ゼルダの外伝 バナナ・リパブリック   作:ほいれんで・くー

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第三十三話 ハイウェイ・トゥ・バナナ

 人間は、「速さ」というものに異常なまでに執着する。そして、人間がこの「速さ」を一つの価値基準として採用したことは、火の使用や鉄器の使用といった人間の為したあらゆる革新の中でも、とりわけ重要な意味を持っている。いうなれば、「速さ」が文明化の度合いを測る物差しとなっているのである。

 

 少年時代を思い起こしてみるが良い。私たちが友人たちと明けても暮れても夢中になって遊んだ遊びは、いずれも速さを競ったものだっただろう。単純な駆けっこに始まり、崖上り、どんぐりの拾い集め、ガンバリバッタとり、ゴーゴートカゲ狩り、あるいは海や川での泳ぎ、それらの遊びにはすべてが速さという要素が含まれている。

 

「あの子は村一番の駆けっこの名人だよ」 少年にとってはこれほどまでに誇らしい賛辞はない。この名誉は彼が死ぬまで存続する。老人は孫ににこやかな表情で語る。「どうだい、今ではこうして寝台の上で寝起きしかできないが、昔はハテノ村からハテノ砦まで半日もかからず駆けたものさ」

 

 子どもだけではない。年を重ねて大人になっても、いや、大人になればなるほど、人間は速さを追い求める。その傾向は、特に大厄災以前において顕著だったようである。

 

 例えば、職人たちは質の高い品物を他の職人に「先駆けて」完成させようと日夜努力を重ねた。職人たちは「はやい分だけ」品物の価値が上がることを知っていたからである。「俺の方が先にあの盾を考案したし、現にこうして完成させたのさ。リザルスピアだって折れちまうような頑丈な盾だぜ? ああ、あいつ? あいつは同じ職人でも、単なるうすのろさ」

 

 また、大工たちは他の組よりも早く建築物を完工させようとしたし、そのために怪我をすることも厭わなかった。ある棟梁は以下のような言葉を残している。

 

「流れ早く水塩辛(しおから)いエン川を前にして、さしもの我々も怪我人を少数ながら出しました。ですが、軍の御用仕事たるこの架橋工事をこれほどまでの短時間で終わらせることができたのは、疑いようもなく我々の誇りとするところであります」

 

 本来ならば部下の健康と安全を気遣い、何よりも無事故(むじこ)で仕事を終えるのが最も誇らしいことなのだとよく知っていたはずの棟梁たちも、名誉というエサが鼻先にぶら下げられた途端に、目の色を変えて速さを追求したことが、この言葉からは窺える。

 

 書類仕事を主な仕事とする書記官や役人にしても、目の前の仕事をどれだけ早く片付けることができるのかをまず計算した。仕事の完成度の高さよりも、彼らが重視したのは時間の節約、つまり速さだった。

 

「あいつは頭でっかちなシーカー族の中でも、突出して書類を捌くのが早い。それだけで評価に値する」

 

 実際のところ、速さのためには精度が犠牲になった。それは多々あった。だがそれを修正するのは、愚図でのろまだが几帳面な他の連中であった。

 

 だがそんな彼らよりも、よりいっそう速さを重視した者たちがいた。それは商人と軍人であった。商人は競合者に先駆けて品物を安く仕入れ、また他者に先駆けてそれを高く売ろうとした。速さが金を、それも莫大な金を生み出すことを、彼らは知っていた。

 

 商人たちは、速さのためにあらゆる権謀術策を張り巡らした。彼らは絶えず情報を仕入れ、時には罠を張り巡らせた。愚鈍な競争相手を落とし穴に嵌めることなど、彼らにとっては至極当然な戦術だった。例えば、ツルギバナナ発見からその販路が確立するのに、わずか数か月しかかからなかった歴史的事実を我々は知っている。彼らはそれほどまでに速さを追求したのだ。

 

 商人よりも切実に速さを求めたのが、軍人であった。敵に打ち勝ち、味方の損害を軽減するためには、何よりもまず奇襲による他ない。その奇襲を成立させるもの、それこそが速さであることを軍人たちは知っていた。相手の速さの概念を、こちらの「より速い」速さの概念で追い抜き破壊すること、それが奇襲成立の第一の要件である。彼らはそう心得ていた。

 

 古代シーカー族の言葉に「彼を知り己を知れば百戦殆ふからず」という金言がある。この「彼を知る」とは、つまるところ敵の速さを知ることに他ならない。優秀な将帥は常に軍事演習を欠かさなかったが、これは兵を鍛えるという目的以上に、「麾下(きか)の部隊がどれだけの速さで作戦展開を完了するか」ということを把握するために行われたのである。

 

