もしも楽の兄貴がニセコイ生活を送っていたならば   作:孤独なバカ

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テヅクリ

背中から鼻歌が聞こえる。

「桐崎今日楽しみにしていたもんな」

と自転車で二人乗りしながら学校に行く。最近では慣れてきた。

「うんだって今日こそ友達を作るって決めてるんだから…!今日は調理実習の日よ!!」

今日の5、6時間目に調理実習だった。

 

「そういえば桐崎って料理作れるのか?」

「うんバレンタインデーにチョコ作るけど皆に好評なのよ」

「でもチョコってまだ料理の方だったら簡単な方だぞ。湯煎して形整えて冷やすだけだし。」

「夕貴も料理作れるの?」

「洋食だけ。俺と母さんだけ和食より洋食の方が好きだからな。だからケーキは大丈夫だと思う。」

和食は楽が作ってくれるからな。俺はほとんど作れない。作れるとしても卵焼きとかすき焼きとかの簡単なものだけだ。

「そっか、今日の課題ってケーキだったね」

「でもそれにしても、案外そのエプロン似合ってるなお前。最初見たときは少し恥ずかしいと思ってたけど」

「え?そう?ありがとう。」

と見るとフリフリのエプロンってどういうわけなんだろう。ビーハイブは桐崎になにを求めているんだ。

「まぁ頑張ってこい。」

「うん。」

と自分の班に向かって行く桐崎、でも桐崎って料理本当に作れるのか?

バサァ!!

と薄力粉をひっくり返す桐崎、あっこいつ料理できないわ。…後からフォローにいくか。

んじゃ俺も作り始めるか。とりあえず薄力粉を90クラムっと

と一応何回かつくったことがあるので、余裕で焼く工程まですませた。後はオーブンの中に入れる。

「よしこれで完了後は待つだけ。」

「さすが手際いいよなゆうは」

「まぁつくったことあるしな。」

と桐崎の方を見ると

玉子を混ぜるところだった。そして近づくと

ガシュ

と近くにあったボールを取り落ちてくる玉子をキャッチする。

「……桐崎手伝おうか?」

「…え?」

「ちょっとさすがに危なっかしいし、俺はもう終わったから、手伝うよ。おいしいやつ作るんだろ。メインはお前が作って俺は計量や道具の準備とかしてやる。」

「じゃあお願い。」

と料理を自分で作るってことは変わりないけど基本的なことは計量と道具の状態できまる。

「んでそこはこれ入れて。」

「んじゃこれは」

「後からだな。んでここは」

と俺が教えながら言う。後は焼く工程だけだし多分桐崎のも大丈夫だと思っていたのだけど、

「……」

俺が仕上げに戻った数分でケーキは真っ黒になっていた。多分焼きすぎたのが原因だろうけど……

桐崎は涙目になっているし、クラスはざわめいてる。

「……桐崎それよこせ」

「…え?」

と俺は桐崎の手から黒焦げのケーキを奪いとる。多分俺にも責任があるし少しくらいは食べようか。

今度までに教えてあげればいいし少しくらいは不味くても食える。

恐る恐る一口を食べる。

すると口の中にクリームの甘さとスポンジの柔らかさが伝わる。

「……」

と俺はもう一口食べるけどやっぱり

「うめぇ」

「え!?ちょ…うそだろ」

「ホント?」

と桐崎も食べると俺の方を見て

「……おいしい!!」

「えっマジ!?オレも食いてー」

クラスメイトが桐崎のケーキを食べていく。

「ホントだウメー!!」

「なんでこんなに焦げてるのに…」

「すげーうまいよ桐崎さん」

と皆が桐崎のケーキに殺到するクラスメイト

「よかったな。」

「……ありか…と…」

「…どういたしまして」

と笑う。楽だったら似合わねとか言って殴られそうだな。さて俺の出番も終わりかな。この後はほっといても自然に友達できそうだしいいか。

と俺は片づけに入る。俺のケーキは頑張った桐崎にあげるか。味見したけどいいできだったし。

そして片づけが終わり寝ようかなって思っていると

ボフンと廊下から聞こえてきた。

「おい一条兄ちょっと廊下見てこい」

と先生に言われて廊下を見ると、楽が泡を吹いて倒れていた。

「おい楽!!」

「一条君…!!」

と近くに小野寺がいた。

「どうして楽が倒れているか知ってるか?」

「えっえっと……私の作ったケーキを食べたらケーキが爆発しました。」

「……はっ?」

今あり得ない言葉が聞こえてきた気がするのだけど。

いやそれよりも

「ちょっと保健室行ってくるから抜けますって先生に報告しといて。」

「うん、分かった。」

と楽を背負い保健室に連れていく。正直もう調理実習は二度とやりたくないな。

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