ゼルダの外伝 バナナ・リパブリック   作:ほいれんで・くー

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第四十九話 王室書記官フララットの災難

 その時代、その年代において特に知力に優れ、鋭い観察力を有し、数々の偏見から解き放たれている人間が世間一般でいうところのいわゆる「学者」となる。その学者たちが種々の記録を残す。そして、後の時代の優れた人間たちがそれに基づいて歴史を編纂する。この点で、歴史は学問であるといえる。

 

 その一方、歴史には別の側面もある。過去の人間がどのように考え、どのように行動したのか。史料をただ受け継ぎ、編纂するだけではなく、「解釈」を加えることで、歴史というものが新たに生み出されていく。その点でいえば歴史とは、鉱石のように実際に手に取って分析できるような物質的実体を持つものではなく、むしろ解釈という精神的な営みに基づくフィクションであると見做すことができる。

 

 はたして、歴史は学問であるのか、それともフィクションであるのか。

 

 相反(あいはん)する両義性を歴史というものは有している。それでも、歴史をただ単に学問として捉えるだけではなく、フィクションとして見ることには大きな意味がある。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 私たちは「学問」というと、それが無謬(むびゅう)であり、普遍の真実を教えてくれるものと考えがちであるが、一方、フィクションにはある種の虚偽、(こしら)え事が含まれていることを経験的に知っている。そうであろう。例えば、学術書と文学が同じように真実を含んでいると考える者がどこにいるだろうか。文学もまたある種の真実を人間に教えるが、その真実と学術書の教える真実とは自ずから性質が異なる。

 

 それでは、歴史からフィクションは排されるべきなのか? 実は一概にそうとも言えない。歴史を学問として捉えると往々にして、「歴史は変えることのできない真実であるから、それは無批判に継承されるべきだ」と考えてしまう。それに対して、「歴史はフィクションであり、ある種の虚偽を本質的に含むものである」と捉えると、そこには思考と解釈の余地が生まれる。

 

「そこに語られている物事には、虚偽が含まれていないか?(いや、おそらくは含まれているはずだ)」、「その時代の人間はそのように考えたが、そこに誤解はなかったのか?(むしろ誤解だらけなのではないか)」、「歴史はこのように語るが、実際のところどの程度まで真実が述べられているのか?(まったく真実が述べられていないかもしれない)」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。人間の知力や思考力というものは、まさに疑うという行為から発し、疑うことによって鍛えられ、増大していく。

 

 絶対的な規範や正統性を被支配者へ強制する支配者たちにとって、学者や知識人たちがことさらに疎ましいものとして感じられるのは、彼らの知力や思考力がまさに疑うという精神によって生み出されているからである。ひとたび疑われれば規範や正統性は絶対性を失い、支配者たちの論理は足元から掘り崩される。一方で、被支配者たちは自由へと歩を進めることになる。

 

 どの程度まで自覚的であったのかは分からないが、代々の支配者たちはこの歴史の両義性をよく認識していた。彼らは歴史の学問的な側面を重視し、利用し、自らの支配に役立てた。しかし逆説的なようだが、支配者たちがそのようにしたのは、歴史というものがフィクションとしての側面を持つものであると、彼ら自身がよく理解していたからである。

 

 支配者たちは被支配者たちが疑い、考えることを望まない。支配者たちは必ずといって良いほど、その時代における最高の頭脳を集めて、自らの歴史を作り上げたものだった。それは、歴史によって自らの支配の正統性を裏打ちするためであった。疑う余地のない学問としての歴史をあらかじめ提示することで、批判的精神と、それによって生まれる自由を封じようとしたのである。

 

 そうであるからして、彼らはその歴史を、疑う余地のあるフィクションとして見なされるのを嫌う。支配者たちにとって、歴史は絶対的なまでに疑いようのない「真実の体系」でなければならない。

 

 いや、実のところをいえば、支配者たちにとって、歴史の両義性などどうでも良いことだった。彼らにとって重要なのは、被支配者たちが歴史を「真実の体系」であると思い込むこと、その一点だけだった。そうでなければ君臨し、統治することができない。彼らはそのような歴史を作り上げることに血道を上げ、最初期の段階ではかなりの程度、それに成功した。

 

 ハイラル王国が生まれて時間が経ち、民の数が増加し、次第にその領域を拡大していくにつれて、この歴史という問題は支配者たちの頭を悩ませるようになった。

 

 なぜかといえば、国土の拡大につれてハイリア人以外の異民族との接触が増加したことで、被支配者たちが支配者による歴史を疑うようになったからである。ハイリア人の被支配者たちは異民族たちと交易し、交流し、文化と思想を交換した。その結果として、被支配者たちは自分たちが信じている既存の歴史と異民族たちのそれとが、大きく異なっていることを知った。

 

 例えば、ゴロン族である。当初ハイリア人にとって、ゴロン族は「知的なる人々」だった。ゴロン族は一種の岩石生命体であり、見ようによってはイワロックやイシロックと変わらない。ゴロン族は岩を食べ、溶岩に湯浴(ゆあ)みし、高熱に耐える。ハイリア人とはまったく異なる身体能力と生態を持つゴロン族がどうして知的な種族として見なされていたかと言えば、それは単純に、王国の歴史において一番初めに登場するゴロン族たちが学者だったからである。

 

 ハイラル王国の歴史において最初に登場するゴロン族の名は、マルゴとケンブンの二人である。マルゴは考古学者であり、ケンブンはその弟子であったといわれている。マルゴは魔物が支配する地上をくまなく歩き回り、女神の残した遺産を発掘し、伝承と照らし合わせた。彼はその労苦を厭わぬ数々の研究によって勇者を導いた賢人とされている。ケンブンもまた考古学者であったが、彼は頭脳派のマルゴとは異なり、主に発掘作業に従事する肉体派であったとされる。

 

 ハイリア人たちは長らくこのことを信じ、「ゴロン族とはおしなべて知的であり、研究に従事し、新たなる知を生み出す種族である」と見なしていた。

 

 ところが、ハイラル王国の支配領域が拡大し、今までは遠く眺めるに過ぎなかった噴煙たなびくデスマウンテンの(ふもと)にまでハイリア人たちが居住するようになると、彼らは自分たちの歴史と、実際のゴロン族との間の甚だしいまでの相違について違和感を覚えるようになった。ゴロン族の中には、確かに採掘技術の発明に寄与するような知的な者たちもいたが、大半は気が荒く、頭脳よりは腕っぷしの強さを誇るような、直情(ちょくじょう)径行(けいこう)型の性格をしている者たちだった。

 

 初めの頃、ハイリア人たちは文字と文書をもってゴロン族たちと交渉をしようとした。王国の歴史によれば、ゴロン族は知的な種族であるはずだった。しかしゴロン族たちは文字を解することはなく、ツルハシを振り上げて「つべこべ言うなゴロ、欲しいのならいくらでもその宝石(マズい石)を持っていけば良いゴロ」と言い放った。

 

 ゴロン族たちは文字だけではなく、計算というものすら知らなかった。彼らはただ肉体を動かすことだけが目的であるかのように採掘作業に従事していた。その暮らしぶりはあまりにも学者的なイメージからかけ離れていた。ハイリア人たちは驚くと同時に、自分たちの歴史に疑いを持つようになった。

