短いとは思いますが呼んでくれたら幸いです。
さぁ、赤子はどうなったかなぁ?
拝啓――この世にいるかどうかも分からない父上様母上様、御元気でしょうか。現在私め、修斗はとても大ピンチにございます。なので・・・
「いやあああ!!たぁすけてぇ――」
「甘い」
「べぶっ!!」
ここは少し広めな道場の稽古場。古めかしい壁の塗装、味のある天井、踏み均された木目の床は所々に傷を作っていた。そんな中持っていた木刀を放り投げ逃げ出そうとする俺に容赦なく小太刀の木刀を後頭部にぶつけてくる我がお義兄様。
痛い・・・加減はしたんだろうけど所詮は木刀、小太刀であろうと木刀、当たったら唯ではすまないはずだ。
「頭カチ割れたらどうすんだバカ兄!!」
「惜しかったな・・・いい感じに投げたから仕留められると思ったんだが・・・石頭め」
怖い!!このバカ兄は俺のこと殺しに来てるよ!!大体にして何で俺が兄貴の稽古に付き合って殺されかけにゃぁならんのだ。なにがいけない!!忍さんに兄貴のエロ本の隠し場所を教えたことか?それとも兄貴の盆栽割っちまったことか?それとも・・・
「先週・・・」
「ん?」
「先週、なのはが泣いて帰ってきた件について・・・・」
あっ!やばい。このシスコン、自分がいない間に起こった出来事かいつまんで聞いて誤解してるな。
確かに我がお義姉様―早生まれなため、年上ぶられている―ことなのはは先週公園から泣いて帰ってきた。
しかし一緒にいたからって俺のせいにしなくても!!
「どうせお前のことだ、なのはに悪戯をして泣かせたのだろう!!さあ観念しろ!!」
「うっさいわシスコン!!それ、思いっきり勘違いだから!!俺のせいじゃないから!!」
「じゃあなんだと言うんだ!!一緒にいたであろうすずかちゃんやアリサちゃんが泣かせていたわけではないだろう!!」
なのはの親友の名を語るがそれこそありえない!!あの三人娘はレズなんじゃね?と思うほど仲が良いのだ。
ってかこのシスコンは何で誰かが泣かせたと思ってんだ?
「大体にしてなのはが泣いてたの誰に聞いたんだよ!!」
「忍」
「あんのお調子娘がぁーー!!」
絶対この状況になるって分かってて兄貴に何か吹き込んだな。
このままじゃ埒が明かない、ちゃっちゃと真実教えて安全を確保したい。
「鳥だよ」
「?」
「公園にいた小鳥。なのはのお気に入りだったんだが、先週なのはの目の前で野良猫に食われちまったんだ。」
「・・・自然の摂理だな」
そう、かわいい小鳥だった。種類は分からなかったがピーチク鳴く姿がなんとも愛嬌があって三人娘も俺もよく見に行っていたのだが・・・悲しいかな弱肉強食の世。小さな命はぺろりと野良猫の胃袋の中に。
なのはは相当ショックだったらしく2日ほど眼が真っ赤だった。
「分かってくれたようでなによりだよ。忍さんからなんて聞いてたんだよ」
げんなりしながらも一応、原因であろう忍さんが何て言ってたのかを聞く。
「なのはが泣いていた原因は修斗に聞いてみろと」
「それだけ?」
「あと、何も言わずに奇襲を掛ければ何か分かるかもとも」
絶対に状況悪化を目論んでいたな。俺が兄貴に急襲されれば今までの兄貴の知らない悪戯を暴露するとでも思ったのだろう。悪女め!!
「それたぶん忍さんのジョークだから、真に受けないの。」
「む、そうだったのか。すまない。それと――」
俺はやっと問題が解決したと安心していた。甘かった、あの悪女を甘く見ていた。ここからが本番だった。
「何故、忍は俺の本の隠し場所を知っていたんだ?」
「・・・・・・・・」
「後は、俺の盆栽の数が一つ少ないのだが」
「(汗)・・・・・・・・・」
まっ、まさか!!
ゆっくりと振り返るとそこには小太刀二刀を振り上げる鬼がいた。
「イイワケヲキコウカ」
「いやあああ!!たぁすけてぇ――」
冒頭に戻る?