 速さを最も強力な武器として活用した、ある将軍の話をしよう。将軍の名は、バオといった。かつての時代、突如としてサトリ山の(ふもと)に広がるニーケル平原において魔物が蜂起した。魔物たちはハイラル王国軍に挑戦した。魔物の数は少なくとも一万を超えた。しかもその数は日々刻々と増えていた。名将との誉れ高かった将軍バオは、即座に動員可能な一個連隊三千名を率いて進発した。彼は強行軍に強行軍を重ねた。そのおかげで、彼は敵に奇襲攻撃を仕掛けることに成功し、大勝を収めることができた。

 

 将軍バオはその回顧録において述べている。

 

「……兵士たちにはたいまつ以外何も持たせず、身一つで中央ハイラルからニーケル平原まで駆け足をさせ、昼夜兼行で行軍させた。糧食と武器、鎧、資材は手配が済み次第、高速馬車に搭載して、部隊に追及させた。私は速さこそがすべての救いと信じていた。また私は、魔物は個々としては人間よりも素早く動けるとしても、大軍となれば素早く動くことができないことを知っていた。結果として、我々は迅速にヒメガミ川を渡河し、サルファの丘を確保することができた。それが戦いにおいて決定的な意味を持った……」

 

 しかしながら、このように速さを重視するというこの心的傾向は、ハイリア人が本来もつものではなかったようだ。どうやら、大昔のハイリア人たちはもっとのんびりした性格をしていたらしい。古代の有名な諷刺(ふうし)詩の一つに、「どこへ行くのかポストマン、そんなに速く走っても、届け先は逃げてはいかぬ、もっとゆっくり歩くがよい、どうせ死すべき人間だもの、焦って走って汗流し、息を切らして駆けっこしても、そんなのなんの得にもならぬ、わけても死からは逃げられぬ」というものがあった。この詩こそ、そのことの例証である。

 

 そんなのんびり屋のハイリア人たちに「速さ」の重要性を教えたのは、大空を自在に飛び回る、あのリト族たちだったと言われている。

 

 一般的なハイリア人が何週間もかけて峻険な山谷を進んでいるその頭上で、リト族たちは疾風を身に纏い、羽毛に覆われた鋭い翼端をきらめかせて、あたかも隣の家へ鍋を借りに行くかのような気軽さで、長距離を苦もなく移動した。それでも、ハイリア人はその飛ぶ姿の美しさを褒め讃えはしたが、その速さに憧れることはなかった。

 

 状況が変わるきっかけとなったのは、ある時に開催された親善交流であったという。リト族の代表団がハイラル城へ訪問し、同盟が締結された際、親善交流の一環として記念の競技大会が催された。その時の記録が断片的に残されている。それによるとハイリア人たちはどうやら、リト族の持つ「速さ」に深い感銘を受けたようだった。

 

「……王の指名で、『王国随一の馬術の手練れ』として名高い騎士が選抜された。彼は栗毛の駿馬(しゅんめ)にまたがった。彼はその全身に覇気を(みなぎ)らせ、リト族との競争に臨んだ。一方のリト族は、王の御前であるにも関わらず不遜(ふそん)にも、その代表団において最も若輩で小柄な少年を競争者として指名した。『空を駆けるリト族とはいえ、これでは勝敗は目に見えている』と王は側近に語った。だがその結果は、まことに残念なことに、我々ハイリア人の完敗に終わった……」

 

 この競技会以来、騎士の訓練として乗馬競走が最も重要視されるようになったと一般的に言われている。速さが一つの価値となったのだった。

 

 リト族のみならず、他種族との交流はハイリア人の速さへの傾倒をますます加速させた。ゾーラ族から水運の技術を学んだハイリア人は、よりはやい水運によって彼らを凌駕しようとした。ハイリア人は、砂漠においてはスナザラシの運用をゲルド族から導入した。そして、より速くスナザラシを走らせようとした。ただ、ゴロン族からは、ハイリア人は速さについて学ぶところはほぼなかった。ゴロン族はのんびりとした種族的な性格をしていたからである。

 

 ともあれ、大厄災以前のハイラル王国が、猛烈なスピードによって回転していたことは確かである。天文学者は天体の運行を計算し、その結果を基にして神官たちは暦を作成した。大聖堂や神殿の鐘楼(しょうろう)は一分一秒の狂いもなく鐘を鳴らして時を告げた。人々は厳密な時間割に沿って生活を送っていた。人々は早さと速さに憑りつかれていた。仕事だけではなく娯楽も、たとえば競馬、馬車競争、徒競走、ボート競技、盾サーフィン、リト族のエアレース観戦などといった娯楽のいずれも、速さを主軸に据えたものであった。

 

 大厄災の後、速さは失われた。速さは価値を持たなくなった。辺境に住み、日々村内で自給自足のための足掻きを続ける人間たちにとって、速さは何の意味も持たない。

 

