今さらだが椚ヶ丘中学校では成績が全てである。E組を誰に恥じることもないクラスにすると目論んでいる殺せんせーにとって期末テストは1学期の総仕上げ、つまり決戦の場である。だからと言って俺達も勉強をやらされているわけではない。自主的に勉強に励みわからないところは質問する、そんな模範的な勉強に対する姿勢を取っていた。
「ヌルフフフ、皆さん1学期の間に基礎がガッチリ出来てきました。この分なら期末の成績はジャンプアップが期待できます」
前回のテストのとき同様殺せんせーの分身が一人一人についている。寺坂の苦手教科を示すハチマキがナルトのマークなのも健在だ。
「殺せんせー、また今回も全員50位以内を目標にするの?」
渚が全員が思っていた疑問を殺せんせーに聞くといつものにやけたような笑顔で答える。
「いいえ、先生はあのときは総合点ばかり気にしていましたが生徒それぞれに合うような目標を立てることにしました。まさにこの暗殺教室にピッタリなものです!」
暗殺教室にピッタリという一言で皆のペンを走らせている動きが止まり殺せんせーを注視する。
「さて皆さんは先生が触手を失うのはご存知かと思います。詳しく説明しますと――」
説明の途中で殺せんせーはエアガンで自分の脚を撃つ。そして分身をすると数十体の中に子供の分身が紛れている。分身ってそういう減り方するもんだっけ?
「1本減ると全ての分身が維持しきれず子供の分身が混ざってしまいました。さらに1本減らすと……ごらんなさい。子供の分身がさらに増え親分身が家計のやりくりに苦しんでいます」
なんか切ない話になってきたな。
「もう1本減らすと父親分身が蒸発しました。母親分身は女でひとつで子を養わなくてはいけません」
「「「重いわ!」」」
殺せんせーの説明のボケ?に全員がツッコミを入れる。何で触手の本数の説明がドラマ仕立てなんだよ。
「色々と試してみた結果、触手1本につき先生は約20%運動能力が失われます。そこでテストの本題についてですが今回は皆さんの最も得意な教科も評価にいれます。つまり教科ごとに学年一位を取った者には答案の返却時触手を1本破壊する権利をあげましょう」
全員の目の色が変わる、暗殺の成功率が格段に上がるだけではなく得意教科でクラスに貢献することができるからだ。殺せんせーが言っていた通り総合ではなく1教科であればという生徒はE組には多くいる。
「チャンスの大きさがわかりましたね?総合と5教科全てで6本の触手が破壊できます。これが暗殺教室の期末テストです。賞金百億に近付けるかは皆さんの成績次第なのです」
本当にこの先生は殺る気にさせるのが上手いな。
心配なのは理事長の妨害だけだが烏間先生とビッチ先生が交渉しに行ってるのでそちらも問題ないだろう。
勉強も一段落し教室で各々休憩していると友人の携帯が震える。バイブレーションの長さから見て電話だろう。
「進藤か!……ああ……A組が?ちょっと待って――」
そう言って友人は電話をスピーカーモードに切り替え進藤に続き話していいぞと告げる。
『――それでA組が全員会議室に集まって自主勉強会を開いてるんだ。こんなの初めて見る、音頭を取っているのは"五英傑"と言われる天才達だ。だが中でもとびきりヤバイのが中間テスト1位に全国模試1位の生徒会長の浅野学秀、あの理事長のひとり息子だ。奴等はお前らE組を本校舎に復帰させないつもりだ。トップ50はA組に独占される可能性がかなり高いぞ』
「ありがとな進藤、心配してくれてるんだろ?けど大丈夫だ。俺達も目標があってA組に負けないくらいの点数を取るために頑張っているから見ててくれ」
『フン、勝手にしろ。E組の頑張りなんて知ったことか。じゃあ切るからな、頑張れよ』