「なすび!!」
叫びながら意識を取り戻す。あ、危うく命が・・・命が獲られる所だった(涙
どうやら俺が寝ていたのはリビングのソファーだったみたいだ。兄貴か姉貴が運んでくれたのだろう。
「しゅーと君、何でなすび?」
近くには呆れた顔をしたなのはが居た。どうやら俺の様子を見ていてくれたらしい。
「分からん。唐突に言いたくなったんだ。あるだろ?なのはも」
「ないよそんなこと!!一生ないよ!!」
「そんなこと言って実はあるんじゃない?『はにゃ~ん』とか『ふにゃ~ん』とか」
「・・・・///なっ、ないよ!!『ふにゃ~』とか行ってないよ!!」
なるほど『ふにゃ~』か
こいつは朝が弱いから何かしら言っているだろうと思ったがまさかの大当たり。8年近くいて初めて知りましたよ。
「そっか、『ふにゃ~』もないのか『ふにゃ~』も。ホントに?『ふにゃ~』?『ふにゃ~』?」
「む~、言ってないもん」
あ~真っ赤になってふて腐れてしまった。いじりすぎたかな?仕方ないと思い、急な話題の入れ替えを行う。
「そういえば、すずか達との買い物いは?新学期の道具いくつか買い足すっていってたろ?」
そんな質問にけろっとさっきまでの膨れっ面はどこに行ったのか元気な顔でなのははこちらに振り向く。
「うん。そろそろ行こうかなって。アリサちゃんが午前中用事があるって言うから午後からにしたんだ。それでしゅーと君も誘おうかと思って・・・ソファーでうなされてるのを発見したの」
なる!!んで今に至るわけか。どうしようかと悩んでいたがいくつか買い足そうと思っていた物があったのを思い出し行くことに。しかし、今自分は胴着姿これでは・・・・
「OK。着替えてくるわ」
了承の意を伝えとぼとぼと自室に向かう。扉を開ければ俺の部屋のお出ましだ。子供机に簡素な電気ライトが部屋の中心に、窓際には青いシーツの掛かったベット。入って右にはクローゼット左には教科書や漫画が入った本棚、かざりっけのない部屋だ。胴着をベッドの上に投げ捨て、クローゼットから適当に服を取り着替える。白い柄シャツに膝下までの紺のジーパン、一応鏡を見るがファッションセンスのかけらもない自分が鏡を見てもいまいち分からん。
「ふぅ」
溜息一つ吐きながら自分の部屋を見渡す。
この家に着てから今年で8年目。俺はこの家の人間とは誰一人血が繋がっていない。養子ってやつだ。公園に捨てられていたのを父さんと母さんが拾ってくれたそうだ。それを知ったのはちょっとしたことが原因で自分の血液型と家族の血液型を知り、自分がこの家の誰一人と血が繋がっていないと思い不安に駆られていたときだった。丁度なのはともども小学校に入学する数日前だったか、父さんと母さんに大事な話があるといわれ真実を知った。まぁ、その後ひと悶着あったのだがここは割愛。今はすんなりと割り切っている・・・・わけでもないが、今のこの高町家も自分の家族であるとちゃんと認識している。前の親がどうとかもあまり思わない。
「感謝こそすれ、嫌いにはなれんわなぁ」
この8年間たっぷりと愛情は受けている。傷もたっっっくさん受けてるけど・・・・。別に虐めとかではない。高町家には――正確には父さんの家には古い剣術の流派があり、それの教えを少しばかし受けてのことだった。なのは?あいつは運動音痴で全くダメダメ。まぁ父さんもなのはには教える気はないらしく。剣を握らせたことはない。
「しゅーとく~ん」
「っと感慨にふけるのはこれぐらいにしてっと」
リビングから呼ぶ我が姉上様のもとに行きますか
財布と携帯をポケットに突っ込み、脱いだ胴着を脇に抱え自分の部屋を後にする。
「『ふにゃ~』?」
「まだ引っ張るの!!」
誤字脱字など何かありましたらご指摘ください。
不定期ではありますがのんびりと行こうかと思います。