 ある意味で、ハイラル王国は速さのために自滅したのだとも考えられる。厄災を封殺した古代技術を発掘し、それを「迅速に」戦力化しようとした結果、ハイリア人はそれらの持つ危険性を充分知る前に、逆にそれらによって滅ぼされてしまった。あの尊い姫君は「早く覚醒せよ」、「早く力を振るえ」と求められたが、その早さが彼女にとっての呪いとなってしまった。彼女はハイラル城の奥へと消えていってしまった。

 

 だが現在、この大地では「速さ」を問い直す動きが、徐々に芽生え始めている。それは他愛のないマラソン競技や障害物競争といった形で現れている。人を追い詰め人を極限まで酷使させる速さの概念ではなく、自由で豊かでバリエーションに富んだ、いわば「それぞれの人にとっての速さ」が、今一度考え直されるようになっている。

 

 その一方で、未だに速さの奴隷となっている集団が存在する。

 

 彼らは切実に速さを求めている。彼らの胃袋と欲求はもはや限界に達している。

 

 はやくバナナを! 新鮮なバナナを! 一刻もはやく新鮮で滋味豊かな、大量のバナナを!

 

 それにもかかわらず、彼らが心待ちにしている輸送馬車はまったく動けないままである。

 

 

☆☆☆

 

 

 バナーヌには、彼女自身でも不思議に思うようなことがいくつかあった。十歳以前の記憶がないことも不思議なことの一つであったが、それ以外にも「どうしてこんなことが自分にできるのか?」と思うことが色々とあった。

 

 例えばそれは、早食いに早着替えという彼女の特技であった。練習した覚えもないのに、彼女が気づいた時には特技と言えるほどに熟達していた。もったいないからそんなことは滅多にしないが、彼女はアツアツのあげバナナを火傷なしに瞬時に飲み込むことができた。寝巻から忍びスーツへ一瞬で着替えることだってできた。

 

 他には、疾風のブーメランやアイアンブーツ、パワーブレスレットといった、不思議アイテムが使用できるということがあった。彼女は手に入れるまでこれらのアイテムを見聞きしたことがなかったが、手に入れた直後から自然と使いこなすことができた。長年使い込んでいる首刈り刀のように易々(やすやす)と、彼女はそれらを扱うことができた。

 

 さらに、もうひとつのことがあった。それは乗馬であった。バナーヌは、なぜか乗馬を得意としていた。

 

 乗馬に必要なものは、馬と(ルピー)と訓練である。時間に余裕がある金持ちしか、乗馬をすることはできない。

 

 バナーヌは、一般的なイーガ団員である。一般的なということは、とりもなおさず彼女が貧乏であることを意味する。最低限の衣食住は保障されており、給料もわずかながら支給されているが、それはバナナを購入するために費やされて、すぐになくなってしまう。貯蓄などということは夢想に過ぎないし、そもそも彼女自身にその意図はない。

 

 だから、(ルピー)のかかる乗馬などというものを、彼女はやったことがなかった。

 

 そういうわけだから、バナーヌが馬を乗りこなせるというのはかなり奇妙なことであった。馬を持ってないのに馬に乗れる。訓練を受けていないのに馬に乗れる。イーガ団員は何よりも隠密行動を心がけるものであり、それゆえ目立つことこの上ない乗馬など、滅多にしない。イーガ団の教育において徒歩行軍は重視されていたが、乗馬は等閑視されていた。

 

 どうしても理屈に合わないとバナーヌは思うのだった。それと同時に、乗れるのだったら別にそれでも良いかとも彼女は思った。

 

 彼女が初めて馬に乗ったのは、背も体格もまだまだ小さな頃だった。それは、ようやく単独任務という名のパシリを命じられ始めた頃だった。

 

 ある時、カルサー谷の上役が友人に贈り物をしようと考えた。友人はリバーサイド馬宿で常駐連絡員として苦労していた。上役は「心ばかりの励ましの品」として、特上のツルギバナナを友人に贈ろうと考えた。その使いとして、少女を脱したばかりのバナーヌに白羽の矢が立った。

 

 贈り物は、丸々と()え太った見るからに上等そうなツルギバナナの房が三つだった。バナナは、紫に染色されたタバンタ(あさ)の風呂敷に包まれていた。ごくりと生唾を飲み込むバナーヌに、その上役は言った。

 

「いいか、絶対に送り届けるんだぞ! つまみ食いとかしたらぶっ殺すからな! そのバナナ一包みだけでお前の給料一年分に匹敵するぞ! 一週間以内に必ず送り届けろよ! ボヤボヤしてるとスイートスポットで真っ黒になっちまうからな! あいつはそれが大嫌いなんだ! 分かったらとっとと行け! ほら出発!」

 

