暗殺教室 28+1   作:水野治

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1日24時間が短く感じます。
20歳で人生の体感時間の折り返し地点らしいんでそういうことなのかなって思いながら執筆しています。


第2話 野球の時間

 眠い目を擦りながら登校する。最初は山を登るなんてキツかったが今は疲れることなく登校することができているので体力がついたということを実感する。通学していると後ろから声をかけられた。

 

「南雲君おはよー」

 

「おう茅野、おはよう」

 

「今日はいつもより早いんだね」

 

「ああ、神崎が本を貸してくれるからな。少し早めに出てきた」

 

「神崎さん読書好きなんだ」

 

「読書家だから国語の成績良いって言ってたな。何か読みたくなったら神崎に聞くといいよ」

 

「そうなんだ、今度聞いてみる。南雲君も貸し借りするくらいだから詳しいんじゃない?」

 

「まあまあかな」

 

「まあまあか~、でも神崎さんとも仲良くなりたいし本をキッカケにしてみるよ」

 

「茅野ならすぐに仲良くなれるだろ、3年から編入してきたのにもう馴染んでるし」

 

「えへへ、みんなと早く仲良くなりたいから積極的に声をかけるようにしてるんだ」

 

「ほーん頑張り屋だなー」

 

「うん!…あれ?あそこでキャッチボールしてるのは渚と杉野君?」

 

「ああ、渚と友人は毎朝キャッチボールしてるよ」

 

「そうなんだ、2人は仲がいいんだね」

 

「たしか美化委員だったときに仲良くなったって言ってたな」

 

「へぇ~。でも南雲君も杉野君のこと名前で呼んでるってことは仲いいんだ」

 

「俺と友人は野球繋がりだな」

 

「そうなんだ!今度キャッチボールしようよ!」

 

 渚とやれと言うと茅野がなんでさ!と反論してくる。いや渚は面倒見いいし加減もしてくれるから、決してキャッチボールが面倒くさいというわけではない。ええ、決して。

 横でブーブー言っている茅野と教室に入ると既に神崎が登校していたので神崎の下へと行く。

 

「おはよ、神崎」

 

「おはよー神崎さん」

 

「おはよう南雲君、茅野さん。珍しいね、2人で登校?」

 

「なんかついてきたから」

 

「なんかとはなにさ!なんかとは!」

 

「ふふっ仲良くていいね」

 

 いや仲が良いけど友達っていうより親戚の子供っていう感じが強い、背とか小さいし。

 

「ハイ、南雲君。約束の本だよ」

 

「てんきゅ、神崎。ちなみにどんな話なんだ?」

 

「知的障がい者の男性が主人公で脳の手術をすることで頭が劇的に良くなるんだけど、それに伴って今まで気づかなかったことだったり人間関係が変わる様を主人公視点で書いた作品だよ。きっと感動すると思うな」

 

「おう、読むときは横にハンカチでも用意しておくよ」

 

「とか言って淡々と読みそうだよね、南雲君は。泣く姿が想像できない!」

 

 茅野はそう言うがそんなことはない、俺は泣いたことがあるものを思い出す。

 

「ちゃんと泣いたことあるぞ」

 

「へぇ~何で泣いたの?」

 

「んー…スパイダーマンでうるっときたな」

 

「スパイダーマンはアクション映画でしょ!」

 

「おじさんが死ぬ場面だよ、大いなる力には大いなる責任が伴うっていうシーン」

 

「確かにあのシーンは感動したな」

 

「神崎さんまで!…私がずれてるのかなあ」

 

「まあ人の感性はそれぞれだしな、気にすることはない」

 

「むーなんか偉そうでムカつく!」

 

 茅野が軽く殴ってくるが全く効かない。これが俗にいう蚊が止まってるかと思ったぞ、か。

 気づいたら始業のベルが鳴る時間が近づいてきたので神崎に再度お礼を言って席に戻る。俺も茅野もバッグを持ったまま話してたので慌てて机に戻りバッグを置く。忘れ物の確認をしていると渚と友人が教室に入ってきた。気のせいでなければ友人が落ち込んだ様子だ、何かあったのだろうか。本人には聞きづらいのであとで渚に聞いてみようと思っていると始業のベルが鳴った。

 

 

 

 

 休み時間になったので渚の下へと行き友人のことを聞いてみる。

 

「渚、友人なんかあったのか?」

 

「うん…野球ボールを投げるっていう暗殺をしたんだけど杉野の球が殺せんせーに届くまでに用具室までグローブを取りに行かれてキャッチされちゃったんだ」

 

「あーなるほど、球速が遅いことを落ち込んでいるのか」

 

 友人の良さはそこじゃないんだけどなーと思う。あいつはランナーがいるときの牽制や間の取り方はかなりうまい、それこそ友人からエースの座を奪ったやつより。フィールディング1つを取ってもそこらの強豪のエースより上手かった。

