暗殺教室 28+1   作:水野治

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4月から良いスタートを切るために体調管理に気を付けましょう。


第15話 転校生の時間 その2

「みなさんおはようございます」

 

「「「おはよーございます」」」

 

「烏間先生から転校生が来ると聞いてますね?」

 

「あーうん、まぁぶっちゃけ殺し屋だろうね」

 

 始業の挨拶を終え前の席の前原と殺せんせーは話している。昨日の夜に烏間先生から律の時と同様に転校生が来るというメールが届いた。

 

「律さんの時は少し甘く見て痛い目を見ましたからね、先生も今回は油断しませんよ。いずれにせよ、みなさんに仲間が増えるのは嬉しいことです。生憎天気が悪いのが残念ですが元気よく来てくれるでしょう」

 

「そーいや律、何か聞いてないの?同じ転校生暗殺者として」

 

「はい、少しだけ。初期命令では私と『彼』の同時投入の予定でした。私が遠距離攻撃で彼が肉迫攻撃、2人で連携して殺せんせーを追いつめると。ですが…2つの理由でその命令はキャンセルされました」

 

 その2つの理由とは、

・彼側の調整に予定より時間がかかったから

・律が彼より暗殺者として圧倒的に劣っていたから

――ということらしい。

 殺せんせーの指を飛ばした律がその扱いって…一体どんな怪物なんだ。体に七つの傷があるのかそれとも魔界の謎を喰い尽くした魔人か。とにかく只者ではないだろう。

 すると勢いよく教室の戸が開かれた。一歩一歩雪の道を確実に踏みしめるかのように白装束の人が入ってきた。なるほど、これは只者じゃなさそうだ。

 男は手を顔の高さくらいまでスッと上げるとポンっと鳩を出してきた。前列にいる生徒たちでなく全員がビクッと体を震わせた。ちなみに俺は後ろの席にいるからかイマイチよく見えなかったので驚かずに済んだ。

 

「ごめんごめん、驚かせたね。転校生は私じゃないよ。私は保護者、…まぁ白いし”シロ”とでも呼んでくれ」

 

「…いきなり白装束で来て手品やったらビビるよね」

 

 あれ?殺せんせーはどこだ?クラス中が同じことを考えたのかみんなキョロキョロとしていると誰かがあっと言って天井を見る。

 

「「「ビビってんじゃねえよ殺せんせー!!」」」

 

「しかも奥の手の液状化まで使ってるよ…」

 

「…いやぁ、律さんがおっかない話をするもので」

 

 噂に踊らされてるし…、気持ちはわからないでもないけども。ちなみ液状化とは奥田が作った薬を飲むことによって変身することができる殺せんせーの奥の手である。例えるならばチョッパーのランブルボールだな。

 

「はじめましてシロさん、それで肝心の転校生は?」

 

「はじめまして殺せんせー。ちょっと性格とかが色々と特殊な子でね、私が直接紹介しようと思いまして」

 

 なんか掴み所がない人だなぁという印象を受ける。話し方もキャラもなんとなく作ったような感じがするし。

 

「しかしみんな良い子そうだなぁ、これならあの子も馴染みやすそうだ。席はあそこでいいんですよね、殺せんせー」

 

「ええ、そうですが」

 

 席の位置は俺とカルマの間で奥田の後ろだ。男子と女子の人数の関係で女子列となる。

 

「おーいイトナ!入っておいで!」

 

 さてどんなやつなんだろうか。律が彼と言っていたから男は確定だ。E組にはまだかまだかという空気が流れている。

 するとゴシャッという鈍い音と共に俺達と同じくらいの年齢の男子が入ってきた。

 

(((ドアから入れ!!!)))

 

「俺は…勝った。この教室のカベよりも強いことが証明された。それだけでいい…」

 

 いや、よくない。せっかく雨漏りがしなくなったのに壁を壊すなんて。鵜飼さんの仕事が増えちゃうだろうが。それにしても――

 

(((なんかまた面倒臭いの来やがった!)))

