砲流改虎は仮面ライダーである   作:シュワルツシルト半径

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ツインブレイカー購入したので初農家祭りです。
もっとこころがしんどくなるような話を書きたいです。
そういう話が書ける人に憧れます。

そろそろパンドラパネル欲しいです。


第十一話「サイエンティストの過去」

 

昼間、大赦が管理する病院の屋上にて。

槍太は黄昏ていた。

心此処に非ずといった表情であった。

 

「ここに居たのね」

 

「安芸」

 

はっとなり、声のした方向へ向く。

すると突然、コーラを投げ渡してくる。

驚きながらもキャッチする槍太。

 

「………投げたら炭酸溢れるだろ」

 

と、言いながら危なげなくコーラを開け、飲む槍太。

息を吐き、真剣な表情となる。

 

「………鷲尾さん達の様態は?」

 

「ケガは負っていたけど、すぐに治ったわ。後遺症もない。」

 

目に見えて安堵する槍太。

 

「そうか、良かっ―――――」

 

「それで槍太、聞きたい事があるんだけど」

 

「………何だよ?」

 

「あんな重傷だったら普通全治一年くらいはかかるはず。なのにあなたは一週間で治した。…………どうして?」

 

「どうして、って………」

 

『俺だ』

 

槍太が困惑した時、どこからともなく声が聞こえる。

すると、赤いスライム状の物質が現れ、槍太の姿を作り出す。

 

「アンタレス」

 

『ったく、仕事丸投げしやがった上に治療にまで力使わせやがって』

 

「………あなたは?」

 

『あ?俺かァ?俺はアンタレス。ま、言うなれば天の使いだ』

 

「天の使い……」

 

安芸の顔が強張る。

 

『ああ。今はコイツの中に居候させてもらってるけどな。あ、コーラくれよ槍太』

 

本当に天の使いなのだろうか、と疑う安芸。

と言っても、擬態能力を見せ付けられた以上、そうなのだろう。

だとしたら、いずれ人間に仇をなすのでは―――――

 

「安心しろ、ソイツは悪いヤツじゃない」

 

「信用していいの?」

 

天才物理学者()が言ってんだ。間違いねぇよ」

 

その言葉に思わず笑ってしまう安芸。

 

「槍太、アナタってホント―――――」

 

その時、世界の時間が止まった。

 

 

花弁が舞い、もう見慣れてしまったカラフルな景色が広がる。

今回のバーテックスは乙女座一体のみだ。

―――――前回の様な乱入がなければ。

 

「先生、お怪我は大丈夫ですか………?」

 

須美が不安気な表情で訊く。

だが、槍太は微笑んで大丈夫、と言った。

 

「天才物理学者はそう簡単に倒れないよ」

 

そう聞くと須美は安堵した表情を浮かべる。

 

変身し、バーテックスと対峙する。

 

「はあぁぁっ!」

 

銀が炎を纏った斧で、園子が手数に優れた槍でバーテックスを切り刻む。

卵型の爆弾を数発放つが、それらも須美や槍太によって打ち落とされる。

いつも通り順調に行っている―――――

だが、槍太は

 

(これで終われば………いや、また複数体現れたら………)

 

悪い予想が頭を支配する。

何とか追い出そうとするが、こびりついた汚れの様に中々取れない。

 

気付いた時には、鎮花の儀が行われていた。

心の底から安心する。

だが、次の侵攻ではどうなる?

もしかしたら、前回以上に強大な敵が―――――

 

「園田先生」

 

須美に声をかけられる。

 

「………何か不安なんですか?」

 

「……次の侵攻でもし、また複数体現れたらって、怖くなった」

 

「大丈夫ですよ、アタシ達ならきっと勝てますって!」

 

「私たち、強いですし~」

 

情けないヤツだ、と槍太は自嘲する。

 

(大人の俺がしっかりしないといけないのに………っ)

 

思い詰めた表情をする槍太。

その時、あっ、と銀が思い出した様に声を上げる。

 

「そういえば、園田先生ってどうして科学者になろうと思ったんですか?」

 

「あ……うーん、愛と平和(ラブアンドピース)の為、かな」

 

 

ラブアンドピース。

槍太が一番大切にしている言葉だ。

優秀な科学者の一族に生まれた槍太は、昔読んでいた雑誌の中の言葉に目を奪われた。

『科学者になる上で最も重要な事は、ラブアンドピースである』

確か、葛城巧という人の言葉だった。

そこから、槍太は園田家の中でも優秀な科学者となり、大赦にスカウトされた。

だが、一度としてラブアンドピースという言葉を忘れた事はなかった。

―――――親が亡くなる時には、崩れかけた。

病院曰く、急に容態が悪化したらしい。

だが、重要なプロジェクトの真っ最中だった槍太は、病院に行く事を断った。

いずれ良くなる、病院が必ず治してくれる、そう信じていた。

―――――駆け付けた時には、亡くなっていた。

その時は、何故自分はラブアンドピースを志して科学者をしているのか、疑問に思った。

けれど、両親の意思を無駄にしないために科学者を続けた。

―――――この時から、力が強くなった気がする。

そうして、園田槍太は園田槍太(天才物理学者)へと生まれ変わった。

 

 

「―――――と、いらない話までしちゃったね」

 

「園田先生にそんな過去が………」

 

真剣な表情で呟く須美。そう呟かずにはいられなかった。

普段の明るい性格からは想像もできない過去だった。

 

「でも、今は皆が居るから平気だよ。………ありがとう」

 

「さっ!辛気くさい話は止めにして、お腹空いたし、うどん食べに」

 

そこまで言って電柱におもいっきりぶつかる。

チームに再び、笑顔が戻った。

 

 

薄暗い研究所。

とあるバンドの曲が絶えず流れている。

 

「夜は焼き肉っしょぉ!…………こんな感じか?」

 

ハイテンションに上半身を仰け反らせるスターク。

そこに、人影が現れる。

 

「スターク、何をしているんだ?」

 

「ああ、人間の文化を体験していてな。で、侵攻の様子は?」

 

「ヴァルゴが引き返してきた。中々しぶとい奴らだ、人間と言うものは」

 

関心しているのか、呆れているのか、どちらとも取れる表情を浮かべる。

 

「……………ま、そう簡単にくたばってもらっちゃこっちが困るんだがな

 

「だが、次こそは必ず滅する。………君も準備しておけよ?」

 

「あいよ、アルデバランさん。任せときな」

 

その言葉を聞き、アルデバランの身体は風に包まれ消えた。

スタークは静かに、しかし確固たる口調で呟く。

 

「神の力をその身に宿せるのは穢れなき少女だけ……………ツケはたっぷり支払ってもらうぜ、槍太」




Vシネグリス予約しました。
グリスパーフェクトキングダムカッコいいですよね。

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