もしも楽の兄貴がニセコイ生活を送っていたならば 作:孤独なバカ
「それでなんの用だ?」
鶫がそう言う。笑ってしまう。本当演技が下手だよな
「それはこっちが聞きたいんだけど、ブラックタイガーさん。」
すると急に目の色が変わり明らかに動揺している。
「……気づいていたのか?」
「生憎。俺の情報収集能力舐めんな。まぁ、部下のだけどな。」
「……部下?お前部下がいるのか?」
「……まぁな。ってか俺の目的は交渉だし。」
「……交渉だと?」
「あぁ。交渉。生憎争いとかは嫌いなんだよ。ヤクザみたいな真似は俺も桐崎もしないからな。」
俺はため息を吐く。本当血生臭い毎日が嫌になる程な。
「……一つだけ聞くけど俺と桐崎が付き合う前の、集英組とビーハイブの関係性は知っているか?」
「いや、知らないがそれと交渉がどう関係しているんだ?」
「まぁ、聞けって。続けるけど関係性は最悪に近く……戦争直前だったんだよ。」
「なっ?」
鶫は驚いている。調べておけよ。
「…本当に知らなかったのか?あのメガネ。」
「……それは本当か?」
「本当だよ。どうやら若い奴らがファミレスかなんかで騒ぎを起こしたらしく、そっから小さい争いが多発してな、その時には桐崎がこっちに来てたらしいんだが、最初は小さな争いだったのがだんだん規模が大きくなってな、いつ戦争になってもおかしくなかったんだよ。桐崎もそれを理解してくれている。……もう分かるだろ。」
ここまでヒントを与えておいて分からないとは言えないだろう
「……お嬢と一条夕貴は付き合っていないと。」
「一応付き合っていることになっているけど、実際は友達だ。まぁ実際は桐崎の父さんと俺の父さんの依頼で恋人同士を偽っているけどな。若いもんが言い争っているだけで父さんたちと桐崎と俺、楽は戦争なんて求めていない。」
「……」
ここまで言うと鶫は納得したようにしている
「簡単にいうと独断行動に巻き込まれた被害者側だぞ。俺も桐崎も。どうせ、あのメガネから恋人じゃないことを見極めてこいっと言われたんだろうが……」
「いや、すまない。そんな事情があったのか。それはお嬢も」
「知っている。……てかこんなこと本人が知らずにやるわけないだろ。」
「……それもそうだな。」
「というわけ。……で、ここからが取引だ。」
俺は気を引き締める
「ここからは俺は一条夕貴じゃなく、本田夕貴として話す。」
「……どういうことだ?」
「俺は集英組から破門されているんだよ。父さんと母さんの合意の元ある人の養子なんだよ。つまり一条夕貴というのは昔の名前で、今は本田夕貴なんだ。まぁ、母さんと父さんの希望で一条夕貴のまま、いるんだけど戸籍も今は本田夕貴として通っているんだ。」
そう。今正式には俺は
「……」
「まぁ、ぶっちゃけると俺は警察、正式には自衛隊かな?そこで特殊任務第一部隊隊長をやらせてもらっている。」
「なっ?」
「ついでにこれが証明書。警察手帳だけど階級は警視。まぁ、これ以上はもう上がらないんだけどな。」
と焦茶色の警察手帳を見せる。本田夕貴と書かれており偽物ではなくちゃんとしたものだ。
「……これをお嬢は?」
「知らない。楽も友達にも知らせていない。ってか裏の世界に足突っ込んでいるんだ。話せる訳ないだろ?」
それだけで危険になるし、なによりも二次災害につながりかけない
「……それもそうだな。」
「んで、話戻すぞ。まぁ、簡単な話だ。他の組員の奴らあんたは桐崎の他に俺の知り合いの安全を守ってほしいんだよ。俺と一緒にな。」
「どういう訳だ?」
「腐ってもヤクザの息子ってこと。俺も結構トラブルメーカーで彼奴らが知らないところで結構被害にあっているんだよ。俺だってトラブルに遭うしこれのことで街から離れる時がある。その時に彼奴らの身柄を抑えられたら最悪の自体になる。楽は裏の世界に足突っ込んでないしな。生憎俺らと見てる世界が違うんだよ。俺だって生きるために人を殺したこともあるし、裏切ったことだってある。」
裏の世界は血生臭く汚く騙し合いの多い世界だ。楽や桐崎のような優しい友達を失くす真似だけは絶対にしたくない
「その世界を見させる訳にはいかないんだよ。彼奴らには。俺のことを友達と思ってくれるんだ。せめて彼奴らの前ではダメダメでだらしない一条夕貴でいたいんだよ。」
せめて俺は学校では完全ダメ人間として通っている。でもそれができるのは高校までだ。
「もちろん。見返りも用意してる。まずは日本にいる間はビーハイブの警察は戦争行為及び一般市民、警官に手を出さなければ絶対に手出しはしない。」
「なっ!」
鶫が驚いているが
「当たり前だろ。まぁ、簡単にいうと一般市民を守るという善良な行為をする訳だ。多少裏で何しようとも見逃す。それにヤクザやギャングは減ってくれた方がありがたいしな。麻薬組織の取引が最近増えてきてるせいでさらに緩和されてきているのが現状だしな。」
最近じゃ海外からの違法ドラッグなどの組織を潰すのにも時間がかかる。
「……さらに鶫誠士郎経由で警察の情報を少し流してやる。取り締まり場所ぐらいだけどな。まぁ、これだけじゃ見返りの方が多いから条件を付け足すけど。」
これまでが俺が出せる最大級の条件だ。
「……聞こう。」
「一つ目、この学生及び一般市民にビーハイブは手を出さない。まぁ俺や楽のことだな。二つ目この条約はビーハイブ側はボス、アーデルト・桐崎・ウォグナーと鶫誠士郎、そして桐崎千棘、警察側は本田夕貴、本田忍、警察総監、橘厳だけの秘密であること。」
「クロード様に伝えても?」
「ダメだ。なんで戦争を吹っかけた奴らに伝えないといけないんだよ。ニセコイ関係を知っている奴だけだ。まぁ警察から流す情報は俺の名前を伏せること。……俺がこっち側の人間とバレたらわかるだろ?」
必ず戦争がおこるしな。
「後は俺と桐崎の関係を助けること。戦争が起こったら元も子もないし。」
「それは元より協力するつもりだ。」
「ならいいけど。それともう一つこれは俺からのお願いかな?」
「なんだ?」
「鶫誠士郎は桐崎千棘の一生を共に過ごすこと。つまり任務や桐崎の護衛であろうが死ぬな。」
「……は?」
鶫が呆気にとられているがこれが一番大事なことだ。
「桐崎のことを多分お前が一番分かってやっているんだと思う。俺よりも何倍もな。桐崎のことを大事なのも分かっている。でもなお前が桐崎を大事に想っているように桐崎だってお前のことを心配しているんだよ。」
「……そんな訳」
「……あるに決まっているでしょう。」
するとやはり盗み聞きをしていたのか桐崎が屋上のドアを開ける。
「遅えよ桐崎。」
「うるさいわよ。ってかあんたメールで10分後に設定したのって。」
「いいタイミングだったろ?」
俺は笑ってしまう。
「まぁ後は二人で話をしろ。返事は後から聞く。以上だ。」
俺は屋上から立ち去った