 

 殺せんせーもリアクションに困ってるし。幼稚園児が書くような中途半端な顔になっちゃってるよ。

 

「堀部イトナだ、名前で呼んであげてください。それと私は少々過保護でね、しばらくの間彼のことを見守らせてもらいますよ」

 

 …なんかきな臭いな。白装束の保護者に話が読めない転校生、今まで以上にひと波乱ありそうだ。

 

「ねぇイトナ君、ちょっと気になったんだけど。今外から手ぶらで入ってきたよね。外はどしゃ降りの雨なのになんでイトナ君一滴たりとも濡れてないの?」

 

 カルマがそう尋ねたがたしかにその通りだ、髪はおろか衣服すら濡れていない。イトナはE組全体をキョロキョロと見回したあとカルマに向かって言葉を投げ掛ける。

 

「……お前はたぶんこのクラスで2番目に強い。けど安心しろ。俺より弱いから…俺はお前を殺さない。…そして1番強いのはお前だ」

 

 イトナは俺を指差して言う。人を指差すなよ、人差し指合わせてETに仕立てあげるぞ。

 

「だがお前でも俺より弱い。…俺が殺したいと思うのは俺より強いかもしれない奴だけ。この教室では殺せんせー、あんただけだ」

 

「強い弱いとはケンカの事ですか、イトナ君?力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ。それに強さとは肉体に対してのみ使う言葉ではありません」

 

「立てるさ、だって俺たち『血を分けた兄弟』なんだから」

 

「「「兄弟ィ!?」」」

 

 このきょうだいとは顔や姿をうつし、化粧をするための鏡を取り付けた台でもなく橋の両端で橋をささえる部分のことでもない。同じ親の持つとかそっち方面の兄弟のことだろう。当然だが。

 

「負けた方が死亡な、兄さん。小細工は要らない、お前を殺して俺の強さを証明する。放課後にこの教室で勝負だ。――それと、今日があんたの最後の授業だ。全員にお別れでも言っておけ」

 

 そう言うとイトナは教室を出ていった。ここぞとばかりにみんなが質問攻めをする。

 

「兄弟ってどういうこと!?」

「人とタコで全然違うけど!?」

「ちゃんと説明して!」

 

「いやいやいや!全く心当たりありません!先生生まれも育ちもひとりっ子ですから!両親に弟が欲しいってねだったら家庭内が気まずくなりました!」

 

 そもそも親とかいるのか?ツッコミどころ満載な解答が返ってきたな。

 

 

 

 

 昼休みとなり俺達は昼食を取っているが俺達の視線はイトナと殺せんせーに釘付けとなっている。

 

「すごい勢いで甘いモン食ってんな、甘党なところは殺せんせーとおんなじだ」

 

「それと表情が読みづらいところとかな、顔色は変わるのかな?」

 

「兄弟疑惑で皆やたら私と彼を比較しているのでムズムズしますねぇ。気分直しに今日買ったグラビアでも見ますか、これぞ大人の嗜み」

 

 そう言って殺せんせーはグラビアもといマガジンを取り出す。巻頭のグラビアを大人の嗜みつて言われてもなぁ。チラとイトナを見るとイトナも殺せんせーと同じ雑誌を机上に広げていた。

 

「こ、これは俄然信憑性が増してきたぞ」

 

「そうか?岡島」

 

「そうさ!今週の巻頭グラビアの後田寒子は巨乳なんだ!巨乳好きは皆兄弟だ!!」

 

 そう言って岡島は2人と同じ雑誌を鞄からの取り出す。その理屈でいうと3人兄弟ということになるがいいのか?

 

「もし本当に兄弟だとして…何で殺せんせーはわかってないの?」

 

「うーん、きっとこうよ」

 

 そう言うと不破は得意気に語り始める。

 

「舞台は戦争がやまない国よ、そしてついには二人の兄弟が住む村にまで敵軍が侵略してくるの!敵軍の猛攻から兄の殺せんせーは弟を庇って生き別れるのよ!――で、成長した2人は兄弟と気付かず宿命の戦いを始めるのよ」

 

「うん…で、どうして弟だけ人間なの?」

 

「それはまぁ…突然変異?」

 

「肝心なとこが説明できてないよ!もっとプロットをよく練って不破さん!」

 

 茅野と不破の会話を聞きながらイトナを見ると目が合った。なんかこのままなのも気まずいので話しかけることにした。

 

「甘いもの好きなようだけどどれが一番好きなんだ?」

 

「…ルマンドだな。味だけでなく食感もいい」

 

「たしかにうまいよな。あっブラックサンダーもらっていい?」

 

「…構わない」

 

「てんきゅ」

 

 兄弟のことを語るなら過去について触れざるを得ないので、殺せんせーの隠している過去がわかるかもしれない。イトナは一体俺達に何を見せてくれるのだろうか。

 

 

――

 

 

 放課後となり俺達はシロに指示され机を教室の真ん中を囲うように移動させた。まるで机のリングだ、試合のような暗殺なのか?

