もっとこころがしんどくなるような話を書きたいです。
そういう話が書ける人に憧れます。
そろそろパンドラパネル欲しいです。
◆
昼間、大赦が管理する病院の屋上にて。
槍太は黄昏ていた。
心此処に非ずといった表情であった。
「ここに居たのね」
「安芸」
はっとなり、声のした方向へ向く。
すると突然、コーラを投げ渡してくる。
驚きながらもキャッチする槍太。
「………投げたら炭酸溢れるだろ」
と、言いながら危なげなくコーラを開け、飲む槍太。
息を吐き、真剣な表情となる。
「………鷲尾さん達の様態は?」
「ケガは負っていたけど、すぐに治ったわ。後遺症もない。」
目に見えて安堵する槍太。
「そうか、良かっ―――――」
「それで槍太、聞きたい事があるんだけど」
「………何だよ?」
「あんな重傷だったら普通全治一年くらいはかかるはず。なのにあなたは一週間で治した。…………どうして?」
「どうして、って………」
『俺だ』
槍太が困惑した時、どこからともなく声が聞こえる。
すると、赤いスライム状の物質が現れ、槍太の姿を作り出す。
「アンタレス」
『ったく、仕事丸投げしやがった上に治療にまで力使わせやがって』
「………あなたは?」
『あ?俺かァ?俺はアンタレス。ま、言うなれば天の使いだ』
「天の使い……」
安芸の顔が強張る。
『ああ。今はコイツの中に居候させてもらってるけどな。あ、コーラくれよ槍太』
本当に天の使いなのだろうか、と疑う安芸。
と言っても、擬態能力を見せ付けられた以上、そうなのだろう。
だとしたら、いずれ人間に仇をなすのでは―――――
「安心しろ、ソイツは悪いヤツじゃない」
「信用していいの?」
「
その言葉に思わず笑ってしまう安芸。
「槍太、アナタってホント―――――」
その時、世界の時間が止まった。
◆
花弁が舞い、もう見慣れてしまったカラフルな景色が広がる。
今回のバーテックスは乙女座一体のみだ。
―――――前回の様な乱入がなければ。
「先生、お怪我は大丈夫ですか………?」
須美が不安気な表情で訊く。
だが、槍太は微笑んで大丈夫、と言った。
「天才物理学者はそう簡単に倒れないよ」
そう聞くと須美は安堵した表情を浮かべる。
変身し、バーテックスと対峙する。
「はあぁぁっ!」
銀が炎を纏った斧で、園子が手数に優れた槍でバーテックスを切り刻む。
卵型の爆弾を数発放つが、それらも須美や槍太によって打ち落とされる。
いつも通り順調に行っている―――――
だが、槍太は
(これで終われば………いや、また複数体現れたら………)
悪い予想が頭を支配する。
何とか追い出そうとするが、こびりついた汚れの様に中々取れない。
気付いた時には、鎮花の儀が行われていた。
心の底から安心する。
だが、次の侵攻ではどうなる?
もしかしたら、前回以上に強大な敵が―――――
「園田先生」
須美に声をかけられる。
「………何か不安なんですか?」
「……次の侵攻でもし、また複数体現れたらって、怖くなった」
「大丈夫ですよ、アタシ達ならきっと勝てますって!」
「私たち、強いですし~」
情けないヤツだ、と槍太は自嘲する。
(大人の俺がしっかりしないといけないのに………っ)
思い詰めた表情をする槍太。
その時、あっ、と銀が思い出した様に声を上げる。
「そういえば、園田先生ってどうして科学者になろうと思ったんですか?」
「あ……うーん、
◆
ラブアンドピース。
槍太が一番大切にしている言葉だ。
優秀な科学者の一族に生まれた槍太は、昔読んでいた雑誌の中の言葉に目を奪われた。
『科学者になる上で最も重要な事は、ラブアンドピースである』
確か、葛城巧という人の言葉だった。
そこから、槍太は園田家の中でも優秀な科学者となり、大赦にスカウトされた。
だが、一度としてラブアンドピースという言葉を忘れた事はなかった。
―――――親が亡くなる時には、崩れかけた。
病院曰く、急に容態が悪化したらしい。
だが、重要なプロジェクトの真っ最中だった槍太は、病院に行く事を断った。
いずれ良くなる、病院が必ず治してくれる、そう信じていた。
―――――駆け付けた時には、亡くなっていた。
その時は、何故自分はラブアンドピースを志して科学者をしているのか、疑問に思った。
けれど、両親の意思を無駄にしないために科学者を続けた。
―――――この時から、力が強くなった気がする。
そうして、園田槍太は
◆
「―――――と、いらない話までしちゃったね」
「園田先生にそんな過去が………」
真剣な表情で呟く須美。そう呟かずにはいられなかった。
普段の明るい性格からは想像もできない過去だった。
「でも、今は皆が居るから平気だよ。………ありがとう」
「さっ!辛気くさい話は止めにして、お腹空いたし、うどん食べに」
そこまで言って電柱におもいっきりぶつかる。
チームに再び、笑顔が戻った。
◇
薄暗い研究所。
とあるバンドの曲が絶えず流れている。
「夜は焼き肉っしょぉ!…………こんな感じか?」
ハイテンションに上半身を仰け反らせるスターク。
そこに、人影が現れる。
「スターク、何をしているんだ?」
「ああ、人間の文化を体験していてな。で、侵攻の様子は?」
「ヴァルゴが引き返してきた。中々しぶとい奴らだ、人間と言うものは」
関心しているのか、呆れているのか、どちらとも取れる表情を浮かべる。
「……………ま、そう簡単にくたばってもらっちゃこっちが困るんだがな」
「だが、次こそは必ず滅する。………君も準備しておけよ?」
「あいよ、アルデバランさん。任せときな」
その言葉を聞き、アルデバランの身体は風に包まれ消えた。
スタークは静かに、しかし確固たる口調で呟く。
「神の力をその身に宿せるのは穢れなき少女だけ……………ツケはたっぷり支払ってもらうぜ、槍太」
Vシネグリス予約しました。
グリスパーフェクトキングダムカッコいいですよね。