 バナーヌは、今と変わらずその時も一般的なイーガ団員であった。というのは、彼女は組織内における権威・服従関係をしっかりと内面化していたからである。コッソリと別のバナナにすり替えて食べてしまうなんていう悪知恵は彼女に働かなかった。何より、その頃の彼女は今よりも幾分か真面目で、使命感らしきものも抱いていた。

 

 旅は順調だった。カルサー谷からハイラル平原東に流れるハイリア川までの道のりは長かった。しかし敵はおらず、天候も良かった。若く瑞々しい体を弾ませて、バナーヌは足取りも軽く進んでいった。やがて彼女はリバーサイド馬宿近くの平原に到達した。

 

 事件が起きたのは、その日の正午頃であった。彼女は朝からの雨をあえて(おか)し、小高い丘を越えようとした。

 

 そこを下ればリバーサイド馬宿という所で、彼女はふいに騎馬ボコブリンと遭遇してしまった。まだ経験不足で、索敵の重要性を身に沁みて知っていない彼女であった。こんもりと背丈以上に茂った(やぶ)を抜けた彼女の目へ真っ先に飛び込んできたのは、まだら色をした馬の尻と、赤ボコブリンの背中だった。思わず、彼女は声を漏らした。

 

「あっ」

 

 馬に乗ったボコブリンが振り返った。

 

「ブヒッ?」

 

 可憐なサファイアの瞳と、血走った醜悪な赤い目が合った。一瞬、静寂が満ちた。(かす)かな木擦れに、ガンバリバッタが跳ねる音、ポカポカアゲハの羽ばたきの音が聞こえた。

 

 だが、それも束の間だった。先に動いたのはバナーヌだった。彼女は間髪入れずに首刈り刀を鞘から引き抜くと鋭く一閃を放ち、ボコブリンの弓手(ゆんで)を切り落とした。火の出るような日頃の鍛錬がモノを言った形であった。

 

 ボコブリンは苦痛に絶叫し、(もろ)くも落馬した。彼女は容赦しなかった。とどめを刺そうと彼女は一歩踏み込んだ。

 

 そこで、彼女の第六感ともいうべき危機察知能力が働いた。彼女は体を動かした。体勢を急激に変えて、彼女はその場から跳んだ。直後、彼女がそれまでいた場所に、三本の矢が突き刺さった。

 

 彼女は矢が飛来した方向を見た。そこには、仲間の窮地を救おうと駆けつけてくる、三匹の騎馬ボコブリンがいた。

 

 バナーヌが任務において最初に死を覚悟したのはこの時だったかもしれない。戦力的には彼女は圧倒的に不利であった。しかし逃げようにも、敵は騎乗していて追いつかれるのは確実だった。不思議アイテムだって、この頃の彼女は一つとして持っていなかった。

 

 それからは、まさに死に物狂いの戦いだった。

 

 訓練において、彼女は戦闘教官から「騎馬ボコブリンの騎射(きしゃ)は非常に正確で、常に位置を変え続けなければ必ず被弾する」と教えられていた。その教えに従って、彼女は()んで()ねて地に伏せて、次々と飛来する矢を避け続けた。一方のボコブリンたちは、彼女を中心として円を描くように馬を走らせた。魔物たちは決して彼女に近寄ろうとはしなかった。相手が消耗するのを待っているのだった。

 

 バナーヌの息が荒くなり、筋肉が悲鳴を上げた。泥だらけになり、汗まみれになりながらも、彼女は懸命に攻撃をかわし続けた。しかしいつか体力は尽きる。彼女は追い詰められていた。

 

 その時、あたかも天啓(てんけい)を受けたかのように、彼女の脳内でひとつの考えが閃いた。なぜ馬に対して馬で対抗しないのか? こちらも馬に乗れば良いではないか。彼女はそう思った。

 

 なぜそう考えたのか彼女には分からなかった。窮地に陥った精神が「ここはあえて不可能なことを可能なことと考えよ」と彼女に促したのかもしれなかった。彼女の体は、迷うことなく動き始めた。

 

 最初にバナーヌが斬りつけたボコブリンは片腕を失いながらも、必死になってまた馬に乗ろうとしていた。彼女は周囲からの矢が途切れた一瞬の隙をついて、そのボコブリンを背中から袈裟(けさ)懸けに斬り捨てた。そして彼女は、魔物の所有物であったまだら色の馬に、勢いよく飛び乗った。

 

 通常、まったくの素人が乗馬をこなすようになるには、一日数時間の訓練を一ヶ月間近く積む必要がある。落馬の痛みに耐え、手に豆ができてそれに血が滲むほどに手綱捌きの練習をしなければならない。体に新しく「乗馬という身体動作」を沁み込ませるには、それだけの訓練が不可欠である。

 

