東方弔意伝   作:そるとん

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結構どうでもいい話。


ここの通貨って

 

 

 

家事が楽しい。

 

急に何言ってるんだこいつは、と思っているそこの君。俺は決して頭がおかしくなった訳ではない。たしかに、今の今まで俺は暗い家庭で育ってきたポンコツだというイメージを持たれてもおかしくはない。だが、待ってほしい。

逆に俺は元いた世界では家事しかする事がなかったのだ。

働き詰めで家の事は何もしない母と、元より役立たずの父がいる家庭で、

俺は家事ばかりしていた。

そう、つまり、俺の家事スキルは高いぜ。女子力とやらが高めなんだぜ。

で、まぁ、紅魔館でぼちぼち執事っぽい事をしていたらどんどん楽しくなっていった次第だ。

それを理解してもらった上でもう一度言う。

 

家事が楽しい。

 

 

「我ながら上出来だな……」

 

そしてたった今、窓拭きを終えたところだ。

清潔さと共に得られる達成感が堪らないぜ。

 

「あなたホント凄いわね。お疲れさま」

「ん?あぁ、咲夜。これくらいどうって事ないよ」

「それにしても中々の仕事ぶりよ?どう?いっそここの執事になったり」

 

条件反射で断りそうになったが、ちょっと考えさせるなぁ。

だってここを出たとして行く宛ないしなぁ……。

給料も貰えると思うとその提案は魅力的なのだが……。

 

「か、考えときます……」

「お嬢様はいつでもオッケーだそうよ。それじゃ、もう休憩していいわ」

「あぁーい」

 

いつでもオッケーなのかぁ…。ここで執事紛いの事をやり始めてから3日だけだが、いいのか紅魔館当主。もう少し色々考えろよ。一応怪我が完治するまでって約束だからなぁ……。レミリアとゆっくりしたり、フランと遊ぶのもとても楽しいし。レミリアは日に日に距離感が近くなっていく気がするが。フランは元々近かった。

とりあえず、休みを貰ったから外に繰り出そうと思う。

まだ、美鈴を労ってやってないし。

また人里ぶらぶらしよーっと。

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

 

この前人里を歩いた時は藍さんとエンカウントしたからゆっくり見れなかった。人里にも妖怪は結構いるらしい。羽がある子供とか、街並みに合わない服を着ている人もチラホラいる。

それより、今は人里を見てみたい。

 

 

ぶらぶら歩いていると、藍さんを初めてみた八百屋を見つけた。

ふむ、興味しか湧かない。

八百屋に足を運んだ。

 

「こんにちわー」

「へい!いらっしゃ……あぁぁ!お前さん吸血鬼に打ち勝ったつー外来人かい!?」

「は……?」

「天狗の姉ちゃんがこの前騒いでたからな!!お前さん結構な有名人だぜ!」

 

射命丸ぅ……お前はホント仕事熱心だよ……。

 

「その上吸血鬼を救っちまうだなんて……そんな良い人がいるたぁ、俺ぁ感動したよ!」

「ははは……」

 

俺からしたらおじさんの方がよっぽど善人に見えるがね。

にしても、これじゃあ目立ってしまうな……出歩くの控えようかな。

 

「それより!なんか用かい、にいちゃん!」

「え?あぁ、少し散歩したくってな。色々見たいんだ」

「おぉ!そうかい!どんどん見てけぃ!ウチの目玉はこの大根だぜ!」

「へぇー!立派な大根だ!何円するんだ?」

「そんな高かねぇよ!一本30銭だ!」

「へぇ〜……銭?」

「あぁ、銭」

 

銭。10分の1両。100分の1円。

1銭が100枚で1円。

 

……銭?

 

ふと、ここに来たばかりの事を思い出す。

賽銭箱に500円入れたあの時の記憶が。

 

……嘘だろ?

 

 

そうか……ここは結界で外の世界とは隔絶されてるんだったっけ。

その結界ができたのはいつかは知らないが、街並みからすれば多分江戸か、明治。

つまり、通貨もそのまま。

だから霊夢喜んでたのかぁ〜。だから何も言わずに黙ってたのかぁ〜。

そっかぁ〜。

 

「じいさんまたな」

「もういいのかい?じゃ!また今度来……ありゃ?もういねぇや」

 

僕は猛然と、紫さんに会いにいくのであった。

 

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

 

探しに探した挙句、藍さんすら見つからなかったから最終手段に出た。

 

「よぉ、霊夢」

「あら、シオン。珍しいわね、どうしたの?」

 

博麗の巫女さんならきっとできる。

そう考えた俺は博麗神社に来た。

また霊夢は、紫さんに大事にされている。もしかしたらいるかも……。

 

「時間はとらせないよ。紫さんに会いたいんだ」

「紫ぃ?多分押入れの近くに隠れてるかもね」

「今日は屋根よ!甘いわね霊夢っ!」

「あ、いた」

 

案の定、紫さんは博麗神社の瓦屋根から頭をひょっこりと顔を出した。

ふむ、神出鬼没の噂はホントらしい。

それより、手短に済ましたい。

 

「で、私に何か用?」

「元いた世界に一旦帰れませんか?」

 

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

 

ふつうに帰れた。もうここには戻ってこれないぜ、とか言われたらどうしようかと考えたけど、「うん、いいよー!」みたいな感覚でオッケーだった。

んで、俺が元の世界に戻ってまでやりたかった事といえば……

 

「これ……大金なんだよなぁ……」

 

金の確保である。少なからずお小遣いを貰っていたのだが使い道など無かったから溜まっていく一方だった。と、いっても、20000円程。

それを全て100円に両替し、幻想郷に戻り、そのまま紅魔館の自室へ帰ってきた。戻る時も紫さんに手伝って貰った。

ちなみに、元の世界の実家に人はおらず、物はそのままだったから大変助かった。あいつらどこで何やってんのかね。

それより、この現状についてまとめよう。

 

俺、幻想郷でお金持ちになった。

以上。

 

100円玉はここでも使えるみたいだ。

今俺が持っているのは100円玉200枚。

 

やっぱ、旅に出ようかしら。

ベッドに散らばった100円玉を見て、ちょっとだけ幸福感に満たされた。

 

 

 

 






ある程度お金持ちになっておかなきゃ後々めんどくさいからね。

まだまだ平和続きます。
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