 

 疑いようのない真実の体系である歴史が、今や疑われるようになった。歴史の検討は、ハイリア人とゴロン族、その両者の言い伝えを比較することから始まった。ハイリア人の商人にして著述家であったカナマナドは、貧弱な装備にもかかわらず高温地帯を単身で突破し、ゴロンシティに独力で辿り着いた先駆者の一人だった。彼はゴロンシティにおいて、ゴロン族に対し綿密な聞き取り調査を行った。

 

 彼の関心の焦点はもちろん、ハイラル王国の歴史において「賢人」として讃えられているマルゴとケンブンが、当のゴロン族においてどのように伝承されているかということにあった。

 

「その結果は実に驚くべきもので、ある種の落胆すら感じた」と、カナマナドはその著『ゴロン族の歴史序論』において述べている。彼によれば、マルゴとケンブンは「ゴロン族にとってはほとんど忘れ去られた人物」であり、その代わりに同年代の人物として「トロゴ」なる者が記憶されていたという。

 

 彼による聞き取り調査によると、ゴロン族にとってマルゴは採掘作業に従事しない「怠け者」であり、ケンブンはマルゴほどではなかったにせよ「真なる意味で『掘る』ことを知らない愚か者」であったが、トロゴは「初期の偉大なる技術者にして健全なる肉体労働者」であった。

 

 トロゴはゴロン族の中で初めて「機械の威力」を正しく認識し、それを「トロッコ」という形にした。「トロッコ」という現在私たちが知っている乗り物の名前は、まさしくトロゴに由来するという。トロッコを発明したトロゴは当初、自らそれを生み出しておきながらそれを有効に活用する方法を知らず、ハイリア人相手の遊戯設備(アトラクション)として提供していたが、やがて彼は重量物の運搬という利用法を思いつき、デスマウンテンの採掘現場へと導入した。その際、トロゴは自ら溶鉱炉を建造して鉄のレールを作り上げ、ハンマーを振るってレールを敷設(ふせつ)したという。このゆえにトロゴはゴロン族の間で「偉人」として伝承された。

 

 カナマナドは、ハイラル王国とゴロン族との間でなぜこのような違いが生じてしまったのかについて考察を述べている。彼が言うには、「おそらく決定的な要因は、神官や貴族たちといった、ハイラル王国の支配者たちの側にある」 なぜなら、「王国開闢(かいびゃく)の祖の一人である勇者の歴史こそが王国にとっては重要であり、ゴロン族もその点においてのみ歴史に登場する意味がある」 マルゴとケンブンは、ゴロン族の中では明らかに異端者であった。異端者であったからこそ、勇者という外部の人間と接触することができた。

 

「勇者と交流した岩石の種族は、()()()()()()()()()()()『善良で、勤勉で、なにより知的な者として』記録されねばならなかったのだ」とカナマナドは述べる。「光輝溢れる勇者と関わりを持った異種族が、文字も数も知らない野蛮な種族であっては不都合が生じるからである」

 

 挑戦的ともいえるこの考察のゆえに、カナマナドは王国から追われた。彼は終生ゴロンシティに住むことを余儀なくされた。

 

 その悲劇的な末路にもかかわらず、カナマナドはハイラル王国における比較歴史学の先駆者となった。その後、多数の追従者がカナマナドと同様の手法を用い、ハイラル王国の歴史を再検討し、解体し、新たな知を生み出していった。例えば、リト族の歴史を研究したブリーオ、ゲルド族の伝承を蒐集したタクカス、ゾーラの里に住み込んで研究を続けたサイタンボなどが挙げられるだろう。

 

 支配者はこの動きに対抗し、御用学者や神官を用いて新たな歴史を生み出した。被支配者側に立つ研究者たちはまたその歴史を批判し、解体していった。もはや歴史は学問と呼べるほどには真実を含んでいるとは言えず、かと言ってフィクションであると言い切れるほど拵え事のみによって構築されているものでもなくなった。

 

 歴史は両義性を超越し、絶えず検証され、更新され続けるものとなったのだった。

 

 サイタンボによる研究は、その意味で注目に値する。ゾーラ族の由来に興味を持った彼は、ハイリア人によるものとゾーラ族によるものとの区別をつけず文献を集め、聞き取り調査を行い、ゾーラの里周辺に多数設置されている墳墓や石碑に刻まれている碑文を丹念に写し取った。

 

 彼は研究活動において、まずゾーラ族たちとの友好関係を深めることを決意した。彼は服装から食生活に至るまで、すべてを「ゾーラ化」したという。彼は川魚を生で食し、川魚の皮によって作られた服を着用した。その精力的な活動がゾーラ族の元老院に認められ、彼はゾーラ王族所蔵の古書・稀覯本(きこうぼん)を参照することが可能になった。それが彼の研究に大いに寄与したことは言うまでもない。

 

 サイタンボはハイラル王国の歴史が語るところのゾーラ族の由来に対して、大胆に異論を唱えた。王国の歴史はゾーラ族の由来を、いわゆる「川ゾーラ」に求めていた。川ゾーラは現在のゾーラ族とは似ても似つかない容姿を持つ。巨大な眼球と鋭い牙を持つ凶暴な顔つきをした、口から火球を吐く水棲(すいせい)の種族である川ゾーラは、川沿いを歩く人間を襲ってはその肉を食らうという、ほぼ魔物と言っても過言ではない存在とされていた。

 

 川ゾーラは、サイタンボの時代においては遥か昔に絶滅した種族だったが、王国の歴史はこの川ゾーラから現在のゾーラ族が生まれたと記述していた。サイタンボはゾーラ族を愛する者として、義憤を覚えたようだった。

 

 記述を検証したサイタンボは、「川ゾーラから現在のゾーラ族が生まれたという説は完全に誤っている」と結論づけた。彼は、「(そのような説は)かつて川沿いに居住していた土着のハイリア人系水賊とゾーラ族とを混同したもの」であり、「その混同はある程度意図的なものであった」とする。

 

「水運と治水において古来より傑出した能力を持つゾーラ族の由来をあえて(おとし)めることで、ハイラル王国は歴史的・思想的にゾーラ族に対して優位に立とうとした」と彼は論じている。

 

 さらに続けて、彼は、「そもそも川ゾーラなるもの自体が存在しない可能性もある。川ゾーラの最たる特徴である『火球を吐く能力』を、現在のゾーラ族はその片鱗すら有していない」と述べた。「このことから見ても川ゾーラを現在のゾーラ族の祖であると見なすのは、政治力学的に構築された虚構(フィクション)に過ぎない」

 

 ここまでは見事な考察といえた。では、ゾーラ族の真なる祖先は何か? ここでサイタンボは、王国の歴史研究者の間で物議を醸すことになる、ある大胆な仮説を提示した。

 

 彼は言った。「ゾーラ族の祖先はクラゲである」

 

 そのクラゲは「名前をパラゲ族と言い、王国開闢の頃にフロリア湖に棲息していた」と彼は述べる。「パラゲ族は水中を自在に泳ぎ回る力を持ち、水龍を神として崇め、独自の祭儀体系を有するほど知能が高かった……(中略)……年月の経過による地形変動によってフロリア湖の水中から出て生活することを余儀なくされると、パラゲ族は地上を歩けるように独自に肉体を変化させ、手足を持つようになった」

