召喚したらスライムだった件   作:よと

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あれ?
前投稿から何日空いた?
覚えが無い・・・。
これは・・・、死刑か?
いや、私は生きる!生きて完結させる!(何年経つか分からない模様)
だから、わたしは、完結させるまで、投稿をやめない!!

※意訳:マジで遅れて申し訳ありませんでした<(_ _)>


黒き騎士王

 「・・・ほう、面白いサーヴァントがいるな」

 

 俺は、その黒を基調とした騎士風の女性の影に、魔王を見た。

 

 そう、その威圧感、その眼差し、そのカリスマに魔王を幻視した。

 

 「あ・・・・」

 

 遅い来る恐怖に、俺は声を出すことさへ忘れてただ気持ちすら負けたかのように、後ろに数歩後ずさっていた。

 

 彼女を纏うのは、それこそ無限ともいえるような可視化される程の濃密な魔力。

 

 圧縮され過ぎたそれは最早既存のものとは程遠いような黒に染まっている。

 それを象徴するかのように騎士王の剣も黒く染まっていて、それを中心として濃密な黒い魔力も蜷局を巻くように纏っている。

 

 怖い

 

  

 怖い。

 

 

 今までの気丈な振る舞いが嘘の様に薄れて、代わりに恐怖が俺の心を満たしていく。

 

 「あれが、聖杯?超抜級の魔力炉心じゃない・・・!?」

 

 

 所長はあのセイバーよりも、聖杯の方に意識が向かっているが、俺がセイバーに抱く恐怖とはまた違った恐怖を抱いているようで、その綺麗な顔を歪めている。

 

 「坊主、気持ちは分かるが、今は我慢してろ。なんせ一番怖いのは、盾の嬢ちゃんの方なんだからな」

 

 背中をぽんっと軽く叩いて声を掛けてくれたのはクー・フーリンだった。

 

 その言葉に俺はハッと気づかされた。

 

 そうだ、俺なんかより、戦わない俺なんかよりも、マシュはあのセイバーと直接戦わなきゃいけない。

 それなのに、俺はこうして見ていることしかできないのか?

 

 ―――違う!

 

 「マシュ、頑張って」

 

 それは違う。

 俺はカルデアの、マシュのマスターだ。

 たった一人、彼女に寄り添える存在だ。

 

 俺はマスターで、マシュはサーヴァント。

 でもだからって、俺は何もできない訳じゃない。

 

 ただの一般人な俺でも、できることがあるんだから。

 

 こんな無力な俺にもできることは、こうしてマシュを元気付けること、勇気づけること、励ますこと、鼓舞すること。

 マシュのことを支えてあげることだ。

 

 魔術の方もへっぽこで、マスターとしての指揮もよく理解していない俺ができることといったら、こうして励ますことくらいしかない。

 

 そんなことを考えれば、俺は自然とマシュに声をかけていた。

 

 「―――はい!」

 

 だから、俺もマシュの勝利を信じてこの戦いを見守るんだ。

 

 「リムルも気を付けて」

 「ああ、心配してくれてありがとうな」

 

 リムルはこの状況に何ら変わらないいつもの余裕を保ちながら俺の言葉に応える。

 にかっとした人あたりのいい笑みも忘れずに、だ。

 

 やっぱり、この人はすごい。

 俺達が困難だと思ったものでも、この人はそれを小さな問題とすら見ないのではないだろうか。

 

 「話は済んだか?ならば、その盾の守りが本物か確かめてやろう」

 

 俺がリムルに声掛けをした直ぐ後だった。

 セイバーが声を発したと思えば、最奥にいたセイバーが俺の視界から消えた。

 

 「・・・え?」

 「先輩!!」

 

 すると、直ぐ近くで金属同士がぶつかるけたたましい音が鳴る。

 

 「くぅ・・・!!」

 

 見ると、俺のすぐ近くでセイバーの剣をマシュがその大きな盾で競り合っていた。

 

 「マシュ!?」

 「安心してください、先輩・・・。私が、守ります・・・から」

 

 ギリギリと聞こえてくる力と力の押し付け合い。

 セイバーからの圧倒的膂力に耐える盾の少女は体全体で踏ん張りを利かせ何とか体制を拮抗させている。

 

 そこで守られている俺ができることは?

 

 声を掛ける?

 

 一緒に踏ん張る?