そう言って進藤は電話を切った。なんか切り際の進藤がツンデレっぽいなって感じた。
「進藤って絶対根は良いやつだよな」
「ああ、部員からの信頼も厚かったしな」
「南雲ちょっといいか?」
磯貝が横から俺に尋ねてくる。
「放課後空きなら本校舎の図書室で勉強しないか?」
「えっ図書館取れたの?」
「ああ。期末を狙ってずっと前から予約しといたんだ、E組は基本後回しだから正にプラチナチケットだ。それでどうだ?」
「すまんな、実は放課後予定があって。代わりと言っちゃあれだけど後ろで目を輝かせてる莉桜を連れてってやってくれよ」
「さすが純一!気が利くじゃない!」
莉桜はそう言って俺の背中を叩く。磯貝の了承がないと図書館に行けないということを忘れてないだろうか。まあ磯貝が断るとは思えないけど。
*
放課後となったが俺はE組の教室にいる。
「なんでこのメンバーで勉強会?」
そう言ったのは凛香だ。だが当然の疑問だと思った。なぜなら勉強会のメンバーが男子は俺と千葉、女子は神崎、倉橋、凛香、矢田の計6人だからだ。
「私達じゃダメ?凛香?」
そう言って矢田は上目遣い気味に男子だけでなく女子にも効きそうな仕草をする。
「いやダメって訳じゃないけど…誘ってもらえて嬉しかったし」
あっちょっとデレた。矢田すげえ。
「凛香ちゃん可愛い~」
直接言える倉橋もすげえ、てか男子2人だと肩身が狭いな。友人でも誘えばよかったと思うがそれは今回の趣旨とは微妙にずれているので考え直す。
「じゃあとりあえず勉強するか。まあわからないとこあったら教え合う感じで」
「南雲頼んだぞ」
「純君お願いね~」
考えてみれば成績がこの中で一番良いのは俺だったので頼られるのは当然だった。
「同じ教科でも違う教科でもいいから始めるか」
俺の一言で各々勉強を始める。ちなみに俺は数学が得意な千葉がいるということで数学を選択した。
50分ほど経った辺りで倉橋がう~とうなり始めたので神崎が声を掛ける。
「倉橋さんどうしたの?」
「社会やってるんだけど全然頭に入らないよう。有希ちゃんはどうやって勉強してるの?」
「私は小説を読む感じで流れとかで覚えてるよ」
「難しいよ~…」
倉橋が早くも音をあげて神崎が困っているので助け船を出すことにする。
「倉橋は暗記が苦手ってことか?」
「うん。有名なのは覚えてるんだけど掘り下げられたり細かい部分があんまり覚えられないんだ」
「突然だけど…倉橋は自分の携帯の電話番号は言えるか?」
「もちろん!」
「父さんと母さんのは?」
「2人のも言えるよ~」
「そうか。なら話が早いんだが電話番号は大抵10桁の数字だ、対して歴史の年号とかは3,4桁だ。10桁が覚えられて3,4桁が覚えられないって不思議じゃないか?」
俺の言葉に皆はあー確かにと頷いている。ちょっと恥ずかしいので反応はしないでほしいなと鼻の頭を少し掻く。
「年号は"
「全然嫌じゃなかったよ!」
「だろ?面倒くさいとかの否定的な、マイナスな思考が働かないから簡単に頭に入るんだ。しかもことあるごとに反復するから絶対に忘れられなくなる、この『電話番号を覚える能力』を応用するだけで暗記系はなんとかなるよ」
「「へ~」」
「あとは神崎が言ってたけど小説とかみたいにストーリー仕立てで覚えるとかかな」
「例えばどんなの?」
今度は倉橋ではなく矢田が質問してきた。どうやら俺の勉強に対する考え方に興味が湧いてきたらしい。
「うーん例をあげると…"敵に塩を送る"っていう慣用句あるだろ?あれを俺は小話にしてどっちがどっちっていうのを記憶してる」
「聞かせて聞かせて!」
俺はコホンとわざとらしく咳払いをしてから話を始める。
