暗殺教室 28+1   作:水野治

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全2話なので2日連続で投稿します。
アニメとかで前編とか言われたら我慢できない質なので修学旅行や球技大会のように話を跨ぐ場合は連日投稿することを宣言しておきます。


第16話 球技大会の時間 その1

 昼休みを終えて今はHRの時間、議題はもちろんあの学校行事についてだ。

 

「クラス対抗球技大会…ですか、健康な心身をスポーツで養うというのは大いに結構!……ただ、トーナメント表にE組が無いのはどうしてですか?」

 

「E組は本戦にはエントリーされないんだ、1チーム余るっていう素敵な理由で」

 

「その代わり…大会の締めのエキシビションに出なきゃなんない。要するに見せ物さ、全校生徒が見てる前で男子は野球部の、女子は女子バスケ部の選抜メンバーとやらされんだ」

 

「なるほど、いつものやつですか」

 

「そう、でも心配しないで殺せんせー。暗殺で基礎体力ついてるし良い試合して全校生徒を盛り下げるよ!ねー皆!」

 

「「おー!」」

 

「お任せを片岡さん、ゴール率100%のボール射出器を製作しました」

 

「あ…いや、律はコートに出るにはちょーっと四角いかな…」

 

 女子は片岡を中心にまとまっている、ていうか律は大概なんでもありだな。一方で男子は――

 

「俺等晒し者とか勘弁だわ、お前らで適当にやっといてくれ」

 

「寺坂!…ったく」

 

 寺坂、村松、吉田の3人はそう言うと教室を出ていった。一応今はHRの時間なんだがな。

 

「野球となりゃ頼れんのは杉野だけど、なんか勝つ秘策ねーの?」

 

「……無理だよ。最低でも3年間野球してきたあいつらと…ほとんどが野球未経験の俺等、勝つどころか勝負にならねー。それにかなり強いんだ、うちの野球部。とくに今の主将の進藤なんて豪速球で高校からも注目されている。…俺からエースの座を奪った奴なんだけどさ。勉強もスポーツも一流とか不公平だよな、人間って」

 

 おい、そこで俺をチラ見するな友人。別に一流ではない。

 

「――だけどさ、殺せんせー。勝ちたいんだ、善戦じゃなくて勝ちたい。好きな野球で負けたくない、野球部追い出されてE組に来てむしろその思いが強くなった。…皆とチームを組んで勝ちたい!…まぁでも、やっぱ無理かな?」

 

 友人の言葉を俺達は真面目な顔で聞いていた。容姿とかそういうのじゃなくてカッコいいなと思った。自分の好きなものを堂々と主張して対抗心を燃やす、カッコ悪いわけがない。

 

「ヌルフフフフ、先生一度スポ根モノの熱血コーチをやりたかったんです」

 

 そう言った殺せんせーは野球のユニフォームならずグローブにボールにバット、果てには野球盤まで手にしていた。用意良すぎだろ。

 

「最近の君達は目的意識をハッキリと口にするようになりました。殺りたい、勝ちたいとどんな困難な目標に対しても揺るがずに。そんな心意気に応えて殺監督が勝てる作戦とトレーニングを授けましょう!」

 

 2本目の刃を示せと言われた時から俺達は目的意識がハッキリするようになった。最近で言うと殺せんせーを自分達の手で殺したいとかだ。殺せんせーが俺達の変化、言うなれば成長をちゃんと見てくれているんだと思ったら口許が緩んだので下を向いて顔を隠す。

 

「それとバスケを教えるのは殺せんせーではありません。もっと適任な方がいます」

 

 

 

 

 

 

 

――数日後。

 球技大会が近付いてきたということで午後の授業を球技大会の練習に当てることが出来ることになったので俺達は校庭に出てそれぞれ練習を始めるところだ。

 

「あーそれではまずは皆の実力を確認しまーす」

 

「純一、あんたやる気あんの?」

 

 そう言ったのは莉桜だ。やる気?あるにはあるがちょっと気分が乗らない。

 

「純君ってバスケット上手かったんだね」

 

「野球もうまいって知らなかったし」

 

「「ねー!」」

 

 ほら、これですよ。女子特有の脱線。これがあるからイマイチ気分が乗らないのだ。

 

「練習始める前になんで上手いのか教えてよ」

 

「賛成!教えて教えて!」

 

「私もちょっと気になるな」

 

