☆8評価をしてくださったじゃこ卸さん、
ありがとうございます!
「ふあ…」
あんな話を聞いてしまったせいか、昨晩はなかなか寝付けなかった。たぶん、眠れた時には、日付はとっくに変わっていただろう。
ふと窓の外を見ると、普段よりも明るい。いったいいつまで眠っていたのやら。
さて、今日は何をするんだっけ。今日は3日目だから…
「あっ!!」
そうだ、3日目…!どうして1番忘れちゃいけない日に限ってこういうポカをするんだ、
焦ってそばにあった布の服に着替え、妖精の剣をつかみ、家を飛び出した。それとほぼ同時に、地震が発生する。
お願いだ、間に合ってくれ…!!
さすがに3年もここで生活していると、原作の流れは覚えていても、絵は全く覚えていない。けれど、他の動物やモンスターたちに迷惑のかからないところにある洞窟は、そんなに多くないというのを、この3年で知った。
ならばそこを総当たりしていけば、いつかは彼らのいる洞窟に着くはず。デルムリン島はどこも似たような景色のところが多いから、ルーラで行くのは無理だ。でも、
しばらく走っていると、びりっという感覚。すさまじいエネルギーを持った存在を、最初の揺れよりも強く感じた。
そのおかげで、位置はある程度わかった。でも…
「どうしてよりによって、進行方向の正反対なんだ!!」
ピサロさんが気づかないとは思えない。きっとピサロさんも向かっているはず。どうか、
ここは「ダイの大冒険」本来の世界じゃない。だから、シナリオ通りに事が進むとは限らない。アバン先生が、ちゃんと生存するかもわからないのだ。
早く、早く…!!
走って走って、やっと着いた時には。
「あ、あ…」
アストロンをかけられたダイたち。
両の指をハドラーの頭に突き刺したアバン先生。
「ダメっ…!アバンさん、それは!!!」
「リディアさん…すみません、後は、頼みます」
ダメだ。いけない。
「メガンテ!!!」
爆発と、強烈な閃光。
光や砂ぼこりが止んだころには、地面には小さなクレーターができていて。
2人の姿は、なかった。
「先生…!」
「う、あ…」
「アバン、さん」
大丈夫。
原作通りなら、生きている。
…本当に?
原作の通りに進むなんて、言いきれないじゃないか。
「…リディア、逃げろ!」
「ピサロさん?」
ダイたちと一緒にアストロンをかけられていたピサロさんは、酷くボロボロで、ダイたちの弾避けになったのだと想像がついた。
「ハドラーは…あいつはまだ生きている!」
「「ええ!?」」
ダイとポップが同時に叫ぶ。
直後、地面が盛り上がり。
「かああああーっ!!!」
ハドラーが、現れた。
「く、くくっ…ハハハハハ!!!アバンめ、やはり衰えたわ!!!メガンテでさえ、俺にとどめを刺すには至らなかった…!」
「なんという…」
「ば、化け物っ…!」
…はは。強制負けイベの時のキャラクターって、こんな気持ちなのかな?
「それでも、相当なダメージは受けてしまったが。だが、帰還するその前に、貴様らをこの場で根絶やしにしなければな…!!」
「う…うわああああ!!!」
「ポップ、落ち着いて…君らにはアストロンが残ってる」
ああ、そうだ。
彼らに、手を出させてたまるものか。
「ハドラー。名前で察するに、元魔王のハドラーだな?」
「いかにも。そして今は大魔王バーン様に仕える、魔軍司令ハドラーだ」
…後半の成長したハドラーを知ってると、バーン様、って呼んでるのに違和感あるな。
ま、そんなの今はどうでもいいんだけど。
「彼らを殺したいというのなら」
妖精の剣を鞘から引き抜き、構える。
「
ぎろり、まっすぐに睨みつける。
「ほう?俺を前にして、ずいぶんと気丈なことだ。だが、それがいつまで持つか?」
ハドラーの右手の人差し指に、火炎が灯る。
「俺のメラは地獄の炎…相手を焼き尽くすまでは決して消えん。後ろのやつらごと焼き尽くしてくれるわ!!」
それはどうかな。
「メラゾーマ!!」
「残念…マヒャド!!!」
「何っ!?」
妖精の剣を杖代わりにして放たれたマヒャドは、メラゾーマを飲み込み、さらにハドラーへ。
「ぐっ…がああああ!!!」
「マ、マヒャドだって!?」
「ヒャド系呪文の最上位じゃ!リディアさんはあまり呪文を使わなかったが、これほどの呪文を習得していたとは…!」
ふらつきながらも立ち上がるハドラー。
「はあ、はあっ…。き、貴様っ!」
「言っただろ、
「ならば、この拳でっ!」
放たれる拳をかわして、剣を振った。
「ぐうっ!?」
よし。足を狙うのは効果的みたいだ。
もう一歩踏み込んで、大上段から斬りつけようとした、その瞬間。
「が、あっ…!?」
腹に、鈍い衝撃が走った。
ゆっくりと視線を下げると、ハドラーの拳がめり込んでいた。
吹き飛ばされて、壁にたたきつけられる。
「リディア姉ちゃん!」
「まともに狙って当たらないのなら、攻撃してくる瞬間を狙うまでよ!手間をかけさせおって…!!」
まずい、立ち上がらないと。
体が言うことを聞かない。そりゃ、もろにみぞおちに入ってたしな。ついでに壁に頭打ち付けたせいか、視界もぼやけている。
足音が近づく。
「やめろおおおおおおおお!!!」
ダイの叫び声が、聞こえた。続いて、ドスッという重い音。
見ると、ダイのアストロンだけが解けていて、
「な…なんだ、この力はッ…!」
ダイに殴り飛ばされたらしいハドラーが立ち上がる。
「よくも…よくも、先生だけじゃなく、リディア姉ちゃんまで…!許さない!!!」
「図に乗るな、ガキっ!!!」
殴りかかるハドラーに、ナイフで応戦するダイ。
ああ、大丈夫、だ。
そう思った瞬間に、視界が暗転した。