東方弔意伝   作:そるとん

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風邪が治ったので投稿頻度少なくなりますが1日に1話投稿を目標にします。(できるとは言っていない)




紅霧異変full moon 優しい吸血鬼

 

 

「うぅん……晴れやかだぁ…!!」

「ほんとね……」

 

紅い霧の晴れた幻想郷は、暖かい日光を一身に浴びては、爛々とした笑顔を浮かべているようだった。

昨日だけで1ヶ月分のエネルギーを使ったような気分だ。

能力の副作用としてちょっぴり白くなった髪と充血した目はまだ治ってはいない。ほっとけば治るから大丈夫。能力が使えるメーターの代わりのようなもので、完全回復すればちゃんと黒髪に戻るし、目も見えるようになる。今は右目だけちょっとボヤけてるが問題はない。

少しでも早く回復出来るように、俺も体を精一杯伸ばし太陽からエネルギーを貰う。

いやぁ〜……

 

 

「クッッソ眠い!!」

「寝てないものね」

 

 

結局レミリアに最後まで付き合った俺は徹夜した。

レミリアは今先程まで俺たちが話していた部屋ですやすや寝ている。

ちゃんとベッドに寝かしたけどね。ちくしょー、夜行性はいいな!

ならお前も寝ればいいじゃないか、と思っているそこのあなた。

ちっちっちっ。俺は変わったのだよ。

どうしてか、ここに来てからというもの1日を大切に過ごしたくなったのだ。

あっちの世界じゃ外に出る機会なんて無かった。

だから色々歩きたいという気持ちが強くなった。

まぁ、流石に今回ばかりは眠すぎるので紅魔館をいろいろ周ってみる。

魔理沙とパチュリーが一夜で頑張って直したという図書館にも行ってみたい。

それと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー『フランドール・スカーレット』に用があるんだ。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

 

 

日光を遮るため。レミリアはそれだけだ、とだけ言った。

それだけではないだろう、と思った俺は酔った勢いで聞き出せないものかカマをかけてみたところ、大当たりだった。

自分のためだけに異変を起こしたとは考えにくい。それは勝負と、終わった後の小パーティを通して確信した。こいつは優しい。ましてや、殴り飛ばした俺を笑って迎え入れてくれた訳だしな。あとでちゃんと謝っておこう。

そして、意を決したかのようにレミリアはぽつぽつと話し始めた。

 

 

「私にはね、妹がいるの」

「妹…?」

「えぇ、フランドール。綺麗な金髪に、宝石のような羽をしててね、大変愛されてたの」

「へぇ、それが、どうして地下なんかに」

 

ここまで聞けばもう分かる。地下から感じた狂気はそのフランドールのものだろう。その愛されているフランドールは、なにゆえに狂気に侵されたのか。

 

「あの子の能力はね、『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』なの」

「なに……?」

 

ゾッとした。大方、いや、それが原因だろう。

何でも破壊できる、だなんて良いように見られやしない。

 

「能力の制御が出来ない間は、もちろん暴走。人はもちろん周りの妖精、妖怪まで恐れ慄いたわ」

「……なるほどね」

「いつしか孤独になったフランは心を狂気に食われた。突如として暴走したり、破壊衝動が芽生える彼女を危惧して、地下に幽閉した。

 

 

 

 

 

 

 

ーー400年ほどね」

「!?」

 

400年!?談笑のときレミリアの年齢は500歳だと言うことを話していた。

となると、90年ほど孤独を味わった挙句、400年も暗い地下に閉じ込められているのか。

そんなの、

辛すぎるだろ。

 

 

「で、その狂気は今もなお、地下で疼いているわ」

「…そうか。話してくれてありがとう」

「……大丈夫よ」

 

レミリアの酔いも少し和らいだのだろうか。

ここからは、覚悟を決める。

 

「フランとは会っているのか?」

「たまに食事の時に見にいくことはあるわ。ほぼ咲夜がやっているのだけどね」

「そうか……異変を起こしたのは、フランがまた外で遊べるようにか?」

「えぇ、こんな空の下で散歩したがるやつはそうそういないと思ってね。それも終わってしまったけれど…」

 

やっぱり、優しいな。

なら、俺のやる事は決まる。

 

「レミリアは、どうしたい…?この現状」

「そんなの!直したいに決まってるわよ!…昔みたいに、一緒にっ……!」

 

レミリアの流す涙はきっと冷たいだろう。悲し泣きなんて、するだけ損だ。誰も得なんかしない。

 

俺は自分が泣くより

ーー誰かが泣いてるのを見る方が辛ぇんだよ。

 

だから、その涙止めてやるよ。

 

「これは俺からの恩返しだと思え」

「……え?」

 

優しくレミリアの頭に手を置く。

 

「俺にフランを任させてくれないか」

「…なっ、何言ってるのよ!あなたを危険な目に合わす訳には……!」

「妹想いのお前に言うと嫉妬されそうだが…

フランの気持ち、俺の方が分かってやりそうでな」

「なっ!」

 

フランの気持ちは痛いほど分かる。

危うければ俺もそちら側だったかもしれないのだ。そうなる前に、泣かせたくないと思えるやつに出会えた俺は幸せなんだ。

それはきっと、フランも同じだろう。

そして、

 

「それにな、」

「な、なによ…」

 

何よりも、苦しそうな妹を助けられず、涙を流す姉を見ることが

死ぬ程苦しい。

 

 

 

 

「涙流してるやつを助けるためなら、危険なんてどうでもいい」

「!!」

 

 

こんな命一つで報われるなら、くれてやる。

そう思うが言うと怒られそうだから言わないでおいた。

だから、まぁ……

 

「恩返しさせてくれよ」

「う、うぅぅ……」

 

 

慰めたつもりが余計に涙を流すレミリアに困惑しかけたが

その後の言葉で、決意は出来た。

 

 

「ありがどぉ……」

「…………あぁ」

 

 

くしゃくしゃに顔を歪めて涙を流すレミリアは、頭に乗せた手を握り、顔の前に持ってくるとと両手でギュッと強く握った。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

 

昨日の一件をふと思い返した俺は、ボーッとした目をゴシゴシ擦り、しっかりと目を見開いた。

俺は約束は守る男なのだよ。裏切られた時はとてつもなく悲しいからな。

その痛みはよく分かってる。

とりあえず、やるからには、死んでも叶えてやる。

優しい姉の願いを、必ず。

 

 

「それじゃあ、またね」

「あぁ、気をつけて」

 

神社に戻る霊夢を見送って、俺は紅魔館に戻る。

 

 

 

 

ーーさぁ、やるか!!

 

 

気合いを入れて、紅魔館の玄関を開け……

 

 

 

「あっ……」

 

 

 

 

れず、その場で文字通り、倒れるように眠った。

 

 

 

 





フランちゃんついに登場です。
ちょっとは主人公らしいところ見せなきゃね!

次回、紅魔館満喫

なんか平和そう。
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