 

 「ボサッとしてんじゃねぇ!」

 

 そんなクー・フーリンの声が聞こえたのは、俺の頭上。

 いつの間にか空中へ跳んでいたクー・フーリンは、すぐさま火球を作り出してセイバーを狙って弾幕を張る。

 

 「無駄なことを」

 

 それを、まず競り合っていたマシュの盾に蹴りを入れ、発生する力で距離を取ると、黒く染まった聖剣を素早く薙ぐ。

 それはただ薙いだだけにもかかわらず、凄まじい魔力を帯びた斬撃となってこちらを飲み込まんと向かう。

 

 

 凄まじい魔力のブーストがかかったソレは容易く火球の弾幕を飲み込むと、そのまま空中にいるクー・フーリン諸共俺達を狙う。

 このままでは間違いなく俺達はこの黒い暴力に蹂躙され、文字通り消し炭になるだろう。

 

 「虚空之神(アザトース)!」

 

 だがそれはリムルによって阻止される。

 

 「リムル・・・!」

 「ははは、笑えねぇなこりゃぁ」

 

 俺がポロリと零した呟きを聞いてリムルはにかっと景気よく笑う。

 それ以前にリムルのした行為にクー・フーリンは感嘆した様子で笑みを浮かべていた。

 

 それは、無傷の俺達は勿論、つい先ほどまで破壊の本流があったのだと感じられず、俺の方には余波である風すらも届いてない。

 

 つまりは、俺の目の前でその斬撃はリムルのだた一言によって消失していたのだ(・・・・・・・・)

 

 「馬鹿な・・・、仮にも聖剣の一撃がこうもあっさりと無力化されるだと・・・・?」

 

 その事実にセイバーが動揺と共に警戒を増すのがわかる。

 それを証明するように、この距離でもセイバーはしっかりと腰を落としいつでもトップスピードで動けるように構える。

 

 「どうやら、想定外のサーヴァントも混ざっているらしいな。相当規格外な輩と見た、貴様は危険だ」

 

 そう言うとセイバーはまた消える。

 

 「なっ、速すぎる!?」

 

 だが、今度はさっきの比ではなかったのか、クー・フーリンですら驚愕の表情だ。

 そして一瞬でセイバーはこちらに移動したかと思えば、既にマシュの守りを掻い潜り剣の間合に俺を捉えていた。

 状況的に、俺のすぐ左隣にセイバーの姿をかろうじて認識できた程の一瞬の出来事だった。

 

 「・・・え?」

 

 瞬間、俺を襲ったのは極めて原始的な『死』への恐怖だった。

 

 「―――死ね、主従諸共!」

 

 そして、今剣が振り下ろさせる。

 このまま俺が死ねば、俺は勿論、契約しているリムルだって魔力の供給が無くなり、サーヴァントとしての活動が出来なくなるかもしれない。

 リムルはもともとこの世界の住人ではないから、俺とのパスが切れればどうなるか想像もつかない。

 だから、セイバーが何よりも先に俺へ攻撃を仕掛けて来たことは合理的に見て適当な手段であるといえた。

 

 

 「―――なるほど、魔素――、こっちでは魔力だっけ。それを使って進行方向とは逆に噴射してジェットエンジンの様に推進力を得ての高速移動か。悪くない」

 

 だが、、セイバーの剣は振り下ろす前に片手で柄を抑えたリムルよってピタリと動きを止められていた。

 

 「でも、それじゃあまだ遅い(・・・・)

 

 そう呟くリムルはセイバーの膂力を片手で受け止めているにも関わらず涼しげな表情で、かなりの余裕を感じられる。

 リムルは二ッと笑うと剣を抑えている手に力を込め、突き出すようにして弾く。

 当然そうなればセイバーの腕は剣と共に跳ね上がり、無防備となった胴を晒す。

 

 「ハッ!」

 

 そしてリムルは、そのままセイバーの胴体へと掌底を叩き込んだ。

 

 「グハッッ!!!」

 

 するとセイバーはそのまま壁の方にまるでボールの様に凄まじい速度で水平に吹っ飛んでいく。

 そしてそのまま壁に衝突し砂埃を巻き上げる。

 これで多少のダメージを負わせれたはずだ。

 

 「へぇ、意外と簡単にできたな」

 

 そう呟くリムルは出した手を見つめながら歓心していた。なにがそんなに嬉しかったのかはわからないけれど、今のうちに距離をとるか?

 いや、それならーー。

 

 と、俺はここで初めて冷静に思考を回していた。

 いきなりの『死』の危険に晒されて、かえって恐ろしいほどにその思考は冷徹に回っていた。

 

 「ごめん、ちょっと油断してた。今からでも気を付けるよ」

 「やっとか坊主、まったくヒヤヒヤさせてくれやがって。テメェはそこの嬢ちゃんと後方で指示を出すことを優先しろ!今回はリムルに助けられたが、次もそうなるとは限らねぇ」

 

 

 俺はクー・フーリンの言葉にわかったと返すと言われたとおりに所長を連れて全体を俯瞰しやすい位置までさがる。

 丁度そのタイミングで、吹き飛ばされたセイバーからの濃密な魔力を感じた。

 

 「凄まじいな。私の魔力放出をああも簡単にやってのけるとは、敵ながら見事といえる」

 「賞賛は素直に受け取るよ。再現するのは得意なんでね」

 

 吹き飛ばされた方であるセイバーに目立った外傷はなかった。

 ある程度ダメージを与えられたと思ったら、案外そうでもないらしい。

 けれど、確実にわかるのは俺達に対する警戒レベルを数段引き上げたのだろうということだった。

 

 「そうか。ならば、もう手加減など考えん。再現などさせる暇もなく完膚なきまでに踏み潰す!」

 

 セイバーの纏う魔力が更に数段その密度を上げた気がした。

 

 「これ・・・、まさか!?」

 「所長?」

 

 それを感じて、所長の表情が強張る。

 まるで、これ以上の生存が難しいというような、明確な『死』を見た瞬間のようだ。

 

 「宝具が来る!」

 

 宝具?

