友人とTRPGやりまくってて時間が取れませんでした。
え?サボってただけだって?
そんなことh(神之怒
「燃えちまいなあ!!」
放たれた炎は真っ直ぐこちらに接近しており、マシュが避ければ俺は黒焦げ。
「マシュ!」
「はい!!」
マシュが避けなかったらそれはそれでマシュが危なくなるだろう。
そう頭でわかっていても、俺とマシュはあろうことかこの巨大な炎に突っ込んでいく。
近づくにつれてその熱がより鮮明に己の肌を焼きつくせるものだと否が応にも理解させられる。
それでも、前へ出る足を止めるブレーキには成り得なかった。
そうして、大質量の炎とマシュの大盾が衝突する。
けたたましい爆発音のようなものを辺りにまき散らしその熱が拡散する。
俺も後ろでその熱風に当てられ吹き飛んでしまう。
顔を上げた時にはもう決着は着いていた。
「はあ、はあ、はあ」
苦しそうな表情で盾を構えて立つマシュは今にも倒れてしまいそうな勢いで荒々しい呼吸を繰り返す。
「おいおい、
対して目の前に迫った盾をものともせずに涼しい顔で地面にへたり込むキャスター。
からからと笑いながらマシュに軽口をたたくその姿は全く
「で、ですが、ほんとうに、ぜんりょくで、いきが、」
構図で言えば、マシュが盾でキャスターに攻撃する直前で寸止め(?)をしている状態で、キャスターはそれに気圧されたのか地面にへたり込んでいる状態だ。
「ま、及第点ってところだな。今の攻撃に怯みもせずにそのまま
「それは、ありがとう、ございます、」
まだマシュは息が絶え絶えで今にも倒れてしまいそうだが、その表情はとても清々しいものだった。
「決着がついたようだな。特に怪我もしてないみたいだし、これで文句はないだろう?」
いつの間にか座っていたはずのリムルが俺の隣に来てキャスターに向かって問う。
心なしかその表情はドヤ顔になっている気が…。
気のせいか?
「そうだな、俺からもう文句はねえ。ケルトの戦士は勝者に従うもんだ」
「そっか、わかったよ
ん?
「あ?名乗った覚えは無いはずだが、何故俺がクー・フーリンだと分かった?」
リムルがキャスターの真名らしきものを口にしたとたん、辺りを鋭い空気が覆った。
「え、ちょ、今度は何なの!?」
所長もコロコロと変わる雰囲気に着いていけないのか声を上げる。
というか、いたんだ所長。ほぼ空気だったから忘れかけてた…。
「ん?ああ、ちょっと座にアクセスできるようになったから見た目とか戦法とか武器とか解析できれば簡単に真名がわかるようになっただけさ」
ん?
「「「……はあ!!?」」」
いや。え?。
やばい、今リムルが言ったことを理解するのを頭が拒否した。
所長なんか驚き過ぎて残念な美人みたいになってる。
キャスターは杖落としてる。
あのマシュですらぽかーんとしてる。
「あー、やっぱりそうなりますよねー」
何かを諦めた風な声を出すリムルだが、ああもう、思考がストップして思うように考えられない!
召喚された英霊を見ただけで判別可能で真名がわかるってなに!?