 渚と話をしていると烏間さんと鵜飼さんが入ってきたので磯貝が対応している。どうやら殺せんせーの放課後の予定は授業終了と共にニューヨークまでスポーツ観戦らしい。烏間さんは俺らに暗殺と勉強の両方頑張ってくれと言って教室を出ていった。

 でもマッハ20で飛ぶ生物をどうやって殺せばいいのだろうか、全く検討がつかない。

 

 

――

 

 

 翌日の放課後、俺と渚は英語で日記を書くという課題をやってきたので殺せんせーを探している。ちなみにこの課題、やってもやらなくてもいいらしいがちょっと点数がもらえるということなのでクラスの大多数はやっていないが2人はやってきたというわけだ。

 

 職員室にいなかったので2人で探していると外で友人と話してるのを発見した。外靴に履き替えて行くと友人が触手に絡まれてたので慌てて駆け寄る。

 

「なにしてんの殺せんせー!」

 

「生徒に危害を加えないって契約じゃなかったの!」

 

「おや南雲君に渚君。今先生は杉野君の筋肉を見ているんですよ」

 

「「筋肉?」」

 

「ええ…杉野君、昨日見せた投球フォームはメジャーの有田投手を真似ていますね」

 

 そう言えばそうだ。友人は有田選手の豪速球に憧れてフォームも真似ている。

 

「でもね触手は正直です。彼と比べて君は肩の筋肉の配列が悪い、真似をしても豪速球は投げれませんねぇ」

 

「なんで先生に断言できるのさっ」

 

 渚が友人に代わって反論すると殺せんせーは新聞を見せてきた。そこには触手責めにあっている有田投手が写っていた。

 

「そっか…やっぱり才能が違うんだなぁ…」

 

「一方で肘や手首の柔らかさは君の方が素晴らしい!鍛えれば彼を大きく上回るでしょう。才能の種類はひとつじゃない、君の才能に合った暗殺を探してください」

 

「肩じゃなくて肘や手首が俺の才能か…」

 

 どうやら友人は投手としての道を見つけたらしい。俺と渚は本来の目的を思い出し離れていく殺せんせーの下へと行く。

 

「殺せんせーは友人に助言するためにニューヨークへ行ったんですか?」

 

「もちろん!先生ですから」

 

「でも普通の先生はそこまでしてくれないよ、ましてやこれから地球を消滅させる殺せんせーが…」

 

「…先生はね、ある人との約束を守るために君達の先生になりました。地球は滅ぼしますがその前に君達の先生です、君達と真剣に向き合うことは地球の終わりよりも重要なのです」

 

 そう言いながら俺と渚の提出課題をマッハで採点する。ノートの裏には変な問題が書き足されていてペナルティをくらった気分だ。殺せんせーの言った言葉の中に気になることがあったので訪ねてみる。

 

「殺せんせー、ある人との約束って雪村先生ですか?」

 

「…ええ、転勤する彼女に頼まれましたから」

 

「そうですか、会うかはわからないですが先生によろしく伝えてもらっていいですか」

 

「もちろんです」

 

 採点を受けた俺と渚は帰る準備をする、友人を誘うとちょっと特訓するから先に帰ってくれと言われた。キャッチボール相手がいないのにどうする気だ?と聞くと書店に寄るとのことだった。それは特訓じゃなくて調べものだろ。

 

 

――

 

 

 1週間後、放課後に渚とキャッチボールしてるから成長した俺を見てほしいと言われたのでグラウンドに行く。するとキレの良い変化球を投げる友人がいた。

 

「おー!すげえ変化量だ、初見じゃ打てんかも」

 

「そうだろ!肘と手首をフルに活かした変化球を習得中なんだ!遅いストレートもこいつと二択で速く見せれる」

 

 今までの投げ方じゃできない変化球を見て俺は素直に感心した。きっとフォームも色々と研究したんだろうなと思う、有田投手の面影はほとんどない。

 

「渚、純一、俺続けるよ。野球も暗殺も。まずは景気付けに純一と勝負しようと思う」

 

「そうか!でもいいのか?俺は打つのが本職だからガッツリ打ち込んで自信無くすと思うけど」

 

「…もう少し磨いてから勝負にするかな?」

 

 友人の変わり身に俺と渚は顔を合わせて笑う、やっぱり友人に落ち込んでるのは似合わない。

 正直殺せんせーを殺せる気はしない。でも不思議と俺たちを殺る気にさせる殺せんせーの暗殺教室はちょっと…いやかなり楽しい。




野球の用語を解説しますと、フィールディングというのはピッチャーのバント処理などのことを指しています。強豪校ほど打ったり走る以外のこういう部分に相当力を入れています。

野球はガチでやっていて今は社会人と指導者として野球に携わっているので杉野君の野球回は結構ガチで書きます。ご期待ください。

公式ガイドブックによりますと杉野君は変化球はもちろん、守備、打撃、マウンドさばきなど技術面のほとんどで進藤君を上回っているそうです。
まあでも中学のときはなにも考えていない指導者ほどただ球が速いだけでエースにしてることが多いんで、この点に関しては現実寄りかなって思います。
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