 バナーヌが飛び乗った馬は(くら)(あぶみ)蹄鉄(ていてつ)もつけてない裸馬(はだかうま)だった。手綱すらなかった。乗馬の専門家でも、裸馬(はだかうま)を乗りこなすのは容易な技ではない。本来ならば、絶対に乗りこなせるわけがなかった。

 

 しかし、バナーヌは完全にその馬を操ることができていた。

 

 彼女にとってはそれは正真正銘初めての乗馬で、そして正真正銘初めての騎乗戦闘だった。それにもかかわらず、彼女の心は平静そのものだった。最初、彼女は少しだけまごついた。だが、数回の呼吸の後には、彼女は思うままに馬を動かしていた。まるで、今まで気づかなかっただけで、本当は熟練の騎手として訓練されてきたかのようだった。そういう鮮やかな乗馬だった。

 

 しばらく矢を避けつつ駆け回った後、彼女は一匹の魔物に急接近して首刈り刀で首を斬り落とした。そして、もう一匹を弓矢で射落とした。彼女自身、こんなことができるとは思ってもみなかった。彼女は最後の一匹を仕留めるべく、馬首を巡らせた。魔物は叫んだ。

 

「ブヒッ!」

 

 しかし、そのボコブリンは既に逃げ腰だった。知能低劣な魔物ではあっても、相手との実力差を正確に判断できるだけの本能は備わっていたようだった。魔物はバナーヌに背を向けて、脇目も振らずに逃走を始めた。

 

 バナーヌは一息ついた。どうやら危機を脱したようだ。安堵の念と共に彼女はもう一度、走り去っていくボコブリンへ目をやった。

 

 その魔物の腰に、紫色の包みが下がっているのが見えた。それはバナーヌのお使いの品、高級ツルギバナナの贈り物だった。

 

 どうやら彼女は、矢を避けるために転げまわっている時にそれを落としていたようだった。それを、あのボコブリンは目ざとく拾い上げていた。

 

 一瞬、バナーヌの頭の中が真っ白になった。上役の「ぶっ殺すぞ! お前の給料一年分だぞ!」の言葉が、残響音を伴って脳内で再生された。給料一年分なんて、気の遠くなるほどのルピーだ! 彼女は叫んだ。

 

「まずい!」

 

 弓を鞭代わりにして一声(ひとこえ)馬へ気合いを入れると、バナーヌは猛然としてボコブリンを追跡し始めた。両者の距離はすでに弓矢の射程外になるほど離れていた。だが、ボコブリンの馬術が拙いのか、それとも彼女の腕が良いのか、その差はみるみるうちに縮まっていった。

 

 逃げられれば任務(パシリ)は失敗となる。そして、大変なお仕置きを受けることになるだろう。そういう緊迫した状況だというのに、バナーヌの心はなぜか弾んでいた。その心は、彼女がまだ少女の頃、ノチと一緒に他愛もない遊びに興じたり、一緒にバナナ料理を作って楽しんだりした時に感じた喜びに満ちていた。暗い影を一切伴わない光り輝くような歓喜の感情に、馬上にいる彼女は包まれていた。

 

 馬が加速し、風の音がびゅうびゅうと彼女の耳を打った。冷たい空気が彼女の口の中に否応なしに入り込んだ。

 

 馬上のバナーヌはその時確かに、速さに魅せられていた。

 

 ボコブリンはたびたび振り返って追跡者を確認した。その目は恐怖で赤黒く血走っていた。バナーヌもまた、その青い瞳でボコブリンと自分との距離を絶え間なく確認し続けた。

 

 ついに射程に入った。彼女は冷静に二連弓に一矢を(つが)え、深呼吸をしてボコブリンの頭に狙いをつけた。彼女は必殺の気迫と共に矢を放った。

 

 矢は、ものの見事に魔物に命中した。頭部に直撃を受けたボコブリンは、もんどり打って落馬した。

 

 そして、紫の包みも宙を舞った。バナーヌの口から声が漏れた。

 

「あっ」

 

 その声が虚空へと消えたその瞬間、紫の包みはびちゃりという嫌に耳に残る音を立てて、泥溜まりの中へ無惨にも落下した。

 

 幸い中身は無事だった。だがリバーサイド馬宿にいた届け先の者からどこか白い目で見られたのは言うまでもない。

 

 カルサー谷に帰還してから、バナーヌはノチにこのことを話した。

 

 なぜかノチのほうがバナーヌよりも得意げな顔をした。彼女は言った。

 

「カッコいい! まるでハイラル王国の騎士みたいにカッコいい! あっ、『ハイラル王国の騎士がカッコいい』なんて、こんなことはイーガ団員として言っちゃいけないんだった……えっ? 驚かないのかって? だってバナーヌだもん! バナーヌだったらなんでもできるんじゃないかって、私いつもそう思うの。でも、怪我がなくて良かったね、もう少しで死んじゃうところだった……もう無理はしないでね……」