 

 このことは「ゾーラ族の王宮に所蔵されている資料に明記されている、疑う余地のない歴史的事実である」と彼は断言した。

 

 この仮説に対し、神官らといった支配者側だけでなく、研究者たちからも反論が巻き起こった。研究者たちの見解はそれぞれ異なっていたが、ある一点においては共通していた。それは「その王宮資料によってゾーラ祖先パラゲ族説が立証されているのならば、その資料を検証可能なように公開せよ」ということだった。

 

 サイタンボはこれを拒絶した。「私がかの資料を参照することができたのはひとえに私がゾーラ族との間に(つちか)った友情によるものであり……(中略)……ゾーラ(キング)は私と結んだ交誼(こうぎ)のゆえに私に王宮秘蔵の資料を見せたのであって、それはハイリア人一般に公開できる性質のものではない。あえて検証の場に供する必要を私は認めない」

 

 これは無理のある反論だった。第三者による検証が不可能な学説を、学説と認めることはできない。サイタンボの時代では既に、歴史研究における検証可能性は共通認識となっていた。それでもサイタンボは自説を曲げなかった。研究者たちから半ば追放されるような形で王国を離れた彼は、その後ゾーラの里に改めて居を定め、そこで死んだ。

 

 後の時代、歴史研究における自由の重要性を説いた思想家ミナハズキは、以下のようにサイタンボの研究を総括している。

 

「要するに、サイタンボは王国によって強制された歴史を覆し、その正統性に疑義を呈そうとして、かえって別の陥穽(かんせい)(はま)り込んでしまったのだった……(中略)……彼はハイラル王国の権威を憎み、そこから自由になろうとするあまりに、ゾーラ王族という権威に対して無邪気なまでに無批判だった。彼が深く信頼し、そして参照したゾーラ族による歴史もまた、ゾーラ王族がその支配と権力の正統性を裏打ちするために構築したものであることを、彼は意識していなかった……(中略)……彼は自由を得ようとして、自ら別の牢獄へ入り込み、結局出られなかった」

 

 ミナハズキによれば、このような例はなにもサイタンボに限ったものではないと言う。

 

「歴史というものは、ハイラル王国に限らず、リト族とゴロン族、ゲルド族やゾーラ族においても、なにかしらの権力によって生み出される。歴史が権力によって生み出されるフィクションである以上、歴史に対してだけではなく、歴史を生み出す権力そのものに対しても考察と批判を重ねないことには、私たちは自由を得ることができない。支配者の権力によって安全な生活がもたらされ、生命の保証がなされている現代においては、それは一層重要である」

 

 彼ははっきりと言う。「庇護と安寧を約束する権力を振り払って、私たちは自由の荒野へと踏み出さねばならない」

 

 今や王国は燃え尽きた。権力は消滅し、支配者と被支配者という力関係も消え去った。私たちはみな、自由の荒野を旅している。歴史に両義性があることなど、もはや誰も意識していない。かつて最高の知能を持つ者たちが精魂を傾け、ただ真実へ近づくために努力した歴史は、いまや(かび)に覆われ、廃墟に打ち捨てられた本の中にしか残っていない。

 

 だが、なにもかもが失われたからこそ、新たなものが生み出されるということもある。歴史は消滅しつつあるが、知恵ある者たちはいつの時代にも生まれてくる。自由を求める者もまた同様である。彼らは彼らだけの、彼らの時代ならではの歴史を生み出そうとしている。彼らは自由の荒野で灼熱の太陽に焼かれることを恐れたりなどしない。

 

 それでもなお、自由の荒野を憎み、仄暗い洞穴の中で太陽を呪う者たちも依然として存在する。

 

 彼らは支配を望んでいる。支配を確実にするような、絶対的な「真実の体系」としての歴史を、彼らは後生大事に守っている。

 

 おそらく、彼らの歴史書は黄色の表紙を持っていることだろう。そう、おそらくそれは()()()()()()()()()であるはずだ。

 

 

☆☆☆

 

 

 山紫(やまむらさき)に水清きラネール地方はハイラルの東部に位置している。その地方の峻険な山々の地肌は、夜光石を含んで妖しくも美しい輝きを放っている。青く清き水を絶えることなく大地に注ぐ、慈母の如きゾーラ川は、ベールのような濛気(もうき)を常に立ち昇らせて、その地に住まう善良な生き物たちを守っている。

 

 豊富な水量を誇るゾーラ川には、無数の魚たちが群れて泡と共に歌う。緑の針葉樹林に覆われた山と谷には獣たちが悠々と闊歩する。時折雷鳴を伴って激しく降りしきる雨を浴びて、カエルたちは生命の讃歌を合唱する。虫たちは驟雨(しゅうう)の後にやってきた優しい日差しを受けて、その小さな(はね)を宙に踊らせる。

 

 幾重にも張り巡らされた水蒸気のベールを掻い潜り、人の侵入を拒むかのような険しい山道を越え、時には流れ速き川を渡り、目も眩むような高所を進んで、ようやくラネール地方の中心部に辿り着くことができる。

 

 まず、旅行者の目につくのは夜光石を彫刻した優美な造りの長い橋であろう。その橋を渡り、ひとたびそこへ足を踏み入れれば、旅行者は驚嘆の念を禁じ得ないであろう。ルピーに換算したならば、おそらくは億兆に達するであろう壮麗な大建造物が、その目の前に現れる。この場所こそ、ゾーラの里である。

 

 ゾーラの里は、様々な都市機能を有している。まずもってそこには、ゾーラ族の(キング)御座所(ござしょ)を定める王城がある。そして、その忠実な臣民たちが夜に憩うプールがあり、屈強な兵士が槍を磨きつつ(たむろ)する兵営がある。元老院があり、託児所があり、学校があり、工房があり、商店があり、宿屋がある。そのすべてが夜光石によって造られており、一流の石工職人によって彫刻が施されている。

 

 ゾーラの里は、ゾーラ族そのものであると言えた。繊細にして豪壮であり、優美にして力強さを誇る。そこはまさしく水の都だった。

 

 ゾーラ王室直属の書記官であるフララットが生まれたのも、当然のことながらこのゾーラの里においてであった。

 

 フララットはかの大厄災から数年後に、防具屋の一人娘としてこの世に生を受けた。寡黙で、日々職人としての仕事を果たすことに専念している父と、防具屋の店員と会計役を兼務する母は、一般に愛情深い性格を持つとされるゾーラ族の例に漏れず、娘であるフララットに多くの愛を注いだ。

 

 幼い頃のフララットは、ごく大人しい性格をしていた。他の同年代の子どもたちがグループを作り、棒を振り回して走り回ったり、水に飛び込んで歓声を上げて泳ぎ回ったりしても、フララットはそれに加わることがなかった。誘われれば一緒にごっこ遊びに興じたし、泳ぎの勝負を挑まれれば拒否することもなく素直に応じたが、彼女が自分から、何かしら他の子どもたちに働きかけることはなかった。

 

