マァムサイド。
「あら?」
私は今、村の近くの森に来ている。ミーナが勝手に森に入ってしまったので、探しに来たのだ。
少し暗くなってきていたうえ、迷路のような森だから、探すのに少し苦労したけれど、探してから数十分後にミーナを見つけ、さあ帰ろうとしたその時…少し離れた場所に、1人、誰かが歩いているのを見つけた。
身長は、女性にしては高めだが、ローブのデザインや色からして、女性だろう。
腰まで伸びた白銀の髪と、深くかぶったローブのフード(?)、フラワーパラソルが原因で耳が見えない。
肌は、暗くてうまく見えないけれど、褐色のようだ。
「マァムお姉ちゃん、あれ誰だろう?村の人じゃないよね」
ミーナも、女性に気づいたようだ。
「うん。…旅の人かしら?」
そう呟いたとき、
「誰かいるの?」
女性が、こっちに気づいたらしく、そう言ってこちらを見た。
「!」
駆け寄ってきた。
「ああよかった!道に迷って、抜け出せないんじゃないかと思ってたの!君達、このあたりに住んでいるの?もしよかったら、道案内を頼めないかな?」
「…ええ」
「ありがとう!
?ボク?女性でボクは珍しいわね。
「旅を?」
「うん。別に、これと言って目的があるわけでもないんだけどね」
「そうなんですか」
~移動中~
だいぶ日が傾いてきたころ、森から出られた。
「あ…出口。本当にありがとう、見ず知らずの
「いえ、これくらい大丈夫です」
私がそう言ったとき、
「ミーナ!」
「マァム」
母さんとミーナのお母さんが、迎えに来ていた。
「おかあさん!」
ミーナが駆けていく。
「マァム、いつもありがとう」
「どういたしまして」
そのまま、ミーナのお母さんはミーナを連れて帰っていった。
「…ところで、マァム。そちらの人は?」
母さんが尋ねる。
「
「まあ、そうなんですか。大変でしたね。…ところで、これからどうするおつもりで…?」
「?町に向かおうと思ってますが」
「1番近い町でも、ここからでは、着くころには夜になってしまいますよ。よければ、うちに泊まりますか?」
「え!?いえ、そんな…め、迷惑でしょう?」
「大丈夫ですよ。ねえ、マァム」
「ええ。大丈夫ですよ。ここ、よく旅の人が迷うから、こんなこともしょっちゅうあるんです」
「え………でも…………………はい。お言葉に甘えて…………………」
旅人さんは、そう言って頷いた。
「その、すみません」
「いいんですよ。よくあることなので」
旅の人が迷うことは、本当によくある。何せ、あそこは迷路のような森なのだから。
だから、こんなこともよくある。
さっきから私も母さんもそう言っているのに、旅人さんはどこか申し訳なさそうだった。
「…ところで、お名前は何というのですか?」
とりあえず、話題を変えよう。気分が変わるかもしれないし…
「へ?ああ、ええと…リディアです」
「リディアさんというのですか。ええと、素敵な名前ですね」
…何で名前を聞いたのよ、私!話がつながらないじゃないの!
ああでも、ちょっと気が和らいだみたい。フードから覗く綺麗な口が、うっすら弧を描いていた。
「…そういえば、リディアさんは、室内でもフードを外さないんですね」
「へ?」
さすがにフラワーパラソルはしまっていたが、代わりにフードをしっかりとおろしていた。
「…その、諸事情あって」
そう言って、リディアさんは一層深くフードをかぶった。
…ああ、余計な事聞いちゃったわ…
…マァムのコレジャナイ感がすごくなってしまった。誰か私に文才を…