 

 

☆☆☆

 

 

 夜の静寂を纏った冷涼な大気、それにすっぽりと包まれていたハイリア湖南岸は、突然の喧騒(けんそう)に眠りを破られた。

 

 街道の脇に掘られた一つのタコツボから、盛大に白煙と色とりどりの火花が噴出していた。爆発音が連続した。絶望し、怒り狂った男の絶叫も聞こえてきた。それに触発された魔物たちが放つ矢叫(やたけ)びは、地の底に身を潜める地虫たちすら呼び起こさんとする猛烈さだった。

 

 それを後にして、バナーヌとテッポは去っていった。彼女たちは一緒に一頭の馬にまたがっていた。彼女たちの馬は煙幕に身を隠しつつ、魔物の弓矢の管制下にある地帯を一気に突破した。

 

 このまま街道を進んで、フィローネ樹海入口へ行く。バナーヌは手綱を捌きながらそう考えていた。樹海入口に到達した後は、道を南にとってアラフラ平原方面へと抜ける。例のモモンジとヒコロク、その二人を見つけ出して合流するのに、あまり時間をかけるわけにはいかない。魔物たちがいつ高台を降りて一斉攻撃を仕掛けてくるのか分からない。そういえば、あのヒエタは「速さこそがすべての救いだな」と言っていたっけ……

 

 バナーヌの後ろに小柄なテッポがちょこんと座っていた。テッポはひしと両腕をバナーヌの細い腰に回してしがみ付いていた。彼女は落馬しないように懸命にバランスを取っていた。

 

 バナーヌの冷静な声がテッポへ飛んだ。

 

「テッポ、(りき)み過ぎ。もっと力を抜いて、馬の動きに体を合わせて」

 

 それに対して、テッポの声は内心の動揺を隠しきれていなかった。

 

「そ、そんなこと言ったって……これ、けっこう揺れるじゃない! それに高いし、風圧が凄いし、ちょ、ちょっとこわ……」

 

 バナーヌは言った。

 

「怖い?」

 

 テッポは大きな声で答えた。

 

「こ、怖くなんかないわよ! ただ、馬がこんなにも速いなんて想像もしてなかっただけ!」

 

 しばらくの沈黙が二人の間に舞い降りた。軽快な(ひずめ)の音を立てて、二人を乗せた馬は街道を快速で駆けていった。

 

 馬のたてがみが揺れていた。バナーヌのバナナのような金髪のポニーテールも、テッポのぬばたまの長い黒髪も揺れていた。雲間から降り注ぐ月明りに照らされて、精悍(せいかん)な馬とそれに騎乗したバナーヌとテッポの姿が真皮的な美しさを放っていた。二人はあたかも、金色と紅色で彩色された装飾写本の一ページからそのまま抜け出してきたかのようだった。

 

 後ろに座るテッポが力を緩めたのを、バナーヌは感じた。さすがは幹部の愛娘(まなむすめ)だと彼女は思った。数々の英才教育によって養成され高められたテッポの身体能力は、不慣れな乗馬にも即座に適応しつつあるようだった。

 

 ふふっ、とテッポが笑い声を漏らした。それを聞いて、バナーヌは言った。

 

「なに?」

 

 テッポは笑いつつ答えた。

 

「ふふ……いえ、指揮官殿には気の毒なことをしちゃったな、なんて思ったのよ。決して『いい気味だ』なんて思ってませんから。これは『私たちは作戦上必要なことを実行しなければならず、指揮官殿はその職責上辛い役目を担わなければならなかった、だから気の毒だ』という意味だから。ほんと、『いい気味だ』なんて私は思ってないわ。そう、いい気味だなんて思っていません!」

 

 バナーヌは安心した。どんなに早熟で秀でた技能を持っていても、テッポはまだまだ子どもだ。サンベに悪罵されて落ち込んでいるのを見た時は心配したが、こうして軽口を叩けるのならば、もう余計な気遣いはいらないだろう……

 

 そう考えていたバナーヌがふと右方向へ目をやると、一頭のヤギが彼女たちと並行して走っているのが見えた。なぜか、ヤギは全力疾走していた。ヤギはこのハイラルではごく一般的な、なんの変哲もないセグロヤギだった。

 

 なにか、変だぞ。バナーヌはそう思った。彼女はテッポに声をかけた。

 

「おい、テッポ」

 

 しかし、テッポはその奇妙な光景に気づかないようだった。軽口は叩けても、未だテッポは強烈な風圧には耐えられないようだった。テッポはバナーヌの背中に顔も体もぴったりとはりつけていた。だから彼女は周りを見ることができなかった。声をかけられたことにも気づかず、テッポは話し続けた。

 