 それは、彼女の知的能力が他の子どもたちに比して高かったためであろう。頭の良い彼女は、遊ぶことよりも、学ぶことのほうが好きだった。同年代の子どもたちと一緒になって遊ぶことも学びの一種であるが、彼女にとっての学びは唯一、本を読むことだけだった。彼女は本を愛していた。

 

 フララットは美しい声をしていた。それは透き通るような、聞く者の心を安らかにさせる優しい声だった。彼女の父と母はその声を好んだ。父は毎日、背を曲げて黙々と板金(ばんきん)を曲げたり、素材を染めたりして防具を作っていたが、仕事が佳境に差しかかると幼いフララットを呼んで、本を音読するように頼むのだった。

 

 毎回のように、ゾーラ族の英雄譚が読むものとして選ばれた。その職業柄ゆえか、父はそういったテーマを気に入っているようだった。フララットは父を喜ばせようと、いつも真剣な面持ちをしつつ本を開き、ページをめくった。彼女は全身全霊を込めて、その美しい声で英雄たちの物語を読み上げた。読めない箇所や、言い間違いなどがあると、横から母がそっと小声で正しい読み方を教えた。

 

 いつも穏やかな空気が防具屋に満ちていた。フララットの幼少期は、確かに幸せそのものだった。

 

 フララットの音読を聞いた父は、決まって作業の能率を上げた。そのようにして出来上がった防具は、非常に品質の高いものだった。だが、買い手は常に少なかった。父が主に作っていたのは、「ゾーラのすねあて」と呼ばれるものだった。ゾーラ族の兵士は軽装であり、鎧といっても簡単な胸甲しか身に着けない。無論、すねあても着用されることはなかった。重装備は水中での機動力を妨げるからであった。すねあてはゾーラ族にとって無用の長物といえた。

 

 そのすねあてがなぜ作られていたのかといえば、それがゾーラの里を訪れるハイリア人によく売れたからであった。遥か昔、ゾーラ族とハイリア人とが協力して巨大なダムを建造した時、その友好の証としてすねあてが作られた。その歴史的経緯ゆえに、すねあてはハイリア人が里を訪れた際に必ず購入する、いわば目玉商品となった。ゾーラの里の兵士たちに需要がなくとも、ハイリア人を相手にしていれば防具屋は決して廃れることがないはずだった。

 

 だが、大厄災がすべてを変えてしまった。大地には魔物が蔓延(はびこ)るようになり、ゾーラの里を訪れるハイリア人はめっきりとその数を減らした。フララットの父の防具屋に客が訪れることは稀になった。

 

 時折、父はフララットに愚痴をこぼした。

 

「昔はうちの防具屋も繁盛していたゾラ。ハイリア人の変わり者の研究者、サイタンボが、本の中でうちの店を紹介して、『ゾーラのすねあてを買うならばこの店以外はあり得ない』とまで言ってくれたゾラ。『引きも切らずに客が訪れたもんだ』と、父さんの曾祖父(ひいじいちゃん)がよく自慢していたゾラ……」

 

 防具屋の経営は思わしくなかったが、両親はフララットを学校へやって学問を積ませることにした。むしろ、防具屋の先行きが見えていたからこそ、両親は娘を別の道に進ませようとしたのかもしれなかった。

 

 学校でフララットはよく勉強をした。彼女はますます本を読んだ。彼女の成績は抜群で、特に歴史と音楽において秀でていた。彼女は歌も上手かった。

 

 学校を卒業する時、フララットはドレファン王から賞状とメダルを授与され、「王宮直属の書記官として勤務せよ」との御沙汰(ごさた)を賜った。彼女に否やはなかった。本当のところをいえば、彼女は学校を終えた後も在野の研究者として歴史を研究したいと思っていた。だが、その一方で、キャリアウーマンとして生きていくのも悪くないと彼女は思った。

 

 また、家の経済事情が彼女の進路に影響した。彼女が学校を卒業する数ヶ月前に、父が防具屋を閉店すると言い出したのだった。

 

 その日、学校の寄宿舎から帰ってきたフララットに、父は「もう防具屋は閉じるゾラ」と言った。彼女は特に驚かなかった。彼女は経営状況が危ういことを母から聞かされていたし、父の仕事への熱意が年々冷めつつあるのを娘として敏感に悟っていた。

 

 彼女はむしろ喜んだ。窮屈にヒレを折り畳んで実りのない仕事を続けるのは父の心身の健康にとって良くないことだと、彼女は常々思っていた。彼女は、父が思い切って防具屋を閉じるのは英断であるとも感じた。

 

 父は言った。

 

「在庫は全部売り払うことにしたゾラ。売れるかどうかは分からんが……金にはなるだろう。代々続いた店を自分の代で閉じるのは心苦しいゾラ。しかし、このまま借金まみれになってヒレが曲がらなくなるよりは、思い切った決断をしたほうが良いと父さんは思うゾラ」

 

 父の隣に立っていた母が頷いた。

 

「ええ。それに店舗と土地も売れば、借金も返済できて、お釣りがくるゾラ。だからフララット、おうちのことは心配しなくても大丈夫ゾラ。私とお父さんの二人が今後も慎ましく生きていく分だけのお金は確保できるゾラ」

 

 父と母が娘を見つめる視線には、力が込められていた。その目の輝きを見て、フララットは両親が気休めや嘘を言っていないと確信した。

 

 それでも、彼女には娘として言わなければならないことがあった。

 

「でもお父さん、お母さん。これからは何をして暮らすの? お金の心配は要らないと言っても、やっぱり仕事はした方が良いと私は思うわ」

 

 父は仕事一筋のゾーラだった。そんな父が仕事をしなくなったら、急速に耄碌(もうろく)するかもしれない。今までずっと父は父のままだとフララットは思っていたが、こうして改めてその顔を見ると、老いが確実に父へ忍び寄っているのを彼女は感じた。

 

 やはり何かしらの仕事は続けた方が良いのではないか? それに、今後の二人の人生において急に大きな出費がないとも限らない。蓄えを切り崩しながら生きるよりも、わずかでも良いから常に収入を得る方が良いのではないか? 彼女が懸念していることは、概ねそういったことだった。

 

 気遣うような娘の言葉に、父は突然表情を明るくさせた。そして常にないことに、胸をどんと叩いて言った。

 

「それについては心配は無用ゾラ。父さん、これからは『ヒッププ=ホップル』で()っていこうと思うゾラ!」

 

 父の言ったことをフララットが理解するのに、数十秒かかった。やがて、彼女は震える声で尋ねた。

 

「……えっ? 何? お父さん、今なんて言ったの……?」

 

 父はまた胸をどんと叩いた。その顔には笑みが浮かんでいた。どうか自分の聞き間違いであって欲しい。そう思いつつもフララットは、自身の鋭敏な洞察力が父が次に言うであろう言葉を正確に予想しているのを自覚していた。

 

 父はまた言った。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 寡黙な父が妙に多弁になって、娘に対して熱く「ヒッププ=ホップル」について語り始めた。

 