 確か、サーヴァントの持つ必殺技のようなものだったはず。

 一つ一つとっても強力で、それを使われること自体が負けフラグなチート。

 厳密には違うらしいけど、俺はこういう認識をした方がわかりやすいからそうしてる。

 それが使われるってことは・・・。

 使われるってことは、つまりは絶賛ピンチな状況?

 

 『そんな、魔力数値がどんどん上昇してる!?まるで底が見えない、この洞窟どころか、都市一体を吹き飛ばす気なのか!!?』

 「ちょっと、ロマニ!それ本当なの?それじゃあどうしたって終わりじゃない・・・・」

 

 終わり・・・。

 

 所長の言うように、このまま何もできなければ本当に終わってしまうのか?

 

 「させっかよ!嬢ちゃん、全力で攻撃しろ、俺が援護する!セイバーの奴に宝具を撃たせるな!!!」

 「で、ですが・・・」

 

 嫌だ、それは嫌だ!

 まだ、俺は生きたいし、もっとたくさんの経験をしたい。

 それに――――――。

 

 「どうする?藤丸くん。このままなら、確実に皆お陀仏だぞ」

 

 いつの間にか、リムルは俺の真ん前に立っていた。

 いつもの様な気のいい笑みは無く、ただ真剣に俺の真意を問いただしていた。

 

 俺は一体、どうなりたいのかと。

 

 俺はもっとリムルと仲良くなりたい。

  

 「俺は、」

 

 皆と一緒に、カルデアに帰りたい。

 所長と、マシュと、リムルと、俺で。

 皆で。

 

 「俺は、マシュを信じたい。だから、リムルは宝具を防いだ後の切り札であって欲しい」

 「・・・よし、合格だ。今ここで俺に頼らなくて良かったな」

 「うん。ここでリムルに頼ってたら、俺も、マシュも成長なんてできないから」

 「そうだな、うまくやれよ」

 

 そう言って、リムルは俺の背中をぽんと押した。

 それは俺が踏み込めなかった最後の領域を超えさせてくれた気がして、恐怖とか、緊張とか、焦燥とか、そういうごちゃごちゃとしたものが一斉に晴れて、静かな落ち着きと、何でもできるかのような全能感が俺の体に漲ってくるのがわかる。

 

 ・・・全く、この人には敵う気がしない。

 

 「マシュ!!!」

 

 俺はここで、マシュのマスターとして本当の一歩を踏み出した。

 

 「は、はい!」

 

 このままセイバーに宝具を使わせれば、確実にここら一帯は吹き飛ぶらしい。

 なら、どうすればいいか。

 

 単純な話、使わせないか、防ぐか。このどちらかだろう。

 

 ただし、今もクー・フーリンが魔術で攻撃しているけどセイバーの持つ圧倒的魔力量で全部吹き飛ばされている。

 生半可な攻撃ではあの魔力のシールドは抜くことができないだろうと直ぐにわかる。

 

 なら、防ぐしかない。

 どうやって?

 

 「マシュ、宝具を使うんだ」

 

 簡単だ、こっちも宝具を使えばいい。

 

 「で、ですが私は宝具が・・・・」

 「それでも、やるしかない。大丈夫、マシュならできる。なんったって、俺のサーヴァントなんだろう?」

 「先輩・・・」

 

 宝具が使えない?関係ない。

 

 俺の最高のサーヴァントは、この一番カッコイイタイミングを逃す訳がない。

 

 「・・・わかりました。やってみます!」

 

 それに、マシュにはその大きな盾がある。

 皆を守るには、余りにか弱い存在だけれど、この冬木に来てから俺や所長を守るために勇気を振り絞って戦ったその心は何よりも気高く、美しく、何よりも頼れるものだから。

 

 「私は・・・、」

 

 「卑王鉄槌、極光は反転する。光を呑め!!!」

 

 「皆を守る!!」

 

 何よりも美しい心を持つ少女は、今も後ろの存在を守るため勇気を出して前に立つ。

 

 『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!!!!』

 

 有り得ないほどに高まった魔力は黒く、昏く変色し、俺達を全て飲み込まんと極光となって一直線に蹂躙を始めた。

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