「だいたいサンベは前から評判がすごく悪いのよ! 独断専行する割に能力が伴ってないし、指揮官としての責任観念も希薄だから、『独立任務に投入するには不安しかない』ってお父様も仰っていたわ」

 

 テッポが一人で喋っている間に、ヤギが四頭に増えた。いずれも口から泡を吹き、ぜえぜえと荒い息を漏らして、必死になって走っていた。

 

 まるで、何かに追われているようだ。バナーヌは嫌な予感がした。なにか、変だぞ。やっぱり変だ。

 

 バナーヌは、今度は左方向へ目をやった。そこには、立派な大角を持った(おす)のヤマシカが一頭と、それより小さな(めす)のヤマシカが四、五頭いた。いずれのシカもヤギたちと同じく必死になって、彼女たちに追いすがるように走っていた。

 

 明らかに、何かが起こっている。何か、異常な事態が起こっている。バナーヌの嫌な予感は大きくなった。

 

 彼女は後方へと意識を向けた。そこには、何かザワザワとした奇妙な気配があった。何か、黒くて、大群で、キィキィと耳障りな鳴き声を発する連中の気配……バナーヌはまたテッポに声をかけた。

 

「おい、テッポ」

 

 しかし、テッポはまたもや気づかなかった。どうやら彼女は体の動きこそ乗馬に合わせることができていたが、恐怖感までは消し去ることができず、それをごまかすためにお喋りをしようとしているようだった。彼女はさらに話し続けた。

 

「それにしてもバナーヌ、あなた、乗馬がすごく上手(じょうず)じゃない! こんな特技があったなんて思わなかったわ! これならすぐにモモンジとヒコロクのところにも行けそうね!」

 

 もうこれ以上お喋りをさせているわけにはいかない。バナーヌはそう決意した。彼女は手綱を引き締めると馬の腹に拍車を当てて、走る速度を上げさせた。きゃっ、とテッポの小さな悲鳴が漏れた。

 

 少しだけ語気を強めて、彼女はテッポに後方を確認するよう促した。

 

「おい、テッポ、後ろを見ろ。真後ろ」

 

 テッポは周りを見て、言った。

 

「えっ、なに? 後ろ? ってなにこれ!? ヤギとシカが走ってる!……ああっ!?」

 

 テッポが息を呑む音が聞こえた。バナーヌは声をかけた。

 

「どうした」

 

 テッポが叫んだ。

 

「キ、キースよ! キースの大群が追いかけてくる!」

 

 バナーヌも、できる限り体を回して後方へ視線を向けた。

 

 それは、異様な光景だった。こうもり型の小型魔族、キースの真っ黒な大群がそこにいた。しかも、ただの大群ではなかった。キースの群れが幾つも連なって大梯団(だいていだん)を組んでいた。キースたちがバナーヌとテッポと、馬と、ヤギとシカを追いかけていた。

 

 ギラギラとした無数の黄色い単眼が闇の中で光っていた。それは敵意と食欲に燃えていた。キースたちは、下界を突っ走る血と肉の詰まった革袋を食らい尽くさんとしているようだった。

 

 テッポが動揺した声を上げた。その声には怯えの感情も見え隠れしていた。

 

「ど、どうしようバナーヌ! あんなにすごいキースの大群は初めて見たわ! どうやったら追い払えるのかしら!? ていうかこれ、追い払うよりも逃げるほうがいいかしら、でも逃げ切れるの!?」

 

 バナーヌは静かに答えた。

 

「……ちょっと待って。今、考えてる」

 

 あれだけの数のキースに襲われて無傷でいられるとは思えない。どうにかしなければならないが……バナーヌは考えたが、なかなか名案は浮かばなかった。

 

 その時、一頭のヤギが石に躓いて転倒した。ヤギは哀れっぽい鳴き声を上げた。

 

「べえええ!」

 

 バナーヌとテッポの声が重なった。

 

「あっ!」

 

 次の瞬間、転倒したその哀れなヤギに、キースの群れの一つが大梯団から離れて一斉に急降下すると、さっと暗幕を掛けるように覆い被さった。小型魔族たちの猛烈な食欲の犠牲となったヤギの断末魔の叫びが聞こえたと思ったその数秒後には、肉の欠片のこびりついた骨だけが道に転がっていた。

 

 衝撃的な光景に理解の追いつかないテッポが、半ば茫然(ぼうぜん)としながら、特に意味もないことを呟いた。

 

「へ、へー……キースって牙で噛みつくだけじゃなくて、ちゃんと肉を喰い千切るのね……勉強になったわ……」

 

 バナーヌがテッポに声をかけた。

 

「テッポ、フィローネ樹海入口まであとどれくらいだ?」

 

 バナーヌの落ち着いた声がテッポを現実へと引き戻したようだった。周囲へ視線を巡らせて地形を確認すると、テッポは気を取り直したように前髪をかき上げて、バナーヌに答えた。