 曰く、「ヒッププ=ホップル」は古代シーカー族が発明した音楽の一形式で、既存の権威から自由になるためのいわば「総合的な芸術による抵抗」としてかつて流行したものである。()んで()ねる激しい舞踊(ブレイクダンス)と、「ラププ」というリズミカルな歌唱、色彩に富んだ路上絵画(ストリートアート)、その場面の演出(ディージェー)などの四つの要素からなる、単なる音楽に留まらない豊かな表現内容を持つ「ヒッププ=ホップル」は、時の支配者たちによる度重なる弾圧にもかかわらず若者の間で人気を博し、ある歴史書が伝えるところによればかのローム・ボスフォレームス・ハイラル王も耽溺したという……

 

 思わずフララットは口を挟んだ。

 

「ちょ、ちょっと待ってお父さん!」

 

 その話の内容の突飛さよりも、父がまるで別種の生き物になったかのような変貌ぶりが、彼女には恐ろしく感じられた。

 

 語りを強制的に中断させられた父は露骨に不満そうな顔をした。

 

「なにゾラ? なにか質問があるかゾラ? あっ、ハイラル王がどんなラププを刻んだか気になるのかゾラ? それは……」

 

 フララットは言った。

 

「ち、違うわ! そうじゃなくて、その……あの……」

 

 フララットは俯き、そして思案した。明らかに、父は何かとんでもない方向へ進もうとしている。かつて隆盛を誇ったと父が言う「ヒッププ=ホップル」なるものがどういうものかは、学校でよく歴史を学んだ彼女も知っていた。跳んだり跳ねたり回転したりして、奇妙な節回しで歌を歌うという「ヒッププ=ホップル」は、どう考えても若者固有のものであって、父のような年齢の者がやるものではないと彼女には思えた。

 

 フララットは父に言った。

 

「お父さん、たしか『ヒッププ=ホップル』は激しい動きをするのよね? 跳んだり跳ねたりして」

 

 父は頷いた。

 

「そうゾラ」

 

 フララットは尋ねた。

 

「お父さん、ダンスに自信はあるの?」

 

 父は答えた。

 

「もちろんあるゾラ。お前は知らないだろうが、父さんダンスは得意ゾラ。昔は暇さえあれば踊り狂ったものだったゾラ。実は母さんを射止めたのもダンス会場だったゾラ……」

 

 フララットはまた尋ねた。

 

「じゃ、じゃあ……歌の方は?」

 

 父は答えた。

 

「歌はあまり歌わんが、そのことについても懸念には及ばんゾラ。フララット、お前は本当に良い声をしているし、歌も上手い。だからその親である俺にも、きっと歌の才能はあるゾラ。それに、下手だったとしても練習すれば良いだけゾラ」

 

 フララットは言った。

 

「『ヒッププ=ホップル』の伝統は途絶えて久しいと聞くわ。お父さん、実際のところ『ヒッププ=ホップル』がどういうものなのか、ちゃんと知ってるの?」

 

 父は答えた。

 

「それは目下(もっか)のところ研究中ゾラ。ちゃんと本を集めて調べているから、そのうち全容が明らかになると思うゾラ。それにお前は歴史が得意ゾラ。だから、父である俺にも歴史の才能がきっとあるゾラ。良いか、『ヒッププ=ホップル』は王国や部族の支配者たちによって弾圧を受けながら、かえってそれが形式の洗練と深化を生んだ。例えばゲルド族の……」

 

 フララットは大きな声を上げた。

 

「ちょ、ちょっと待ってお父さん! ストップ、ストップ!」

 

 語りを強制的に中断させられた父はまたもや露骨に不満そうな顔をした。

 

 思った以上に固い父の決意を目の当たりにし、フララットは愕然とした。どうやら、父は父なりに真剣に「ヒッププ=ホップル」について研究を重ねているらしい。フララットは自分の表情が固くなるのを感じた。

 

 熱意があっても、それだけで父と母の二人が今後も食べていけるとは思えない。老年に差し掛かった父がいまさら芸術の道を志しても、到底成功できるとは考えられない。

 

 いや、そうではなく……なんかこう……

 

 とにかく「ヒッププ=ホップル」だけはやめて欲しい! 彼女の思考はまとまりを欠いていたが、その思いだけは明白だった。

 

 自身のうちに湧き起こった理由のない強烈な抵抗感を分析することができず、フララットは顔を曇らせた。彼女は顔を上げて自分の母を見た。母は現実感覚に富んだ性格をしているから、きっと父を止めてくれるに違いない。そう思って、フララットは母へ視線を送った。

 

 だが、母が奇妙なまでに明るい表情を浮かべているのを見て、彼女の思いは脆くも打ち砕かれた。母は言った。

 

「どうしたゾラ、フララット? お父さんのお話を遮っちゃ可哀想ゾラ。最後まで聞いたほうが良いゾラ。お父さん、仕事の合間に本をたくさん読んで、『ヒッププ=ホップル』の歴史の研究をしていたんだから……」

 

 フララットは唖然とした。どう見ても母は父の味方をしている。自分が何を言ったところで、この二人は聞こうとしないだろう。

 

 しばらく、沈黙が三人の間に満ちた。父は話を再開したくてうずうずしているようだった。母はそんな父に慈しみに満ちた目を向けていた。

 

 生来優しい性格をしているフララットは、なるべく良い方向で「父が『ヒッププ=ホップル』で食べていくこと」について考えることにした。

 

 ゾーラ族は「食っていく」ことに関してあまり気を遣わなくて良い種族である。フララットはその明晰な頭脳で論理を組み立て始めた。川に行けば魚がいくらでも捕まえられるから食費に関しては問題ない。店舗は売り払うことになるが、持ち家ならばある。もし家を失うことがあっても、里中央に設けられている共同のプールはいつでも住民を受け入れている。その他に必要となる雑費に関しても微々たるものだ。

 

 こう考えると、たとえ父が「ヒッププ=ホップル」で成功しなくても、食っていくことは充分に可能なのではないか?

 

 フララットは改めて父を見た。彼女が見ていることに気付くと、父はにこやかな顔をした。口の端に小じわが寄っていた。青色の(うろこ)もくすんで錆びたような色をしていた。

 

 ここに至ってフララットは、自分の抱いた抵抗感の根本的な理由を見つけ出した気がした。たぶん自分は、父がその年齢に似合わず、未知なる世界へ踏み出していこうとするのが不安だったのだ。父は自分だけの歴史を自由に探究し、それで新しい人生を始めようとしている。それが心のどこかで心配でもあり、また羨ましくもあったのだろう。

 

 自分は他の女の子たちと比べて、精神的に成熟しているほうだと思っていた。だが、それは違ったようだ。自分もまた普通の小娘のように、父はいつまでも父であって欲しいと思っていたのだ。フララットは自分の顔に笑みが浮かんだのが分かった。父が今までの父でなくなり、新たな父になる。それを今や受け入れねばならない……

 

 彼女は父に言った。

 

「えっと……その、良いと思うわ。お父さんが『ヒッププ=ホップル』で食べていくの。素敵なことだと、私は思う……」

 

 父は答えた。

 

「本当かゾラ!? お前もそう思うかゾラ!?」

 

 喜色満面の父に、フララットはことさらに力強く頷いた。

 

「お父さんだけの『ヒッププ=ホップル』を自由に追い求めて欲しい。私、応援しているわ」

 

 その後、研究の成果だと言って「ヒッププ=ホップル」を披露し始めた父を見て、フララットは、やはり自分が先ほど覚えた抵抗感を大切にすべきだったのではないかと思った。

 

