もしも楽の兄貴がニセコイ生活を送っていたならば   作:孤独なバカ

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イッポ

「……ふぁぁ〜」

あくびをしながら俺は学校へと向かう

六月に入ると俺はまた仕事関係で色々忙しくなっていた

とはいうのも正式に万里花がこっちに来ることが決まったからだ

そうは言うものの警備関連は元からの約束であり、俺が元から頼んでいることだった

監視するのは忍さん

警備するのは俺の隊になっている

「……はぁ。万里花来るのか。」

俺がそんなことをいうと

「よう。ゆう!!万里花って誰?」

後ろから声をかけられるとそこには集がいた

「おはようさん。集。てか徹夜明けで頭が痛いから大声はきつい。」

「また、ゆう徹夜?最近多くないか?」

まぁもう3徹だしな。バイトの問題上仕方ない話だけど

「まぁ一番付き合いが長い親友だよ。父さん同士が仲よくて付き合いあるからな。」

「へぇ〜そういえばゆうが昔から遠くにいる友達ってその子か。」

「あぁ。んでちょっと許嫁に会いにくるらしくてこっちに来るんだよ。体弱いから結構心配だし。」

「そういやバイトの先の同級生ってもしかしてその万里花ちゃんって子?」

「そうそう。かなり可愛いけど怒るとかなりやばいぞ。それに……少しは楽に痛い目にあってもらわないと。」

「なんか。面白そうですな。旦那。」

理由は察したのかいい笑顔を浮かべる集に苦笑する

「そういや楽は?」

「寝坊。全く俺よりも遅いってどういうことだよ。」

「まぁ、そうだけど。楽が寝坊って珍しいな。」

「千棘の誕生日会でなんかあったんだろ。俺どうしても行かない用事があったからいけなかったけど。」

昨日、誕生日会があったのだが連絡を入れたところ万里花が試験前なので、どうしてもあっちに戻らないといけないのだった

まぁ元々の最重要依頼は万里花の護衛と世話だから仕方ないといえばそうなんだけど

「あいつ怒ってた?」

「まぁ、少し落ち込んでいたかな。」

「……まぁ、さすがに謝るか。一応バイトがあったとはいえ一度も顔を合わせないのは少しまずいとは思っているし。」

「まぁ、仕方ないって。急に知らせてくる誠士郎ちゃんが悪いだろ。」

なんか珍しく集が俺の擁護に回ってくるよな

「珍しいな。お前が女子のことより俺を優先するなんて。」

驚いていると呆れたようにしている集

「……そりゃ、お前今の顔鏡で見てみろよ。お前普段のお前より数倍にひどい顔をしているぞ。」

 

「おはよ〜。って夕貴あんたなんて顔しているのよ。」

「おはようさん。結構アルバイトがきつくて。」

「……あんたまた徹夜したの?」

呆れたようにしているが、仕事だから仕方ないだろ。

「バイトだよ。最近テストが近いから忙しいんだよ。……進級できるかの問題で。」

「あんたが教えて進級できないって。」

「一条兄って教えるのは凄く上手なんですよね。」

「うん。夕貴くんによく受験の時教わってたけど、物凄い分かりやすいんだよ。」

「私に日本語を教えてくれたのも夕貴だしね。」

そうか?俺あまり教えるのは上手くないと思うんだけど

そういや

「お前早速つけているんだなそれ。」

「……えっ?」

「いや、そのペンダント。あんまり俺らしくはないと思ってたんだけど。」

と俺が指差すとそこには白いスイートピーの花のペンダントがカバンについていた

「……悪い?」

「別にそうはいってないだろ。まぁ、後悪かったな誕生日会に行けなくて。」

「別にいいわよ。バイトがあったんでしょ?」

「……まぁそういってくれると助かる。」

とため息を吐くとチャイムが鳴り響く

そして授業がいつも通り始まった

なお楽は珍しく遅刻をしたのでキョーコ先生に怒られることになった

 

「……お前何しているんだよ。」

俺はバイトからの帰り道倉庫を整理している楽を見かける

「いや、兄貴の方こそ。どこから入ってきているんだよ。」

「いや。壁登った方が早いだろ?」

「それ兄貴だけだぞ。うちの壁3mはあるだろ?」

まぁコンビニに行って雑誌を買いに行っていただけなんだが。

俺はその中からお茶を取り出し楽に投げる

バイト代や小遣いも多少はもらっているので俺は楽よりも豪勢な暮らしができる。まぁ基本は夜食と本で消えていくのだが。

受け取ると少しだけ考えていたが楽は決意したように話す

「……そういや、兄貴。10年前のことって兄貴は覚えているか?」

やっぱりその話か。俺は少しため息を吐き苦笑する

予想はしていたが俺はその話を覚えている

というよりも忘れるはずがないんだ

俺はその日以来時が止まっているのだから

多分数日前なら知らないと言っていただろう

「10年前のペンダントだろ?んで桐崎と小野寺が持っていて混乱しているんだろ?」

「プッ。」

するとお茶を吹き出す楽に呆れてしまう

「……兄貴最初から分かっていたのかよ。」

「…分かるに決まっているだろ。ついでに小野寺も。一目で分かったし鶫なんかは最初から女子と分かってたし、小野寺には聞いてもいないのに妹いること知ってただろ。俺があいつらを知っている要素はいくつでも出てたんだよ。」

「……」

「お前ら揃いも揃って鈍感だからな。」

爆笑していると一通り笑った後真剣な顔になる

「それと、今は話すことじゃねーよ。」

「なっ。」

「というより詳しくは知らないんだよ。というより約束の相手は知っているけど俺がよくいたのは小野寺の妹と鶫だ。約束の中身も少しは聞いていたけど……」

「細部は知らないってことか?」

「細部っていうより……う〜ん今度転校生が来るからそいつに教えてもらえば。そいつも鍵を持っているはずだから。」

「へ?」

「鍵は4つある。そのうちのひとつしか開かないようになっているってことだけと言っていくぞ。」

俺は歩いて自室へと向かいスマホに帰ってきたメールを見る

 

来月の花火大会一緒にいきませんか?

 

もう何度も断りをいれていたメールに俺は苦笑する

普通なら諦めることで唯一俺の知っている人で俺が自衛隊に勤めている唯一の知り合いに返信のボタンを押す

俺はスマホを打ち

いいぞ。場所と時間だけ聞かせて連絡くれ。

とだけ送る。ぶっちゃけあまり女子とメールをしたこともないので簡潔に打ち込む

……まぁ少しこっちはこっちで動き出すか

俺はそんなこと考えながら、少しだけ資料を見る

そこには米国のギャングの大型殲滅作戦の依頼受理署名があった


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