 神崎まで!…まあ、それでスムーズに事が進むのなら。

 

「野球は父さんの影響でやってて小学生の頃は野球チームに所属していた。バスケは…亡くなった母さんがやっていたって聞いたから頼み込んでやらしてもらった。まぁチームに所属してたんじゃなくて父さんの知り合いに教えてもらってて1on1とかやってたから上手くなった。草バスケチーム的なのに所属しているって言えばいいのかな?これでOK?」

 

 やはり亡くなった母さんの影響とか言ったからみんなは聞いちゃいけないことだったのかとかあたふたと気にしている様子だ。

 

「いや、みんな別に気にしなくて良いから。普通に接してもらうのが一番助かる。それじゃあみんなの実力確認するから、順番にドリブルからのレイアップをしてくれ」

 

 殺せんせーの手によってグラウンドの隅にはバスケコート片面が作られていたのでそこで練習をしている。本当に準備が良いこと。

 全員の実力を確認した後に俺は比較的レベルが高かったメンバーをピックアップする。

 

「片岡、岡野、原は確定だな。あとは練習の途中経過を見て決めてくよ」

 

 片岡はやはりというか普通に上手い。それこそバスケ部にも見劣りしないくらい。岡野は素早さだ。ドリブルもそこそこ出来ているのでもう少し磨けばボール運び役をこなせる。原は安定感がある。動きに危なげがないのとゴール下での威圧感がありそうなのでパワーフォワード、センター辺りに収まるだろう。

 

「球技大会まで時間がないから作戦と役割をハッキリさせる。ボールを運ぶ役は基本的に片岡と岡野だ、それ以外は細かくパスで繋げていく。今から基礎をやっても間に合うか微妙だ。だからパスでシュートへと繋げていくスタイルで。ディフェンスは…いや、ここで説明やめとく。一度に言ってもわかんないと思うし、何か質問はあるか?」

 

 みんな口をポカーンと開けている。

 

「本当にバスケ経験者なんだね」

 

「なんかビックリ」

 

「あーうん。そうだね、じゃあ練習するぞ」

 

 

――

 

 

 ~凛香視点~

 

「片岡!無理な体勢でシュートにいくな!今は原がフリーになってたからパスフェイクを入れてからのシュート、それとそのままパスをするのもありだ!片岡がブロックでもされたら相手に一気に勢い持ってかれるからな」

 

「わかったよ!」

 

「厳しいよー南雲君が鬼だよー」

 

「茅野さん…見て、ほら」

 

「神崎さんどうしたの…あっ」

 

「でもその思い切りの良さはチームに得点以上の良い影響があるから大事にしろよ」

 

「「……」」

 

「…爽やかなアメと鞭だ」

 

「…さすが気になる男子No.1だね」

 

「No.1タイね、磯貝君忘れたらダメよ」

 

「みんな、一度休憩にするぞ。磯貝がみんなの分の買い出し行ってくれたらしいから全員分の飲み物あるぞ」

 

「本当だ、気を遣える男子二人組は違うね」

 

「日向じゃなくてちゃんと日陰で休めよ、俺はちょっと男子の方にも顔を出してくるから」

 

 そう言って純一は男子の方へと行った。素直にすごいなと思う、男子として野球に出場するだけじゃなくて女子バスケの方まで指導するなんて。本当に同じ中学生なのかなって思う。

 

「凛香ちゃん純君見てどうしたの~」

 

「別に、すごいなって思っただけだよ」

 

「たしかに純君すごいよね、何でもできるって感じで」

 

「でも陰ではかなり努力してるんだよね、みんな気付いてないだけで」

 

「私達ももっと頑張らなきゃね!」

 

「…そうだね」

 

「二人ともなに話してるの?」

 

「あっ桃花ちゃん、純君が頑張ってるから私達も頑張らなきゃって話してたんだ」

 

「南雲君本当にすごいよね」

 

「最近烏間先生より気になってるんだ~」

 

「「えっ」」

 

「?、どうしたの2人とも?」

 

「いや、あまりにも陽菜ちゃんが唐突に衝撃の告白をしたからビックリしちゃって」

 

「矢田に同じく」

 

「烏間先生よりってのは言いすぎたかな、でも気になってるのは本当だよ」

 

 倉橋が眩しかった。自分の気持ちに素直で明るくて、自分にはないものを多く持っている彼女を羨ましく思った。今も胸がズキンと痛んだ。私はこの気持ちがなんなのか気付いている、ただ認めたくないだけで――

