ダイの大冒険 ~白銀のダークエルフ~   作:菅野アスカ

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色白もいいけど褐色もいいよね、というわけでダークエルフ。


原作前 転生しました
転生しました


別段幸福な人生というわけではなかった。

かといって、不幸な人生というわけでもなかった。

アイスのあたりが当たったとか、夏休みの宿題をさぼって怒られたとか、そういうちょっとした幸と不幸、たまに大きな幸と不幸が連なってできた、ありふれた、まあまあな人生だった。

 

そんな生活を送っていたある日、マンションの前を通りかかったら、上から布団が落ちてきて、小生の命をとてもあっさりと奪ってしまった。

 

小生は、死んだのだけど…

 

ふと気が付いたら、見知らぬ場所にいた。

真っ暗で、地面があるのかすらもあやふやで、けれどなぜか心地いい、不思議な空間。

 

「ここ、どこ?」

 

疑問を口にした瞬間、声がした。

 

【転生のための場所だよ】

 

女性の声だった。

 

「転生?」

【そう】

 

返事が返ってくると同時に、声の主の姿があらわになる。

 

黒髪に黒い目。青い眼鏡をしていた。

顔の作りは並と言ったところ。特別ブスでも美人でもない。

鉛筆を右手に、お手製らしき本を左手に持っていて、首に何かの羽入りの琥珀がペンダントトップのペンダントを下げている。

不思議なことに、年齢は、わからない。

特筆すべきは、背中に12枚の翼があるところだろうか。

 

「天使…?」

【あ、この姿のこと?いや、別にそういうわけではないんだ。ただ、中二心が爆発してしまった結果というか。ここでなら、姿、自在に変えられるからね】

「?」

 

【あー、言ってることわかんないよね。これについてて議論してるとらちが明かないから、本題に入ろうか。単刀直入に言うね。転生する気、ある?ドラクエのダイの大冒険の世界にさ】

「!?ある!!!」

【よし。あ、転生って言っても、赤んぼからやり直しじゃないよ。ある程度成長した姿で送り込むから。ところで、なんかほしいもの、ある?】

 

「特典的なもの?じゃあ…妖精の剣、雷神の槍、地獄のサーベル、安らぎのローブ、フラワーパラソル、黄金のティアラを。」

 

装備品の中でも、特にお気に入りなものである。

 

【よし、わかった】

 

目の前の女性が指パッチンをした途端、あやふやだった地面の感覚が消えた。

 

「!?あああああああああ!!!」

【行ってらっしゃーい♪…最後に、私の名前、言っとくね。私は…】

 

その声は、なぜか、とてもクリアに聞こえた。

 

【トナキチミラチトナノチ】

 

 

 

「…う…?」

 

生きてる?

 

「ここは……」

 

つぶやいて、立ち上がった、その瞬間。

違和感に気づいた。

 

まず、背丈。

前世の小生は、背が高めだった。だが、今は、少し低くなっている。前世の身長は172㎝だったが、今は165㎝くらいだろうか。

 

次に、髪と肌の色。

前世の小生は黄色人種らしい黒髪黒目で肌はうす橙だった。しかし今は、肌の色は夜の帳のような褐色で、髪はまるでそれに相反するかのような白銀だ。瞳の色は、鏡がないからわからない。どこかで泉とかみつけられたら、そこで確認しようかな。

 

次に、尻尾。

脚に何やらモフモフしたものが当たっていたからそれを手繰ってみたところ…尻尾だった。

前世の小生はもちろん、尻尾などない。待って、尻尾あるってことは人間じゃないわけ?獣人?獣人なの?

 

最後に…性別。

前世の小生は、いわゆる「性同一性障害」というやつだった。

体は男だったけど、自分が男とは思えなかった(じゃあなんで小生使ってるのかというと…親友(宝塚志望)の口調がうつってしまったのである。昔は「ボク」だったんだけど)。

で、今の性別はというと…

膨らんだ胸、高くて細い声、華奢な体。女そのものだった。

 

「…トナキチミラチトナノチさん、ありがとうございます…」

 

嬉しすぎるプレゼントだ。

 

自分の様子を確認したのち、ふと横を見ると、1つの袋が落ちていた。

 

「なんだろう、これ」

 

しっかりと縫われていて、丈夫そうな袋の中には…

小生…否、小生(ボク)(女の子になれたんだから小生のままではまずかろう)が望んだ特典と財布と地図、手紙が入っていた。

 

「何々…」

 