「いや~さっき攻撃してきたやつを捕食して情報を解析してたら、なんか召喚された時の残滓っぽいものを辿れてそこから座にアクセス出来ちゃってさ。あははは」
「いや、説明が意味わかんねーって。どうやったら召喚された残滓なんて辿れんだよ!普通そんな残滓なんてもん消滅してるわ!」
キャスターはリムルの説明に納得がいかないのか猛烈な反応を示す。
俺はもうリムルについては諦めた方がいいかもしれないと、このときすでに悟った。
「…なにこの化け物、これもうリムルだけでこの特異点を修復できそうだわ」
所長、それ言っちゃいけない約束かと思います。
「ハァ、ま、一応自己紹介といこうか。そこのヤツが言った通り、俺はクー・フーリン、今回はキャスターでの現界だ。まあ少しの間だがよろしくな」
「あ…」
とキャスターが自己紹介したタイミングであることを思い出して声を上げた俺に注目が集まる。
まあ集まって当然のタイミングだから仕方ないけど。
「どうかしたの?藤丸」
「あー、えーとですね、そういえばリムルに全員の自己紹介済ましてないなーと思いまして」
と所長の疑問に答えると所長もそういえば、と今にも口にだしそうな顔をする。
今まで戦闘の連続だったから俺もうっかりしていて、今丁度気の抜けたタイミングで思い出したわけだ。
「確かに、藤丸の言うとおり私たちの自己紹介をしていなかったわ。失念してごめんなさい」
「いや、気にしないよ。クー・フーリンも同行するんだし、ここいらで全員分の自己紹介を聞かせてもらおうかな」
「そうね、ありがとう。私は人理継続保障機関”カルデア”の現所長であるオルガマリー・アニムスフィアです。以後よろしくお願いします」
「わ、わたしはマシュ・キリエライトです。先輩のサーヴァントをしてます」
「フォウ!」
「ロマンは…いつのまにか通信切れちゃったね」
そんなこんなで全員分の(通信が切れたロマンを除く)自己紹介を終えた。
リムルはリムルで一人一人によろしくと言って気前の良い笑顔を見せている。魔王って言ってたけど、こうやって皆へ挨拶してるところから人としてとても好感が持てる。
「んじゃ、狙撃に気を付けながら移動すんぞ。今まで仕掛けてこなかったことが奇跡みてぇなもんだしな」
そう言ってクー・フーリンはここを離れるように促す。
「そうだね、狙撃手は討ち取ったけどまだまだ安心できるような状況でもなさそうだし」
「は?」
リムルの何気ない発言にまたもやクー・フーリンは凍りついた。
俺はもうリムルだからと諦めがついているけどクー・フーリンはそうじゃなかった。
でもいつの間にそんなことしてたんだろう。
攻撃された、なんてみじんも感じなかったし…。
「おいおい、それマジで言ってんの?じゃあ俺が嬢ちゃんと戦ってる時に感じたアレは気のせいじゃなかったってことか!?」
もの凄い驚きようにリムルはビックリしたような顔をするけどすぐに気を取り直すように咳払いを一つつくと説明に入った。
「そうだね、あの追撃を加えなかった時に丁度狙撃された。けど全てこっちで処理しておいたから安心していいよ」
「相当規格外だな、アンタ。ひょっとすると冠位適正でも持ってんじゃねえの?」
「さあ?俺は別世界からの訪問者だから、そういった事情は管轄外だ。こっちとしてもそれなりに目的を持って動いてるし、冠位がどうのなんて知ったことじゃないね」
リムルにも目的があるのか、まあそうじゃなきゃここまで協力的にはならないか。
でも、正直そんな規格外ともいえる力を持ったリムルが味方で本当に良かった。
敵側にいたら一分も生きていられる自信がないや。
「そうかい、まあそんだけはっきりとした目的があればこっちとしても信用がしやすいってもんだ。そうだろ坊主?」
「え!?あ、うん確かにね」
話を振られるとは露ほども思ってなかったからついビックリして大きな声だしちゃった。
でもまあ、考えてみればリムルにも目的があるのは当然か。
いくら知識を得たからと言っても何の目的も無くて善意だけでここまで親身になって協力してくるのも何か怖い気もする。
別に目的があって、そのついで感覚で助けてくれている感じがするし、その方が確かにこっちも信用しやすい。
「そんじゃ、目的地変更だな。聖杯のある柳洞寺を目指すぞ」
「てことはやっぱりこの冬木の街では、聖杯戦争が行われていたのね」
「聖杯戦争?」
なにそれおいしいの?
