今回は短いですが、マイペース更新で続けていきますのでよろしくお願いします。
「アニ・・・。」
木陰についた私たち、先に言葉を発したのはアルミンだった。
歩いているときは前を向いて、私の方を見ていなかったアルミンがゆっくりと振り返り、私の目を見ながら。
その表情は険しく硬い。
そう、だよね。
私はアルミンを裏切り、騙した。
そして、結果的に命を奪った。
そんな私が目の前にいるんだ。
憎くて、憎くてたまらないはずだよ。
今更、謝ったとしても・・・。
もう一度“笑顔”を見たい、なんてあの時、“うなじ”を自分で切ったときに願った私は甘いんだ。
「アニは”覚えて”いるんだよね?」
呼びかけられても、何も口にすることができないでいた私にアルミンが探るように言った。
「・・・、うん。」
その問いかけに私は短く、アルミンの顔を見れずに俯いて答えた。
「そう、やっぱりね。」
私の肯定に返ってきたアルミンの言葉には抑揚がなかった。
私の身体が恐怖で震えはじめた。
怖い、言葉を発するのが。
怖い、アルミンの顔を見るのが。
・・・怖い、アルミンに憎悪を向けられるのが。
それが仕方のないこと、当たり前のことだったとしても。
氷の女、と呼ばれていた私に笑顔を向けてくれたアルミン。
そんな私を受け入れて、話しを聞いてくれたアルミン。
私が愛したアルミン。
私を愛してくれたアルミン。
・・・最後まで私を守ろうとしてくれたアルミン。
そして、私が裏切ってしまったアルミン。
そのアルミンが目の前にいる。
やっぱりアルミンの顔を見ることができない・・・。
アルミンの私を見る目が憎悪に染まっているのを見たら・・・。
私の心が耐えられない。
私が最後に見たアルミンは・・・。
疲れて悲しんでいたけど、私に
「大丈夫だよ。」
と、笑顔を向けてくれた。
でも、私は大丈夫ではないと感じていた。
いや、わかっていたのだ。
私がアルミンに伝えた話しは【デタラメ】だと。
どうして私はあの時、アルミンに感じたことを伝えなかったのだろう。
どうして私はあの時、笑顔で私の元から”話しあい”にいくアルミンを止めなかったのだろう。
私が“戦士”だったから?
あの後何度も自問し、答えがでなかったことが再び頭を駆け巡る。
時間が止まったような感覚を打ち破ったのは、やはりアルミンの声だった。
「アニは・・・。どうするんだい?」
「いやどうしたいの?」
さっきの抑揚のない声色と違い、少し暖かい感じがした声だった。
私はその暖かさに少しだけ、ほんの少しだけ都合のいい期待をしながら顔を上げ、アルミンに視線を向ける。
そこには、困ったような表情を浮かべんながらも、私の方を暖かく見つめてくれているアルミンの顔があった。