 

「ただいまー、それじゃあ練習再開するぞー!…あれ凛香、髪二つ結びに変えたのか?なんか新鮮だな」

 

 純一の言葉で胸の痛みが消えた。…このタイミングでそんなこと言われたら認めるしかない。私の、この気持ちの名前を。

 

 

 

 

「たぶんこれで教えるのは最後にして、あとは片岡を中心に頑張ってもらうことになると思う」

 

「そんなこと言って面倒臭いだけじゃないの~」

 

「バッカ莉桜そんなわけないだろ。男子も危ういんだ。たまには様子見に来るけどさ」

 

「そっか、それなら仕方ないね。それで教える内容は?」

 

「お待ちかねディフェンスについてだ。ディフェンスはマンツーマンディフェンスって呼ばれる形で行こうと思う。マンツーマンっていうのは"1対1"ってことだ、文字通り常に特定の相手選手に対して1対1でくっ付いてディフェンスをするんだ。ここまではOK?」

 

「「うん」」

 

「よし、それじゃあ説明を続けるぞ。ただスクリーンと呼ばれるプレーがあってそう言った場合はマークしてる相手選手を切り替える必要がある。これをスイッチって言うんだが…まぁ見てもらった方が早いから実践する。片岡と岡野ちょっと前に出てくれ」

 

 2人に軽く説明してペアを作る。

 

「俺と岡野がオフェンスで片岡がディフェンスだ。片岡が岡野をマークしてるっていう設定で見ててくれ」

 

 そう言って実践してみせる。

 岡野がボールを持って攻めようとするが片岡がディフェンスしているので一筋縄にはいかない。そこで俺は片岡の右側へと事前に移動し岡野に分かりやすく親指で進行方向を示しドリブルを促す。岡野は自分から見て左側へとドリブル、片岡は岡野の進行方向、即ち右側へと移動するが俺がいるためそちらには行けない。岡野は楽々とレイアップを決めてゴール。今の一連の流れを見た女子はおーと声をあげている。

 

「今のがスクリーンと呼ばれるプレーだ。相手の行動を制限できて味方へのアシストになる。さてここでディフェンスの立場になって考えてみてくれ。俺が片岡を止めたために岡野はフリーになった、では岡野に対して誰がディフェンスに行くべきか。莉桜、わかるか?」

 

「純一をマークしていた人が岡野ちゃんにつけばいいんじゃない?」

 

「そう、正解だ。なんでかわからない人はいるか?いたらもっと詳しく説明するけど」

 

「「……」」

 

「よし、大丈夫そうだから続けるぞ。本来マークしていた相手が変わるからスイッチするんだが入れ替わるのが遅れたら相手に攻撃のチャンスを与えることになる。だからディフェンスが入れ替わるときは気づいたほうが先に"スイッチ"と言うんだ。そうすればすぐにマークを切り替えることができる。スクリーンについては俺がやったみたいな感じで空気を読んでやってくれ、以上だが何か質問は?」

 

「はい」

 

「なんだ、凛香?」

 

「最後のスクリーンの説明雑じゃない?」

 

「良い質問ですねぇ、それについてはちゃんと理由がある。スクリーンは簡単に言うと合図を送る相手と意思疏通が出来なきゃ意味がないんだ。俺は今回分かりやすく親指で進行方向を示したけど慣れてきたり上手くなってくると視線を交わすだけで出来るようになる。ただ俺はこのスクリーンについてさして心配などはしていない。E組女子は仲良いからきっとすぐに連携が取れると思ってるからな」

 

「池上彰似てないよ、でもスクリーンについてはわかった。ありがとう」

 

 うるさいよ、似てないのは知ってるよ。しかもどっちかというと殺せんせー意識したんだし、それでも似てないけど。

 

「他には何かあるか?」

 

「基本的にシュートはレイアップだけのほうがいい?」

 

「うーん…それについては難しいところだな。シュートは素人としては確率が低いからあまり撃つべきではないってのが当然の考えなんだけど相手もレイアップしかないと気付いたら中を固めてくるのが目に見えてるからな。だからリバウンドを取れそうな味方が、例えば片岡、原がゴール下にいてリバウンドが大丈夫そうだったら狙っても良い気がするけどな。そこは広く視野を持ってくれって感じだな、ちょっと投げやりだけど。今ので気付いたけどリバウンド教えてなかったから最後にリバウンドを教えてから野球の方に行くよ」