 床の上で呪文のような何かを口にしながら跳ね回る父は、断末魔の苦しみにのたうち回るツルギゴイのようにしか見えなかった。呼吸が苦しいようで、父は口をパクパクとさせていた。

 

 そんな父を、母は慈愛に満ちた目で見ていた。フララットは悄然(しょうぜん)として寄宿舎へと帰った。数ヶ月後に彼女は学校を卒業した。

 

 王室書記官になってから、フララットは忙しいながらも充実した日々を送っていた。彼女はその精勤ぶりにより、特に英明なるシド王子の信任を得た。

 

 父と母はすでにゾーラの里を離れていた。「ハイラルの各地方に残る伝承を集めて、『ヒッププ=ホップル』の在りし日の姿を再現するゾラ!」と言い残し、両親はいつ終わるとも知れない旅へと出たのだった。

 

 それは決して、ゾーラの里で「ヒッププ=ホップル」が受け入れられなかったからではないゾラ。父はそう言った。ゾーラの英傑ミファー様の石像の前でゲリラ的に「研究の成果」を披露した時、医者と衛兵が同時に呼ばれたのは、「ヒッププ=ホップル」がまだ未完成だったからであって、決して正気を疑われたわけではないゾラ……事件の後、フララットは数日間寝込んだ。

 

 優秀なる王室書記官として認められ、強いて何かを忘れ去ろうとしているかの如く日々仕事に没頭していたフララットが旅を命じられたのは、つい先日のことだった。

 

 シド王子は彼女に、ハイリア湖畔にある「(みずうみ)研究所」へ、ある資料を持っていくように命じた。それはかつてゾーラ族の研究者がハイリア人と共にまとめた、果実栽培用の新型魚粉肥料に関する分厚い論文だった。これが実用化されれば、果実の収穫量が数割増しになると予想された。特に、ツルギバナナの栽培に効果的であるとのことだった。

 

 シド王子は以前より研究所と書簡を交わしており、今回、王宮図書館に収蔵されていたその貴重な論文を提供することにしたのだった。

 

 ですが、メッセンジャーならば私の他に適任者がいます。屈強な兵士が川を泳いでいけば、ほんの数日で用事は終わることでしょう。そのように彼女は意見を具申した。だが、シド王子は「君には休養が必要だ! この際だから思いきりヒレを伸ばしてくると良いゾ!」と、白く美しい歯を見せて答えた。

 

 フララットは一人で行くことにした。シド王子はありがたくも「護衛を付けるゾ!」と(おお)せになった。だが彼女は、たかだか資料を一つ運ぶのにそれは大袈裟過ぎるでしょうと固辞した。

 

 本当のところ、彼女は一人になりたかった。護衛の兵士と一緒に旅をすると、たぶん気疲れする。彼女はそう思った。それに、彼女はこの際だから自由にハイリア湖周辺の史跡を見て回りたかった。

 

 王宮勤めは安定した生活を彼女にもたらしたが、仕事は彼女の趣味である歴史研究の時間を奪っていた。職務のついでとして、自分の好きなことをしよう。それが「ヒレを伸ばす」ことになる。そうであるなら、自分が一人で旅をすることは王子の御意にも(かな)うことだ。たぶん。彼女はそのように考え、旅装を整え、ゾーラの里を出発した。

 

 旅は順調だった。道中、彼女が危険な目に遭うことはまったくなかった。川の中にいる限り、陸上にいるボコブリンだのモリブリンだのといった敵は恐れるに値しなかった。リザルフォスや水オクタといった水棲の魔物と遭遇しても、ゾーラ族の泳ぎの速さならば簡単に振り切ることができた。

 

 フララットはゾーラ川を下ってラネール湿原を通り抜け、北へ泳いでハイリア川に達し、また南下して、やがてハイリア湖に辿り着いた。目まぐるしく変わる景色を楽しみ、時折川から出て遺跡を探索しながら、彼女は自分の精神が解き放たれていくのを感じていた。

 

 それも、ハイリア湖に辿り着くまでのことだった。(みずうみ)研究所は完全に崩壊していた。呆然として廃墟の前に立ち尽くしていた彼女が、後ろでブヒブヒという醜悪な鼻息が聞こえると思った時には、もう遅かった。彼女は魔物に捕らえられた。彼女は頑丈な木の檻に閉じ込められてしまった。

 

 数日間も檻の中にいたフララットは、全身がコチコチになっていた。だから、闇の中で黄金のような(きら)めきが出現した時、彼女は、ついに自分に救済が訪れたと胸を震わせた。その煌めきは、一人の女性の金髪から発していた。

 

 それゆえに、単に自分の身柄が魔物から新たなる正体不明の敵へと移ったに過ぎないことが判明した時、彼女が覚えた落胆の度合いは著しかった。

 

 雷に打たれたヤシの木のような変わった髪型をした敵が言った。

 

「おっ! そこにいるのはゾーラ族のメスじゃねえか! これはすげえ掘り出し物だ!……おい、こいつをここから運び出せ! このままカルサー谷の本部に連れていって、コーガ様に献上するぞ!」

 

 フララットは悲鳴を上げた。

 

「ひええっ! 一難去ってまた一難とはこのことですか! もうヤダ、これだから宮仕えは大変なんです……! はあ、こんなことならキャリアウーマンを目指すのではなくて、大人しく父の防具屋を継ぐんでした……」

 

 店を継ごうにも、それがすでに「ヒッププ=ホップル」に心を奪われた父によって閉じられていることを、彼女は充分に認識していた。認識していたが、彼女はそう叫ばずにはいられなかった。三人の女性たちによって檻ごと運ばれながら、彼女は己の人生のままならなさを噛み締めていた。

 

 

☆☆☆

 

 

 車列はもう一台の馬車が加わり、合計で四台になっていた。新たに加わった馬車は、高原の馬宿の宿長であるジューザのものだった。四台の馬車は一列に連なっていた。前の三台にはツルギバナナが満載されていた。檻を運ぶのであれば、ジューザの馬車を使うしかなかった。

 

 まったく、サンベは余計なことを考えたものだ。バナーヌはげんなりした。いちはやくバナナを輸送しなければならないのに、この上ゾーラ族を生かしたままカルサー谷へ運ばねばならないとは。無事に高台の魔物の拠点を覆滅することはできたが、また問題が生じてしまった。作戦は遅延に遅延を重ねている。この調子で問題が増え続けるとなると、荷台に積まれているバナナはすべて真っ黒になってしまうかもしれない。

 

 真っ黒になったバナナなど、イーガ団の誰が好んで食べるだろうか。バナーヌはそう思った。あ、ノチがいたか。彼女はどんなバナナでも喜んで食べる、模範的なイーガ団員だから、きっと食べるだろう。

 

 空はそろそろ白みつつあった。幸いなことに、薄暮(はくぼ)からしつこく降り続いていた雨は止んでいた。もうそれほど時間も待たずして、広大なハイリア湖の東側に朝日が昇るはずだった。湖面に照り映える旭光(きょっこう)はさぞや美しいことだろう。バナーヌはそう思いつつも、おそらく自分がそれを見ることはあるまいとも感じていた。

