召喚したらスライムだった件   作:よと

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例えスライムでも見た目で判断してはいけないと悟った

 「えーっと、改めて自己紹介いいかな?」

 

 おずおずと喋るスライムが俺に向かってそう切り出した。

 

 「あ、うん。」

 

 もうどうにでもなれ、と半ばやけ気味に了承するとよしきたといわんばかりにスライムは張り切って人化(・・)した。

 

 ・・・・・・・・・

 

 

 人化!!??

 

 

 「改めまして、俺はリムル=テンペスト。魔王だ。」

 

 喋るスライム、リムルが人になり改めて自己紹介をする。

 その容姿はうっすらと青みがかった長い銀髪に全体的に黒を基調とした服をまとっていた。

 芸能人やモデルでもこんなに美しい人はいないと断言できるほどに整った顔立ちで、人当たりの良さそうな笑みを浮かべてリムルはこちらに握手を求めるようにスッと手を出してきた。

 

 「・・・・・」

 『・・・・・』

 

 不覚にも、この場の全員がリムルに見とれていた。

 

 「あ、あぁうん。藤丸立香、よろしく」

 

 それこそ差し出された手に反応するのに間を必要としたほどにだ。

 

 「おう、よろしく」

 

 それを知ってか知らずか、たぶん分かったと思うけどにこりとまた笑みを浮かべてしっかりと握手をした。

 

 「て、魔王?」

 

 不穏な言葉が聞こえた。

 それは、あれかな?世界の半分をくれてやるとか言い出したり、世界征服に乗り出したりするあの魔王? 

 

 「そうそう、俺の元いた世界の話なんだけどさ――」

 「え、ちょっとまちなさい!」

 

 リムルが説明をしようとしたところで所長が待ったをかける。

 

 「あなた今元いた世界(・・・・・)って、まさか世界間を超えて来たっていうの!!?」

 

 所長がヒステリックに叫ぶ。

 そんなにもすごいことなのだろうか?いや勿論世界を移動できるなんて本当にすごいことなんだけど、そこまで大げさになるようなことなんだろうか、と疑問に思ってしまう。

 

 そう聞くと所長は、

 

 「あんたねぇ・・・、全く、これだから一般枠は・・・。あのねぇ、世界間を移動するなんてそれはもう魔法の領域よ、あの第二魔法の使い手である宝石翁(キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ)と同じこようなことができるってこと。…て言ってもわからないでしょうね」

 

 所長が呆れたように言う。

 全くその通りで、今の話の半分くらいしかわからなかった。

 まず魔術と魔法の違いとは一体…。

 

 『立香君、ようするに僕らが歩いて移動することに対して、あちらは瞬間移動で移動できる感じだよ』

 

 とDr.ロマンが教えてくれた。同時に納得する。

 とんでもないや。

 

 

 「もうこの際あなたが戦えるんならスライムでも魔王でもなんでもいいわ。さぞ強い英霊なんでしょうね」

 

 「そのことなんだけどさ、多分俺英霊じゃないんだよね」

 

 え?

 それってどういうことなんだろう?

 

 『それはおかしい。今行われた召喚は英霊を召喚するためのものだ。君の世界間移動の道しるべじゃない。それにサーヴァントとしてのデータだってこっちに記録されているんだよ?』

 

 「言いたいことはわかるよ。かなり特殊なのは理解してる。簡単に説明すれば、運悪く藤丸の召喚に割り込む形で世界間移動が発動してサーヴァントの枠組みに収められそうなところを弾いて無理やり召喚されてる感じだ。だから俺は生身だしサーヴァントの契約からはちょっと、いやかなり外れてる。」

 

 「はあ!!?」

 

 所長がまたすごい驚きを見せる。ハトが豆鉄砲を喰らって更に追い打ちを喰らったような顔してる。

 

 「そんなことが可能なの!?ああ、でも世界間移動を実現できるようなヤツだし有り得ないわけじゃないのかしら―――」

 

 

 「俺ぐらいじゃないかな?あ、でもヴェルドラならできるかもな。因みにその辺の知識は聖杯?からぶんどってるから大体の事情はつかめてるぜ。」

 

 とんでもない人、いやスライムだ。

 所長から聞いた説明は召喚時に聖杯から知識を与えられるものを彼?彼女?はぶんどったって言ってるし、これは戦力的に期待できそう、というかそれはもうスライムってレベルじゃねぇ。

 あ、そういえばここに大分留まっているけど大丈夫なんだろうか?

 

 

 「あはは、とりあえずその辺の事情は―――」 

 

 後にしてここを離れよう。

 そう言おうとしたがもう遅かった。

 

 「フフフ、見つけましたよ。さあ、殺しあいましょう?」

 

 瓦礫の上、丁度俺たちを見下ろす形で禍々しい雰囲気を放つサーヴァントが鎌のような槍を構えてこちらを見下ろしていた。

 もう、逃げる猶予はない。

 

 そう悟るのに時間はそれほど必要としなかった。

 

 「ランサーのサーヴァント!!?」

 

 所長が真っ先に叫ぶ。

 

 『しまった、気づくのが遅れた。みんなごめん、なんでいるかわかんないけどサーヴァントだ。なんとかして逃げるか撃退するんだ!』

 

 「ちょっとロマニ!こんな大事な時になんてことをしてくれたのよ」

 

 『すみません!ですが、彼女の実力をみるいい機会だと思います。』

 

 確かに、リムルの力を測るのには丁度いい相手だと思うけど相手はサーヴァント、一筋縄ではいかないだろう。

 でも、リムルは自身を魔王といってたしそれなり以上に強いかもしれない。

 

 「リムルさん、任せられる?」

 

 「おう、任せとけ。それとさん付けはいいよ、あと敬語も。堅っ苦しいのは苦手でさ。」

 

 「あなたが相手ですか?いいでしょう、優しく殺してあげます。」

 

 ペロリと舌なめずりをして槍の英霊、ランサーは腰を落として狙いをリムルへと定める。

 

 「悪いけど、こういうのは手早く終えたいんだ。しかも相手をしてやれるほどの実力じゃないし。」

 

 「舐めたことをいってくれますね、精々後悔して死になさい!」

 

 するとランサーは目にも止まらぬ速さで突進するかのようにリムルへと向かっていく。

 それはまさに新幹線のような超高速でこちらからは消えたように見えた。

 

 「”神之怒(メギド)”」

 

 リムルが呟く。

 一瞬、キラリと眩い光が目に映った。

  

 「「え?」」

 

 俺とランサーの声は重なった。

 

 なぜなら、もう勝負はついていたからだ。

 

 ランサーの体には、焼けたような穴がいくつか空いていてそれは致命傷だと見ただけでわかった。

 

 「ナ…にが…」

 

 何も理解できないまま、ランサーはそのまま光の粒となって消えた。

 後に残ったのは、バツの悪そうな顔をしたリムルと俺たちカルデアの面々のみだった。

 

 「やっぱちょっと大人げなかったかな?」

 

 リムルの一言がやけに静かなこの場所に響いたきがした。




1話投稿からコメントがポンポン寄せられて有頂天気味のわたくしですが頑張って完結まで持っていきたいと思っておりますのでどうか応援よろしくお願い致します。
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