 

「シュートについてはわかったわ、ありがとう」

 

「いいんだ、片岡。曖昧なことがあったらすぐに聞いてくれ。他に質問がないようだったら最後にリバウンドを説明するぞ」

 

 

 

 

 

 

 

――リバウンドを教え終わった俺は片岡に全てを託し男子野球の方へと舞い戻った。すると岡島から手厚い歓迎を受けた。

 

「やいやい、女子といちゃついていたチャラ男め。それ相応の事は覚悟してもらうぞ!」

 

「別にいちゃついてねーし。なんだ岡島、羨ましかったのか?」

 

「当然だ!」

 

 うわ、言い切りやがった。

 

「レベルの高いE組の面々と汗のかいた体で密着し体を動かしていたんだぞ!男として羨ましくないわけないだろ!」

 

「お、おう…」

 

「おうじゃない!お前にはいくつか質問がある!」

 

「あ、ああ…」

 

 勢いに気圧されて返事が母音だけで構成されてしまっている。

 

「誰が一番良い匂いがしたんだ!」

 

「…は?」

 

「だから、誰が一番良い匂いしたんだ?」

 

「あのな、岡島。そんなこと気にならないくらい俺は集中していたし女子の方もそれに応えてくれるように頑張っていたんだぞ?そんなこと考えるわけないだろ。それにそんなことを考える心配がないから俺が教える立場に任命されたんだと思うぞ」

 

「そ、そうなのか。俺の心が汚れていたのか…」

 

「心が汚れてる訳じゃない、むしろ健全だ。俺がおかしいのかもしれない。ただ女子の前では自重しろよ、頼むから」

 

「ああ、気を付けるよ」

 

 ちなみに俺はおかしくない。教えてる最中には普通に良い匂いだなとか思ってたし、ポーカーフェイスを装っていただけだ。

 

「…で、さっき様子見に来たときも思ったけど打撃練習だけでみんな疲れすぎじゃね?なんか元気ねーし」

 

「南雲君は殺捕手の恐ろしさを知らないからだよ…」

 

「どういうこと?」

 

 渚から一通り説明を受ける。

 俺達男子陣はバッティングに焦点を当てて練習を行っているのだがピッチャーだけでなく内野、外野の全てを殺せんせーが分身でこなしているのだという。

 殺投手は300kmの球を投げ、殺内野手は分身による鉄壁の守備を敷き、そしてみんなの疲れた最大の要因である殺捕手はささやき戦術で集中を乱すとのことだ。なんでもそのささやき戦術の内容がエグいらしく、三村は校舎裏でノリノリのエアギターをやっていたということをバラされたそうだ。

 

「ほら、南雲君。早く打席に立ってください。打ってないのは君だけですよ!」

 

「…じゃあ行ってくるよ、渚」

 

「「御愁傷様」」

 

 おい、男子共。ともあれ俺はヘルメットを被りバッティング手袋を身に付けて打席に入る。

 

「さすが、経験者は打席に入る前から雰囲気が違いますねぇ」

 

「俺は何を言われても動揺しませんよ」

 

「ほう、そうですかそうですか」

 

 殺捕手はマスク越しでもわかるくらいにしましま模様になっていてオマケににやけているのがわかる。

 

 1球目、殺投手の300kmの球を見送る。…速っ!それしか言う言葉が見つからない。

 

「ところで南雲君」

 

 殺捕手は打席に入っている俺にだけ聞こえる声の大きさでささやいてきた。

 

「速水さんにあげた絵葉書、もっといいのがあったのではないかと思うんですが…どう思います?」

 

 ジーザス、なんで知ってる?