 

 たぶんこの檻を運び終えたら、自分は寝る。バナーヌは内心で言った。疲れた、本当に疲れた。肉体的な疲労ではなく、精神的な疲労だ。

 

 骨の髄から疲労を覚えているバナーヌの前で、モモンジが明るい声を上げた。

 

「ああ、やっと馬車まで辿り着いた! テッポ殿、バナーヌ先輩、あともう少しですよ! 頑張ってください! 檻を運び終えたら食事をとりましょうね! お肉を食べましょう、でっかいお肉を!」

 

 テッポが感心するような、呆れるような声を発した。

 

「あなた、相変わらず元気ね……私はもう、疲労困憊で食欲もないわ……まったく、なんでサンベは自分で檻を運ばないのかしら……そう、あなた、たしかフララットさんっていったっけ? あなたは大丈夫かしら?」

 

 健気にもテッポが気遣う声をかけると、フララットはか細い声で答えた。

 

「……はい、私は大丈夫です。この檻から逃がしてもらえば、もっと大丈夫なんですけど……」

 

 テッポは苦渋に満ちた声で答えた。

 

「それは……無理ね。ごめんなさい」

 

 フララットは沈黙した。バナーヌはそれを気の毒に思った。ハイリア人に比して大きな肉体を持つゾーラ族がこのように小さなところに閉じ込められているのだから、その疲労度は想像するに余りあった。

 

 できれば逃がしてやりたいと彼女は思った。だが、ここで独断をもってゾーラ族を逃がしたならば、現在サンベとの間に生じている軋轢がさらに大きくなるのは明白だった。

 

 後で、新鮮な水と生きた魚を差し入れることにしよう。しかし、水は良いとして魚はどうしようか……? ハイリア湖で捕まえる? 誰が? 私か? 逃げ惑う魚を泳いで追いかける自分の姿をバナーヌが想像している間に、三人と檻は車列に辿り着いていた。

 

 バナーヌたちが檻を運んでくるのを見ると、馬車の近くに立っていたジューザはいかにも驚いたような顔をして言った。

 

「おっ、みんな無事なようだな、流石だ……って、テッポ殿!? その檻はいったいなんですか……おい、そりゃゾーラ族じゃねーか! 珍しいな、どこで捕まえたんです?」

 

 息せき切って喋るジューザに、テッポは疲労が滲んだ声で言った。

 

「今は訊かないで……あとでサンベにでも尋ねてちょうだい。ジューザ、檻を荷台に載せるわ。手伝って。けっこう重いのよこれ……あ、ごめんなさいフララットさん! あなたが重いっていう意味で言ったんじゃないのよ、檻が重いっていう意味であって……」

 

 フララットは疲れ切った声で答えた。

 

「分かってます、分かってますわ。良いですよ、捕虜に対してそんなに気を遣っていただかなくても……」

 

 掛け声と共に持ち上げられて、檻は馬車の中に収まった。車軸と車輪が軋む音が嫌にバナーヌの耳に残った。

 

 そういえば、とバナーヌは思った。ここまで(おも)(おも)いをして檻を運ばなくとも、自分が持っている不思議アイテムの一つ、パワーブレスレットを使えば良かったのではないか? そうすれば檻を運ぶのも幾分か楽になっただろう。思いもかけぬ場所でゾーラ族に遭遇したという衝撃で、そのことを失念していた。やはり自分は疲れているようだと、彼女は思った。

 

 息をつくバナーヌたちの横合いから、陽気な声が響いた。

 

「けっこうな戦利品だな、テッポよ。それ、いったいどうしたんだ?」

 

 そこにはヒエタがいた。その声音からして、彼が仮面の下で薄ら笑いを浮かべているのは容易に想像できた。テッポはただ首を左右に振るだけだった。ヒエタはそれですべてを察したようだった。

 

 彼は、訊いてもいないのに勝手にそれまでのことを話し始めた。

 

「いやね、俺も指揮官殿と一緒に拠点に攻め込んだのさ。はじめはけっこう順調に進んだんだが、途中で岩を落とされてな。ちょうど岩が指揮官殿と俺の間に落ちて、分断されちまった。しかも、それに合わせて魔物まで襲ってきたから、指揮官殿と合流するどころの話じゃなかった。魔物をやっつけた後、別に道はないかと探したんだが、どうにも見つからなかったから馬車に帰ってきた。いや、サボろうとしたんじゃない。優秀なお前さんたちと指揮官殿なら、なにも俺ごときの力添えなんてなくても立派に魔物を全滅させられるって信じてたんだ……ところで、その(とう)の指揮官殿はいったいどこに行ったんだ? まさかくたばったってわけはあるまい。いや、くたばったなら嬉しいが。そのゾーラ族だって、どうせ指揮官殿が捕まえろって言ったんだろ?」

 

 あからさまに不機嫌な声が、延々と続くヒエタの話を遮った。

 

「悪かったな、俺がくたばってなくて」

 

 暗闇の中から、ちょうど輸送指揮官であるサンベが現れた。腰にさげられたエレキロッドが時折黄色い閃光を放っていた。サンベはバナーヌたちに檻を運ぶよう命じた後、何処かへ姿を消したきりだった。モモンジは「たぶんどこかで(まげ)を直しているんですよ」と言った。

 

 モモンジの推測通り、サンベの髷は元通りになっていた。幾分か短くなっているが、見た目的には何も問題はなかった。彼はヒエタに向かって言った。

 

「おいヒエタ、休息は充分とれただろ。馭者(ぎょしゃ)共を集めろ。これから輸送再開の打ち合わせをする。夜明けと同時に出発だ。おい、テッポ。それからモモンジに、カルサー谷のバナナ女! お前らはゾーラ族に適当に(エサ)でもやっとけ! 死なせたら承知しないぞ!」

 

 サンベとヒエタは連れ立ってその場から去っていった。テッポが「はぁ」と大きな溜息をついた。

 

「二人とも向こうに行ったわね……打ち合わせには時間があるでしょうし、私たちもちょっと休みましょう」

 

 モモンジが言った。

 

「それにしても、どうして指揮官殿っていつも怒ってるんでしょうね。いい加減、嫌になりますよ」

 

 モモンジはいつの間にか仮面を外していた。なぜか彼女は、焼きトリ肉が盛られた木の皿を持っていた。彼女はトリ肉を手に取ると、大きな口を開けて齧りつき、盛んに咀嚼した。脂がたっぷり含まれた肉汁が地面へと垂れた。

 

 モモンジは立て続けに焼きトリ肉を二つ平らげると手拭いで口を拭いた。彼女はテッポとバナーヌに言った。

 

「テッポ殿とバナーヌ先輩も何か食べた方が良いですよ。疲労を回復させるには良質なたんぱく質と睡眠、これに限りますからね。ジューザたちが簡単な料理を用意してくれています。馬車に行ったらもらえますよ」

 

 テッポは軽く頷いた。雨で濡れた黒髪が美しく月の光を反射していた。

 

「そうね。食欲はないけど、無理をしてでも何か食べたほうが良さそうね。でもその前に、フララットさんに何か食べさせてあげないと」

 

 バナーヌは頷いた。

 

「そうだな」

 