「"敵に塩を送る"っていうのは武田信玄が兵糧攻めにあったときに上杉謙信が迷うことなく塩を送ったというのが語源なんだが武田信玄はこのことを感謝し上杉謙信に礼を言ったんだが、あまりに感謝をしすぎて上杉謙信はドン引いたらしい。『いやいや、塩を送っただけだというのにそんなに感謝するなんて。一体どれだけ腹を空かせていたと言うんだ。信玄、お前飢え過ぎだろ』『いや上杉はお前だよ』――って感じでな。完全に作り話だけど」
俺の小話に一同はクスクスと笑う。
「他にもまだある?もっと聞きたい!」
「まあ他のは次の機会ってことで。話を戻すけど一番は嫌がって勉強しないってことだな、楽しいとか面白いって思いながらやればどんどん頭に入ってくよ」
「ありがと純君!有希ちゃんもありがとね!」
「ふふっ南雲君が頭良い理由わかっちゃったね」
「純一ってそこまで考えて勉強してたんだ」
「いつも考えてるわけじゃないけどね。この考え方は父さんの受け売りだから」
「それでもその考えを実践して且つ結果を残してるっていうのはすごいと思うぞ」
千葉から褒められた俺は照れ臭くなったので額を軽く指先で触り話の軌道修正を試みる。
「まあそんなわけだから勉強再開するか」
「ちょっと南雲君…!」
矢田はタイミングは今しかないということ感じで俺を見る。速水以外の4人も目で同じく語っている。俺達の様子を不審に思ったのか凛香がジト目気味に当然の如く質問してくる。
「なに?どうしたの?」
「あーなんというか、そのー…」
俺は自分のタイミングで行けなかったせいか言葉が出てこない。それを見かねたのか千葉が机の下で俺の脚を軽く蹴る。頭を軽くかしげてる凛香を見て俺は今日の本当の目的を切り出す。
「凛香の誕生日7月12日で近いだろ?試験と被ってて当日皆で祝えないからさ今日祝おうと思って」
「えっ」
中学1年から凛香と付き合いが今ほどの驚いた顔は見たことがなかった。二重でパッチリと開いている二つの目がいつも以上に大きく見開かれる。
「南雲から勉強会名目で集まって祝おうって提案があったんだ」
「そうそう!凛香は不必要に目立つの嫌だからって仲良いメンバーだけでってね!」
「まあそんなわけでちょっと早いけど――」
「「誕生日おめでとう!」」
「…ありがとう。…すごい嬉しい」
そう言って凛香は照れたように笑う。
「それでこれ、みんなで買ったプレゼント」
「いいの?私特になにもしてないのに…」
「大丈夫だよ。誕生日ってほら、無条件にその人が主役でしょ?」
いつもより少しテンションが高めの神崎がそう言うと凛香はそういうものかと納得した。
「じゃあお言葉に甘えて…みんなありがとう」
「気にしないで!ほらほら!開けてみて~」
「……これってブレスレット?」
「そうだよ!神崎さんを中心に女子でプレゼントを決めて男子に買いに行ってもらったんだー」
「そうなんだ。これシンプルなデザインで好きかな、色も私好みだし」
「俺は付いてったって感じだからほぼ南雲が決めたようなもんだよ」
「バカ千葉、2人で決めたことにしようって打ち合わせたろ!」
千葉はそうだっけか?ととぼける。大人しいように見えて普通の男子同様こういう一面もある。
「みんな本当にありがとね。私今までで一番嬉しいかも」
「そこはかもじゃなくて断定してよ!」
矢田が突っ込むとみんなが笑う。凛香も笑っていたがその笑顔の中には涙がうっすらと浮かんでいたのを俺は見逃さなかった。それを見て提案した者として冥利につきるというか、なんだか油断すると涙が落ちそうだったがそれは死ぬ気で踏ん張った。
*
凛香を祝ったあとは勉強をする雰囲気にもならなかったので2,30分駄弁ったあとに下校した。
そして翌日。俺が登校し教室の戸を開くと友人が一目散に俺の下へと来た。
「純一聞いたか!」
「なにを?」
「図書館騒動だよ!」
「図書館騒動?」
