天体の観測者   作:シンラテンセイ

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婚約騒動

 無限に広がる星々の輝き

 果てのない銀河の煌めき

 

 ウィスは白銀の光を迸らせ、光の速度で宇宙を飛翔する。

 数多の惑星を抜け、大気圏を突き抜け、地球へと降り立った。

 

 辿り着くはオカルト研究部が存在する駒王学園の裏校舎

 朱乃の救援を求める声に応じ、ウィスは本日、オカルト研究部へと赴いた次第である。

 

 先日、アーシア・アルジェント含める堕天使勢力とのいざこざが終了した。

 ウィスは神器を強制的に抜かれ、死ぬ寸前であったアーシアの命を繋ぎ止め、レイナーレと一誠の戦闘を静観していただけであったが

 

 自称、至高の堕天使へと至ったレイナーレは神器の真の力を開放した一誠のワンパンに沈み、案の定リアスの滅びの魔力で塵と化す。

 レイナーレに加勢していた堕天使達も同じ末路を辿った。

 

哀れ、自称、至高の堕天使と化したレイナーレ

 

 教会の傍からリアス達以外の悪魔の魔力を感知していたが、ウィスは敢えて無視を決め込んでいる。

 今は、泳がせ、今後の動向次第で破壊するつもりだ。

 

 堕天使の加護を失い、教会から追放されたアーシアは一誠と共に生きていくことを決意する。

 聖女が悪魔に転生するという前代未聞の出来事を経て、アーシアはリアスの眷属として転生した。

 

 アーシアは一誠に恋をしている。

 それは周知の事実であり、ウィスは彼女が信仰という名の鎖から抜け出し、自らの足で歩み出したことを祝福していた。

 

 

 

 ウィスがオカルト研究部へと入室する。

 

「言ったはずよ、ライザー!私は私が好きな人と結婚する!そのためだったら勿論、婿養子だって受け入れるわ!」

「おお!それなら俺も!」

「貴方とだけはごめんだわ、ライザー!」

 

 前方ではリアスがチャラいホスト風の男に詰め寄られ、眉を顰めていた。

 

 だが、ウィスにとっては関係の無いことであったため、銀髪の女悪魔の疑わし気な視線を無視し、普通に入室する。

 彼らの遣り取りを静かに見据え、紅茶で喉を潤すのであった。

 

 

で も 自 分 で 淹 れ な い

 

 

 

 

 

 

 

▲▼▲▼

 

 

 

 

 

 

 

 オカルト研究部内には緊迫とした空気が張り詰める。

 

「あの、部長、それで話とは?」

 

 眷属である兵藤一誠が主であるリアスへよそよそしい様子で尋ねる。

 

「実はね……」

 

 リアスが今回の一連の出来事の説明をしようとした刹那……

 

 オカルト研究部の室内に紅く光る魔法陣が現れた。

 

「……フェニックス」

 

 木場の呟き

 

 この紋様はグレモリー家の魔法陣ではない。

 部屋全体を熱する程の熱気が魔法陣から放出され、炎が巻き起こる。

 

「ふー、やはり人間界の空気は不味いな」

 

 火炎陣から姿を現すはホスト崩れの悪魔

 

 赤いスーツを着込み、胸元を大きく開いている。

 ワイルド系のイケメンだ。

 

「さて、会いに来たぜ。愛しのリアス」

 

 その男は実に馴れ馴れし気な様子でリアスの肩を抱き、引き寄せた。

 

「離して、ライザー!」

「おいおい、何をするんだ、リアス?」

 

 嫌悪感を隠そうともしないリアス

 

「言ったはずよ、ライザー。私は私が心から愛した人と結婚する。そのためだったら勿論、婿養子だって受け入れるわ」

「おお!それなら俺も!」

「貴方とだけはごめんだわ、ライザー!」

 

 口論に口論を重ねるリアスとライザー

 

「あのグレイフィアさん……。あのライザーとかいう奴と部長の関係は一体何なのでしょうか?」

 

 この混沌とした雰囲気に耐え切れず、一誠がグレイフィアへと尋ねる。

 

「あの方は純血の上級悪魔であるフェニックス家の三男、ライザー・フェニックス様です。そして時期グレモリー家当主であるリアスお嬢様の婚約者であらせられる方でもあります」

 

「はああぁぁ!?婚約者──!?」

 

 一誠の驚きの声が部室内に大きく響き渡る。

 時を同じくして、ウィスがその場に到着し、ソファーに腰掛けた。

 

「やはり、リアスの女王の入れたお茶は美味しいな」

「あらあら、ありがとうございます」

 

 ライザーの称賛に対し、笑顔で応える朱乃

 だが、彼女の目は全く笑っていなかった。

 このことから彼女もライザーのことを毛嫌いしていることが分かる。

 

 彼女は即座にウィスのもとへと向かう。

 ウィスはこの場の混沌とした空気をものともせず、自作のデラックスストロベリーパフェを口に運んでいる。

 

 膝上で無言の催促を促す小猫には餌付けを行う。

 同じく無言の催促を行う朱乃にも餌付けを行うことも忘れない。

 小猫と朱乃からはちきれんばかりの尻尾と猫耳を幻視した。

 