 そんな二人を見て、モモンジはしまったというような顔をした。

 

「あっ、そうですよね……先にあの可哀想なゾーラ族の女の人に食べ物をあげるべきでした……私ったら、自分だけ焼きトリ肉を食べちゃって……そうだ!」

 

 そう言うと、モモンジは半分ほどの量になってしまった焼きトリ肉の皿を持って、檻が積まれた馬車へと向かった。テッポとバナーヌもそれに続いた。三人が(ほろ)に覆われた車内を覗き込むと、薄闇の中でフララットの白い肌がぼんやりとした光を放っていた。

 

 モモンジは檻へ木の皿を差し出して、励ますような声で言った。

 

「あのー、フララットさん。お口に合うか分かりませんけど、これをどうぞ! さっき焼いたばかりのトリ肉です。どうせ魔物たちはあなたにろくな食事を与えなかったのでしょう? この際ですから、たくさん食べて元気を出してください」

 

 フララットは軽く首を左右に振った。黄金に輝く目が、悲しそうに濡れていた。

 

「……せっかくのお申し出ですけど、遠慮させていただきます。ゾーラ族にトリ肉やケモノ肉を食べる習慣はございませんので。シカが肉を食べないのと一緒で、ゾーラ族は魚以外は食べられないんです。いえ、無理をすればなんとか食べられると思いますけど、この状況で無理をするのはあまり気が進まないというか……」

 

 モモンジは言った。

 

「そうですか……すみません……」

 

 モモンジは力なく俯いた。

 

 そんな二人の様子を見て、バナーヌは腰のポーチの蓋を開けた。彼女はその中から黄色いバナナを一本取り出すと皮を剥き、フララットにそっと差し出した。バナーヌは言った。

 

果物(くだもの)なら、食べられないか?」

 

 フララットは少しだけ目を見開いた。

 

「……ええ、確かに。果物ならばトリ肉やケモノ肉よりは食べられます。里では魚の付け合わせとしてゴーゴースミレのサラダをよく食べますし。でも良いんですか、それをいただいても?」

 

 バナーヌは頷いた。フララットはバナナを受け取って食べ始めた。ゆっくりと、品位を保ちつつ、フララットはバナナを食した。気品のある女性だとバナーヌは感じた。綺麗にバナナを食べる者は尊敬に値する。敵である自分たちに対する喋り方も丁寧であるし、この人はゾーラ族の中でもかなり身分が高いのかもしれない……

 

 フララットが言った。

 

「ありがとうございます、美味しいです」

 

 人がものを食べているのを見つめるのは、あまり行儀が良いとは言えなかった。それでもバナーヌは観察を続けた。その職業柄ゆえに身についてしまった習慣によるものだった。

 

 そんなバナーヌの不躾な視線も気にせず、フララットはほどなくしてバナナを食べ終えた。彼女はおずおずと言葉を発した。

 

「もう少しだけ、バナナをいただけますか?」

 

 バナーヌはまたバナナを差し出した。フララットはさらに四本を食べた。そして、彼女は満足したように腹部を軽く(さす)った。彼女は透き通るような声で言った。

 

「ああ、とても美味しかったです……すみません、最後にお水をいただけると、とても嬉しいのですが……」

 

 今度はテッポがそれに答えた。

 

「分かったわ。これを飲んで」

 

 差し出された水筒を手にすると、フララットは目を瞑ってその中身を夢中で飲み始めた。どうやら飢えよりも渇きの方がつらかったらしい。

 

 テッポが言った。

 

「ごめんなさい、最初にお水をあげるべきだったわね」

 

 同情するような視線を向けていたテッポが、「あっ」と声を上げた。バナーヌは嫌な予感がした。短い付き合いだが、テッポがこのような声を発する時には必ず「アレ」が登場するのが彼女には分かっていた。

 

 テッポがごそごそとポーチを探りながら、明るい声をしてフララットに言った。

 

「そうだ、フララットさん! バナナが食べられるなら、きっとこれも食べられるはずよ! だって、()()()()()()()()

 

 バナーヌの予感は的中した。テッポはポーチからゴツゴツとした緑色の丸い果物を取り出した。

 

 どうやらその正体をフララットは知らないようだった。彼女は期待に淡く目を輝かせていた。

 

「まあ、いったいどんな果物なんでしょう。楽しみですわ」

 

 テッポは自信満々に答えた。

 

「滋養強壮、栄養満点、食べれば即座に体力が全快する奇跡の果物よ。さあどうぞ!」

 

 テッポは果物をフララットの前に掲げると、小刀を突き立てて真っ二つにした。

 

 瞬時に、馬車の中でタマネギが腐敗したような強烈な臭気が爆発的に放散された。

 

 フララットは悲鳴を上げた。

 

「ひっぷほっぷっ!?」

 

 フララットは白目を剥いて気絶した。バナーヌが指でつついても、彼女はぴくりとも動かなかった。

 

 バナーヌは独りごちた。

 

「どこかで見たような展開だな」

 

 意識を失ったフララットの姿を見たテッポは目を見開いた。彼女は、弱り果てた表情をしてバナーヌとモモンジに顔を向けた。

 

「どうしよう!? もしかして、ゾーラ族にマックスドリアンは毒だったのかしら……!?」

 

 モモンジが苦笑いをしながら答えた。

 

「いえ、たぶん大丈夫だと思いますよ。マックスドリアンは良い果物です。ちょっと匂いが強烈なだけで……」

 

 テッポは罪悪感を声に滲ませた。

 

「悪いことをしちゃったわ……」

 

 慰めるようにモモンジが言った。

 

「ちょうど良いじゃないですか。フララットさんにも睡眠が必要でしょうし。私たちも出発まで、少しでも良いから寝ることにしましょう。ほら、夜がもう明けます」

 

 テッポは檻へと目をやり、苦渋に満ちた表情をした。

 

「本当にごめんなさい、フララットさん。せめてよく寝てね……」

 

 テッポをよそに、モモンジは焼き鳥をトリ肉を頬ばっていた。モモンジはバナーヌに言った。

 

「ところで、『ひっぷほっぷ』ってなんですか?」

 

 バナーヌは首を傾げた。

 

「さあ……?」

 

 バナーヌは東の空へ目をやった。モモンジが言うとおり、空が白んでいた。それは長い夜が明け、待ち望んだ朝がやってきた証拠だった。

 

 ついに馬車が出発する。

 

 マックスドリアンの香りが妙に鼻につく。これ以上何事も起こらなければ良いが。あくびを噛み殺しつつ、バナーヌは心の底からそう思った。




 フララットさんには不幸が似合う。異論はもちろん認める。
 大変長らくお待たせいたしました……およそ一年半の間に一回も更新できなかったとか、我ながら呆れます。ブレワイ続編もたぶん来年の春ですし、ここからはギアを一つ上げていきたいと思います。少なくとも第一部だけでも終わらせるつもりです。
 今回書いていて頭を悩ませたのはゾーラ族の食生活です。彼ら(彼女ら)は、魚以外のものも食べられるんでしょうか? 厄災の黙示録だとミファー様は魚以外の料理を食べていますが……『バナナ』においてはこういうことになっていると、そのように読んでいただければ幸いです。

※加筆修正しました。(2023/05/22/月)
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