 

「ただの暗殺は飽きてるでしょ、殺せんせー。リングの外に足が着いたらその場で死刑ってルールはどうかな?」

 

 シロの提案に友人がぼやく。

 

「負けたって誰が守るんだよそんなルール」

 

「いや…そうでもないぞ」

 

「ああ。皆の前で決めたルールを破れば"先生として"の信用が落ちる。殺せんせーには意外と効くんだ、あの手の縛り」

 

「…いいでしょう、受けましょう。ただしイトナ君、観客に危害を与えた場合も負けですよ」

 

「では合図で始めようか」

 

 そう言うとシロが腕をあげる。

 

「暗殺……開始!」

 

 腕を陸上の審判のように振り落とすと同時に暗殺が始まる。

 "一閃"という言葉が相応しいかもしれない。開始と同時に殺せんせーの腕は切り落とされた。しかし俺達の目は切り落とされた腕ではなくただ一ヶ所に釘付けになった。

 

「「「触手!?」」」

 

 イトナの頭もとい髪から触手が生えていて生きてるかのように操っている。それと同時に納得もする、全部触手で弾けるから雨の中手ぶらでも濡れなかったのかと。

 

「…………どこだ」

 

 空気が変わった。どす黒い殺気を感じ思わず身震いした。

 

「どこでそれを手に入れたッ!その触手を!!」

 

 殺気の正体は殺せんせーだった、顔色はどす黒く色を変えて激しく怒っていることが一目瞭然だ。

 

「君に言う義理はないね殺せんせー、だがこれで納得したろう。両親も育ちも違う、だが…この子と君は兄弟だ」

 

「……どうやらあなたにも話を聞かなきゃいけないようだ」

 

「聞けないよ、死ぬからね」

 

 そう言った白は腕をスッとあげ服の隙間から眩しい光を照射した。

 

「この圧力光線を至近距離で照射すると君の細胞はダイラタント挙動を起こし、一瞬全身が硬直する。全部知っているんだよ、君の弱点は全部ね」

 

「死ね、兄さん」

 

 イトナはシロの光線の照射に合わせて触手で激しく攻撃を仕掛ける。見た感じ殺せんせーはそれを防げてはいない。…まさか殺ったのか?いや、上だ。脱皮をして逃げたのか。

 

「脱皮か…そういえばそんな手もあったっけか。でもね殺せんせーその脱皮にも弱点があるのを知っているよ」

 

 シロはそのまま弱点を続々と解説していく。

・脱皮直後は見た目よりもエネルギーを消費するのでスピードが低下する

・再生直後も同様に体力を使うのでスピードが低下する

・特殊な光線を浴びると硬直する

 

 それだけではない、俺達が見つけた"テンパるのが意外と早い"などの弱点も今の暗殺では露骨に現れている。

 

「お、おい…これマジで殺っちゃうんじゃないか」

 

 誰かが言った、だがそんな言葉すら頭には入ってこなかった。たった今殺せんせーの触手が2本切り落とされたのだ。

 

「フッフッフッ。これで脚も再生しなくてはならないね、なお一層体力が落ちて殺りやすくなる」

 

「…安心した。兄さん、俺はお前より強い」

 

 殺せんせーが追い詰められ地球が救えるというところまできている。…なのに、どうして俺は悔しく感じているんだろう。後出しジャンケンのように次々出てきた殺せんせーの弱点、本当ならそれは俺達がこの教室で見つけたかった。悔しい理由はそれだけではない。烏間先生やビッチ先生、そして何より殺せんせーから教わった技術で俺達"E組"の手で殺したかった。

 俺と同じ思いなのか隣に立っている渚は対殺せんせーナイフを強く握りしめている。

 

「脚の再生も終わったようだね、次のラッシュに耐えられるかな?」

 

「…ここまで追い込まれたのは初めてです。一見愚直な試合形式の暗殺ですが、実に周到に計算されている。あなた達に聞きたい事は多いですが…まずは試合に勝たねば喋りそうにないですね」

 

「まるで負けダコの遠吠えだね」

 

「…シロさん、この暗殺方法を計画したのはあなたでしょうが…ひとつ計算に入れ忘れてる事があります」

 

「無いね。殺れ、イトナ」

 

 イトナが触手で再度攻撃を仕掛ける。がしかし、イトナの触手は溶けていた。なぜ?