「おい、君の下僕君、俺を見て号泣しているんだが……」

「はあ、その子の夢がハーレムなの。きっとライザーの眷属が全員女の子であることに嫉妬しているのよ」

 

 ライザーがドン引きし、己の眷属であるユーベルナとキスを行う。

 リアスは嫌悪感丸出しだ。

 

 リアスという婚約者の前で、この女癖の悪さ

 見下げ果てた根性だ。

 

「前が見えません、ウィス」

 

 小猫の教育上、目が汚れることこの上ない。 

 

「それではレーティングゲームの開催は10日後とさせて頂きます。両者、それで異議はありませんね?」

「俺はそれで構わない」

「私もよ」

 

 どうやら双方の主張を踏まえ、此度の婚約騒動はレーティングゲームの勝敗に委ねられることになったようだ。

 

 どう考えてもリアス達が不利な状況である。

 眷属を全駒揃えたライザーはレーティングゲームの経験も豊富であるのに対し、リアスは実質、レーティングゲーム初心者だ。

 

 フェニックスの不死性ならぬ再生能力の前では敗北は確定していると言っても過言ではないだろう。

 いや、200%確定した未来だ。

 

「ふざけんな!部長という婚約者がいながら何てことしやがるんだ!?手前ェの様な種蒔き鳥に部長がやれるか!」

「はあ、やれ、ミラ」

 

あっ、一誠が吹き飛ばされた

 

「リアス、俺もフェニックス家の看板を背負っているんだ。そのためならばこの場の君の下僕を燃やし尽くしてでも黙らせる」

「ライザー……!」

 

 両者の魔力が高まり、一触即発の雰囲気と化す。

 

「はい、ストップ、ストップ」

 

 だが、グレイフィアの制止の声より先に、ウィスが仲裁に入ることでそれも霧散する。

 

「何だ、貴様。見たところただの人間(・・)のようだが……。黙っていたから黙認していたが、これは俺達悪魔の問題だ。部外者が口を出すな。立場をわきまえろ」

 

 ライザーは明らかに此方を見下している。

 悪魔という上位種としての潜在的な本能か、人間を格下と判断していた。

 

「別に私は悪魔でもありませんし、貴方に用があってこの場に赴いたわけではありませんからね。立場もくそもありません。それよりも用が済んだのならばお帰り頂けますか?」

 

 種族が異なるにも関わらず、何故立場をわきまえねばならないのだろう。

 ウィスには悪魔側のそこが分からない。

 

「ただの人間(・・)が……。立場を分からせてやれ、ミラ」

「は、ライザー様」

 

 先程、一誠を吹き飛ばした少女、ミラがウィスへと棍棒を振りかざす。

 狙いは横っ腹、人間でも耐え切ることが可能な攻撃だ。

 

 

 

「か…は……っ!?」

 

 だが、吹き飛ばされたのはミラ

 棍棒がウィスに届くことはなく、ウィスに直撃する直前に反射されたが如く弾き返されていた。

 

「な、ミラ……!?貴様ァ!」

 

 ライザーが激怒し、ウィスへ敵意を向けるも……

 

 

 

 

 

 ウィスが静かに見据えただけで、ライザーは為す術無く地べたを這いずることになった。

 

 

な、何だ……!?体が……!?

 

 

 身体が弛緩する。

 意識とは裏腹に身体が地に倒れ伏し、身動きの一つも取れない。

 指先は震え、生物としての本能が完全に屈服していた。

 

「地べたに這いつくばっていては冥界に帰れませんね」

 

 こうなっては仕方ない。

 ウィスが杖を軽く打ち鳴らし、ライザー達を冥界の適当な場所に転移させる。

 

「それで話とは何ですか、朱乃?」

「えっと、実は……、ウィスには私達を鍛えて欲しいのです」

 

 幾ばくかの逡巡の末、朱乃はウィスへと頭を下げ、懇願する。

 ウィスは怪訝な表情を浮かべながらも、耳を傾けた。

 

 

 

 レーティングゲームまで後、残り10日




かの有名な宇宙一柔らかい枕争奪戦
ビルス様とベジータ王の遣り取りから拝借

配役は↓
ベジータ王=ミラ
ミニベジータ王=ライザー
ビルス様=ウィス

< 余談 >
実は、リアスは既成事実を作るべくウィスの下に魔法陣で飛ぼうとしましたが、失敗に終わっています。

 望まない婚約が迫り、心身共に追い詰められたリアスは……

そうだ、ウィスに頼れば何とかなるかもしれない!(謎の信頼)
ウィスに抱いてもらえれば、形勢逆転よ!(謎の思考回路)

しかし……

「飛べない!?」
※ 飛距離が余りにも遠すぎたため

仕方ない、こうなったら……
祐斗は無理だろうし、一誠なら……!

「一誠、私を抱きなさい!」
「アイエエエエ!リアス部長!?部長、ナンデ!?」
「そこまでです、お嬢様」
「アイエェェェ、グレイフィア……」

グレイフィアに阻止され、リアスの奇行は終了

「……ということがあったの」
「成程」
「ウィスの下にジャンプできたら、ウィスは私を抱いてくれた?」
「甘ったれないでください」
「そうよね……」
「そこは"ウィス!私を鍛えて!"と言うべきです」
「ああ、そういう……」

終了
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