「アニ、おはよう。」
懐かしい、私が見たかった顔に微笑みを浮かべてアルミンが声をかけてくれる。
「――――っ」
その笑顔を見た瞬間に私の瞳から涙が溢れ出す。言葉が出ない。
様々な感情が頭の中を駆け巡る。
「おい、アニどうしたんだ!」
「アニ、どうかしたの?」
私の様子に驚いて、アルミンの後ろにいた二人、エレンとミカサが心配そうに顔を覗き込んできた。
「アニ、大丈夫かい。」
目の前にいるアルミンも心配してくれている。
「・・・、大丈夫。ちょっと眩しくて。」
私はとっさに見え透い嘘をついて誤魔化そうとする。
「なら、いいんだけど。具合悪かったりしない?」
「うん、本当に大丈夫。ありがとう…。」
アルミンは私の言葉を信じたわけではないだろうが、それ以上は涙については触れてはこなかった。
「アニが大丈夫なら、さっさと行こうぜ。」
「うん、そうしよう。」
エレンとミカサもアルミンが追及しないので、それ以上私の涙を話題にすることはなかった。
これからの外出に向けて楽しそうな声色に変わった。
「そうだね、今日はアニが楽しみにしていた買い物にいくんだから。」
アルミンも再び私に笑顔を向けながら、”以前”と同じ優しい声色で声をかけてきた。
「といっても”シガンシナ”の街だからたいしたことねえけどな。」
エレンも笑いながら私のほうを向いた。
「うん・・・。」
私はそのアルミンの笑顔と言葉に、嬉しさと”罪悪感”を感じながらも返事をして、アルミンとエレン、ミカサの顔を見る。
そこには確かに3人が生きていた。
息をしている、笑顔を向けてくれる、声をかけてくれる。
戦士の私たちが、私が奪ってしまったものがそこにあった・・・。
「やっぱり元気ねえぞ、大丈夫かアニ?」
「うん、やっぱり心配。」
私が再び黙って考え込んでしまったのを見て、エレンとミカサが心配してくれる。
「ううん、大丈夫。ごめんなさい・・・。」
そんな二人に私は、何に、どんなことに向けてか分からない、ずっと言いたかった謝罪の言葉を口にした。
「まぁ、とにかく出発しようよ。」
アルミンは私の様子を見て心配しながらも、歩きだした。
それを見てエレンとミカサも歩き出す。
アルミンとエレン、ミカサの後を少し離れて私は歩く。
まだわからないことが多いけど、私は今の状況を整理しようとする。
ここはアルミンやエレン、ミカサたちの故郷のシガンシナ区らしい。
まだ、【壁】は破られていないみたいだ。訓練兵団にも入っていない。
ということは、戦士の私たちが壁を壊す前なのか。
そしてアルミンたちは”以前”のことは覚えていないみたいだ。
私とアルミンたちは幼馴染のような感じなのかな。
少なくても仲は良さそうだ。
必死になって考えて歩いていると、
「あっ!」
私は何かに躓いてしまったようだ。転んで手と膝をついてしまった。
「アニ!大丈夫?」
少し前を歩いていたアルミンが慌てた様子で駆け寄ってきれくれた。
「もう、今日は本当にアニらしくないね。気をつけてよ。」
やっぱり、アルミンは優しい。
微笑みを浮かべ言葉をかけながら、私に手を差し出してくれる。
「ありがとう・・・。」
私もできる限りの笑顔を浮かべてアルミンの手をとって立ち上がろうとする。
「えっ!」
アルミンの手を取った時だった。
私の中から何かがアルミンに向けて流れ込んでいく、そんな感覚におそわれた。
私の手からアルミンの手に白い光のようなものが流れ込んでいく、そんな風に私には見えた。
アルミンも何かを感じたように、驚いている。
ほんの数秒のことだったけど、私には数時間に感じた。
アルミンの表情が変わった。
それは驚きと、悲しみに溢れているように私には見えた。
「アニ・・・。」
アルミンが少し震える声で私の名前を呼んだ。