 

「おやおや、落とし物を踏んづけてしまったようですねぇ」

 

 手に持ったハンカチをヒラヒラとさせながら殺せんせーは笑っている。落とし物って一体――床に…対殺せんせーナイフ!?

 

「えっ、あ!」

 

 横では渚がナイフが手元から無くなっているのに気付いたのか声をあげている。渚のナイフをイトナの攻撃に合わせて床に置いたのか、いつの間に。

 殺せんせーは脱皮した皮で動揺して動けなくなってるイトナを包み込むとそのまま外へと投げ捨てた。外のどしゃ降りの雨が止んでいたことに気が付かないくらい二人の戦いに意識を奪われていたことに気付く。

 

「同じ触手なら対先生ナイフが効くのも同じ。そして触手を失うと動揺するのも同じですね。今、君の足はリングの外に着いている。先生の勝ちですねぇ、ルールに照らせば君は死刑。もう二度と先生を殺れませんねぇ」

 

 殺せんせーの言葉に気を悪くしたのかイトナの顔が大きく歪む。

 

「生き返りたいならこのクラスで皆と一緒に学びなさい。性能計算ではそう簡単に計れないもの、それは経験の差です。君より少しだけ長く生き、少しだけ知識が多い。先生が先生になったのはね、それを君達に伝えたいからです。この教室で先生の経験を盗まなければ…君は私に勝てませんよ」

 

「勝てない?弱い?俺が…?」

 

 言葉に気を悪くしたのではない。あれは自分の弱さに腹を立てている感じだ。

 顔だけでなく体全体で怒りを表しているイトナ、触手もどす黒く変色している。外からひとっ飛びで教室に舞い戻ったイトナはそのまま殺せんせーに襲いかかる。飛びかかろうとした瞬間イトナの首もとに何か撃ち込まれたのが見えた。

 

「すいませんね、殺せんせー。どうもこの子は…まだ登校できる精神状態じゃなかったようだ。転校初日で何ですが…しばらく休学させてもらいます」

 

 そう言ったシロはイトナを担いで教室を出ていこうとする。

 

「待ちなさい!担任としてその生徒は放っておけません、一度E組に入ったからには卒業するまで面倒を見ます。それにシロさん、あなたにも聞きたいことがやまほどある」

 

「嫌だね、帰るよ。力ずくで止めてみるかい?」

 

 尚も教室から出ていこうとするのをやめないシロに殺せんせーは肩を掴もうとして制止を促すが触手が溶け叶わないこととなった。

 

「対先生繊維、君は私に触手一本触れられない。責任持って私が家庭教師を務めた上ですぐに復学させるよ、殺せんせー」

 

 そう言ってシロは去っていった。取り残された俺達は誰が言うでもなく机を片し始めたら。

 

 

 

 

 俺達が机を片付けている最中殺せんせーはずっと両手で顔を覆って何か小声で言っている。俺は気にせず片付けを続行していたがついに片岡が殺せんせーに話しかける。

 

「何してんの、殺せんせー」

 

「シリアスな展開に加担したのが恥ずかしいのです、先生どっちかと言うとギャグキャラなのに」

 

「「自覚あるんだ!」」

 

「カッコ良く怒ってたね~『どこでそれを手に入れたッ!その触手を!』」

 

「いやああ言わないで狭間さん!改めて自分で聞くと逃げ出したい!」

 

「…ねぇ、殺せんせー。説明してよ」

 

「あの2人との関係を」

 

「先生の正体いつも適当にはぐらかされてたけど…」

 

「あんなの見たら聞かずにいられないぜ」

 

「私達生徒には先生の事よく知る権利があるはずでしょ」

 

 今までそれとなく聞いても煙に巻かれてたが今回のような事があっては誤魔化せない。殺せんせーも観念したのか立ち上がって重々しく口を開く。

 

「……仕方ない、真実を話さなくてはなりませんねぇ。実は、先生…………人工的に造り出された生物なんです!」

 

 …うん、で?