 

「絵葉書をあげたとき速水さん、顔には出していなかったですが嬉しそうでしたねぇ」

 

 ……ヤバい、集中できたもんじゃない。

 

「ところで現時点で一番気になってるのは誰ですか?」

 

「殺せんせー、許してください」

 

「ヌルフフ、ここまでにしておきしょう。それと三振ですよ?」

 

「えっ」

 

 集中を乱され過ぎて三振したことにすら気付かなかったらしい。うーん、情けない。

 

「みんな、殺せんせーに比べれば本校舎のやつらなんて大したことないぞ!」

 

「純一、カッコつけてるところ悪いが三振したよな?」

 

「打撃練習だけで疲れすぎとか言ってごめん。拷問も兼ねられていたんだな」

 

「これ球技大会の練習だよね!?」

 

 渚のツッコミを聞いたことにより平常心が戻ってきた。すげーな渚のツッコミ、効能ありすぎだろ。

 

「マッハ野球にも慣れたところで対戦相手の研究です。竹林君お願いします」

 

「ハイ、まず投手の進藤ですがMAX140kmで持ち球はストレートとカーブのみで練習試合は9割方ストレートでした」

 

「確かにあの豪速球なら中学だったらストレート一本で勝てちゃうよな」

 

「ええ、その通りです杉野君。逆に言えばストレートさえ見極めればこっちのもんです。というわけでここからは先生が進藤君と同じにとびきり遅く投げましょう。さっきまでの先生の球を見た後では彼の球など止まって見える。従ってバントだけなら充分なレベルで修得できます」

 

 確かに木村を始めとして走れるやつが多いE組ならセーフティーバントをすることで出塁可能だな。ただ点数をとるとなると俺と友人が頑張らなきゃだな。

 

「杉野君と南雲君はバントだけでなくバッティングもです。君達が打たなければ試合は勝てません、経験者の二人が要だということを意識してください」

 

「「ハイ!」」

 

「それでは始めましょう。皆さんも最低限の動きを覚えるために守備位置についてください」

 

 

 

 

 疲れた体を引きずるように俺と杉野は下校している。要と言われてはその期待に応えるしかない、同じことを思った俺達は他のメンバーより遅くまで残って練習していたのだ。そして殺せんせーから与えられた宿題を二人でメモを取りながら考えている。

 

「ピッチャーは友人としてキャッチャーはどうする?」

 

「キャッチャーは個人的に渚がいい。ずっと俺のキャッチボールに付き合ってくれたし」

 

「そうか、それなら渚で決定だな」

 

「ファーストは磯貝か前原はどうだ?」

 

「確かに問題はないがその二人は動けるからセカンドかサードに置きたい」

 

「言われるとそうだな…他に捕球が上手いって言ったら誰だ?」

 

「菅谷が結構よかったぞ。打球とかの予測ができてたから少しやればそれなりになると思う」

 

「じゃあファーストは菅谷、セカンドに前原、サードに磯貝。ショートはもちろん――」

 

「俺だな」

 

「肩いいし経験者だしな。ていうかメインポジションか」

 

「外野はセンターは確定だな」

 

「ああ、当然木村だよな。一番俊足だし」

 

「あとはレフトにカルマ、ライトは三村ってのが俺の考えなんだけど」

 

「それでいいと思う」

 

「最後に打順だな」

 

「木村の1番と純一の4番は確定だな」

 

「木村はいいとして4番は俺じゃない、友人だろ」

 

「純一のほうが打つし適任だろ」

 

「今回の球技大会の主役は友人、お前だろ?友人の教室での一言があって一念発起って感じの雰囲気になったんだからさ。それに――」

 

「それに?」

 

「それに、神崎に良いところ見せるチャンスだろ」

 

「純一…俺、お前と友達でよかったよ!」

 

「あーハイハイ。じゃあ打順決めてくぞー」

 

 二人であーでもないこーでもないと議論を重ねてついに決定した、それがこちら。

 

 1:中:木村

 2:捕:渚

 3:三:磯貝

 4:投:杉野

 5:遊:南雲

 6:二:前原

 7:右:三村

 8:一:菅谷

 9:左:カルマ

 

 補足としてカルマを9番に置いた理由について説明する。打順を見ての通り上位に上手いメンバーで固めているのだが9番にいるカルマが下手かと聞かれればそうではない。運動神経が良いカルマは野球においても何でもそつなくこなすことができたので上位打線に良い流れで繋げる役目を果たす9番に置いたというわけだ。

 

 球技大会について大方決まってきていよいよ本番が近付いてきたなと感じる。本校舎のやつらの度肝を絶対に抜いてやると決意しながら俺達は帰り道を後にした。




バスケに関しては習ってたのではなく友人に誘われて教えてもらってチームに所属してる感じなので説明が野球ほど上手くないです。
スポーツに関わる単語が多く出てきたのでわからない方はお手数ですが調べていただけると作者が助かります。
用語とかよりもスポーツをする上での考え方の方が大事だと思っています。
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