杉野の話を要約すると『A組と国数社理英の5教科で勝負をして学年トップを多く取ったクラスが負けたクラスにどんなことでも命令できる』ということらしい。
「そんな面白そうなことなら昨日の夜に教えてくれればよかったのに」
「俺がこの件は直接みんなに言おうって昨日の図書館にいたメンバーに言ったんだ」
そう切り出して説明をし始めたのは磯貝だった。
「負けたりしたら今後の学校生活を左右することだからSNSで間接的に教えるのはなんか違うなって思ってさ」
「なるほど。さすがは磯貝というかなんというか」
「こっちには総合トップを狙える南雲にカルマもいるし、何て言ったって各教科のトップランカーがいるからな。俺は勝てるって思ってるよ」
「まあ賭けがあろうとなかろうと元々殺せんせーの触手予約権があったからな。頑張ることには変わらないだろう。それより勝ったら何でももらえるんだろ?それについて考えようぜ」
「そうだな!俺が提案するのは学校中の女子を…」
「岡島君自重して」
片岡が氷のように冷たい目で岡島を制する。
「学食の使用権とか欲しいな~」
「ヌルフフフ、面白いことになっていますね~。それについて先生に良い考えがあります。この学校のパンフレットにとっても素晴らしいものが載っていたのですがこれをよこせと命令するのはどうでしょう?」
殺せんせーの提案に全員が気付かなかったということもありハッとした表情になる。
「君達は一度どん底を経験しました。だからこそ次はバチバチのトップ争いも経験してほしいのです。成功のご褒美は充分に揃いました、暗殺者なら狙ってトップを取るのです」
殺せんせーの一言は俺たちをより殺る気にさせた。
A組、E組それぞれの利害が交錯する期末テスト、ある者にとっての勝利は別の者にとっての敗北だ。一人一人が自分にとっての勝利を求め知識という名の刃を磨く。
――そしてやってきた試験当日。
「随分と余裕そうだな、カルマ」
「皆が力入りすぎなんだって」
俺はカルマと共に本校舎へと向かっている。みんなからはなんとなく気を張っている感じがするがカルマからはその様子が見受けられない。
「大体みんな目の色変えちゃって――勝つってのはそういうんじゃないんだよね。通常運転で勝ってこその完全勝利なんだよ」
「まあ確かにカルマはそれで結果出してるしな。とりあえずテスト頑張ろうぜ」
そう言って二人で試験会場である教室へと乗り込む。理事長の妨害はないにしてもこの学校の問題が凶悪であることには変わりはない。だから試験中はいつも自分のことで精一杯だ。
*
2日間のテストが幕を下ろした。暗殺、賭けなど全ての結果は○の数で決まる。椚ヶ丘中学校では学年内順位も答案と一緒に届けられる、よってテストの結果は一目瞭然だ。
「さて皆さん全教科の採点が届きました。では発表します、まずは英語から…E組の1位、そして学年でも1位!中村莉桜さん!」
おー!莉桜が英語得意なのは知ってたけどまさか満点を取るとは。名前を呼ばれた莉桜はというと下敷きを団扇のように扇ぎ余裕綽々の表情だ。
「完璧です、君のやる気はムラっ気があるので心配でしたが」
「うふふーんなんせ賞金百億かかってっからね。触手1本忘れないでよ殺せんせー?」
「さてしかし1教科トップを取ったところで潰せる触手はたった1本。それにA組との対決もありますから喜ぶことができるかは全教科返したあとですよ。――それでは続いて国語…E組1位は……99点で南雲純一君!……がしかし!学年1位はA組浅野君!神崎さんも大躍進、96点で学年3位です!」
まじか。国語は自信あった方なんだがな。殺せんせーから返された答案を見ると部分点で-1されていた。