 

「この速さだったらあと半時間もしないうちに樹海に入れるわ!」

 

 バナーヌは頷くと、冷静な声で言った。

 

「樹海に入ればキースも追ってこないだろう。行くぞ」

 

 馬を止めて、キースの大群へ反撃することもバナーヌは考えた。それが一番手っ取り早く、簡単で確実な方法であるのは間違いなかった。キースの群れは好戦的だが、一撃を加えるだけであっけなく退散していくのが常だからである。バナーヌが首刈り刀を振り回して、テッポが適当に何発か爆弾を投げつければ、いかに常軌を逸した規模の大梯団とは言え、ひとたまりもなく離散消滅するだろう。

 

 しかし、今の彼女たちにはどうしてもそれができない理由があった。それは、今彼女たちが乗っているこの馬であった。この馬は高台の魔物の射撃から生き残った九頭の馬のうちの一頭で、しかも特に馬車を()くのにも乗馬をするのにも秀でた逸品である。名前は「バナナ・ゴーゴー」といった。

 

 アラフラ平原でモモンジとヒコロクがどれだけの数の代替馬を用意できるのかは分からないが、ここでこの馬を失うわけにいかないのは確かだった。もしバナーヌとテッポがキースと戦えば、その隙をついて別のキースがこの馬を骨にしてしまうかもしれない。そうなれば、ただでさえ完全に遅延している輸送作戦に大きな支障が生じるだろう。それは目に見えていた。

 

 ここはこの馬の脚の速さを信じて、森に逃げ込むしかない。バナーヌはそう結論した。昼なお暗い草木生い茂る密林ならば、キースの大群はきっと入ってこられないだろう……

 

 突然、テッポの叫び声がバナーヌの耳を貫いた。

 

「あっ、しまった! バナーヌ、気をつけて! ここら一帯は……危ない!」

 

 テッポの言葉を全部聞き終わるまでもなく、バナーヌの危機察知能力が自然と彼女の頭を下げさせていた。

 

 その上を、子どもの頭ほどの大きさのある岩塊が、鋭い唸り声を上げて飛び去っていった。

 

 バナーヌの氷の美貌に冷や汗が一筋つたった。その鋭い視線は、地面へと急速に潜行する緑色のブヨブヨとした物体を捉えていた。その周囲にも、似たような気配が潜んでいた。彼女は言った。

 

「森オクタか……」

 

 テッポが申し訳なさそうに言った。

 

「ごめんなさいバナーヌ、事前に伝えておくべきだったわ。ここら一帯は森オクタの大繁殖地なの。これからフィローネ樹海入口に入るまで、道の両側から森オクタの岩が飛んでくるわ。三日前にここを通った時に全滅させたはずだけど、まだまだ生き残りがいたのね……」

 

 後方にはキースの大群がいる。それから逃げようと速度を上げれば、森オクタの弾幕に突っ込むことになる。

 

 まさに「前門の歩行型ガーディアン、後門の飛行型ガーディアン」であった。

 

 それでも、いつもどおりの澄んだ声で、バナーヌは言った。

 

「行くぞ」




「こうもりさん、こうもりさん」
 今回、バナーヌが初めてなのにも関わらず馬を乗りこなすシーンを書きましたが、作者自身、一般的な人間が馬を乗りこなして馬上戦闘をこなせるようになるまで、どれだけの期間どういう訓練が必要になるのか、いまひとつ分かっていません。参考になるのはおそらく各国軍の騎兵の訓練課程なのでしょうが、ちょっと調べる時間がありませんでした。
 たしか、作家の伊藤桂一の『兵隊たちの陸軍史』に騎兵の訓練の様子について書いてあったような気がしないでもないですが、手元に本がありませんでした。「隊列後方の誰それの蹄鉄が外れそうだ」というのを音だけで判断できるようになって初めて騎兵下士官を名乗れるとか、そういう記述を読んだ気がします。
 いずれ判明したら該当箇所を書き直すかもしれません。
 ボコブリンたちは裸馬を乗り回しているわけですが、考えてみればこれは驚異的なことです。現実の世界史では、鐙(あぶみ)が発明される前、乗馬という技術は本当に限られた人間にしか開かれておらず、そのため生まれる時も馬の上なら死ぬ時も馬の上というスキタイ人たちをはじめとした騎馬遊牧民たちが猛威を振るったという話があります。鐙がないと馬上で踏ん張れないのですね。だから矢も射れないし剣も振るえないわけです。スキタイ人たちは両足で馬の腹を締め上げる方法を体得していたとのことです。
 キースの大群を全部やっつけようとして爆弾矢めっちゃ外しまくったのは私だけではないはずです。

※加筆修正しました。(2023/05/10/水)
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