じゃなくて、その説明は若干受けた。
セイバー、アーチャー、ランサー、の三騎士と、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの四騎士といったその英霊の伝承からもじってそれに特化したクラスというものが召喚されるときに割り振られ、合計七騎のサーヴァント同士を戦わせて最後の一人になるまで戦う魔術師の大儀式(?)ってカルデアの職員の人にシミュレイト中に説明された。
無茶振りだよね、やっぱり。
何も知らない一般人である俺にあれこれいきなり吹き込んでも理解できるわけないのに。
ただわかったのは勝者にはなんでも願いが叶う器か何かが手に入るらしい。
なにその難易度が高くなったドラゴンボール。
あれは七つの球を集めて合言葉言えば願い叶うけど、聖杯戦争は七人いる参加者の内勝ち抜いた一人だけしか叶わないってところがつらい。
「あなた、シミュレイトを受ける時に説明されたことも忘れたのかしら?」
怒っているとも呆れているともとれる声を出した所長は俺を睨む。
それこそギロッとか擬音が出そうなくらいに。
「い、いやあ覚えていますよ?ただしっかりとした説明をされてなかっただけで…」
「先輩、聖杯戦争とは魔術師が『』に辿りつくために御三家と呼ばれる人たちが作り出した大儀式のことを指します。簡単に言うと聖杯戦争の名の通り7人の聖杯に選ばれた魔術師たちが聖杯を賭けて一人になるまで争うというものです」
「あー、まあ簡単に言えばそうなるか。参加資格は令呪で、争う道具、兵器はサーヴァントってことになる」
マシュの説明にクー・フーリンの捕捉が入る。
なるほど、とても簡略化されてる説明でとてもわかりやすい。
「それで、その聖杯戦争が変質してしまったことで起こった異変がこの特異点Fってことになるの?」
「ああそうだ。最初は普通に聖杯戦争やってたんだが、しばらくすると突然人が消えだして気づいたらこの様だ。セイバーがおかしくなってからこうなったってことは分かったから今まで殺りあってきた奴らがセイバーに挑んでいったんだが…」
「敗北していった、ということね」
所長がクー・フーリンの言わんとすることを推測して言葉にする。
それは的を射ていたようで「そうだ」と答えた。
「セイバーの奴は既に聖杯を獲得している様子でな、ほとんど無尽蔵の魔力を持ってる。それで挑んでいった奴らは敗北していった訳だ。さらにどんなカラクリかは分かんねえが聖杯の泥に塗れてからは先のランサーみたいに狂暴化していった」
「それが此処の現状か」
そういう訳だ。とクー・フーリンは答える。
聖杯というのはとてもすごいものらしく英霊の力を存分以上に引き出しているようで、そのセイバーを倒すのはとても困難らしくクー・フーリンは倒せる好機を覗うため潜伏していたらしい。
そこで現れたのが、俺たちであり、リムルだった。
それから様子見に向かって今に至ると。
「なるほど。…それで、セイバーはどんな人なの?結構詳しそうだけど」
俺の発言に他の皆はうんうんと頷く。
「あー、詳しいというか何というか、奴の宝具を見れば誰だってその真名に辿りつく。」
「もったいぶらずにさっさと言いなさいよ、真名がわかっているなら対策の一つでも立てればいいでしょ?」
所長が煩わしいといった様子でクー・フーリンに詰め寄る。
それにクー・フーリンは参ったような様子を見せて口を開く。
「わかってらあ。さっさと言うからんな急かすなって、奴の宝具は『
この一言に俺も、マシュも、所長も、リムルですら理解した。
セイバーの正体はアーサー王。
この事実にクー・フーリンが今まで潜伏して好機を覗うしかなかったことの意味をようやく理解した。
藤丸立香は知る所ではないが、英霊とは呼ばれた土地でどれほど有名かどうかという知名度でもステータスに影響し、アーサー王ともなれば世界的に有名な英雄であり、それこそ知らない人間の方が珍しいというほどの知名度を持つ。
この事実にマシュとオルガマリーは軽い絶望を味わうことになった。
だが、お忘れではなかろうか。
この中でただ一人、別世界出身で知名度もクソも無い状況であるはずが、一番強いとされた人物、否、スライムがいることを。
「アーサー王とかエクスカリバーとかめちゃくちゃかっこいいじゃないか、ロマンだよロマン」
一人ボソッと呟く件のスライム。
リムルだけは、皆とは見当違いの感想を持った。
アーサー王?
クー・フーリン?
エクスカリバー?
それがどうした。
今ここに存在する別世界の大魔王の敵に成り得る英霊なぞ数える程もいない。
それこそ、かの英雄王ギルガメッシュが相手でもその余裕ともいえる姿勢を崩すことは叶わないだろう。
全てはリムルの
それをリムル含め全員が知ることになるのは、もう少し先の話である。