「では続けて返します。社会!E組1位は磯貝悠馬君97点!そして学年では…………おめでとう!浅野君を抑えて学年1位!マニアックな問題が多かった社会でよくぞこれだけ取りました!」
「よっし!」
勝利した磯貝はガッツポーズを作る。これで2勝1敗、あとひとつ勝てば勝利が確定する。
「理科のE組1位は奥田愛美さん!そして理科の学年1位は!――素晴らしい!学年1位も奥田さんです!」
3勝1敗、数学の結果を待たずしてE組の勝ち越しが決まった。殺せんせーが複数の触手でクラッカーを鳴らすとE組全員が沸く。
「やった!!」
「よくやった奥田!」
「触手1本お前のモンだ!」
みんなが盛り上がってる中カルマがいないことに気づく。少し心配になったので祝杯ムードのみんなに気づかれないように教室を抜け出し探すことにした。
教室を出て窓から外を見ると木に寄りかかっているカルマが見えたので向かう。上履きを変えてカルマの下へと近づくと殺せんせーと話していたので俺は木の影に隠れて話を盗み聞く。
「さすがにA組は強い。5教科総合は南雲君と同点8位の竹林君、片岡さんを除くとtop10を独占しています。ですが当然の結果です、A組の皆も負けず劣らず勉強をした。テストの難易度も上がっていた。怠け者がついていけるわけがない」
「………何が言いたいの?」
「恥ずかしいですねぇ~。『余裕で勝つ俺カッコいい』とか思ってたでしょ?」
隠れているので直接様子を窺うことはできないがカルマが動揺しているのはなんとなくわかった。
「先生の触手を破壊する権利を得たのは…中村さん、磯貝君、奥田さんの3名。暗殺においても賭けにおいても君は今回何の戦力にもなれなかった。わかりましたか?殺るべき時に殺るべき事を殺れない者はこの教室では存在感を無くしていく。刃を研ぐのを怠った君は暗殺者じゃない、錆びた刃を自慢気に掲げただけのガキです」
「……チッ」
カルマは殺せんせーの言葉にバツが悪くなったのか校舎へと戻っていく。
「南雲君、そこにいるのはわかっていますよ?盗み聞きとは感心しませんねぇ」
カルマにはバレてないけどやっぱり殺せんせーは気づくか。
「言い訳をするとカルマが心配で探していたので」
「ヌルフフわかってますよ、君はそういう子ですから」
「そんなことよりいいんですか?あそこまで言って…」
「ご心配なく。立ち直りが早い方向に挫折させました」
そう言って殺せんせーはいつものにやけた表情をする。だけどもその表情はいつもとは少し違う気がして、老人が若かりし日の話をするかのように遠い目をしながら話を続ける。
「彼も君も多くの才能に恵まれています。だが力ある者はえてして未熟者です、本気でなくても勝ち続けてしまうために本当の勝負を知らずに育つ危険があります。そして大きな才能は負ける悔しさを早めに知れば大きく伸びます。テストとは勝敗の意味を、強弱の意味を、正しく教えるチャンスなのです。だから先生は成功と挫折を今一杯に吸い込んでほしいと思っています」
「…胸に刻んでおきます」
「さて南雲君。今回君は総合2位です、この結果に満足していますか?」
「…いえ、浅野にも勝てなかったしカルマは今回は勝負の土俵に上がっていなかったので満足していないです」
「そうですか。君の点数について詳しく言うと浅野君に勝った教科はひとつもありません。穿った見方をすれば詰めが甘いということです、ですが先生は君が今回努力を怠っていなかったことを知っています。だから勝てなかったからといって叱りつけたりしません、今この段階での君の勉強に対する理解が点数に現れたと思っています。きっと君はこの先も努力は怠らないと思いますがどうか今の現状に満足しないでください」
「叱ってはいないですけど…それって褒めてます?」
「褒めてるというよりは君に対する評価を言っています」
