エボルトすきだけど(Pに贔屓にされたのは)ホンマに嫌いや……
◆
「何なんだよこれ……」
唖然とする槍太。
それもその筈だ。槍太の目の前には――――
地獄が広がっていたのだから。
「ヨォ、目ぇ覚めたか?」
「ッ!?誰だ!?」
壮年の男性の声が聞こえたと思うと、目の前にはワインレッドの怪人が居た。
その怪人に、槍太は見覚えがあった。
「ブラッドスターク……?」
「ビンゴォ!大赦のデータベースを覗いたか」
「ここは一体何なんだ?アンタは知ってるのか!?」
「そう焦んなよ。……ココは天の神が造った結界。ココじゃあバーテックスが無限に湧き出てくる」
「無限…に?」
「ああ、文字通りな……それで、お前には話しておかなきゃなんない事がある。―――勇者の真実について、だ」
「勇者の、真実……?」
「勇者システムに新たに搭載された『満開』。あれはな、単なる強化じゃない。
神のごとき力を得る代償に―――――自らの身体を、神樹に捧げる」
「っ!?」
「そして『精霊』。絶対防御とは言われているが、逆に言えば、自害も封じるって事だ。身体がどんどん動かなくなっても、死ぬことすら許されない。つまり、勇者を縛り付けておく存在だな」
信じられない言葉だが、もしそれが本当なら───
勇者は、永遠に戦い続ける事になる。
膝から崩れ落ちる槍太。
絶望が心の中を支配する。
「安心しろ。救う方法はある」
「!?ホントか!?何をすればいいんだ!?」
「フルボトルを60本集める。それをパンドラパネル6枚に填める。そうすればパンドラボックスにエネルギーが充填されて、アイツらを救うことができる……それを実現するために活動してるのが、オレたち『ファウスト』だ」
「『ファウスト』……悪魔と契約した魔術師の名前、か」
「オレたちがしているのは、非人道的な人体実験だ。『ファウスト』っつーのは、そこから来てる……どうする?『ファウスト』に入ってアイツらを救うか、それとも入らずにアイツらが苦しむのを指をくわえて見ているか」
「そんなの……決まっている」
◆
高台へ続く道を、安芸は走っていた。
ある人物に会う為に。
息は既に上がりきっており、足も小鹿の様に震えている。
そして高台に着いた時、安芸の目にはその人物が映っていた。
「槍太……」
「よっ、おひさー。元気して―――」
安芸が槍太の頬を叩く。
乾いた音が辺りに響いた。
「一体今まで何処に居たの!?こっちは心配で…心配で……っ」
「……ごめん」
涙目の安芸を見て、謝る槍太。
暫くの間、安芸は泣いていた。
「あのさ、聞きたい事が有るんだけど、良いか?」
「え?」
安芸がやっと落ち着いた所で、槍太は安芸に問いかける。
「……鷲尾さん達は、どうなったんだ?」
「っ………」
「……まあ、大体予想はついてるけど」
「えっ?」
「鷲尾さんは記憶と足の機能を失って、名前は『東郷美森』に戻された」
「……」
「三ノ輪さんは鷲尾さんを庇って今も意識不明」
「……やめて」
「乃木さんは―――」
「やめて……っ」
「……全く、酷い話だよなぁ~。散華の事隠すな~んて。勇者システムの強化プロジェクトに俺を参加させなかったのも、
「………」
「ま、安芸も辛かったと思う。話そうにも話せないんだからなあ?……でも、散華の事言ってくれてたら、少なくともあいつらは、もっと遊んで、勉強して、暮らしてた筈だ」
「っ………」
「ごめん。安芸にこんな事言うってのは間違ってると思う。けど伝えておきたかった。……じゃあな」
「待って!」
槍太を呼び止める安芸。
「……何処で散華の事を知ったの?」
「……協力者がいる。そいつに教えて貰った」
「その協力者って―――」
「悪いが教えられねぇ」
「……もう、戻ってこないの?」
「んな訳ねえだろ。お役目からも解放されたし、後はまあ、讃州中学にでも行こうかな?」
「えっ…!?」
「おいおい、『何で知ってるんだ』って顔してるな。それも、だ」
「何する気なの…?」
「安心しろって。次世代の勇者が、どんな奴らで、どういう風に過ごすのか、それを見届けたいだけだ…ってヤベっ!『豪腕ラッシュ』もうちょっとで始まっちゃう!」
[BUILD CHANGE!]
マシンビルダーに股がる槍太。
「じゃあな。風邪引くなよー!」
「……」
◆
ワインレッドの怪人――ブラッドスタークは深夜の病院を歩いていた。
誰にも見つかる事なく、ある病室へ潜入する。
「三ノ輪銀……ここで間違いないみたいだなァ」
ベッドで意識を失っている銀に近付くスターク。
「お前には、アイツを更なる絶望へ堕とす為の道具になってもらう」
銀の頭に手を被せる。
すると、光が発せられた。
暫くすると、光は収まる。
「しっかし、便利な能力だよなァ~、
スタークに光が当てられる。
どうやら見回りの看護婦の様だ。
「そこで何をして――」
「ハァ~、見つかっちまうとは、ツイてないな」
スタークは腕に装備された針『スティングヴァイパー』を看護婦へ突き刺す。
すると、看護婦は悲鳴を上げる事なく消滅した。
「ああ、ツイてないのはお前の方だが、な」
スタークは窓を開け、病室から脱出した。
「チャオ」
◆
ファウストのアジトでパソコンを操作する槍太。
そのすぐ近くには、人間が入った謎の液体で満たされた棺桶の様なガラスの箱があった。
その人間は何かを訴えているが、槍太は無視している。
そこに、スタークが戻ってきた。
「戻ったか、スターク……何しに行ってたんだ?」
「そんなの別に良いだろォ~?お前こそ、スマッシュの人体実験の進捗はどうなんだ?」
「……順調だ。このままいけば、ボトルに成分を採取出来るくらいにはネビュラガスを注入できる」
「流石、今世紀いや、神世紀最高の科学者ってだけはあるなァ」
「……さあ、実験を初めようか」
槍太がレバーを倒す。
すると、ガラスの箱が
「ガァアア!!」
スタークがそれを直ぐにそれを倒す。
緑の爆炎が上がるが、スマッシュの身体は残ったままだ。
それに成分が入っていないボトル、エンプティボトルを向ける。
粒子がボトルに回収され、エンプティボトルは中部が膨らんだスマッシュボトルに変化し、スマッシュは人間に戻った。
「実験成功。浄化しといてくれ」
ファウストのメンバーの一人にボトルを渡す。
「これで、アイツらの救済に一歩近付いたなァ、槍太」
「ああ……」
「これでやっと……俺に流れていた平和ボケした"血"とつまらない自制心は、"蒸気"となって消えた……」
「俺は生まれ変わった……」
[SCORPION!]
「蒸血…!」
[MIST MUTCH…!]
[SCOR…SCOR…SCORPION…!]
[FIRE!]
「俺はリーク……
ビルド神話モチーフ説って結構前に公式から否定されてたんですね
蓮華、任務に私情が混じるなんてアンタは勇者失格や。
安心せえ、勇者はアタシが受け継いだる。
―――桐生静の手記より