 

「だよね、で?」

 

「にゅやッ反応薄っ!これ結構衝撃告白じゃないですか!?」

 

「…つってもなぁ、自然界にマッハ20のタコとかいないしな」

 

「宇宙人でもないならそん位しか考えられないし」

 

「それであのイトナ君の弟だと言ってたから…」

 

「先生の後に造られたと想像がつく」

 

「知りたいのはその先だよ、殺せんせー。どうしてさっき怒ったの?イトナ君の触手を見て。…殺せんせーはどういう理由で生まれてきて何を思ってE組に来たの?」

 

 渚が全員の気持ちを代弁してくれた。クラスに沈黙が訪れる。

 

「…………残念ですが、今それを話したところで無意味です。先生が地球を爆破すれば皆さんが何を知ろうが全て塵になりますからねぇ」

 

 そうだった、殺せんせーは先生である前に超破壊生物だった。平和で淡々と濃密に流れていく日々の中で俺達が忘れていた事実を殺せんせーは突きつけてきた。

 

「逆にもし君達が地球を救えば、君達はいくらでも真実を知る機会を得る。もうわかるでしょう?知りたいなら行動はひとつ、殺してみなさい。暗殺者と暗殺対象、それが先生と君達を結びつけた絆のはずです。先生の中の大事な答えを探すなら…君達は暗殺で聞くしかないのです。質問がなければ今日はここまで、また明日」

 

 そう言って殺せんせーは教室を出ていく、質問は当然なかった。俺達はここでは殺し屋だ、銃とナイフで答えを探し殺せんせーに問わなければならない。

 

「…なぁみんな、俺が考えたことを聞いてくれないか?」

 

 磯貝が口を開く。俺達が無言で頷くと話を続ける。

 

「今日までさ、"誰かが殺せんせーを殺すだろ"って他人事だったけど今回の事を見て思ったんだ。"他の誰でもない俺達の手で殺したい"って。俺達が何のために頑張ってたのか、殺せんせーが一体何者なのか、限られた時間で殺れる限り殺りたい。殺せんせーを自分達の手で殺して、自分達の手で答えを見つけたい」

 

 俺達は再度無言で頷く。

 

「だからさ、烏間先生にもっと暗殺の技術を教えてもらえるようにお願いしにいかないか?」

 

「…いいと思う」

 

 最初に口を開いたのは片岡だった。

 

「私は磯貝君の意見に賛成だけど、みんなはどう?」

 

「賛成~!」

 

「俺も」

 

「私も」

 

 次々に同調の声が上がる。磯貝はありがとうと言い言葉を続ける。

 

「実はさ、南雲が放課後に烏間先生に教えてもらってたの見てたんだ。だからさ、南雲を始めとして一人一人が意識を変えていけば暗殺の成功確率はもっと高くなると思うんだ。だから、今からお願いしに行こう」

 

 俺はそれは違うと言いたかった。俺が烏間先生から教えを受けていた理由は怪我をしたくなかったからだ。でもここで俺がそれを言ってしまうと水を差すことに繋がると思ったので俺も士気を上げるために磯貝の話に言葉を繋げる。

 

「言うなって言われてたから言わなかったけど、俺も言うよ。放課後に俺より頑張ってた人がいたんだ、ビッチ先生だよ。みんなもこの間のワイヤートラップ見たろ?あれってビッチ先生が放課後ずっと練習していたんだ」

 

「「「へぇ~」」」

 

 ビッチ先生これでいいですか?と心の中で呟く。

 

「よし、じゃあ烏間先生が外にいるし、みんな行こう!」

 

 磯貝を先頭に皆が烏間先生の下へと向かう。

 椚ヶ丘中学校3年E組は暗殺教室。雨も止んで、始業のベルは明日も鳴る。殺せんせーを暗殺すること、それこそが全ての答えと繋がっている気がした。




オクトパストラベラーが楽しみで早く7月にならないかなと思っています。
北海道の桜開花は大体GWなので入学式などのときは咲く兆しすら見せてません。本州の方は金木犀があったり春の歌と桜の開花が一緒の時期なので少し羨ましいです。時期がずれてるせいかなんとなく感情移入しづらいと感じるのはたぶん自分だけじゃないと思います。
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