「先生の言った通り今後ももちろん努力は続けます」
「よろしい。そんな真面目な南雲君にアドバイスです。君に勝った浅野君を君はどう評価しますか?」
「…やっぱり俺以上に勉強をしてるんだなって思います」
「ええ、その通りだと思います。では彼の性格については?」
「傲慢だけど…進藤とはベクトルは違うけど常に上を目指してるというか、そんな印象です」
「そうです。一言で言うと彼の良さはあの気位の高さです。口だけでなく全てを支配しようと本気で考えて行動しそのための努力をしています。不思議なことに本当に高いプライドは目線をあげたまま人を地道にさせるのです。勉強は一朝一夕で身に付かないことからそのことが見て取れます」
「プライドを高くってことですか」
「むやみやたらに振り回すプライドではありません。目標に対するプライドを高く持つということです。君も自信のあるものや負けなくないことの一つや二つあるでしょう?」
「はい」
「そのプライドを是非大切にしてください。――そろそろ教室へと戻りますか、テストの触手破壊の報酬もありますし」
「そうですね。……先生ありがとうごさいます、色々とお話ししていただいて」
「先生だから当然です、では戻りますよ」
――
「さて皆さん素晴らしい成績でした、5教科プラス総合点の6つ中皆さんが取れたトップは3つでした。早速暗殺の方を始めましょうか、どうぞ3本ご自由に」
「おい待てよタコ。5教科のトップは3人じゃねーぞ」
そう言って寺坂、村松、吉田、狭間の4人が立ち上がる。
「?、3人ですよ寺坂君。国数社理英全て合わせて…」
「はぁ?アホ抜かせ。5教科っつったら国・英・社・理…あと家だろ」
そう言って4人は100点の答案を突きつける。
「か…家庭科ァ~!?ちょ、待って!家庭科のテストなんてついででしょ!こんなのだけ何本気で100点取ってるんですか君達は!」
「だーれもどの5教科とは言ってねーよな?」
…確かに。
「クックック。クラス全員でやれば良かったこの作戦」
こういうときに殺せんせーを先陣切ってからかうのはカルマだ、だから俺は発言を促す。
「おい、言ってやれカルマ」
「……ついでとか家庭科さんに失礼じゃね殺せんせー?5教科の中で最強と言われる家庭科さんにさ」
「そーだぜ先生約束守れよ!」
「一番重要な家庭科さんで4人がトップ!」
「合計触手7本!」
「7本!?」
「それと殺せんせー、これは皆で相談したんですがこの暗殺に…今回の賭けの『戦利品』も使わせてもらいます」
あたふたしてる殺せんせーに盛り上がる生徒達。なんにせよ1学期の残る行事は終業式のみ、中学校生活の終わりをまだハッキリと意識はしないがこうやってひとつひとつ終わっていくんだなと一陣の風のように寂しさがよぎった。
南雲君が神崎さんに相談したのは速水さんの誕生日の件です。ちなみに神崎さんは原作と違って図書館に行かなかったため榊原君のアプローチを回避しています。
南雲君の勉強に対する考え方ですがこれは作者が小学生のときに実際に父親から教えてもらったことで、原作の竹林君もそうでしたが勉強方法には合う合わないのがあるので自分にあったやり方で楽しくやるのが一番だと思います。
五英傑の影が薄いのは作者の文才がないからです。暗殺教室特有のテストの特徴的な描写も中間テスト同様やりませんでしたしね。せめて浅野君だけでも目立たせることができるようにオリジナルを入れなきゃなとも考えています。
浅野君のテストの合計は491点、南雲君は489点です。
内訳に関しては下記の通りで左が浅野君で右が南雲君となっています。
国語 100 99
数学 100 99
社会 95 95
理科 97 97
英語 99 99
※浅野君の点数は原作と同じ