[うまくそっちにつけたみたいだね。混乱してるだろうから、状況を説明しておくよ。

①その世界はダイの大冒険に似通った世界なので原作クラッシュして大丈夫。ていうかもう小さくクラッシュしてる。

②君はダークエルフになってる。年齢は180歳、人間の年齢に換算すると18歳。まだまだ若いよ。そしてその世界、エルフもダークエルフも絶滅しかかってるから気を付けて。

③原作開始3年前、ダイはまだ9歳だよ。

じゃ、ガンバ]

 

「…ダークエルフ、ですと…?」

 

おまけに180歳。そして尻尾があって肌が褐色で髪が白銀でナイスバディ。待て。待て待て待て。

…この姿、小生(ボク)が前世でやってたTRPGのオリキャラじゃねえか!!!

 

「えっと、だとしたら…」

 

リディア・クリスタル・フォン・アッシュフィールド。数少ないダークエルフの魔法戦士。そういう設定だった。

それを思い出した途端、

目の前に、ドラクエのメニュー画面(で合ってるのだろうか?)が現れた。

 

「え、何これ」

 

触ろうと手を伸ばしたが、触れられない。立体映像みたいだ。

よく見れば、普通のドラクエの画面とは違う。話す、道具、設定、作戦、魔法、調べる、などがすべて消え、強さ・所持金・自分の名前くらいになっていたのである。設定がないのはゲーム世界じゃないから、他は話すのも道具の確認も魔法使うのも調べるのも作戦練るのも自分の意志でできるからだろうか。

 

とりあえず、自分の強さを確認してみる。

 

リディア

性別:女

ドルイダス

レベル:40

 

E布の服

Eヘアバンド

Eダークエルフのお守り

 

力:180

素早さ:230

身の守り:120

賢さ:150

運の良さ:71

攻撃力:180

守備力:131

最大HP:375

最大MP:597

EX:1610090

 

使用呪文

 

ドルマ

ドルクマ

ドルモーア

ドルマドン

 

ヒャド

ヒャダルコ

ヒャダイン

マヒャド

 

ザラキ

 

ラリホー

 

マヌーサ

 

ホイミ

ベホイミ

ベホマ

キアリー

キアリク

ザメハ

 

レミーラ

レミラーマ

 

リレミト

トラマナ

トヘロス

インパス

ルーラ

 

所持金:1000G

 

 

…待った、何だこのチート。

ダイの大冒険の世界にドルマ系とか持ち込んだ時点で「おいおい」ってなるのに、何ですかこの習得してる魔法の量は。

まあ、いいけども。

 

「…そういえば、このダークエルフのお守りってなんだ?」

 

布の服とヘアバンド以外で、小生(ボク)が身に着けてるものは…

 

「この腕輪?」

 

小生(ボク)の右腕に、プラチナでできた腕輪がはまっていた。

草花の彫刻が施されていてとても綺麗なのだが、中央に取り付けられた真っ黒い水晶らしきものが最も綺麗だ。…綺麗すぎて怖いというか、見ていて吸い込まれそうだけど。

 

「これの効果、何だろう」

 

呟いて、腕輪を外してみた(腕輪の内側には、「リディア・クリスタル・フォン・アッシュフィールド」、つまり小生(ボク)の名前が彫られていた)。

 

「…なにも起きない?」

 

ステータス画面もチェックしてみたが、何の変化もない。

 

「あ、そうだ。こういう時こそインパス」

 

小生(ボク)は、腕輪に向かって呟いた。

 

「インパス」

 

『ダークエルフのお守り 身に着けていると魔力を回復してくれる。売れない』

 

頭の中に、そんな言葉が響いた。

 

「なるほど、魔力回復アイテムだったのか」

 

売れたとしても売ろうとは思わなかっただろう。貴重な魔力の源なんだから。

 

…それはそれとして、武器を装備してないのは今のご時世でも危ないだろうから、どれか装備しとくか。

 

~装備中~

 

E妖精の剣

E安らぎのローブ

E黄金のティアラ

Eフラワーパラソル

Eダークエルフのお守り

 

…ゲームやってるときは考えなかったけど、安らぎのローブとフラワーパラソルって恐ろしく似合わないな。

 

「それはともかく、ここどこなんだろう?」

 

地図を広げてみる。

 

「あ、ゲームと同じ…」

 

地図はゲーム同様、通ったところが自動で記入されていき、現在地が矢印で、入ったことのある場所が赤丸で表示される地図だった。

 

「えっと、この位置は…ネイル村の近くかな?」

 

じゃあ、まずはネイル村に行ってみようかな。




エルフに尻尾ついてる設定、いいよね。
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