないか。」

 

私は絶句した。

父さんの言っていることが理解できない・・・。

なぜ、父さんの口から”アルミン”という名前が当然のように出てくるのか?

 

いや、それ以前に私はなぜ生きているのか、なぜ父さんが目の前にいるのか?

ここはどこなのか?

頭の中に疑問ばかり浮かんでくる・・・。

 

「どうしんだい、アニ。具合でも悪いのかい?」

父さんが心底不思議そうに私の顔を見つめながら問いかけてくる。

 

私は考えを全く整理できず、言葉を発することもできず黙り込んでしまう。

 

「・・・本当に具合が悪いなら寝ていなさい。アルミン君たちには父さんが謝っておくから。」

父さんが私の様子を見て心配そうに話しかけてくれた。

 

「ううん、大丈夫・・・。」

私はなんとか首を横にふりながら、父の心配をとにかく否定した。

 

「・・・そうか。ならよかった。でも無理はしたらだめだぞ。」

 

「うん・・・。」

 

まだ私は混乱していたが、父の言葉に今度は頷いた。

 

「まぁ、今日のこと楽しみにしていたんだから楽しんできなさい。」

父さんは少し安心したように、微笑みながら言った。

 

「さぁ、ご飯を食べて準備しなさい。」

そういって部屋から父さんが出て行く。

私は訳がわからないながらも、今度こそ立ち上がってその後ろをついて部屋から出た。

 

 

私は父の後をついて歩きながら必死になって状況を整理する。

・・・私は生きている。少なくても意識はある。

父さんがいる。一緒に住んでいるらしい。

ここは家?

 

でも私の”記憶”の中にはない家だ。・・・”懐かしい”感じがするのは不思議だけど。

 

一番の疑問は、父さんが”アルミン”を知っているということ。

 

色々な疑問に答えは出ないまま、父さんと食卓についた。

父さんが目でそこに座りなさいと合図を送る。

私は静かに頷いて、椅子に腰かける。

机の上にはパンとサラダがのった皿があり、父さんがスープをよそってくれる。

 

 

「ありがとう・・・。」

父さんが私の前にスープを置いてくれた。

私は父さんにお礼を言う。

混乱はしているけど、今この瞬間に父さんがいる、そのことは私の心を少し暖かくしてくれる。

 

 

「早く食べて、アルミン君たちと出かける準備をしないとな。」

父さんが私を心配して、優しく声をかけてくれる。

 

「うん・・・。」

 

「こんな狭い”壁の中”にいるんだ、仲間たちと遊ぶところも少ないけど楽しんでおいで。」

 

アニ「えっ・・・」

さっきから父さんの言葉には驚かされてばかりだ・・・。

 

ここは”壁の中”なんだ。

 

「本当に今日は様子が変だけど大丈夫かい、アニ?」

驚いて声を失くしている私を心配してくれる父さん。

 

「・・・ううん、大丈夫だよ。」

父さんにこれ以上心配かけないように、ぎこちない笑顔を作って言葉を返す。

 

「ならいいのだが・・・。とにかくご飯を食べて準備しないとな。」

 

「うん、いただきます。」

私は食事をしながら頭の中の整理を続ける。

 

・・・ここは”壁の中”らしい。

 

”今”はいったい”いつ”なんだろう・・・?

 

私は”あの時”、死んではいないみたい。

 

・・・私は”アルミン”とどんな関係なんだろう。

 

”戦士”としての”使命”は・・・。

 

 

・・・とにかく、情報が少ない。

なんとかして情報を集めないと。

 

「アニ?本当に大丈夫かい?」

父さんの呼びかけに意識を目の前に戻すと、父さんが不思議そうな顔をしている。

 

「もうスープは入っていないぞ。」

手元に視線を向けると空になったスープ皿を私は必死になってすくっていた。

 

「・・・ごめんなさい、大丈夫。ちょっと考えごとしていたから。」

私は慌てて父さんに釈明する。・・・ちょっと恥ずかしい。

 

「本当にアニはしっかりしてそうで、うっかりさんなんだな。」

父さんが笑う。

 

父さんの笑顔を見て、私も少し微笑んだ。

 

「さぁ、食事がすんだら準備を急ぎなさい。もう時間ないぞ。」

 

「うん・・・。ごちそうさま。」

父さんが私の前の食器も片付けて、洗いはじめようとする。

 

「私も手伝うよ。」

席を立って父さんに近づきながら言うと、

 

「いいよ、準備しなさい。もう”アルミン君たち”くる時間だぞ?」

 

「・・・うん。」

父さんはどこか嬉しそうにそう言って、私を制した。

 

私は父さんの言葉に従って、自分の部屋(らしい)に戻って着替えることにする。

 

 

今からアルミンと会う、らしい。

 

怖い・・・。

 

私は一体どんな顔をして会えばいいのだろうか。

 

アルミンとエレンたち”仲間”を死においやった”記憶”が蘇る。

 

アルミンは”覚えている”のだろうか・・・。

 

怖い。

 

・・・でも会いたい。

 

部屋に戻り、クローゼットの中の”見慣れない服”からちょっと小奇麗な服を選び袖を通していると、

 

「アニ!早くしなさい。”アルミン君”たちが迎えにきたよ!」

父さんの呼ぶ声が下から聞こえた。

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