「これで本当に良かったの?リヴァイ。」
「ああ。」
今日、エルヴィン・スミスは、死んだ。
巨人との闘いに、よって。
「エルヴィン、おつかれさま。私たちもいつか、そっちに行くからね。」
「エルヴィン、すまない。」
俺のエゴで、
俺の独断で、こいつを殺したようなもんだ。
もうお前は、頑張らなくて、良い。
そう、思ったんだ。
「きっと、もうすぐ私たちは本当の自由を手にするね、リヴァイ。」
「ああ。」
ここまで本当に、いろいろなことがあった。
俺は、大切な仲間をたくさん失った。
もうこれ以上は、失いたくない。
そう思っていた、はずなのに。
「、、、、、世界は、残酷だな。ハンジ。」
「そうだね。でも、今に始まったことじゃないよ。リヴァイ。」
「ああ。」
お前を失ってしまった、俺は、
これからどうやって生きていけばいいのだろうか?
「俺には分からない。ずっとずっと、そうだ。」
このやり場のない怒りを、
どこにぶつけたらいいのか。
それさえも、分からなかった。
エレンとアルミン、ミカサが海辺で遊んでいた。
全く、俺の気持ちも知らねぇで……
その時、俺はあいつから何か言われた気が、した。
「了解だ………エルヴィン。」
俺が、
この手で。
「リヴァイ兵長?」
「どうしたんですか?」
気づくと、リヴァイ兵長が目の前にいた。
「お前らを殺す………その為にいる。」
「え……?」
呆然と、立ち尽くすあいつらに斬りかかろうと、
ブレードを構えた。
その時だった。
「そんなこと、私は望んでない。」
嘘だ、
信じられない。
そんなはずはない。
「今すぐ武器を捨てなさい、リヴァイ 。」
「嫌だ………あいつらのせいで、お前が。」
お前は何故、
どうしてそこまで寛大なんだ?
意味が、分からなかった。
だって、あいつらが居なければ、
お前は死ななかったはずだ。
お前が巨人化能力を身につけていた、
はずだったのに。
「私はもう十分だった。後は、未来ある人に任せようと、思ったんだ。だから、彼らから未来を奪うようなことがあってはならない。」
おまえはいつも、そうだ。
おまえはいつだって、正しい。
「了解だ。エルヴィン。おまえの言うことを、聞こう。」
「それでこそ、私自慢の部下だ。リヴァイ 。」
そう言って、あいつが笑った。
もっともっと、その笑顔を見てたかった。
「じゃあ、後のことは頼んだよ。」
あいつの存在が、薄くなっていく。
今にも、景色と同化してしまいそうだ。
「嫌だ、行くな。エルヴィン!」
「それは、出来ない。これがこの世の定めだから。」
「俺も五日そこへ行くから!どれくらい時間がかかるか、分からねぇが……待っててくれるか?」
「ああ。私はいつまでも待つよ。」
そう言って、エルヴィンは消えた。